配達員の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

配達員の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

配達員は、配送品や郵便物などを指定の場所まで届ける役割を担っており、人々が豊かな生活を送るうえで欠かせない存在です。
物流を担う重要な存在とも言える配達員の年収について、気になる方も多いでしょう。

この記事では、「宅配配達員」に着目して、年齢別・男女別・地域別で配達員の年収を紹介します。また、配達員として稼げる人と稼げない人との違いや収入を増やす方法なども解説しています。

これから配達員になろうと考えている方や、今より高収入を目指している現役の配達員の方々にとって参考になる情報が満載です。

配達員の平均年収は384万円

配達員の平均年収は約384万円です。
これはあくまで配達業に従事する全労働者の平均値を算出した数字であり、年収は年齢や雇用形態によって異なります。年収のピークを迎えるのは44~49歳で、平均年収は約427.85万円です。

大学卒業後の22歳から定年の60歳までの38年間を同一企業で働いた場合、生涯賃金は約1億4,592万円になります。

日本における給与所得者の平均年収は458万円なので、配達員の年収はやや低い傾向にありますが、後ほど紹介する年収を上げるポイントを実践すれば、配達員として高収入を得られるチャンスがあります。

 

配達員の収入内訳

配達員の収入内訳は、「基本給+賞与+諸手当」の3項目で構成されている企業が多いです。
また、固定給とは別に集配の個数に応じて歩合給を支給する企業もあります。

配達員の手当は、「通勤手当」「時間外手当」「資格手当」など、他職種の企業でも受け取れるもの以外にも、配達業ならではの手当もいくつか存在します。

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無事故手当・配送手当・長距離手当・休出手当・早出手当・皆勤手当

配達業ならではの手当といえば、一定期間内に一度も事故を起こさなかった場合に支給される「無事故手当」、1回の配送にかかった時間やルートに応じて支給額が決まる「配送手当」、会社が定めた距離より多く走行した場合に適用される「長距離手当」などが挙げられます。

手当の種類は企業や配属部署、雇用形態によっても異なるため、なるべく多く手当を付けてもらえる企業に就職するのが年収を上げるポイントです。

  • ただし、業務委託や非正規雇用の場合、手当がつかない場合もあるので、必ずしもこの収入内訳になるとは限りません。

 

【年齢別】配達員の平均年収

配達員の平均年収を年齢別で見ていくと、45~49歳までの年収は右肩上がりであることが分かります。

年齢

平均年収

20~24歳

306.82万円

25~29歳

352.48万円

30~34歳

370.99万円

35~39歳

396.16万円

40~44歳

418.13万円

45~49歳

427.85万円

50~54歳

412.91万円

55~59歳

405.28万円

参照元:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「宅配便配達員」(参照 2024-3-29)

50代以降の配達員の平均年収がやや下がっている理由として、年齢による筋力や体力の低下が挙げられます。

配達員は、家電や家具といった重たい荷物を車から出し入れする作業が発生する場合があるため、人並み以上の筋力や体力が必要です。

また、長年の肉体疲労によって体に不調が出る人も珍しくなく、特に腰痛は配達員の職業病と言われています。

そのため、年齢を重ねた後に配達員から体の負担が比較的少ないタクシーやバスの運転手に転職するケースもあります。

とは言え、配達員の求人は、メール便やその他軽貨物に限定した配達業務を募集する求人も豊富で、60代以降で配達員として活躍する人も多いです。

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【性別】配達員の平均年収

配達員の平均年収を男女で比較してみると、男性の平均年収が女性の平均年収を約108万円も上回っています。
※平均年収は「(きまって支給する現金給与額×12カ月)+年間賞与その他特別給与額」で算出。

性別

平均年収
(千円)

きまって支給する現金給与額
(千円)

年間賞与その他特別給与額
(千円)

男女計

3,843.8

279.9

485.0

4,060.8

294.5

526.8

2,971.2

221.2

316.8

参照元:e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-3-29)

男女で収入差がある理由として、女性より男性のほうが宅配業で活躍できるチャンスが多い点が挙げられます。

先述した通り、配達員は重たい荷物を運ぶ機会が多く、筋力や体力が必要です。このように力仕事がメインの業務は、どうしても女性より男性のほうが活躍しやすい傾向にあります。

