「うちの会社ってなんか働きにくいんだよなぁ」と今の労働環境に不満がある人は多いです。それは、昔から続く日本人のおかしな仕事観が原因かもしれません。
最近は働き方改革が浸透しつつあるものの、昔のしきたりを守り続ける企業も珍しくなく、海外の先進国と比べて日本の仕事観がおかしいと疑問を持つ人が増えています。
自身の仕事観を見つめ直すことで、今の労働環境を脱却できるチャンスが掴めるでしょう。
この記事ではそんな日本人のおかしな仕事観について追求しつつ、より快適な労働環境で過ごすために確認すべきポイントも解説していきます。
世界的にみる日本人の仕事観はおかしい
結論からいうと世界的にみると日本人の仕事観はおかしいといえます。
例えば日本には「過労死」という言葉がありますが、「Karoshi」と表記され全世界の共通語となっていることをご存じでしょうか?
過労死はどの国にも該当する言葉がなく、2002年にオックスフォード英語辞典にて、日本の労働環境を示す言葉として掲載されました。
また、2023年に海外駐在員を対象に実施された「勤務地に関するランキング」では、日本はワースト5位にランクインしており、ライフワークバランスを問題視する声が上がっています。
このことからも日本が働きすぎな国であることや世界との働く環境の乖離が伺えます。
参照:InterNations「Expat Insider 2023: Passport to Success: The Top (& Bottom) Places for Working Abroad in 2023」(2024-3-28)
日本人の仕事観で「おかしい」と感じる特徴12選
「働き方改革」が進められているものの、まだまだおかしい日本人の仕事観は残っています。また、いまだに「働き方改革」自体が進んでいない企業も少なくないでしょう。
ここからは、日本人の仕事観で時代や国際基準にそぐわない「おかしい」と言われる特徴を11個解説していきます。
1.長時間労働が当たり前の風潮ができている
まず日本人の仕事観でおかしいと言われているのが、長時間労働が当たり前の風潮ができているということです。
日本では「1日8時間のフルタイム労働や残業の発生が当然」という考え方が根強く残っています。
「それが普通じゃないの?」と疑問に感じる方もいるかもしれませんが、他国と比較すると日本人がいかに働きすぎているのかが浮き彫りになります。
労働政策研究・研修機構が作成した「データブック国際労働比較2023」によると、2021年度の一人当たりの平均年間総実労働時間は、日本が1,607時間なのに対して、フランスやドイツなどのほとんどのヨーロッパの国では1,500時間以下です。
引用:厚生労働省「令和3年版過労死等防止対策白書」(参照 2024-07-11)
また、週に49時間以上働いている人の割合は日本が15.0%、フランスは9.1%、ドイツは5.9%で、他国と比べて日本では多くの人が長時間労働をおこなっていることがわかります。
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英語辞典に「Karoshi(過労死)」が掲載されるほど、世界から見ても「日本人は長く働きすぎ」という印象が強いようです
参考:データブック国際労働比較2023(参照 2023-09-21)
2.有給休暇の取得率が低い
有給休暇の取得は労働者に与えられた権利で、本来なら特別な理由がなくても自由に取得できるはずです。
しかし実際は、企業のルールとしては認めているものの、上司や同僚からの圧力に飲まれて有給休暇を取得しにくいといった風潮があります。
参照:エクスペディア「世界16地域 有給休暇・国際比較調査 2022」(参照 2024-07-11)
図は、2023年度の各国の有給休暇の支給・取得状況をまとめたものとなり、日本の有給取得率は63%と最下位です。
内訳として、有給休暇の支給日数が20日に対して取得日数は12日になり、単純な取得日数は取得数が一番少ないアメリカより1日多いワースト2位、支給数もカナダと同率のワースト3位と低い結果です。
ちなみにアメリカは92%(12日中11日取得)、シンガポールは93%(15日中14日取得)、ドイツは90%(30日中27日取得)、イギリスが85%(27日中23日取得)で100%に近い確率で有給休暇が取得できている点を踏まえると、いかに日本人が有給を取得できていないのかがわかります。
