生きていくうえでお金は切っても切り離せない重要な要素です。
しかしながら働いても働いても貧乏から抜け出せない…なんて悩みを抱いたことがあるのではないでしょうか。
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正社員だし週5日40時間以上、働いているのに貧乏なまま…
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働いても働いても貧乏から抜け出せない…自分が悪いの?
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働けば働くほど貧乏になる感覚すらある…
本記事ではこういった悩みを持つ人に向けて、働いても貧乏と感じる原因と現状を脱却するためのポイントを解説していきます。
働いても働いても貧乏なのは稼ぎにくい社会だから
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働いても働いても貧乏なのは自分の努力が足りないのかな?
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自分の能力不足だから貧乏から抜け出せないのかな?
このように悩んだ方も少なくないのではないでしょうか?
結論から言うと、働いても貧乏なのは今の社会が稼ぎにくいからと言えます。
ここからは何故働いても貧乏を脱却できないのかその原因を解説していきます。
1.控除額が多く手取りが上がりにくいから
働いても貧乏と感じるのは、所得税や社会保険料をはじめとした控除額が多すぎて、手取りが上がりにくいことが挙げられます。
例えば月収26万円の場合、所得税や社会保険料など天引きされ、手取りに残るのは20万円ほどです。
少子高齢化をはじめとした要因から、控除額は昔に比べて増えています。
プレジデントオンラインによると、1997年と2020年で比較し、給与から天引きされる控除額は13兆近く増えており、41.7%増となっているのだとか。
特に社会保険料増加の影響も大きく、増加傾向にある年収も手取りに換算した場合、それほど増えたと言えないのが実情です。
また、世帯によってはむしろマイナスになっている場合もあります。
以下はダイヤモンドオンラインが掲載している年収700万円のここ20年程の手取りの推移をまとめたグラフになります。
保険料のアップや一部控除の廃止や減税の縮小廃止などが重なり、手取りは右肩下がりの状態で、2002年の時点では587万円でしたが、2024年時点では536万円と、50万円以上減っていることがわかります。
また、年収が高ければ高いほど負担も増えていきます。
以下はMoney&YouのデータをMochaがまとめたものになりますが、各年収別の手取り増加額を参照すると、一番増加額が高いのは年収400万円となり、500万円にいたるまで70万円超増えていますが、年収600万円以降は60万超、さらに年収1400万円以上になると50万円へと減っていきます。
このように控除額の負担の大きさが、働いても働いても貧乏、働けば働くほど貧乏になるような感覚を覚える原因となっています。
プレジデントオンライン『「給料からの天引き額41.7%増」失われた20年で勤労者が剥ぎ取られた”汗水の結晶”の総額』(参照 2024-10-21)
2.消費者物価指数が増加しているから
増えているのは控除額だけではありません。
消費者物価指数に関しては近年急激に増加傾向にあり、家計の負担となっています。
消費者物価指数(CPI)とは、消費者が購入する商品やサービスの価格の平均的な変動を示す指標になり、第二次世界大戦直後、激しいインフレーションを計測するために作られ、使われるようになりました。
労働政策研究・研修機構によれば、2022年ごろより消費者物価指数は急増しており、2021年以前は多くとも1.5程度でしたが、最近では4.0まで跳ね上がっています。
また、天候要因で値動きの激しい生鮮食品や、海外要因で変動する原油価格の影響を直接受けるエネルギーを除いても3.0となり、生活にかかる出費は比でないくらい増えていることが分かります。
控除額が増えて手取りが減り、さらに消費者物価指数も急増しているとなると、働いても働いても貧乏と感じるのも無理もありません。
3.会社が業績不振・不安定だから
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昇給額が自分が思っているより少なかった…自分の努力不足?
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ボーナスがカットされてしまった…自分はこの仕事向いていないのかな?
