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30代がいない会社って何か理由があるの?
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中間層が不在の会社って大丈夫なのかな?
求人探しの際、こういった疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか?
結論から言うと30代が少ない会社はおすすめできません。
30代は新人や後輩を育て、上司を動かす企業の中堅を担う存在です。
ではその30代がいない会社はどういった特徴を持つのでしょうか?
30代がいない理由と絡めて詳しく解説していきます。
会社の年齢構成は大きく分けて4種類!
会社の年齢構成は入社から退職までの新陳代謝の度合いを確認する一つの指標になり、大きく分けて下記の4パターンあります。
- ピラミッド型
- 逆ピラミッド型
- 台形型
- ひょうたん型
どのパターンもそれぞれにメリット・デメリットがあり
30代がいない会社はその中で「ひょうたん型」にあたり、構成比からは、どういった特徴を持つ会社なのか傾向を知ることができます。
ピラミッド型
若手が多くベテランが少ない会社です。
若い層が多く年齢が上がるにつれて割合が減っていく構成のため、比較的社歴が浅かったり、少数精鋭の経営傾向にあったり、採用規模を拡大している勢いのあるベンチャー企業に多いパターンです。
若いうちから幅が広い業務を任されやすいことから成長スピードが速く、社員と企業の成長が直結しやすい傾向にあります。
一方で、30代をはじめとした中間層の育成やマネジメントスキルが特に求められるため、負担が大きい傾向にあります。
逆ピラミッド型
ピラミッド型の逆で若手が少なくベテランが占める割合が多い会社です。
古くから会社自体はあるものの、若手の人材不足に陥っている可能性が高いです。新人の採用から育成までコストがかかるため、会社によっては採用や人材育成のコストカットのため意図的にこうった構成になっているパターンもあります。
経験数の多いベテラン層が厚い構成されているため安定性はあるものの、一方でベテランが抜けた際の穴が多く将来性では不安定な傾向にあります。
ちょうちん型
各年代の割合が比較的均等な理想的な構成です。
他の構成と比較しても比較的バランスの取れており、比較的30~40代の層が厚めな傾向にあります。
このパターンは、安定的に新卒採用を行っていて、かつ定着率も良く、社員の勤続年数が比較的長い会社になり、その背景にルールや制度もある程度整っていて利益も安定している社歴の長いことが伺えます。
ただし中間層が多くトップに行くにつれて絞られてくるため、ポストの取り合いとなる傾向にもあります。
ひょうたん型
本記事のテーマでもある30~40代の中間層が少なく、ベテランと若手が多い構成比です。
社歴がそこそこある中小企業や、いわゆるブラック企業はこういった形が多い傾向にあります。
30代をはじめとした中間層の割合が少ないため若手の意見が届きにくかったり、若手へのフォローが十分に行えていない状態にあります。こういった会社ではベテラン層が中心となり搾取している傾向にあり、若手の離職率が高いため中間層が育たず、悪循環に陥っている可能性が高いです。
なお、会社の経営的に一時的に採用をストップしていたといったことも考えられます。
なぜ30代がいないのか?原因と会社の特徴を解説!
30代が少ない会社をはじめとした、各年齢構成のおおまかな特徴がわかったところで、次に30代や中間層がいない会社の特徴をさらに詳しく解説していきます。
大きく分けると下記3つになります。
- 給与や評価制度に問題がある
- 会社の将来性や経営が不安定
- 労働環境や人間関係が劣悪
給与や評価制度に問題がある
30代は自分のタスクをこなしつつ、上司と若手の潤滑油となって会社を回していく重要な立ち位置に変わるため、一般的に給与がぐっと上がる時期です。
またプライベートでは結婚や家の購入など人生で一番お金がかかったり、転職活動では年齢面でリミットも近づくなど人生で重要な時期でもあります。
こういった背景を持つ30代がいない会社は、昇給・昇格制度や給与面に問題がある場合が多く、「職位が担う仕事量や責任の重さに対して昇給額が見合わない」「良い成績を収めても給料が上がらない」といた理由から、会社を見限るケースが一般的です。
会社の将来性や経営が不安定
前述のとおり30代は自分のタスクをこなすフェーズから、上司や若手を補佐する立場へ移ります。そのため上司や上層部と関わる機会も増え、より深い会社の事情が見えてくるようになります。
くわえて30代は、結婚や家のローンなど出費が最も増える一方、年齢的に徐々に転職活動が厳しくなってくる年代でもあります。
より将来に対して慎重になってくるタイミングのため、会社の将来性や経営に疑問を抱き退職に踏み切る人も少なくありません。
労働環境や人間関係が劣悪
前述の「給与や評価制度に問題がある」「会社の将来性や経営が不安定」にも絡んできますが、労働環境や人間関係が劣悪で辞めていくケースも後を絶ちません。
世代間で意見や価値観にギャップが生じやすいもののベテラン層の意見が強くギャップが埋められなかったり、各世代間で待遇に差があるなどベテラン層が搾取しているケースもあります。
こういった環境下では30代をはじめとした中間層の負担も大きい上、若手が定着せず、悪循環に陥っている可能性があります。
30代のいない会社で働き続けた場合の末路
30代のいない会社は給与や評価面、会社の将来性や経営面、労働環境や人間関係など、様々な重要な要素で問題を抱えていることが分かりました。
とはいえ、年齢や時期を加味しても転職に踏み切るべきか決めきれない人もいるのではないでしょうか?
