-
仕事で辞め癖が付いてしまい悩んでいる
-
仕事をすぐ辞める人の末路が気になる
このように、仕事をすぐ辞めてしまうという悩みや疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
今の職場や仕事内容が自分に合わないのであれば、転職することでより良い職場を見つけられる可能性があります。しかし、この行為を繰り返してしまうと、いつのまにか仕事をすぐ辞める癖がついてしまうパターンも珍しくありません。
仕事の辞め癖が付いている人は、今後のキャリア形成が難しくなったり経済的な負担が大きくなったりするリスクがあるので、注意が必要です。
本記事では、仕事をすぐ辞める人の末路を年齢別に解説します。
仕事をすぐ辞めてしまう人の特徴や退職理由、デメリット、転職を繰り返さない対処法についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
入社してすぐ辞める人の割合はどれくらい?

厚生労働省の調査によれば、新規学卒就職者(令和3年3月卒業者)の就職後3年以内の離職率は、中卒が50.5%、高卒が38.4%、短大卒が44.6%、大卒が34.9%でした。
以下の表は、新規学卒就職者(令和3年3月卒業者)の1年目~3年目ごとの離職率です。
学歴 | 1年目 | 2年目 | 3年目 |
---|---|---|---|
中卒 | 31.4% | 11.1% | 8.0% |
高卒 | 16.7% | 12.2% | 9.4% |
短大卒 | 18.5% | 14.1% | 12.0% |
大卒 | 12.3% | 12.3% | 10.3% |
この表から、いずれの学歴でも就職後1年目で仕事を辞める人が最も多いことが分かります。
続いて、新規学卒就職者(令和3年3月卒業者)の事業所規模別の就職後3年以内離職率を見てみましょう。
高卒 | 大卒 | |
---|---|---|
5人未満 | 62.5% | 59.1% |
5~29人 | 54.4% | 52.7% |
30~99人 | 45.3% | 42.4% |
100~499人 | 37.1% | 35.2% |
500~999人 | 31.5% | 32.9% |
1000人以上 | 27.3% | 28.2% |
この表から、事業規模が小さいほど離職率が高く、事業規模が大きいほど離職率は減少する傾向にあることが分かります。
また、どんな業種の離職率が多いのかも見てみましょう。新規学卒就職者(令和3年3月卒業者)の就職後3年以内離職率のうち離職率が高い業種の上位5つも表でまとめました。
※「その他」のカテゴリを除いた上位5業種を選定しています。
高卒 | 大卒 | |
---|---|---|
1位 | 宿泊業、飲食サービス業(65.1%) | 宿泊業、飲食サービス業(56.6%) |
2位 | 生活関連サービス業、娯楽業(61.0%) | 生活関連サービス業、娯楽業(53.7%) |
3位 | 教育、学習支援業(53.1%) | 教育、学習支援業(46.6%) |
4位 | 医療、福祉(49.3%) | 小売業(41.9%) |
5位 | 小売業(48.6%) | 医療、福祉(41.5%) |
高卒、大卒いずれも順位に変動はあるものの離職率が高い上位5業種は同じで、特に接客業の離職率が高いです。
学歴や事業規模、業種などによって差はあるものの、入社してすぐに辞める人は一定数いるのが、今の日本の現状といえます。
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します」(参照 2025-01-17)
許容される転職回数は?