また、宅配業は、拘束時間が長くなりがちで、早朝や夜間も稼働することも珍しくありません。
女性は、子育てや家庭の事情で長く家を空けられないケースが多いことから、配達員の仕事に長時間就くのが難しいという背景があるのです。

実際に、とある宅配業者に就く人の男女比は、「男性9:女性1」とも言われており、宅配業はまだまだ男性中心の業界と言えます。
 

【地域別】配達員の平均年収

配達員の平均年収を地域別で比較した結果は、以下の通りです。

都道府県

平均年収

北海道

381.1万円

宮城県

333.2万円

東京都

419.5万円

埼玉県

369.7万円

千葉県

384.7万円

神奈川県

390.3万円

新潟県

373.6万円

静岡県

392.6万円

愛知県

388.5万円

京都府

401.9万円

大阪府

386.2万円

兵庫県

397.6万円

岡山県

368.6万円

広島県

340.7万円

福岡県

373.4万円

熊本県

370.1万円

参照元:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「宅配便配達員」(参照 2024-3-29)

東京都と政令都市のある都道府県でまとめた表になりますが、ご覧の通り、すべての地域において、給与所得者の平均年収にあたる458万円より下回っていることが分かります。

最も平均年収が高い地域は東京都で419.5万円、次いで平均年収が高い地域は京都府の401.9万円で、どちらも国内で人口密度が高い地域なのが特徴です。

とは言え、人口密度が高い地域にあたる大阪府や神奈川県の平均収入が400万円を切っているため、「人口密度が高い=年収が高い地域」とは限りません。

最も平均年収が低い宮城県も333.2万円で、東京都との収入差はわずか86.3万円です。
他職種は、地域間の収入格差が100万円以上になるケースも珍しくないことから、宅配配達員の仕事は就職先の地域によって収入が左右されにくい職業だと考えられます。

 

配達員の平均年収が低いと言われる理由

配達員の平均年収が低いと言われる理由として、主に以下の原因が挙げられます。

  • 専門性がそれほど高くないから
  • 業務委託や非正規という形で働いている人が一定数いるから
  • 1日の仕事量と給料が見合っていないと感じやすいから

配達員は、指定の自動車免許さえ取得していれば、未経験でもチャレンジしやすい仕事です。専門的なスキルはそこまで求められない点が、収入を上げづらくする一因となっています。

くわえて、配達員には正社員ではなく、業務委託契約やパート・アルバイトで働いている人が一定数いることも関係しています。

特に業務委託の場合、配達件数や配送単価に応じて収入額が決まる仕組みが一般的です。配送単価は宅配業者によって異なるものの、1件につき130~200円程度と言われています。
正社員のように固定給が設定されているわけではないので、配送単価が高い荷物をたくさん配達しないと収入を増やすのは難しいです。

また、業務委託の配達員は個人事業主の扱いになるため、ガソリン代、オイル交換代、車検代など、ドライバーとして働くうえで必要な費用を負担しなければいけない点も、平均年収を押し下げる原因です。

さらに、宅配の配達員は指定された時間通りに大量の荷物を運ばなければならず、間に合わない時は休憩時間を削ってでも配達しなければ利用者からクレームをもらう可能性があります。

特に、年末年始や引っ越しシーズンは物流業界全体が繁忙期にあたり、配達量の増加によって拘束時間が長くなる傾向にあることから、「仕事量と給料が見合っていない」と感じる人も多いです。

 

配達員で稼げる人・稼げない人

配達員として稼ぐ人は、以下のスキルや能力を習得している傾向があります。

  • 運転スキル
  • 自己管理能力
  • コミュニケーション能力
  • 体力

また、性格の向き・不向きも収入に大きく影響を与えるため、どんな人が配達員として活躍できるのか知っておくといいでしょう。

配達員で稼げる人

配達員で稼げない人

冷静に物事を判断できる人

体力に自信がない人

自己管理ができる人

逆算思考ができない人

効率よく配達する工夫ができる人

運転が荒い人

配達員は、さまざまなトラブルに巻き込まれても耐えられるメンタルの強さが求められます。

たとえば、「再配達依頼されて行ったのに不在だった」「代引き荷物を届けた時にお金が用意されていなかった」など、利用者の都合で業務に支障が出るトラブルに遭遇することも珍しくありません。
このような不測の事態が起きても、平静を装いながら利用者とコミュニケーションを取り、なおかつ冷静に物事を判断できる人は配達員に向いていると言えます。

