休日出勤が当たり前はおかしい!土曜出勤や休日出勤をなくす対処法

休日出勤が当たり前はおかしい!土曜出勤や休日出勤をなくす対処法
  • 休日出勤が当たり前っておかしい?

  • 休日出勤が常態化していてしんどい…

休日は、働く人にとって心身の回復に欠かせないものです。繁忙期やトラブル発生時にやむを得ず出勤するならまだしも、休日出勤が当たり前になっているのであれば、その状況はおかしいと言えます。

このまま休日出勤を当たり前のように続けてしまうと、悲惨な結末をたどる可能性もあり、できるだけ早い対処が必要です。

本記事では休日出勤が当たり前なのがおかしい理由や、土曜出勤が常態化している会社の特徴、休日出勤をなくす方法を解説します。

  • 「休日出勤が当たり前なのはおかしい!」と思う方は、この記事を参考に現状を打開しましょう!

目次 open

休日出勤が当たり前はおかしい!場合によっては違法

そもそも「休日出勤が当たり前になるのがおかしい」と言われているのは、労働基準法に則って「法定休日」と「法定外休日」が定められていることが関係しています。

【法定休日とは】
労働基準法第35条で定められている「毎週少なくとも1回の休日、または4週間を通じ4日以上の休日」を指します。
【法定外休日とは】
会社が独自で設定できる法定休日以外の休日を指します。「週休2日制のいずれか1日」もしくは「年末年始・お盆休み」などが該当します。

法律上、法定休日に労働者を働かせる行為は、原則違法になります。

では「法定休日の週1日だけ休みを与えて、法定外休日ならいくらでも労働者を出勤させていいのか」というと、それもまた違います。

労働基準法第32条で「1日8時間、週40時間を超える労働をさせてはならない」と定められているため、法定外休日に出勤させて週40時間以上の労働になる場合は違法です。

ただし、従業員の代表者と書面で「36(サブロク)協定」を結び、労働基準監督署に届け出ることで、週40時間以上の労働や休日出勤が認められます

36協定とは、労働基準法第36条に則った労使協定を指し、決められた労働時間内では業務が回らなくなる可能性がある会社への救済措置として存在しています。

36協定で定める時間外労働時間の上限は「月45時間、年360時間」となり、よほどの事情がない限りこの時間を超えられません

もちろん、36協定を結ばないまま休日出勤をさせる会社は違法なので、休日出勤が当たり前になっていておかしいと思った時は、まずは36協定の有無を確認してみましょう。

参考:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」(参照 2024-10-24)

 

法定休日の出勤は通常の賃金より35%プラスで支給される

会社は、36協定を結べば従業員の休日出勤が可能になりますが、法定休日に出勤させた場合は通常より35%多い賃金を支払う必要があります

一部例外があるものの、35%プラスの賃金を支払わない会社は原則違法なので、法定休日に出勤した際は、給 与明細を確認してみましょう。

また、会社の就業規則に法定を上回る賃金割増率が記載されていた場合、その賃金割増率が適用されます。

ただし、就業規則に振替休日を行う旨が記載されている会社が事前に休日の振替を行った際は、「法定休日と出勤日が入れ替わっただけで休日出勤ではない」と見なされるので、35%の割増賃金は発生しません

さらに、法律上の管理監督者も休日出勤による割増賃金は適用されないので注意が必要です。法律上の管理監督者は、主に部長や課長といった会社の管理職が該当します。

参考:厚生労働省「時間外、休日及び深夜の割増賃金(第37条)事業場外労働のみなし労働時間制(第38条の2)」(参照 2024-10-24)

 

法定外休日の出勤は通常の賃金より25%プラスで支給される

法定外休日に出勤した場合、法定休日の同じく賃金は割増されますが、賃金割増率は25%になります

法定外休日は「週40時間以内」と法律で定められた労働時間を守る目的や、労働者の健康を考慮して与えられるものであり、必ず設けなくてはいけない休日ではありません。週1回の休日でも法律上は問題ないのです。

つまり、休日出勤に該当するのは法定休日に働いた場合のみで、すでに週40時間以上を超えたあとに法定外休日に出勤するのは「休日出勤」ではなく、「時間外労働」扱いになります。時間外労働の割増率は25%なので、法定外休日に出勤すると通常の賃金から25%上乗せされる仕組みです。