こんな悩みを持った人もいるのではないでしょうか。
もしかしたら個人のパフォーマンスの問題ではなく、企業の業績が原因かもしれません。
以下は国税庁のデータを元にまとめた会社の規模別の年収推移になります。
どの規模の企業も直近の年収は鈍化傾向にあり、2014年からの約10年間で一番増加した1,000人以上の企業で横ばい、5,000人以上・30人以上・10人以上の企業は減少傾向にあります。
また、伸びていたのは500人以上の企業で前年比+8万円、100人以上子企業で前年比+1万円となり、500人以上の規模の企業を除けば伸び悩んでおり、むしろマイナスとなっている会社が多いことが分かります。
さらに、直近では企業の倒産数も増え続けているのが実情です。
帝国データバンクによれば倒産理由として「物価高倒産」と「ゼロゼロ融資後倒産」が過去最多となったこと、破産による倒産は11年ぶりに4,000件を上回る結果となったことが挙げられていました。
- ゼロゼロ融資後倒産とは?
- 新型コロナウイルスの影響で経営が厳しい企業を支援するために行われた実質無利子・無担保の融資をゼロゼロ融資と言い、融資期間の終了後、返済の負担に耐えられず倒産が相次いだことを示します。
会社規模では中小・零細企業の倒産が目立っており、コロナウィルス、賃金値上げ、それによる物価高…様々な要因で企業の業績が傾きつつあるのが実情です。
業績が厳しい場合には個人がどのように努力をしようとも、査定が厳しめに行われたり、昇給やボーナスが与えられないケースも当然あります。
ご自身が思うより昇給やボーナスが得られなかったとしても、必ずしも力不足ということはなく、会社の業績不振・業績が安定しないことが影響していることもあり得ます。
国税庁『民間給与実態統計調査結果』(参照 2024-10-21)
帝国データバンク『倒産集計 2024年度上半期報(4月~9月)』(参照 2024-10-21)
4.業界全体が落ち込んでしまっている
働いても貧乏な原因として、会社に限らず業界全体が落ち込んでしまっている可能性も考えられます。
表は厚労省による産業別の法人企業景気予測になり、どの産業も大手は上昇傾向にある一方、中堅や中小企業は下降が目立ちます。
といった中で大手も含めて下降している場合、傾斜産業である可能性が高いため、現職で頑張って働き続ける、または同業他社に転職したとしても、業界自体が落ち込んで界自体が落ち込んでしまっているため、働いても貧乏な状態から抜け出せるかは怪しいと言えます。
Jobtag『産業別景況動向』(参照 2024-10-21)
働いても働いても貧乏状態からの脱却方法は4つ
原因が分かったところで、働いても貧乏な状態を脱却する方法をここからは解説していきます。
- 現職で収入アップを目指す
- 副業を行う
- 給与の良い職場へ転職する
- 公的支援制度を利用する
現職で収入アップを目指す
現職で収入アップを目指す方法は大きく分けて3つです。
- 労働時間を増やす
- 収入アップにつながる資格を取得する
- 賃金アップの交渉を行う
労働時間を増やす
すぐに行えることは労働時間を増やし残業代で稼ぐ方法です。
また、夜勤がある職業であれば積極的に夜にシフトを入れることで、深夜手当により効率よく収入アップすることができます。
ただし、みなし残業の会社の場合、一定時間、働かないと残業代が支給されなかったり、残業が重なると心身にも負担がかかってしまうため、注意が必要です。
収入アップにつながる資格を取得する
収入アップにつながる資格を取るのも有効な手段の一つです。
資格はその人の専門性を証明できるため、人事考課の際にアピールポイントにもなるほか、職業によってはできる仕事の幅が大きく変わり年収に直結することや、資格手当のある企業であれば資格取得による報酬も期待できます。
また現職で資格取得が収入アップに繋がらなかったとしても、資格の有無は自分の市場価値を上げるため、転職時に役立ちます。
賃金アップの交渉を行う
実績に対して思っているほど給与が上がらないという場合には、上司へ賃金アップの交渉をするのも手です。昇給基準に対して自分の実績が見合っていること、自分の業界の給与相場を確認したうえで問題がなければ、まずは直属の上司に相談してみましょう。
交渉のタイミングは、大きな成果を出した、チームを受け持つようになった、自分にしかできない仕事を持つようになった、などの会社への貢献度が上がった時がベストです。