また、労働環境に順応できる体力を持ち、自己管理ができる人も配達員として稼げる可能性が高いです。
車の運転を行う仕事をするうえで、体調管理は必要不可欠です。万が一体調不良をきっかけに交通事故を起こしてしまえば、働けなくなってしまい無収入になる恐れもあります。

さらに、荷物が多く配達が間に合わないからといって、運転が荒くなってしまう人も配達中に交通事故や預かった荷物の破損といったトラブルを起こしがちです。
交通ルールを守りつつ、どうすれば効率よく配達できるのか逆算思考ができる人は、配達員の仕事が適しています。

 

配達員で年収・給与を上げるポイント

配達員で年収・給与を上げるためには、以下のポイントを実践するのがおすすめです。

  • 長距離ドライバーを希望する
  • 社内で昇進する
  • 待遇の良い宅配業者に転職する

宅配業の中でも多くの手当が付くドライバー職を狙ったり、キャリアアップを狙って昇進や転職をしたりすれば、収入アップにつながります。
給与が上がる理由やその他知っておくべきコツなどを各項目ごとに解説するので、ぜひご覧ください。
 

ポイント1:長距離ドライバーを希望する

配達員として年収を上げる方法の一つとして、長距離ドライバーを希望することが挙げられます。
宅配業者のドライバー職には、大きく分けて「セールスドライバー職」と「輸送ドライバー職」の2種類があります。

個人宅や店舗、公共施設などで荷物の集配を行うセールスドライバーに対して、輸送ドライバーは、営業所のエリア内の荷物をトラックに積んで別の拠点まで輸送するのが主な業務内容です。

長距離の配送になるのは輸送ドライバーで、片道4~5時間の運転を行うことも少なくありません。

そして、状況によっては、早朝や深夜に勤務したり休日出勤を求められたりするケースもあり、別途手当や残業代が支給されることから、短距離・中距離の配達ドライバーより年収が高めです。

特に大型・中型トラックの輸送ドライバーは、需要が高いにもかかわらず大型・中型自動車免許を持っている人材が少ないことから、基本給が高いです。
輸送ドライバーの仕事に就きたい場合は、大型自動車免許もしくは中型自動車免許の取得を検討しましょう。

しかし、宅配業者における長距離ドライバーは、長時間の運転による疲労の蓄積は避けられず、休憩時間も限られるため、体への負担が大きいデメリットがあります。

また、拘束時間の長さゆえに家族とまとまった時間を確保しにくくなるので、私生活への影響も考慮したうえで希望するかどうか検討してみてください。
 

ポイント2:社内で昇進する

社内で昇進を狙うことも、配達員として年収を上げるコツです。
たとえば、現場で高い評価を得られれば、「支店長」「営業所長」といった役職に就ける可能性があります。

また、ドライバーの安全を確保するための管理・指導を担う運行管理者の資格を取得するのも、昇進するきっかけにつながります

国家資格にあたる運行管理者は、営業所ごとに車の所有台数に応じて配置が義務付けられており、有資格者は社内で優遇されやすいです。1年以上の実務経験と基礎講習の受講で受験資格が得られるので、収入アップを狙うのであれば取得しておくのがおすすめです。

しかし、宅配業者の管理職はマネジメント役も担うため、日々管理職になるために必要なスキルを磨く努力を行うことも、昇進するうえで重要なポイントです。

管理職になるために必要なスキルは、リーダーシップや問題解決能力、コミュニケーション能力などたくさんあります。積極的に研修やセミナーに参加し、自己啓発に励みましょう。
 

ポイント3:待遇の良い宅配業者に転職する

今の会社で大幅な収入アップが難しい場合、待遇の良い宅配業者への転職を検討するのも手です。

待遇の良い宅配業者は、福利厚生が充実している傾向にあります。大手の宅配業者では、「財形貯蓄」「慶弔見舞金制度」「介護休暇制度」など、従業員をサポートするためのさまざまな制度を設けている場合が多いです。
待遇の良い宅配業者を選ぶポイントとして、求人情報や転職サイトの口コミなどで確認するのはもちろんのこと、企業規模の大きさをチェックしてみるのもおすすめです。

「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、1,000人以上の従業員を抱える大企業の平均年収は約414万円なのに対し、従業員数が100名未満の中小企業の平均年収は約367万円で、約47万円の収入差が発生しています。
※「その他の運搬従事者」を参照

しかし、大手の宅配業者は競争率が高いです。採用してもらうためには、採用担当者に向けて、いかに自分が即戦力の人材であることをアピールできるかどうかがカギになってきます。

  • 今の会社でスキルや知識を身につけて、自分の強みを明確にアピールできるように準備を進めていくことが大切です。

参考:e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-3-29)

 

年収の高い配達員の求人を探すなら?