有給取得しない理由として圧倒的に多かった理由は「人手不足など仕事の都合上、難しい」でした。そういったこともあり休むことへ罪悪感を抱く人の割合も半数以上となり、TOP3に上がっています。
参照:エクスペディア「世界11地域 有給休暇・国際比較調査2024 第2弾」(参照 2024-07-11)
3.サービス残業が多い
当然ながらサービス残業は違法です。
残業には「法定外残業」「法定内残業」の2種類あり、基本的にサービス残業はおおよそ「法定外残業」にあたります。
- 法定外残業と法定内残業の違い
- 法定外残業…労働基準法によって定められている法定労働時間(1日8時間かつ週40時間)を超過して働くこと
法定内残業…会社が定めた1日の所定労働時間が8時間未満の場合に、その時間を超えて8時間まで働くこと
近年労働基準法の改正により、残業の上限は原則として月45時間・年360時間と定められているものの、実際は始業時間より早い出勤を義務付けたり、昼休みにも電話対応などをせざるを得なかったりと、短時間のサービス残業が発生する企業が多いです。
そのほとんどは残業の申告が許されず、サービス残業をするしかないケースが多発しています。
日本労働組合総連合会が2014年に実施したモバイルリサーチで、20歳〜59歳の男女雇用労働者3,000名を対象に「サービス残業をせざるを得なくなった経験の有無」について調査したところ、「賃金不払い残業(サービス残業)をせざるを得ないことがある」と答えた労働者は全体の4割強もいました。
また、平均のサービス残業時間は、一般社員で月に18.6時間、課長クラス以上で月に28.0時間という結果が出ており、役職が上がるにつれてサービス残業を強いられる傾向があるようです。
参考:日本労働組合総連合会「労働時間に関する調査」(参照 2023-09-21)
4.悪天候・災害時でも通勤
日本では大雪や台風の場合でも、家を早めに出て定刻通りに出社することが求められがちでです。事前に大雪や台風が直撃することが分かっていても出勤指示が出たり、中には「自己判断」と責任を個人に投げてしまう企業も少なくありません。
出典: NHK 「それでも出勤しなきゃダメですか?台風・大雨・暴風… 出社の判断は 」(参照2024-3-28)「自己判断で…と言われました。私が通勤で使う電車は動いているため出勤しないといけないです。上の機嫌が悪くなるので」
「思いっきり台風上陸するのに明日の出勤は自己判断だそうです。それ1番困る。出勤している人がいるのに、自己判断で来ない人がいたら出勤した人から不満が出るやつでしょ?」
過去には台風直撃時に出社をし被災した人や、死亡したケースも出ていて、「被災時に出勤しないことを常識に」と訴える専門家もいるものの、今のところ浸透していないのが日本の実情です。
5.働き方の自由度が低い
日本は、働き方の自由度が低い国として知られています。とは言え、働き方の自由度が低いと言われても、ピンと来ない方も多いでしょう。
そのように言われる背景には、フレックスタイム制の導入の遅れが大きく影響しています。
- フレックスタイム制とは
- 1ヵ月の総労働時間を定めたうえで、1日の労働時間や始業・終業時間を労働者自身で決めて、私生活と両立しながら効率的に働くことができる制度。
厚生労働省が実施した「令和4年就労条件総合調査」によると、フレックスタイム制を導入している企業は全体のわずか8.2%、フレックスタイム制が適用されている労働者は全体の10.3%でした。
ちなみに、世界的に高い労働生産性を誇るノルウェーでは、全体の80%以上の企業がフレックスタイム制を導入しています。
ノルウェーに限らず、労働者自身で働き方が自由に決められる制度を取り入れる企業が大半な国があることを考えると、日本の働き方の自由度は決して高いとは言い難いでしょう。
【参考】厚生労働所「令和4年就労条件総合調査」(参照2023-09-22)
PR TIMES「【調査報告】生産性第2位のノルウェーと日本における「働き方」に関する意識調査を実施~」(参照2023-09-22)
6.我慢や苦労が美徳だと考えている
