新聞配達員は、新聞の積み下ろしやチラシの折り込み、購読契約をしている担当区域の家庭や事業所に新聞を配達、料金の集金などが主な仕事です。
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新聞配達員の給与は高いのか低いのか知りたい
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新聞配達員として年収を上げるにはどうすればいいのか
といったように新聞配達員の収入面が気になる方に向けて、本記事では新聞配達員の平均年収について詳しく解説します。
新聞配達員で稼げる人・稼げない人の特徴、給与アップのコツもしっかり紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
新聞配達員の平均年収は394万円
新聞配達員の平均年収は約394万円です。
この数字は「令和5年賃金構造基本統計調査」の「その他の運搬従事者」に掲載されたデータをもとに、月給28.5万円、年間賞与51.1万円として計算しました。
平均年収を踏まえて「22歳で大学を卒業して新聞配達員になり、定年の60歳まで同一企業で38年間働いた」と仮定すると、生涯年収は約1億4957万円です。
なお、新聞配達員の年収は50~55歳でピークを迎え、この年代の年収は428.3万円というデータが出ています。
ただし、これらの数値は「その他の運搬従事者」を参考に算出しており、他業種の配達員も含まれている点にご留意ください。
参考:
e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-06-24)
職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「新聞配達員」(参照 2024-06-24)
新聞配達員の収入内訳
新聞配達員の収入内訳は、収入の柱となる「基本給」に加えて、業績に応じて支給額が決まる「賞与」、残業手当をはじめとする「諸手当」で構成されるのが一般的です。
朝刊を届ける新聞配達員は深夜2~3時頃から仕事を始めて朝まで働くため、深夜手当も支給されます。
この他、管理職に昇進すれば役職手当が支給されるので、経験を積んで主任や店長といった役職者になるのも、新聞配達員が年収を上げる方法です。
また、新聞の新規購読営業をして契約が取れると、多くの企業では「インセンティブ報酬」が支給されます。インセンティブも見越して働けば、収入内訳は「基本給+歩合給+賞与+諸手当」となり、頑張れば頑張っただけ稼げるでしょう。
なお、新聞配達員の勤務時間は他職種と大きく異なるため、公共交通機関が停止している時間帯でも通勤しやすいよう寮完備や家賃補助などがある企業が多いです。
寮や家賃補助により生活コストを抑えられれば、実際の年収以上の生活を送ることも不可能ではありません。
【年齢別】新聞配達員の平均年収
新聞配達員の平均年収は、年齢によって推移します。
ただし、他職種では年齢によって300万円以上年収差が開くケースもある点を踏まえると、新聞配達員の平均年収は比較的年齢による影響を受けにくいと言えるでしょう。
年齢 |
平均年収 |
20~24歳 | 322.79万円 |
25~29歳 | 351.32万円 |
30~34歳 | 389.1万円 |
35~39歳 | 409.88万円 |
40~44歳 | 424.49万円 |
45~49歳 | 421.5万円 |
50~54歳 | 428.3万円 |
55~59歳 | 413.22万円 |
参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「新聞配達員」(参照 2024-06-24)
経験の浅い20~24歳の平均年収は、322.79万円と最も低いです。
しかし、年齢を重ねるにつれて徐々に年収は高くなっており、経験を積めば配達件数を多くこなして昇給したり、営業成績が安定して稼ぎやすくなったりすることが推測できます。
また、35~39歳で年収が400万円台に到達すると、その後は定年まで年収400万円台をキープし続けている点も特徴です。
【性別】新聞配達員の平均年収
男女で賃金格差がある職種は珍しくないですが、新聞配達員も例外ではありません。