ここでは30代のいない会社で働き続けた場合の末路を解説していくので、判断材料としてご参照ください。
十分な新人教育を受けないまま中間層になる
30代をはじめとした中間層は、中間管理職のポジションを担うのが一般的ですが、不在会社では、ベテラン層が中心に動いている場合が多いです。
そのため新人へのフォローや教育体制が整っていなかったり、十分な教育や経験を得られないまま中間層になってしまう可能性が高いです。
また、知識のギャップがあまりにあって、ベテラン層の退職時には重要な知識やスキルを十分に引き継げないリスクもあります。
社員のモチベーション低下による人手不足
30代をはじめとした中間層がいない会社では、ベテラン層が中心に構成されています。
良く捉えれば、会社のことを熟知した社員が多く占めるため安定感がありますが、一方でベテラン層の影響が強く、新人の意見が通りにくかったり古い価値観のままという側面もあります。
くわえて、人件費の多くが上位層にかけられ新人層に反映されないといったこともざらにあります。
そのためモチベーション低下により中間層へと育つ前に辞めてしまうなど、新人が定着しない状態が定常化してしまったり、会社自体も新人を使い捨ての感覚の場合もあります。
リーダーシップを取れる人が不足する
30代をはじめとした中間層がいない会社は、ベテラン層と新人を繋ぐ存在がいないため、意見が通りにくい問題点もあります。
また、本来中間層の姿を見てステップアップしていくもののローモデルがいないなか、十分な成功体験や教育や知識の共有を受けられないまま中間層のポジションへと昇格していくこととなります。
またベテランが多く占める会社のため、リーダーシップが取れる人材が育っていない状態で、代替わりとなる恐れもあります。
もしも30代がいない会社に入ってしまったら早めの退職がおすすめ
もしうっかり30代がいない会社に入ってしまった・すでにそういった会社に在籍していて疑問を覚えているという方は退職することをおすすめします。
前述のとおり、30代がいない会社はさまざまな問題を抱えている可能性があり、大きく分けて以下2点の理由から、早めに見限ってしまったほうがかえってプラスとなる可能性が高いです。
将来性がなく働き続けるメリットが少ないから
30代不在の会社は「30代が定着しない」ためにそういった構成比になっている場合がほとんどです。30代は人生で最もお金を使う時期であると同時に、転職のリミットが来る時期でもあります。そういった30代が不在の会社は給与や評価制度に問題を抱えている可能性が高いといえます。
また、ベテラン層中心の構成のため新人の意見が通らなかったり教育が充実しておらず、 最悪の場合はやり方が古かったり、働き続けた場合に転職時に役立つスキルやノウハウが身に着けられない可能性も高いです。
かえって古い価値観を植え付けられてしまったり、年収を重ねることによる弊害の方が大きいと言えます。
20代の時期は30代以降の年収にも影響する重要な時期だから
何度もお伝えしているように30代は転職のリミットが来ると同時に人生でお金を最も必要とします。
そのため重要なのは20代のうちに経験と実績を積むことです。
20代のうちに十分に経験や実績を積みスキルを身に着けられないまま、転職しようにも満足のいく待遇が得られなかったり、最悪の場合には就職できないということもあります。
少子高齢化により今は若い人材を中心に人手不足なので、若い人ほど重宝される傾向にあります。
くわえて20代のうちは未経験OKな求人も多くそろっているため、おかしいと思ったら転職することをおすすめします。
【番外編】辞められない・辞める勇気がない人は働き続けるも手
前述のとおり30代不在の会社はベテラン層が多く占めています。
逆に言うと中間層クラスが不在なためすぐに就ける可能性が高いです。
また、ベテラン層が多く占める会社では、一気に代替わりするタイミングが来るため、頑張り続ければ、ライバルも少ない分、重要なポジションに就ける可能性が高いです。
長い目で見る必要もありますが、もしも辞められない事情があったり、辞める勇気がないという方は、骨をうずめる覚悟で働き続けるのも手です。
いざ退職すると決めたら転職活動を行おう
いざ退職を決めたらあとは次の仕事を見つけるだけです。
次の転職で失敗がないよう、準備すべきことと求人選びのポイントを詳しく解説していきます。
転職活動の前にやるべき準備
転職活動で失敗しないために重要なことは準備です。
まずはなぜ現職での失敗を踏まえ次の転職活動で注意すべきことを考えてみましょう。