長時間労働やサービス残業の多さを見ても日本人が働きすぎていることがわかりますが、こういった傾向にある理由には「我慢や苦労が美徳だ」という古い価値観が残っている点が挙げられます。
「自分や家庭を犠牲にして会社に尽くすことこそが立派な社会人である」という考え方が上の年代の労働者に染みついており、とくに経営層や管理職でそういった思考を持つ人が多い傾向があります。
実際、2019年当時の昭和生まれの50代の仕事観で特に今の20代とギャップが大きかったのは「残業も顧みずに働くだけ働いていた」「仕事とプライベートなら仕事を優先する」でした。
参照:エニワン「「昭和世代と平成世代の価値観」に関するアンケート調査」(参照 2024-07-11)
そのため、役員や上司にこういった昭和の働き方を良しとする人がいると、若い社員も逆らえず働きすぎてしまうケースが少なくありません。
もちろん、誠実な努力や献身的な働き方には敬意を表する必要がありますが、それが個人の幸福や健康の犠牲で成り立つのは本末転倒でしょう。
このような価値観は、世界中で多様な働き方やワークライフバランスの重要性が認知されるなかで、時代遅れとも感じられるようになってきました。
7.終身雇用の考えが根強く残っている
日本では、「一つの会社で定年まで勤め上げるのが普通」という考え方が一般的と言われています。
新卒学生のためのインターンシップ・就活準備サイト「キャリスタ就活」の調査によると、「一つの会社に定年まで勤めたい」と考える就活生も全体の44.1%と約半数を占めています。
また、日本では転職回数が多いほど管理職になりにくいという傾向があるのも特徴です。一方で中国やタイでは、転職未経験者よりも転職経験者のほうが管理職になる確率が高く、転職経験が多いほどその確率が上がっています。
他国と比べて転職すればするほどキャリアアップが目指しにくい風潮がある日本では、終身雇用の考えがいまだに根強く残っています。
8.実力ではなく年功序列で賃金が上がる傾向にある
多くの日本企業では、勤続年数で評価する「メンバーシップ型雇用」が採用されています。
勤続年数が長ければ長いほど賃金が上がりやすいメリットがある一方で、勤務年数が短いが故に実力に見合った給与が受け取れないデメリットもあるのが特徴です。
ちなみに、アメリカでは個々のスキルを評価する「ジョブ型雇用」が一般的といわれています。
労働政策研究・研修機構が発行している「データブック国際労働比較2023」の性別・年齢階級別勤続年数を見てみると、2021年の日本の平均勤続年数は12.3年に対して、アメリカは4.1年と3倍の差があります。
これは、キャリアアップのために転職を繰り返す傾向が強いアメリカ人と、同じ会社で長く働くことに価値を見出す日本人との考え方の違いが理由の一つと言えるでしょう。
参考:データブック国際労働比較2023(参照 2023-09-21)
9.いまだに「はんこ文化」が続いている
ペーパーレス化の動きがありつつも、いまだに日本企業でははんこ文化が根強いです。
実は、はんこ文化があるのは日本だけともいわれています。
はんこ文化の発祥となった中国ですら今は印鑑が使われておらず、契約を締結する際に印鑑を重要視するのは今や日本特有の認識なのです。印鑑が必要な書類がある場合、書類のスキャンや郵送・手渡しといった作業が発生し、必然的に契約完了までの時間は延び、業務量も増えます。
では、国際基準ではどのように契約が結ばれているかというと、手書きの署名で起こりうる偽造のリスクを避けるため、電子契約が主流になりつつあります。
日本でも電子契約システムが普及してきましたが、その動きが今後もっと加速化すれば、さらなる仕事の効率化が期待できるでしょう。
参考:Shachihata Cloud「国際取引において印鑑の代わりになるものとは?海外で普及している電子署名について解説」(参照 2023-09-22)
10.古い秩序やルールに縛られている
日本の企業文化や労働環境は、長い歴史の中で形成された古い秩序やルールに縛られている点がいくつもあります。
特に、年功序列の悪影響は大きく、実力の向上や成果を求める現代の価値観に合っていません。実力や成果ではなく年齢や社歴が重視される企業風土は、現代の価値観を持った若い社員にとって不満が溜まりやすい環境と言えます。
また、日本は同調圧力の思考が強く、異質な考えや行動を持つ者を受け入れない「ムラ社会」の風潮があるのも特徴です。