以下の表では「(きまって支給する現金給与額×12カ月)+年間賞与その他特別給与額」の式で、男女ごとの平均年収を算出しました。
ただし、下記の数字は「その他の運搬従事者」も含まれている点にご留意ください。
性別 |
平均年収(千円) | きまって支給する現金給与額(千円) | 年間賞与その他特別給与額(千円) |
男女計 | 3,936.3 | 285.4 | 511.5 |
男 | 4,197.3 | 301.4 | 580.5 |
女 | 2,975.40 | 226.4 | 258.6 |
参考:e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-06-24)
男性新聞配達員の平均年収が約420万円なのに対し、女性新聞配達員の平均年収は298万円であり、男女間の年収差は約122万円です。
つまり、新聞配達員の平均年収は、女性よりも男性のほうがかなり高くなる傾向があります。
新聞配達員は荷下ろしで筋力を求められたり、悪天候の中でも配達する必要があったりするので体力勝負の職種です。
そのため、どうしても女性よりも男性のほうが活躍しやすい職種である点が一因だと考えられます。
【地域別】新聞配達員の平均年収
給与は地域の物価やその仕事の利用者からのニーズなどを受けて決定されるため、新聞配達員の年収は働く地域によっても変動します。
以下の表では、新聞配達員の年収を東京都と政令指定都市のある道府県で比較してみました。
都道府県 |
平均年収 |
北海道 | 356.4万円 |
宮城県 | 394.3万円 |
東京都 | 400.1万円 |
埼玉県 | 391.8万円 |
千葉県 | 375.4万円 |
神奈川県 | 394.1万円 |
新潟県 | 344.9万円 |
静岡県 | 391.2万円 |
愛知県 | 406万円 |
京都府 | 411.5万円 |
大阪府 | 412.1万円 |
兵庫県 | 426.9万円 |
岡山県 | 375万円 |
広島県 | 417.3万円 |
福岡県 | 415.4万円 |
熊本県 | 365.1万円 |
参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「新聞配達員」(参照 2024-06-17)
年収が最も高い地域は兵庫県の426.9万円、最も低い地域は新潟県の344.9万円で、2つの県の年収差は82万円でした。
新聞配達員は、新聞を購読契約している家庭が多ければ多いほど仕事が忙しくなります。
また、新規購読営業をかけてインセンティブを増やしやすいので、東京、大阪、福岡などの人口密度が高い大都市圏が稼げる傾向にあります。
新聞配達員の平均年収が低いと言われる理由
日本における給与所得者の平均年収は令和4年の国税庁の統計では458万円です。この数値と比較すると約394万円という新聞配達員の平均年収は低めです。
新聞配達員の平均年収が低いと言われる理由は、主に以下の3つです。
- 非正規で雇用されている人が多いため
- 正社員の場合、拘束時間の割に給料が低いと感じる人が多いため
- 高い専門性を必要としない職業のため
新聞配達員の仕事は、正社員での雇用もあるものの、アルバイト・業務委託といった非正規雇用も多いです。
非正規雇用では賞与がないケースが多い他、短期就労のため昇給する前に辞めてしまう人も少なくないため、職種全体の平均年収が低く算出されてしまいます。
また、正社員になれば賞与が得られますが、そのぶん拘束時間が長くなったり今まで以上に責任ある仕事を任されたりしやすいです。業務のきつさと給与が見合っていないと感じる人が多いことも、新聞配達員は年収が低いと言われる一因として考えられます。
そして、新聞配達員の仕事は単純作業が多く高い専門性を求められないため、未経験でも問題なく就業できる職種です。そのため、特定の知識やスキル、資格が必須の職と比べて年収が上がりにくい傾向にあります。
参考:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」(参照 2024-06-17)
新聞配達員で稼げる人・稼げない人
新聞配達員は専門的な知識やスキルがなくてもなれますが、向き不向きは個人の特徴・能力によって分かれます。
新聞配達員で年収を伸ばしていける人は、以下のような能力を持っていることが多いです。