ここからは、配達員に特化した転職サイトや転職エージェントを紹介していきます。
宅配業において、好待遇かつ高収入が狙える企業への転職を検討している方は、ぜひ下記のサイトから求人を探してみましょう。

クロスワーク

ドライバー・運転手の求人サイトです。物流業界で働くドライバーの求人を中心に扱っているため、高収入が期待できる長距離ドライバーの求人も見つかりやすいのが特徴です。

ドライバーズエージェント

物流や公共交通を支えるドライバーを求める企業とのエージェントサイトです。配達員以外のドライバーの求人も豊富で、転職の視野を広げたい方に向いています。

ドラEVER

求人数が多いことが魅力のドライバー向け求人サイトです。福利厚生や給与での検索のほかに、車種別で求人検索することも可能です。

どのサイトも勤務地、車種、仕事内容、福利厚生など求職者が知りたい情報が掲載されているのが特徴です。転職エージェントであれば、業界に精通したコーディネーターが希望に沿った仕事を提案してくれます。

 

配達員以外だと、未経験でも年収1000万円を目指せるナイト系もおすすめ!

配達員は、未経験からでも始められる仕事であるがゆえに、給与が低く設定される傾向にあります。
実際に配達員の平均年収は384万円で、給与所得者の平均年収である458万円を下回っています。
未経験からでも年収1000万円以上を目指せる仕事をしたい方は、ナイト系も検討してみてください。

ナイト系の企業の多くは、高校生を除く18歳以上の方であれば、学歴や経験を問わず積極的に採用しています。実力を重視する業界なので、結果を出し続ければ、勤続年数に関わらずスピード昇給・昇格しやすいのも魅力です。

また、ナイト系の求人の中には、キャストやお客さんなどを送迎するドライバー職の求人も豊富で、配達員で培った運転スキルを活かして働くことも可能です。さらに、ナイト系の正社員は、固定給とは別に売上に応じて成果報酬を支給する企業も珍しくありません。

特に今までガソリン代やオイル交換代などを負担しつつ、膨大な配達件数をこなして収入を得ていた業務委託の配達員にとって、安定して高収入を得やすい点に魅力を感じるでしょう。

ナイト系の仕事で求められる主な能力は、コミュニケーション能力や体力など配達員に必要な能力と共通する部分が多いです。

  • すでに配達員として活躍していて今より収入を増やしたい方は、ナイト系への転職も視野に入れてみてください。

 

配達員で稼ぐには会社選びや昇進が重要!

配達員の平均年収は、日本における給与所得者の平均年収と比べて低いです。しかし、年収を上げる方法はいくつか存在します。

  • 長距離ドライバーを希望する
  • 社内で昇進をする
  • 待遇の良い宅配業者に転職する

長距離の配送業務は、短距離・中距離の配送業務よりも収入が高くなる傾向にあります。
また、今の会社で年収アップを狙うのであれば、管理職への昇進を目指して行動することも大切です。

とは言え、その会社で頑張り続けても自分の希望通りの収入を得るのが難しいと判断すれば、思い切って待遇の良い運送会社へ転職しましょう。

  • 配達員として長く働き続けたい方は、ぜひ今回の記事を参考にしながら積極的に行動してくださいね!

著者情報

シュウジ
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兵庫県生まれ。都内の私立大学卒業後、パチンコにハマって単位を落とすも、一浪して大学を卒業。派遣社員として工場で働きながら、副業としてナイト系ドライバーやせどりを始める。
本業に嫌気がさし、転職を決意し資格取得に励む。奇跡的に大手人材会社に入社し、給料が倍になり人生が変わる。人材業界でさまざまな職業や経歴を持つ人々との交流を通じて知識を蓄え、2023年にブログ「仕事図鑑」を開設。