これは、新しいアイディアや革新的な変化を起こす機会を喪失することにつながり、大きなビジネスチャンスを失います。
11.女性の社会進出に対する考えが遅れている
日本の仕事観がおかしいと言われるのは、欧米先進国と比べて女性の社会進出が遅れていることも挙げられます。
労働政策研究・研修機構による「データブック国際労働比較2023」から管理職に占める女性の割合を比較してみると、日本では13.2%でワースト1位です。
アメリカやイギリスなど欧米先進国では約30〜40%も女性管理職がいるということを踏まえると、日本の女性の社会進出が国際基準と比べて遅れていると言えるでしょう。
女性が活躍できる機会が増えない原因の一つとして、「男性は仕事をして女性は家を守るもの」という考え方が強く残っている点が挙げられます。
最近は家族の形に対しての考え方の変化に理解がある企業が増えてきたとはいえ、男性は女性と比べて育児休暇を取得しにくいのが現状です。
図は各国の無償労働時間をまとめたものになり、日本の割合は男性41に対して女性は265と、他国と比較しても圧倒的に女性の無償労働時間が高い結果となっています。
引用:男女共同参画局「コラム1 図表1 男女別に見た生活時間(週全体平均)(1日当たり,国際比較)」(参照 2024-07-11)
さらに共働き・妻が専業の2世帯の夫婦間の勤労状況を参照しても、共働き・専業に関係なく男性の家事関連の時間は1時間に満たず、日曜日においては妻の勤労時間は夫の約2倍という結果も出ていいます。
引用:総務省「社会生活基本調査トピックス」(参照 2024-07-11)
この点からも、女性側が生活や育児と労働を両立するには負担が高いことが伺えます。
一人ひとりが家族のあり方について見つめ直すのはもちろん、産休・育休をきっかけにキャリアアップを諦めざるを得ない女性が増えないための環境づくりが必要と言えるでしょう。
参考:データブック国際労働比較2023(参照 2023-09-21)
12.常に失敗を恐れて挑戦しない
日本の企業文化や社会構造には、失敗に対する強い恐怖感が根付いています。
この背景には、先に述べた「ムラ社会」の同調圧力が大きく関わっています。その結果、新しいアイディアや方法への挑戦が、リスクとして捉えられがちです。
また、日本社会においては、失敗を過剰に批判する風潮があります。
失敗をした者は「責任を取る」ことが求められるため、一度の過ちがキャリアや人間関係に大きな傷として残る可能性が高いです。失敗を恐れるようになると新しいことに挑戦する意欲が薄れ、無難な働き方を望む人が増えてしまいます。
このような風潮は、社会全体でさらなる企業の発展が求められるなか、大きな足かせとなってくるでしょう。
日本とは違う「海外の仕事観と働き方」
1.仕事より家庭や家族が大切
欧米人は家族と過ごす時間を一番重要視する傾向にあります。
家族や過程を犠牲にしてまで会社に尽くす考えの人は少なく、家族と過ごす時間を確保するために仕事を頑張り、休暇の権利も活用し、オンオフをしっかり分けている人が多いです。
日本の場合、家族を理由に会社を休んだり、仕事を定時ぴったりやそれより早く切り上げられたり、長期休暇が取れるような融通の利く企業は限られます。
2.仕事は時間より質
日本では残業=頑張っていると捉えられがちで、企業によっては定時退勤を快く思われないケースもみられますが、海外では仕事は時間ではなく質と考える傾向にあります。
かえって、国によっては残業するのは「仕事ができない」「生産性が悪い」と捉えられられたり、残業が発生する場合、割増で賃金を払う必要があったり、1日10時間以上労働した場合には罰則が発生する国もあるほどです。
また、残業が蔓延した場合には、「マネジメント側に問題がある」として更迭されることも珍しくありません。
3.ジョブ型雇用
海外ではジョブ型雇用と呼ばれる、採用時にあらかじめ業務内容が明確に決められた働き方が一般的です。業務内容は給与にも連動し、こなす業務の質や量に応じて給与が上がっていく仕組みです。
そのため、業務範囲を超える仕事を指示した場合には契約違反になるため、日本のように断れない人に仕事が集中したり、上司の安請け合いによって部下の負担が増える、といった現象が起きづらい傾向にあります。
日本の労働環境のおかしい現状に気づいた人の行動は早い