- 体力
- 忍耐力
- 記憶力
- 時間管理能力
これらのスキルを踏まえて、新聞配達員になって稼げる人・稼げない人の特徴を具体的にまとめました。
新聞配達員で稼げる人 |
新聞配達員で稼げない人 |
体力がある人 |
責任感がない人 |
早起きが得意な人 |
時間にルーズな人 |
単純作業を正確に続けられる人 |
土地勘がない人 |
新聞配達員は重い新聞のトラックからの荷下ろしや階段の上り下りなど、身体的負担が伴う仕事です。
ちなみに新聞の梱包は1個につき60~75部ほどで、重さは約7~10kgです。
したがって、体力がある人のほうが仕事を辛いと感じにくく、無理なく稼げる傾向にあります。
また、朝刊の配達であれば深夜に出勤する必要があり、早起きは必須です。新聞配達員は、休刊日以外は責任をもって各家庭に新聞を確実に届ける必要があり、遅刻する人や欠勤してしまう人には向きません。
さらに、限られた時間で担当区域に新聞を配りきることが求められるため、時間にルーズな人も評価はされづらいです。時間管理能力があり、上手くペース配分を考えててきぱきと動ける人が稼げる仕事と言えます。
スピーディーに仕事を終わらせるためには、土地勘の有無も重要な要素です。その土地に詳しい人や道を覚えるのが得意な人は配達がスムーズなので、新聞配達員として高年収を狙えます。
なお、新聞配達員はバイクや自転車で黙々と新聞を届けるのが主な仕事となるため、一人きりでの単純作業が苦にならないかどうか、正確に一人で作業をこなせるかどうかといった適性も重要です。
新聞配達員で年収・給与を上げるポイント
新聞配達員で年収・給与を上げるためのポイントは、主に以下の4つです。
- 配達部数・勤務日数を増やす
- 勤続年数を増やす
- 集金や新聞契約の営業を行う
- 正社員になる
新聞配達員は、仕事量を増やしたり、営業や集金を行う正社員を目指したりすることで年収アップが見込めます。
各ポイントを詳しく解説するので「新聞配達員になって稼ぎたい」「新聞配達員で今以上の年収を実現させたい」という方はぜひ実践してみてください。
配達部数・勤務日数を増やす
基本給が固定されている月給制の正社員は使えない手ですが、アルバイトや業務委託といった非正規雇用で働いている場合は、配達部数や勤務日数を増やして収入を上げるという方法があります。
非正規雇用で働く新聞配達員の給与は、時給制となっているケースがほとんどです。
そのため、仕事量を増やして勤務時間を増やせば、必然的に給与も増えます。
また、働き方や企業の方針によっては、歩合制を採用している事業所もあります。歩合制の企業で働けば、配達部数や新聞の新規契約数に応じて給与が決まるため、頑張りに応じて年収を増やすチャンスが生まれるでしょう。
ただし、歩合制といっても「時給+歩合給」と「完全歩合制」とで稼ぎやすさが変わります。
完全歩合制の場合は歩合率が高く、業績次第で収入がより上がる傾向があります。しかし、収入が成績のみに左右されてしまうため安定しにくく、体調や天候次第で上手く配達できないと、大幅に減る可能性もあるのでハイリスク・ハイリターンの給与制度です。
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堅実に年収を増やすのであれば、「時給+歩合給」の給与体系を選んだほうが無難です。
勤続年数を増やす
新聞配達員の平均年収が、年齢を重ねるにつれて増えている傾向からもわかるように、勤続年数を重ねると、昇給して年収がアップする可能性が高くなります。
求人に「昇給あり」と記載している場合は、勤続年数の長さに応じて収入が増えていくことが見込まれるので、職場を選ぶ際は要チェックです。
新聞配達員は年々人手不足が深刻になっており、少ない人数でギリギリのやり繰りをしている企業や、業務が成り立たず困っている企業も多いです。
そのため、長く勤務している人、新聞配達の業務に慣れている人は大切にされやすく、給与や報酬の金額も高く設定される傾向にあります。
また、新聞配達員として長く勤務歴がある人は、他の新聞屋にとっても魅力的な人材なので、年収アップを狙っての同業他社への転職も上手くいきやすいです。
集金や新聞契約の営業を行う
新聞配達員として慣れてくると、購読者宅を回って新聞代を集金する「集金業務」や新聞を購読していない家庭を訪問して勧誘する「新聞契約の営業業務」も行うようになります。