賃金割増率は、休日出勤扱いなのか、はたまた残業扱いなのかによって変わってきます。正しい賃金割増率で給与計算されているのか把握する意味でも、休日出勤した日が法定休日なのか、法定外休日なのかを確認しておきましょう。

参考:厚生労働省「時間外、休日及び深夜の割増賃金(第37条)事業場外労働のみなし労働時間制(第38条の2)」(参照 2024-10-24)

 

休日出勤が当たり前なのがおかしい理由

休日出勤の概念を理解したところで、ここからは具体的に休日出勤が当たり前なのがおかしい理由を解説します。

  • 休日出勤が当たり前なのはおかしい気がするけど、もっと自分の仕事の要領が良ければ解消できるかもしれない……

  • 先輩や上司もみんな休日出勤してるから、強く指摘できない

このようにさまざまな理由から休日出勤を続けてしまっている方も少なくありません。

今一度休日出勤がおかしい理由を明確にして、休みの日も働いていることが当たり前ではないことを認識しましょう。

 

世間的に休日出勤をしている人が少ないから

世間的に休日出勤はイレギュラーであり、している人のほうが少数派です。

厚生労働省のデータでは、1カ月の休日出勤が0日の人の割合は約75%、全体の4分の3弱という結果が出ています。

平均休日勤務日数(1月)割合
0日74.9%
1日7.2%
2日4.4%
3日1.2%
4日4.0%
5日以上8.3%

参考:厚生労働省「労働時間制度等に関するアンケート調査結果について(速報値)」(参照 2024-10-13)

休日出勤している人の割合では「5日以上」が8.3%と最も高くなっています。このデータから、休日出勤はほとんどの会社で行われていないものの、行っている会社では常態化している可能性が高いと考えられます。

また、休日出勤1回あたりの勤務時間で最も大きい割合を占めているのは、「7時間以上8時間以下」の17.9%です。

そもそも、法定休日は「特別な理由がないかぎり働く必要がない日」とされていることから、本来休日出勤はないのが当たり前です。

休日出勤を行う人は世間的に見ても少数派であり、さらにその状態が当たり前になっているのであれば、やはりおかしいと言えます。

 

働き方改革によりワークライフバランスが見直されているため

政府は、2019年4月1日に「働き方改革関連法」を制定し、順次施行しています。

【働き方改革とは】
長時間労働の是正や柔軟な働き方を推進し、労働環境・生産性の向上を目指す取り組みを指します。労働環境や生産性が向上すれば、社会問題でもある人材・労働力不足の解消につながります。

働き方改革が進むにつれて、従業員のワークライフバランスを見直す企業も増加傾向です。コロナウィルスの流行も相まって、多くの企業では業務効率化による残業時間の短縮やテレワークの普及などに取り組み、従業員が働きやすい環境づくりに力を入れています。

働き方改革の一環として、「週休3日制」を導入する企業が存在します。

週休3日制の代表的な企業は、以下の通りです。

・佐川急便
・ユニクロ
・ファミリーマート

今後、週休3日制の企業はさらに増えると予想されています。

かつての日本には「長時間労働や休日出勤をするのが美徳」という風潮があったものの、現代では「休日出勤を未だに続けるライフワークバランスがとれない企業は時代遅れ」という考えに変わりつつあるのです。

 

休日出勤を当たり前にし続けた人がたどる悲しい結末

休日出勤が当たり前になると、感覚がマヒしてしんどいともおかしいとも感じなくなるケースがあります。

しかし、休日出勤が当たり前という認識を持ち続けてしまうと、以下のような悲しい結末をたどる可能性が高いです。

  • 健康が損なわれる
  • 家族関係に亀裂が入る
  • 人生の最後に後悔する
  • 転職しづらくなる

「休日出勤が当たり前なのはおかしい」と言われる理由として、休日出勤を続けていくことで今後の人生において大きなリスクを背負う羽目になる点が挙げられます。

  • 一体どんなリスクが発生するのか具体的に解説していくので、気になる方はご覧ください!