近年、日本の労働環境や仕事観に違和感を抱く人が増えてきました。
こうなった背景には、労働環境に関する情報の拡散や国際交流の増加が影響していると考えられます。
このような日本の労働環境に対する疑問や不満を抱える人の多くは、柔軟な労働スタイルや良好なワークライフバランスを実現する企業を求めて早い段階で転職を検討します。
マイナビキャリアリサーチLabが出した2023年7月度の中途採用・転職活動の定点調査によると、正社員の今後3か月以内の転職活動実施予定率は15.5%という結果になりました。
さらに、2023年7月に中途採用活動を実施した企業は全体で41.7%を占めることから、転職市場が活発なのがうかがえます。
参考:マイナビキャリアリサーチLab「2023年7月度 中途採用・転職活動の定点調査」(参照2023-09-22)
おかしいと思ったら働き方や仕事観を見つめ直すことが大切なポイント
本記事で挙げてきた日本人の仕事観は、令和の時代に生きる若者には古くさく感じられるものも多いでしょう。
また、多くの情報や文化に接する機会の増えた現代では、働き方について「おかしい」と思う機会も少なくないはずです。
ここからは、自分の職場の仕事の仕方がおかしいと思ったときに見直すべき仕事のポイントを解説していきます。
あらかじめスケジュールを立てて仕事する
業務効率を上げる手段として、スケジュールを組むことはとても重要です。
今抱えているタスクを洗い出し、優先度をつけ、1日のスケジュールを立ててみましょう。
なかでも時間を要するタスクはなるべく細かく切り分けスケジュールに組み込むことが肝となります。
というのも一般的にシングルタスク向きの人のほうが多く、マルチタスクで作業を進めようとするとどうしても負荷がかかってしまい作業効率が下がるとも言われています。
とは言え並行して進めなければならいないケースが多いのが実情です。
そこで、時間を要するタスクほど細かいゴールを立てて、他の業務と並行して進められるようスケジュールを立てることを心がけましょう。
そしてスケジュール通りタスクをこなせているのか1日の中間地点と就業前に見直し、ずれがあればその要因を見つけ、加味して明日以降のスケジュールを調整していくことで、自分のタイムマネジメントが行えるようになります。
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特に業務量が多ければ多いほど、作業の効率が下がってしまったり抜けも発生するので重要です。
不必要な業務や効率が悪い業務がないか見直そう
日本の職場では「上司の指示だから」という理由で、不要な業務に時間を割いている場合が少なくありません。
それは業務量です。
見直しの前に重要なのは、ご自身が抱えている業務量をしっかり上司が把握しているかということです。
「見える化」するためには今抱えている業務の進捗状況を日々報告することも重要です。
上司視点であなたの業務状況が明確化されていれば、一般的な上司であれば、それに応じて分配しなおしたり、依頼数をおさえるなど対処してくれます。
一方、そういった改善の姿勢が見られない場合は、自分の業務を見直して上司に提案してみるのも手です。
日本の職場では「上司の指示だから」という理由で、不要な業務に時間を割いている場合が少なくありません。
たとえば、実際に使用することのないプレゼン資料の作成といった成果に直結しない作業を指します。
伝える際は、単に「やりたくない」という印象を与えないように、業務の効率化や成果の向上など、具体的なメリットをしっかりと伝えたうえで業務の見直しを提案することが大切です。
企業は会社にとってメリットがある提案に対して高い評価を与える傾向があるため、上司に対して遠慮せず、どんどんプレゼンしていきましょう。
会社に仕事を教えてもらうという姿勢をやめよう
日本企業の多くは、新入社員を対象とした研修をおこなっています。自社の企業理念や業務内容を深く学べる研修は、安心して仕事に取り組めるような手厚いサポートが受けられる一方で、新入社員が独り立ちできるまで時間がかかる要因ともなっています。
その理由は、研修制度が充実しているが故に、「会社に仕事を教えてもらう」という考え方になりやすく、学びに対する積極性が失われるからです。