例
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会社の年齢構成を把握していなかった
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年齢構成を調べてみて、調べてわからない場合は面接時に質問することをおすすめします。
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残業は1日1時間程度と聞いていたけど実際違った…
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残業時間を所属先の部署ではなく、会社全体の平均時間で説明していた可能性があります。
面接時、“自分が配属する部署”で質問することで正確な時間を知ることができます。
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引継ぎや仕事の説明が十分に受けられなかった…
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離職率が高い会社は人が定着しない分、教育面のナレッジが蓄積されていない可能性が高いです。離職率が低く新卒採用を行っている会社などは、知識がゼロの状態から戦力になる長期的な人材教育計画を立てている場合が多いため安心です。
次に、改めて求人で重視することを振り返ってみましょう。
以下のように必須なこと、ベターなことなど優先度をつけると、求人選びの際にブレることなくチェックすることができます。
参考
▼必須
・満足いく給料を得られる
・土・日・祝日休みである
・平均残業時間が30時間以内である
▼ベター
・ハイブリットワークができる
・フレックス制度がある
・裁量権のある仕事である
最後に、現職の経験や今後のキャリアを踏まえ、経験を活かして転職を行うのか、未経験からチャレンジするのかを検討しましょう。
キャリアを活かし転職する場合、以下のようなメリットがあります。
- 即戦力として活躍できる
- これまでの経験を活かして働ける
- キャリアや給与アップが望める
ただし、上記は前職である程度の経験やスキルを積み上げていた場合になります。
また、現職を辞めたい理由が残業の多さだとして、現職に限らず業界全体が残業が多い場合、転職先も残業必須の可能性が高いため自身の許容内なのか確認必須です。
未経験の業界・業種に転職する場合は、以下のようなメリットがあります。
- 新たなスキルの習得やキャリアパスの開拓ができる
- キャリアの希少性が高まる
- 環境を変えられる
ただし、未経験採用なので給与アップは望めなかったり、最悪の場合、下がってしまうことも視野に入れましょう。
求人選びのポイント
求人選びの方針が定まったところでいざ求人を探す段階となった時、求人票にはいくつか着目すべきポイントがあります。
前項でお伝えした「どういったことを重視するか」にも関わってくる部分なので注意が必要です。
会社の年齢構成
言わずもがな30代をはじめとした中間層が不在の会社は危険です。
前述したとおり「ピラミッド型」「逆ピラミッド型」「ちょうちん型」「ひょうたん型」など会社の年齢構成比でどういった社風であったり経営傾向なのかも見えてきます。
自分の望む社風を絡めておさえておきましょう。
もし情報がなければ面接時に聞くことをおすすめします。
社員離職率(定着率)
離職率はその会社が長く働ける会社なのか見極めるうえで重要な情報です。
厚労省によれば2022年の平均離職率は8.7%(離職者数÷1月1日現在の常用労働者数×100%で算出)となり、これを上回ってくると離職率の多い会社と考えて良いでしょう。
あまりに高かったり、離職率が書かれていない場合にも注意が必要です。
厚生労働省「令和5年上半期雇用動向調査結果の概況」(参照 2024-09-17)
平均残業時間
求人票に書かれた残業時間は必ずしも募集先の部署の内容とは限りません。
会社全体の平均値が書かれている場合もあり、募集している部署だけ極端に残業時間が多いといったこともあります。
厚労省によると月平均残業時間は13.8時間になるため、これを上回ってくると注意が必要です。
特に残業に関して希望がある方は面接時に確認を取ることをおすすめします。
厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報」(参照 2024-08-13)