 

健康が損なわれる

休日出勤を続けてしまうと、心身を休める時間が確保できず、疲労やストレスが蓄積するため、健康が損なわれる可能性が高いです。

実際に、厚生労働省が公開したデータによると、労働時間が長ければ長くなるほど疾患が発症するリスクが上がるという結果が出ています。

特に、時間外・休日労働が「月100時間、または2~6カ月平均で月80時間」を超えた場合、健康障害を起こすリスクが一気に跳ね上がると言われています。

引用:厚生労働省「過重労働による健康障害を防ぐために」(参照 2024-10-13)

  • たとえ休みがなくなっても仕事を終わらせられないよりマシ

  • 思ったより疲れてないから、自分はたくさん働いても大丈夫

このように休日出勤に対してそこまで苦痛に感じていなくても、自分が気づかない内に疲労は確実に蓄積しています。たとえ今は平気だからといって、今後も今の健康状態が続くとは限りません。

数日で完治する風邪程度の病気ならまだしも、命にかかわる病気を患ってしまうような事態が起きたら、今まで当たり前のように休日出勤を続けていたことを後悔するでしょう。

 

家族関係に亀裂が入る

休日も働き続ける状況が続いてしまうと、高確率で家族関係に亀裂が入ります

「平日・休日問わず仕事をしている=妻や子どもと一緒の時間を過ごせていない」ということです。

家族から「家庭を顧みない薄情な人」だと誤解されたり「仕事と言いつつ不倫しているのでは?」と疑われたりする可能性が高く、良好な関係を築くのが難しくなります。

また、先述した通り、休日出勤の常態化は疲労の蓄積にもつながるので、心身の余裕がなくなり家族に八つ当たりしてしまうケースも多いです。

たとえ家族のためを思ってがむしゃらに働き続けたとしても、休日出勤が当たり前になれば家族仲は冷めていきます。最終的には、別居や離婚を切り出されて家族がバラバラになる末路をたどる可能性も十分ありえます。

 

人生の最後に後悔する

休日出勤を当たり前のように続けていくと、その時にしかできない体験や思い出作りを行うチャンスが失われる可能性があるため、自分の人生を振り返った際に後悔してしまいがちです。

  • もっと自分の時間を作って趣味を楽しめばよかった

  • 仕事に人生を捧げすぎて家に居場所がない

  • 仕事ばかりの人生はむなしい

実際、このように仕事をやりすぎたことで悔やむ人が後を絶ちません。

なかには、「定年退職したあと好きに生きたいから、今は仕事を頑張る」と考える方もいます。しかし、健康状態の悪化や家庭崩壊など、長年無理して労働を続けたツケは確実に回ってきます。

休日出勤を続けている方は、今日が人生最後の日だと仮定して、今の働き方で本当に後悔しないのかを考えてみてください。

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転職しづらくなる

基本的に、休日出勤をして世間一般の人より多く働いたとしても、特別なスキルを身に付けるのは難しく、自分の市場価値を高められないと言われています。

また、長時間労働や休日出勤に慣れてしまったせいで「残った業務は休日にやればいいや」という考え方が当たり前になり、短時間で仕事の生産性を上げるスキルも上がりません。

このように、特別なスキルを持たない生産性の低い人は、もし今後転職活動をしたくても苦戦する可能性が高いです。良い条件の企業と出会えず、今の職場にとどまり続けるか、再び休日出勤が当たり前の会社に入社するかの二択しかなくなるかもしれません。

休日出勤を当たり前に続けていくと、目の前の時間だけでなく未来の可能性までもが失われていきます。

自分の市場価値を高めて明るい未来を築くためにも、休日出勤を常態化させてはいけないのです。

 

休日出勤が常態化している会社の特徴

休日出勤が常態化している会社には、いくつか共通する特徴があります。代表的な特徴は以下の通りです。

  • 仕事量に対して人手が見合わない
  • 休日出勤や長時間労働を評価する文化が残っている
  • 休日出勤ありきの非効率な働き方をしている
  • 中堅・ベテランになる前に次々離職しており平均年齢が若い

特徴を正しく把握すれば、転職活動時の会社選びにも役立ちます。

それぞれの特徴を詳しくお伝えしていくので、ぜひ参考にしてください。

 

仕事量に対して人手が見合わない

仕事量に対して明らかに人手が足りていない会社は、休日出勤が当たり前になっている傾向にあります。

一人当たりの業務量が多くなればなるほど勤務時間内に終わらせるのが難しくなるので、休日も働かざるを得なくなります。

もちろん人手を増やせば休日出勤をする頻度は減りますが、近年は人口が減少傾向にある日本において、企業規模を問わず人手不足の解消に苦戦している会社が多いのが現状です。