アメリカなどの国々では、大学で専門知識や技術を身につけたうえで、新卒から即戦力として活動するのが一般的です。企業が新人研修に時間をかけず、新入社員も自らのスキルや経験を活かし、即座に実務に取り組む姿勢が求められます。
新入社員が自ら積極的に業務に取り組む姿勢を持つことで、周囲からの評価が上がるだけではなく、今後のキャリアアップに大きく影響します。
「経験やスキルの習得は会社だけが教えてくれるものではない」という認識を持つだけでも、自分の仕事観をアップデートできるきっかけにつながるでしょう。
一生懸命働くのは当たり前だと考えよう
日本では「一生懸命に働く」という姿勢が評価される場合が多いです。
しかし、外資系企業では一生懸命働くことが前提とされています。評価の基準はどれだけ効率よく成果を出せるか、どれだけの価値を会社にもたらすかといったものです。
どのようにして時間内に最大の成果を得るかという効率と質に重点を置く考え方は、現代の急速に変化するビジネス環境において非常に重要です。
つまり、これからは働く上で「一生懸命働くこと」は基本であると同時に、その上でどのように価値を生み出すか、どのように自らの成果を最大化するかという視点が求められます。
自らの働き方や評価の基準を見直し、短い労働時間で高い成果を追求し、自らのキャリアをより充実させることができるでしょう。
働いていない時間が意外と多いことを認識しよう
改めて自分の労働環境を見直してみると、働いていないのに会社のために労力を使う時間が意外と多いのがわかります。
- 働いていない時間の例
- ・通勤時間
・業務中の雑談
・仕事終わりの飲み会
とくに、通勤時間が長すぎると、出社する頃には疲労が溜まり、作業効率が落ちてしまいがちです。
総務省統計局がおこなった「平成28年社会生活基本調査」によると、通勤時間の平均は1.19時間となっており、会社に行って帰るだけでかなりの時間を取られていることがわかります。
ほかにも、業務と関係のない長時間の雑談や職場の人との飲みニケーションなど、業務と直結しない時間が多いために、業務効率が落ちていないでしょうか。
ちなみに欧米では、フレックスタイム制が浸透していることもあり、労働者自身で仕事のペースを設定できます。その中で早朝から勤務を開始したり、昼食を出前で済ませて移動時間すら惜しんだりなど、集中して効率的にタスクをこなす意識が高いのが特徴です。
「日本人の働き方は案外非効率である」と自覚し、改善をしようとする姿勢が生産性のアップにつながります。
参考:総務省統計局「平成28年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」(参照2023-09-25)
自分の仕事の範囲を明確にしよう
日本の職場における役割分担の曖昧(あいまい)さは、多くの労働者にとって悩みの種でしょう。
自分の業務範囲外であっても「頼まれたから」という理由で仕事を受けてしまう、あるいは上司から業務外の指示を受けることも珍しくありません。
一方で多くの海外企業では、従業員一人一人の業務範囲が契約で明確にされています。そのため、指定された業務範囲外の仕事を強制されるケースも少なく、万が一指示されてもそれを問題視できる文化が根付いているのです。
このような考え方の違いは、仕事の効率や質だけでなく、従業員の満足度やモチベーションの維持にもつながります。自分の業務範囲を明確にすることで、職場での役割や責任が明確になり、業務の質や効率が向上するだけでなく、プライベートな時間もしっかり確保できるようになるでしょう。
おかしな働き方の価値観からの脱却を目指そう!
私たち日本人は働き方に対して、「長い時間働くことや我慢することが美徳」という独自の価値観を持つ傾向があります。しかし、この価値観は今や時代にそぐわないものだと勘付いている人が増えてきました。
欧米諸国をはじめとする多くの先進国では、効率的に働き、プライベートの時間を大切にする考え方が根付いています。
働き方を変えるには、自分自身のキャリアや生活の質を向上させるために早めの行動を取ることが大切です。
仕事は私たちの人生の大部分を占めるからこそ、より良い働き方を求めて模索し続ければ、幸福度が上がり人生が豊かになります。
この機会に、古い価値観からの脱却を目指し、自分に合った新しい働き方を探してみませんか?