年間休日数
年間休日数はその企業の健全性や生産性を図るひとつの指標になります。
労働基準法で定められている年間休日の最低ラインは105日です。(ただし36サブロク協定を結んでいる場合は、これを超えて時間外・休日労働を行えるため変わってきます)
また、厚労省によると、労働者1人あたりの年間休日数の平均は115.3日、企業あたりの平均は107日となり、なかでも年間休日120〜129日の割合が最も多い結果となっています。
こういったデータを踏まえると、少なくとも116日、理想は120日以上ある企業が安心と言えます。
厚生労働省「令和4年就労条件総合調査」(参照 2024-09-17)
試用期間中の待遇
試用期間は企業と採用された社員双方が適正か見極める期間になり、一般的に3~6か月とする場合が多いです。
試用期間中は「解約権留保付労働契約」とみなされ、企業側が雇用契約を解除できる権利を有しているうえ、6か月以内であれば最低賃金より最大20%低く設定することもできます。
こういった権利を悪用する企業もあるため、特に試用期間の待遇には注意が必要です。
教育制度がOJTのみ
OJTは「On-The-Job Training」の略称で、仕事を介して行う教育訓練のことを示します。つまり実践を通して仕事を覚えていくこととなります。
OJT自体は悪いものではありませんが、コストを抑えられることや、極論教える人以外の工数や労力もかからないため、人材教育の計画やナレッジがなくても実施できてしまいます。
一方、人材の定着率が良い優良企業では、このほかにOFF-JT(Off-the-Job Trainingの略)などの職場外研修を取り入れ、多角的に教育を実施しています。
週休2日制の表記
週休2日制は、「完全週休2日制」と混同されがちですが、毎週2日休めるというわけではありません。
年間を通して1か月に1回以上、週2日の休みがあるという意味になるため、毎週2日休める企業を希望する場合、「完全週休2日制」になるので要注意です。
休日・遅い時間も面接対応
休日・遅い時間にも面接を行っている企業は、仕事をしながらの求職者からすればありがたいことですが、裏を返せばその会社では休日や遅い時間でも面接を行っているということでもあります。
即日採用・面接数が少ない
即日採用や少ない面接で採用が決められるというのは裏を返せば、それだけ人手不足で切羽詰まっているとも捉えられます。特に即日採用の場合、応募者に内定後、検討する時間も与えないということでもあるので注意が必要です。
アットホームを打ち出している会社
上層部のワンマン経営が目立ったり、プライベートの集まり事や飲み会が頻繁に行われている可能性があります。すでにコミュニケーションが出来上がっていて雰囲気に慣れにくかったり、これといった特色や魅力がない場合に使われる傾向にあります。
【番外編】転職活動は働きながら?それとも辞めてから?
働きながらの転職活動も辞めてからの転職活動も結論から言うと一長一短です。
働きながら行う場合、収入に困らないこと、転職活動に苦戦してもブランクがあかないといったメリットがあります。一方で、面接時には有給を取得したり仕事後に受けに行く場合もあるため時間的に余裕がなくなりやすいです。また、会社の人に感づかれてしまった、バレてしまったなんてデメリットもあります。
辞めてからの転職活動の場合、転職活動に集中でき、自分の時間でスケジュールを組んで取り組めるうえ、就職時期に融通が利きます。一方で、転職活動が長引いてしまった場合、経済的にきつくなってしまったり、ブランクが空いてしまって不利になってしまう場合があります。
それぞれの転職活動の方法に関する詳しい解説もまとめているのであわせてご参照ください。
まとめ:30代がいない会社はやばいのですぐにでも転職しよう!
30代は課長や部長などの中間管理職に昇進し、新たな役割を担う年代です。
中間管理職は経営陣の意図を汲み、部下の育成や指示を行う欠かせない存在と言えます。
そのため30代や中間層がいない会社というのは以下のような問題や特徴を持っている可能性があります。
- ベテラン層が中心となっていて若手の意見が通らない
- 給与や評価制度に対して問題を抱えている
- 中間管理不在により教育・マネジメントで不安定
会社選びの際、30代の有無は重要な指標になるので注意が必要です。
また万が一、30代がいない会社に入ってしまった・在籍中という方は早めに転職することをおすすめします。
この記事を通して求人選びや、現職を見極める手助けとなれば幸いです。