また、経営が厳しく人件費を増やしたくない会社や、昔からのやり方に固執して業務の効率化に消極的な会社も少なくありません。

このような会社で働くと、いつまでたっても大量の仕事を少ない人数で裁くしかなく、休日出勤が常態化してしまいます。

 

休日出勤や長時間労働を評価する文化が残っている

休日出勤や長時間労働を評価する傾向にある会社は、休日出勤が当たり前になりがちです。

ひと昔前は「働けば働くほど稼げる時代」と言われていたため、休日出勤や長時間労働を自ら行う人が多く、会社もそんな従業員を高く評価する風潮がありました。

しかし現代では、政府による「働き方改革」の制定により、休日出勤や長時間労働の解消に取り組む会社が多いです。

従業員が無理せず働ける環境づくりに注力するのが当たり前の時代になってきている一方で、組織の上層部に昔の価値観を捨てきれない人がいる会社では、いまだに長時間労働や休日出勤も評価対象に入れる文化が残っています。

休日出勤や長時間労働を評価する会社には、以下のような習慣が根付いている可能性が高いです。

  • 緊急ではない会議を定時以降に行う
  • 上司より先に帰ると非常識扱いされる
  • 人事評価に明確な基準がなく、上司の主観や感情で評価が決まる

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休日出勤ありきの非効率な働き方をしている

休日出勤が当たり前の会社は、休日出勤を前提とした労働環境になっている傾向にあります。

上司や先輩、同僚、部下も全員休日出勤を行うような環境に居続けてしまうと、自分も「休日出勤が当たり前」という考えが根付いてしまいがちです。いつしか職場全体で「残った仕事は休日に片付ければいい」という認識が広がってしまい、業務時間内に仕事を終わらせようとする意欲が失われてしまいます。

休日出勤ありきの働き方は、タイムマネジメントが上手くいかず、業務効率も悪いです。

非効率な働き方をする会社の特徴は、以下の通りです。

  • 勤務管理システムを導入せず、タイムカードや手書きによる打刻で勤怠状況を把握している
  • 在宅でもできる業務にもかかわらず、テレワークを導入しない
  • フレックスタイム制度や時短勤務制度など、従業員の都合で働きやすくなるような制度を導入しない

近年は働き方改革が進んでいることも相まって、新しい制度や取り組み、システムが次々と登場しています。このような新しい仕組みを採用しない会社は、従業員が働きやすい環境をなかなか整備できないため、休日出勤もなくなりません。

 

中堅・ベテランになる前に次々離職しており平均年齢が若い

離職率が高く、従業員の入れ替わりが激しいのも、休日出勤が多い会社の特徴です。

近年は、お金や出世よりも自身の健康やプライベートの確保を重要視する人が増えてきているため、休日出勤が当たり前の会社で長く働くのを避ける傾向にあります。

また、休日出勤が多い会社は中堅やベテランになる前に離職する人が続出しているせいで、従業員の平均年齢が低い場合が多いです。

人員を補充しようと求人募集を出しても、実績がある人はわざわざ休日出勤の多い会社を選びません。休日出勤が当たり前の会社にわざわざ応募するのは、未経験者や社会人経験の浅い若い人が中心のため、必然的に若手社員が多くなります。

休日出勤を大前提とする労働環境を変えないかぎり、離職率は下がらず従業員の定着率も低いままです。

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休日出勤や土曜出勤が当たり前の状態を打開する方法

先述した通り、休日出勤はないのが一般的であり、休日も当たり前のように働いているのはおかしい状況です。

現状のおかしさに気づいたら、次の対処法で打開を目指してみてください。

  • 業務効率化に取り組む
  • 休日出勤をそもそも断る
  • 直属の上司・人事部に相談する
  • 労働基準監督署や労働組合に相談する
  • 休日手当や残業代が支払われない場合は会社に請求する
  • 休日出勤が少ないもしくはない職場に転職する
  • 労働関連の法律やルールを学ぶ

以下では各ポイントを詳しく解説するとともに、転職におすすめの業界も紹介します。

 

業務効率化に取り組む

業務の効率化は、最も手軽に取り組める休日出勤への対処法です。

以下のような「業務効率化のコツ」を意識すると、いつもよりも早く業務を終わらせられる可能性があります。

  • 業務フローを見直す
  • 作業に優先順位をつける
  • よく使う文言やフォーマットをテンプレート化する
  • 作業時間を決めて集中する
  • 業務効率に役立つ機能やツールを使いこなす