交渉の際は、主観的にならないようエビデンスとして具体的な数値や実績を絡めること、給与を上げてほしいといった漠然な言い方ではなく、具体的な希望値を伝えると真意が伝わりやすくなります。
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もしも交渉するのはハードルが高い、交渉するだけのアピールするポイントがないという場合には、上司に仕事への意欲をアピールして、重要な業務を任せてもらうところからスタートするのも手です。
副業を行う
スピーディーに収入アップを目指したい場合は、副業を行うのも手です。
最近はオンラインで行える手軽な副業も増えて起きており、本業と両立しやすくなりつつあります。また、特に自分の仕事に関連性のある副業であれば、スキルアップにもつながるため一石二鳥です。
もし、副業で活かせるスキルがないという人や、自分の働きたい時に手軽に働きたいという人はタイミーを活用するのも手です。タイミーは当日申し込みや単発OKで、スキルを要さない仕事が多数そろっているので、特別なスキルがない人でも空いた時間に手軽に始められるメリットがあります。
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なお、副業の可否は会社の規定によって変わるため事前に確認しておきましょう。
給与の良い職場へ転職する
もしも今の会社で頑張っても収入アップが望めないと感じる場合は、今より良い待遇の職場へ転職するのも効果的です。
厚労省によれば転職理由として会社の勤務条件が特に多く、転職により給与が減った割合は50代以降を除けば2~3割ほどでした。一方、給与が上がった割合はおおむね4割を超えており、よっぽどのことがなければ給与が減るということはないと言えます。
確実に年収を上げたい場合は、転職時にアピールできるような実績を積んだり、スキルを身に着けることをおすすめします。また、先述の通り業界全体が落ち込んでいる場合、転職しても収入アップが見込めない可能性もあるので、業界の景気をチェックすることも重要です。
厚生労働省『3 転職入職者の状況 』(参照 2024-10-21)
公的支援制度を利用する
働いても働いても貧乏…という人の中には「ワーキングプア」にあたるケースもあります。
その場合は転職する前に、まずは公的な支援を受けることをおすすめします。
それぞれ支援の内容は異なりますが、給付金の受給や、仕事に役立つ訓練が受けられるなど、ワーキングプアから脱却するための支援が受けられます。
1.求職者支援制度
失業保険が受給できなかったり、受給期間を終了した求職者を対象とした訓練制度になり、月10万円の生活支援の給付金を受けながら、職業訓練を受講できます。
受けられる支援
- 月10万円の生活支援
- 無料の職業訓練
▼訓練内容
基礎 | ビジネスパソコン科、オフィスワーク科など |
IT | WEBアプリ開発科、Android/JAVAプログラマ育成科など |
営業・販売・事務 | OA経理事務科、営業販売科など |
医療事務 | 医療・介護事務科、調剤事務科など |
介護福祉 | 介護職員初任者研修科、介護職員実務者研修科など |
デザイン | 広告・DTPクリエーター科、WEBデザイナー科など |
その他 | 3次元CAD活用科、ネイリスト養成科など |
2.公共職業訓練(離職者訓練)
失業保険を受給している求職者を対象とした訓練制度になり、離職前の賃金に応じて支給額が異なる基本手当(雇用保険)にくわえ、受講手当・通諸手当(交通費)を得ながら、職業訓練を受講できます。
受けられる支援
- 基本手当(雇用保険)…離職前の賃金に応じて支給額は異なる
- 受講手当
- 通諸手当(交通費)
▼訓練内容
施設内訓練 | テクニカルオペレーション科、電気設備技術科、住環境計画科など |
施設内訓練 | 自動車整備科、木工科、造園科など |
委託訓練 | 介護サービス科、情報処理科など |
3.生活保護
生活が困窮している人を対象とし、生活における様々な支援を受けられます。
また、障がい者、妊婦、児童養育など様々な加算項目があり、当てはまる場合は生活扶助に加算されます。
受けられる支援
扶助の種類 | 生活を営む上で生じる費用 |