営業業務と集金業務は、契約数・集金件数という形で成績になり、成果に応じて歩合給が支給される場合が多いです。営業・集金業務にノルマを設けていない企業も多いですが、新聞配達員として年収を増やしたいなら、集金・営業業務を積極的に行いましょう。
集金業務は、口座引き落としやクレジットカードで購読料を支払う家庭が増えてきているものの、新聞を購読している高齢者の中には昔ながらの習慣で「新聞代を自宅まで取りに来てほしい」という人も少なくありません。
ただ契約者の自宅を訪問して集金するだけと思われがちな業務ですが、【集金回収率】という業界用語があり、誰でもできる仕事というわけではありません。
ベテラン新聞配達員は契約者の在宅時間を見計らっていつも同じ時間帯に訪問したり、自分に対する好感度が上がるように丁寧に対応して顔を覚えてもらったりすることで、集金回収率を上げています。
また、営業業務は新規契約の営業だけでなく、既に契約している家庭を訪れて継続購読をお願いする営業もあります。新規契約の場合は、販売店から出る報酬とは別に、新聞社からも報酬がもらえるケースもあるので、収入アップにつながりやすいです。
どちらも対応方法を間違えてしまうとクレームにつながったり、他紙に乗り換えられたりしてしまうため、経験やコミュニケーションスキルが求められます。
ちなみに、企業によっては「新規勧誘なし・集金なし」「配達のみ」で求人を出しているケースもあるため、集金や営業業務で稼ぎたい場合は注意しなくてはいけません。
業務が配達のみの企業で働けば負担は軽減されますが、それに伴い収入が増えるチャンスも遠のいてしまいます。
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新聞配達員として年収アップしていきたい方は、歩合給が出る営業・集金業務がある企業で働くのがおすすめです!
正社員になる
新聞配達員は働き方が豊富で、正社員や契約社員、アルバイト、業務委託などさまざまな選択肢がありますが、年収を増やしたいなら正社員になるのがおすすめです。
正社員は「基本給+賞与+諸手当」で月給がメインの働き方になるので、非正規で働くよりも収入が安定します。責任のある仕事が増える分、基本給も上がりやすいです。
さらに、正社員は寮や家賃補助、貯蓄積立制度、退職金制度をはじめとした福利厚生も受けられるため、貯金しやすい環境が整う可能性も高いです。
実際に新聞配達員の求人をチェックしてみると、アルバイトの場合はフルタイムで勤務しても年収200万円前後なのに対し、正社員の場合は年収300~400万円前後となっています。
また、管理職に昇進することも新聞配達員が年収を上げる方法の一つですが、管理職になれるのも基本的には正社員のみなので、年収を増やしたいならまずは正社員の座を獲得しましょう。
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後ほど、正社員求人を多く掲載する新聞配達員向けの転職サイトを紹介するので、そちらも併せて参考にしてください。
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今より年収を大幅に増やしたい方は、一度ナイト系への転職も視野に入れてみましょう。
新聞配達員で稼ぐには配達部数と求人選びが重要!
日本における給与所得者の平均年収と比較すると、新聞配達員の平均年収は低めです。
しかし、以下のポイントを意識して行動することで、年収を増やせる場合があります。
- 配達部数・勤務日数を増やす
- 勤続年数を増やす
- 集金や新聞契約の営業を行う
- 正社員になる
非正規という働き方を選択する場合、配達部数や勤務日数を増やすと年収アップを実現できます。
さらにしっかりと稼いでいきたいなら、営業・集金業務も行う正社員に転職するのも一つの手と言えます。
また、新聞業界は長く勤務する従業員を重宝する傾向があるため、正社員の待遇を受けながらコツコツと一つの会社で勤続年数を増やすことも大切です。
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これらのポイントを押さえて、新聞配達員としてキャリアアップしていきましょう!