作業の優先順位をつける際は、まず業務内容を洗い出したあと、主に「重要性」と「緊急性」に注目しながら順位付けを行うのがコツです。

重要性・緊急性ともに高い業務は最優先で取り組む必要がありますし、その逆の業務はすぐに着手する必要がないことがわかります。作業に取り組む際は、スケジュール通りに業務を進めやすくする意味で、各タスクの作業時間を決めておくのも大切です。

また、ほとんどの職種では、何かしらのルーティンワークが存在します。

たとえば、デスクワークがある職種の場合、メールや書類の作成時に使うフレーズはある程度決まっているため、「パソコンの辞書登録機能を使って使用頻度の高い文言の入力作業の手間を省く」「すぐ書類が作成できるように、文章やフォーマットのひな形を作成しておく」など対策を打つのも一つの手です。

さらに、AIツールを使えば、文章作成や大量のデータ処理など作業の自動化などが可能となり、仕事の手間が省けます。

業務効率化を図り、休日出勤をしなくても仕事がこなせるようにアプローチしていきましょう。

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休日出勤をそもそも断る

もし上司から休日出勤をお願いされたら、思い切って断るのも一つの方法です。

休日出勤は多くのリスクを伴いますし、そもそも36協定を結んでいない会社が従業員に休日出勤を強要するのは違法になります。

休日出勤を断る際は、「自分の都合」のみを主張するのではなく、あくまで「最終的に会社にとってデメリットが生じる」点をアピールするのがコツです。

たとえば「どうして休みの日にまでわざわざ働かなきゃいけないんですか」と角が立つような言い方をしてしまうと、後々会社と揉める可能性があります。

そのため、「これ以上業務量を増やしてしまうと、仕事のクオリティが維持できず重大なミスや売上の低下につながりますよ」といったイメージで、会社にとってマイナスな影響になるのが伝わる言い回しに変えると、休日出勤をお願いされる頻度が減るかもしれません。

仕事の質を下げたくないというひたむきさも伝わるので、上司から理不尽な評価をつけられにくいです。

他にも「先約がある」「家の用事がある」「体調不良でゆっくり休みたい」などを理由にすれば、休日出勤を断りやすくなります。断り方のバリエーションを増やしつつ、使い分けながら上手に休日出勤を断っていきましょう。

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直属の上司・人事部に相談する

休日出勤が当たり前な状況から打破するためには、直属の上司や人事部に相談してみるのもおすすめです。

自分の努力だけでは勤務時間内に仕事が終わらない場合、労働環境を変えていかないかぎり休日出勤をなくすのは難しいです。

最初に直属の上司に相談して、もし理解を示してもらえなかった際は、「さらに上の役職者に直談判する」もしくは「人事部に相談する」などして、労働環境の改善を訴えていきましょう。

休日出勤の多さを相談する時は、下記のようなポイントを押さえていきましょう。

  • 客観的にわかりやすい数値データを用意する
  • 具体的な改善策を提案する

実際に休日に出勤した日数や正確な勤務時間、今の業務量などを数値化したデータをもとに改善提案を行うのがコツです。

客観視しやすい「数値」で示せば、相談された側も状況を理解しやすくなるので、前もって休日出勤した日数や時間をカウントして資料にまとめておいてください。

また、休日出勤の実態を伝えるだけだと、相手から「対応を考える」と言われたきり放置される可能性があります。

「ただ今の労働環境に不満を持っている人」という印象を与えないためにも、同時に改善提案も行うのが大切です。

改善提案をする際は、自分本位な主張にならないように気を付けつつ、会社にもメリットがある点を強くアピールしていけば、現状打破できる可能性が出てきます。

とは言え、会社に長年沁みついている体質を変えるのは、簡単なことではありません。上司や人事部の人のなかには、「わざわざ波風を立たせたくない」という理由から、従業員からの訴えをスルーするケースもあります。

しかし、たとえ思うような結果が出なかったとしても、「一度は上司や人事部に休日出勤について相談した」という事実を作っておけば、この次に紹介する労働基準監督署や労働組合へ相談する時にスムーズに進めやすくなります。

まずは会社に「今の労働環境はおかしい」という意思をはっきり伝えておくことが、休日出勤をなくすための第一歩なのです。

 