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生活扶助 | 日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等) |
住宅扶助 | アパート等の家賃 |
教育扶助 | 義務教育を受けるために必要な学用品費 |
医療扶助 | 医療サービスの費用 |
介護扶助 | 介護サービスの費用 |
出産扶助 | 出産費用 |
生業扶助 | 就労に必要な技能の修得等にかかる費用 |
葬祭扶助 | 葬祭費用 |
4.ひとり親世帯向けの公的支援制度
ひとり親の場合には以下のような支援を受けることも可能です。
自立支援教育訓練給付金 | 自治体が指定する教育訓練を受講したひとり親に対して、修了後に受講料の一部を支給する支援資格取得のため一定期間以上養成機関で修業する場合には、生活費の負担軽減のための給付金なども支給 |
児童扶養手当受給者等に対する就労支援 | 児童扶養手当受給者等の方を対象に、就労による自立支援を地方公共団体の庁舎内にあるハローワークの窓口等で実施 |
高等職業訓練促進給付金 | 就職の際に有利となる資格取得を目指して養成機関で修業する期間の生活費を支援する制度 |
高等学校卒業程度認定試験合格支援事業 | 高卒認定試験合格のための講座を受け、修了時と合格時に受講費用の一部を支給する支援 |
在宅就業推進事業 | 在宅ワークを希望するひとり親が、自営型の在宅ワークや雇用型テレワーク(企業での雇用)へ移行するための在宅就業コーディネーターによる支援 |
トライアル雇用助成金 | 育児により仕事にブランクがあったり就職に不安を持つ人を対象に、3か月間を上限にトライアル雇用として働いてみる制度 |
働いても働いても貧乏…しんどい時は休むのも手
働いても貧乏な状態が続いたら前述した打開策を実践していくことも重要ですが、時には頑張ることをいったん止めて休むのも手です。
ここからその理由を解説していきます。
悪循環に陥っている可能性があるから
頑張ることが時に悪手となる場合もあります。
働いても貧乏という状況が続くと、その状況をどうにか打開しようと、より一層仕事に打ち込んだり転職や副業を行おうとしてしまいます。やり方は間違っていないものの、普段以上にエネルギーを使うことになるので、しんどい時に頑張ってしまうとストレスや疲労により心身を壊してしまう恐れがあります。
結果的に医療費で貯金が減ってしまったり、休んだ分を取り戻さなくてはならなくなってしまい悪循環に陥ってしまうため、心身に余裕がない時は一度休むことも重要です。
働くことは生きていくうえで欠かせませんが、「働くことがすべて」ではありません。
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「体が資本」という言葉があるように、あくまで健やかに生きる土台のうえに成り立つものだということを認識しましょう。
休むことで見えることもあるから
働いても働いても貧乏は、心理的には頑張っても報われない状況が続き、しんどい状態です。
頑張っていればいるほど、そういった状況は心身をむしばみます。
余裕がないと視野は狭くなるため、そういう時ほど一度休んでみましょう。
心に余裕が生まれると、これまで見えてこなかったことに気づけたり、目を向けることができます。
例えば気分転換の一環として、海外旅行など環境を変えてみることで、日本では得られない経験や価値に触れ、視野を広げることもできます。
また、地方に旅行したことをきっかけに、都心以外で働く選択肢を見出すなど、価値観を改めることもできます。
働いても働いても貧乏な状況から脱却しよう
働いても貧乏なのは個人の問題というより、稼ぎにくい世の中なのが原因です。
不景気や国の情勢的に頑張ったら頑張った分、評価されるとは限らないのが現状です。
また、収入が増えれば増えると給与から天引きされる控除負担も多くなり、手取りは上げにくくなっていっています。
もしも働いても働いても貧乏なままと思うことがあれば、自分や自分以外の原因にも目を向けてみることをおすすめします。
その中で現職で頑張っていくことが良いのか、転職が良いのか、または副業や公的支援を受けるべきか…最善な方法が見えてくるはずです。
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この記事があなたの生活を豊かにするきっかけとなれば幸いです。