労働基準監督署や労働組合に相談する

会社の人間に相談しても休日出勤が減らなかった場合、労働基準監督署や労働組合に相談する方法もあります。

【労働基準監督署とは】
会社が労働基準法や労働安全衛生法、最低賃金法等の労働関係法令に基づいて組織運営できているかを監督する機関です。休日出勤はもちろん、長時間労働、パワハラなどあらゆる労働問題に対応しており、労働者から申告・相談を受けたあと、必要に応じて会社に監督指導や捜査を行います。
【労働組合とは】
労働条件や職場環境の改善を図るために、労働者同士で結成する組織を指します。従業員の代表として企業と対等な話し合いができるので、一人で交渉するよりも意見が通りやすいのが特徴です。

休日出勤は、36協定を結んでいないかぎり労働基準法違反になるため、まずは労働基準監督署に申告して、会社への立ち入り調査を行ってもらえるかどうかがカギになります。

ただし、労働基準監督署は深刻な人手不足に陥っていると言われており、信用性の高い案件や緊急性の高い案件から優先して調査・指導を行う傾向にあります。「とりあえず話を聞いてほしい」というノリで匿名や電話で相談しても、すぐに受け付けてもらえない可能性が高いです。

そのため、相談する前に、休日出勤を言い渡される音声データや出退勤の記録などを集めておきましょう。他にも、パソコンの稼働履歴や送信メールの日付、携帯電話の通話履歴、上司や人事部に休日出勤の常態化を訴えている時に録音した音声なども証拠になり得ます。

また、相談する際は、休日出勤の証拠をそろえたうえで面談という形で行うのもポイントです。匿名や電話での相談は、信ぴょう性の薄い案件として扱われやすいので、労働環境の深刻さを訴えたいなら直接行くのが必須と言えます。

それでも労働基準監督署から良い返答がもらえない場合、労働組合に相談して団体で会社と交渉してもらうのも一つの手です。

会社は、労働組合の団体交渉を理由なく拒否できません。とは言え、労働者の要望を確実に伝えられるメリットがある一方で、万が一交渉が決裂してしまうと裁判沙汰になるデメリットもあります。

なお、労働基準監督署や労働組合は、通報・相談した従業員の名前を会社に伝えません。しかし、日頃から休日出勤の多さを会社に訴えていたり、同僚に外部機関に通報する旨を話していたりすると、自分が告発者だとバレてしまう可能性があります。

外部機関に入ってもらえば、会社の労働環境が改善する期待が高まりますが、社内での立場が危うくなるリスクがある点も理解しておきましょう。

 

休日手当や残業代が支払われない場合は会社に請求する

先述した通り、法定休日に出勤すると通常の35%、労働時間が週40時間を超えたうえで法定外休日に出勤すると通常の25%の賃金を支払う決まりがあります。

もし、休日に働いた分の賃金が支払われていない場合は、労働基準法違反です。

労働者は、3年以内であれば受け取れていない賃金を請求する権利があるので、未払いの休日手当や残業代を取り戻せる可能性があります。

未払いの休日手当や残業代を会社に請求する方法は以下の通りです。

  • 自分で直接請求する
  • 弁護士に依頼する

自分で直接請求する場合は、請求書を作成し「配達証明付き内容証明郵便」を会社に送ります。

ただし配達証明付き内容証明郵便は、郵便物を確実に相手に配達した証拠になるだけで未払い賃金の支払いを強く促すものではありません。悪質な会社になると、従業員の主張を無視してしまう可能性もあります。

対して弁護士に依頼する場合は、未払い賃金の計算から請求書の作成、会社との交渉まで一貫して任せられるのが魅力です。もちろん費用はかかりますが「完全成功報酬制」の弁護士であれば、初期費用を抑えつつ依頼できます。

弁護士を選ぶ際は、未払い賃金問題の分野に強い人に依頼するのがおすすめです。

ほとんどの弁護士は、自分の得意な専門分野を持っており、もし未払い賃金問題に疎い弁護士に頼むと思ったような成果が上げられないリスクがあります。

確実に休日手当や残業代を取り戻すためにも、弁護士選びは慎重に行いましょう。

 

休日出勤が少ないもしくはない職場に転職する

さまざまな方法で休日出勤をなくす努力をしても改善の兆しが見られない場合、休日出勤が少ない、もしくはない職場に転職するのがおすすめです。

先述した通り、世間一般では休日出勤がある会社のほうが少数派のため、転職すれば今よりも労働環境の良い職場で働ける可能性があります。

労働環境の良さをアピールする会社は、効率的に仕事を進められるスキルが高い人を求めている場合が多いです。

そのため、休日出勤のない会社を探す時は、まず「転職サイト」「転職エージェント」を活用して、転職市場において今の自分にどれだけの需要があるのかを確認しましょう。

特に転職エージェントは、業界に精通するキャリアアドバイザーと面談を行ったうえで求人を紹介してくれるので、自分の市場価値が把握しやすいです。自分が今まで培ってきた知識やスキルは価値あるものだとわかれば、自信を持って転職活動に挑めるでしょう。

転職活動の面接では、高確率で転職理由を聞かれるので、事前に答えを考えておくと安心です。とは言え、「休日出勤が当たり前な労働環境に対しておかしいと思ったから」と正直に答えてしまうと、面接官は反応に困ってしまいます。

「前職よりワークライフバランスを整えた働き方をして、心身ともに万全の状態で御社に貢献したいから」といったポジティブな表現に言い換えるのがおすすめです。

たとえネガティブな理由であっても、伝え方次第で面接官に好印象を与えられます。

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ナイト系の職種に転職する

休日出勤が当たり前の会社で働くと、1日丸々休める頻度が減ります。休日が少なくなってやりたいことがあってもなかなか挑戦しづらくなり、プライベートを充実させるのが難しいです。

メリハリをつけた働き方で心身ともに豊かな生活を送りたいなら、ナイト系の職種への転職も検討してみてください。

ナイト系は、休みを取りやすい環境が整えられている傾向にあり、大型連休も取得できる会社が多いです。ライフワークバランスの整った働き方ができる点をアピールする会社も珍しくないので、休日出勤のない会社に出会える可能性があります。

また、ナイト系は、高校生を除く18歳以上であれば、学歴・資格・経験不問で応募できます。柔軟な働き方がしたい方や、労働環境を重視して転職先を探している方は、ナイト系の求人も一度チェックしてみましょう。

 

【番外編】労働関連の法律やルールを学ぶ

労働に関する法律やルールの知識の習得は、自分のワークライフバランスを保つうえで欠かせない防衛策の一つです。

休日出勤をなくす直接的な方法ではありませんが、法律で決められた労働のルールを学んでおけば、休日出勤が常態化する会社のどの部分がおかしいのか理解しやすくなります。

会社の組織体制の深刻度によっては、取り返しのつかない事態になる前に転職活動に踏み切るきっかけにつながるので、「やりがい搾取される状況」から抜け出せるでしょう。

とは言え、ただ働いているだけでは、法律やルールを知る機会は少ないのが実情です。事実「36協定を結んでいない会社での休日出勤は違法」「法定休日の出勤時に支払われる賃金は、通常の35%増」など、労働基準法の細かいルールまで把握しきれていなかった方も多いのではないでしょうか。

今はインターネットで検索すれば、労働関連の法律やルールがたくさん出てくるので、すき間時間に勉強することから始めてみてください。

 

休日出勤が当たり前な会社はおかしい!自ら行動して環境を変えていこう

働き方改革によりワークライフバランスを重視する企業が増えていますが、いまだに「休日出勤が当たり前」という風潮の会社もあります。

しかし、36協定を結んでいない会社での休日出勤は違法ですし、そもそも従業員を重労働させないと経営が成り立たない会社の体制はおかしいです。

休日出勤を当たり前に続けることには、心身の不調に陥ったり転職しづらくなったりと、さまざまなリスクが潜んでいます。

「休日出勤が当たり前な会社はおかしい!」と思っている段階であれば、まだ自分の労働環境を変えられるチャンスがあります。本記事で紹介した対策を実践し、休日出勤が当たり前の状況から抜け出していきましょう。

「自分が訴えたところで何も変わらない……」と諦めてしまうと、ただ会社に搾取され続けるだけの人材になってしまうので、まずは休日出勤をなくすための一歩を踏み出すのが大切です。

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著者情報

シュウジ
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兵庫県生まれ。都内の私立大学卒業後、パチンコにハマって単位を落とすも、一浪して大学を卒業。派遣社員として工場で働きながら、副業としてナイト系ドライバーやせどりを始める。
本業に嫌気がさし、転職を決意し資格取得に励む。奇跡的に大手人材会社に入社し、給料が倍になり人生が変わる。人材業界でさまざまな職業や経歴を持つ人々との交流を通じて知識を蓄え、2023年にブログ「仕事図鑑」を開設。