転職活動を行う際に、転職回数が多すぎると、採用担当者にマイナスな印象を与えてしまう恐れがあります。ただし、求職者の年齢によって許容される転職回数の目安が異なるので、転職したい人はあらかじめチェックしておきましょう。
20~50代の許容範囲の転職回数をまとめた表は以下の通りです。なお、表に記載している回数はあくまで目安であり、必ずしもすべての企業に当てはまるとは限りません。
年代 | 許容される転職回数 |
---|---|
20代 | 2回まで |
30代 | 3回まで (30代後半は3~4回まで) |
40代 | 4回まで |
50代 | 5回まで |
20代は社会人経験が浅いことから、1~2回の転職回数であれば許容範囲とされることが一般的です。
30代~40代は、結婚して家庭を持つ人が増え、家族との時間を確保するために転職する傾向にあります。よって、3~4回までであれば、許容されるケースが多いでしょう。
いずれの年代も上記の回数よりも転職回数が多いと、採用担当者が「すぐに辞めてしまうのではないか」という疑念を抱く可能性が高いです。そのため、書類選考で落とされる回数が増えたり、面接に進んでも面接官から転職回数の多さや在籍期間の短さを指摘されてしまったりして、転職活動が成功する確率が低くなります。
転職すること自体は決して悪くありませんが、何度も転職してしまうと今後のキャリアに支障をきたす可能性がある点に注意しましょう。
仕事をすぐ辞めてしまう人の特徴を解説

仕事をすぐ辞めてしまう人の特徴として、以下の3つが挙げられます。
- 自己評価が高く、自分を認めてくれる職場を好む傾向にある
- 長期的なキャリアビジョンを描いていない
- 人付き合いが苦手で、ストレスを抱えやすい
ここでは、上記3つの特徴について詳しく解説します。
自己評価が高く、自分を認めてくれる職場を好む
仕事をすぐ辞めてしまう人は、自己評価が高い傾向にあります。
自分では仕事で成果を出しているつもりでも、上司や会社から良い評価を受けなければ、仕事へのモチベーションが下がってしまいがちです。
ここで仕事を続けられる人は、自分に足りない点を洗い出したあと、上司や会社から評価される人材になるためにスキルアップを図るケースが多いです。また、今の会社で十分な知識やスキル、実績などを積んでから、転職しようと考える場合も少なくありません。
一方で、すぐ仕事を辞めてしまう人は、自分の成果を正当に評価しない上司や会社に対して不信感を抱きやすいです。上司や会社に不満を抱く主な要因として、自己評価の高さが挙げられます。
仕事において自己評価が高い人は、自分が仕事で成果を出して会社に貢献した人材であると自負しています。そのため、想定していたものとは真逆の評価を受けてしまうと、「この職場は自分に合っていない」「ここで働いていても自分の成長につながらない」と感じてしまい、すぐに転職を決断するのです。
もちろん、「上司から明らかに毛嫌いされている」「自分の成果を横取りされた」といった扱いを受けた場合、いち早く転職したほうがいいパターンもあります。
長期的なキャリアビジョンを描いていない
仕事をすぐ辞める人は、長期的なキャリアビジョンを描いていない可能性が高いです。
キャリアビジョンとは、将来自分がなりたい理想の姿を思い描くことを指します。
長期的なキャリアビジョンを描いている人は、10年・20年後にどんな風になりたいのかを明確にしているため、仕事をするうえで多少つらいことがあっても、「つらくても良い経験になる。将来に役立つ」と前向きに取り組める場合が多いです。
一方で、長期的なキャリアビジョンを描いていない人は、将来の方向性が定まっていない傾向にあります。そのため、仕事でトラブルに直面した時、後先考えずすぐ退職を考えてしまうのです。
また、キャリアビジョンを明確にしていない人は、今の会社でやりたいことや達成したいことが分からないケースも少なくありません。
一つの会社でモチベーション高く働き続けるためには、仕事へのやりがいと達成感を得られるかどうかが重要です。しかし、自分がなりたい将来像が見えていないと、「何に対してやりがいを感じるのか」「どんな目標を立てれば達成感が得られるのか」が分からなくなってしまいます。
仕事へのやる気が出ないまま働き続けた結果、「別にこの会社で働き続けなくてもいいか」と判断して、会社を辞めてしまうのです。
人付き合いが苦手で、ストレスを抱えやすい
仕事をすぐ辞める人は、人付き合いが上手くいかないことがきっかけでストレスを抱えやすいのが特徴です。
ほとんどの仕事は、スムーズに業務を進めていくうえで良好な人間関係の構築は欠かせません。しかし、人付き合いが苦手な人は、職場の人と働きやすい関係を築くのが難しく、それが大きなストレスにつながります。
その結果、周囲に馴染めないストレスに耐えられず、仕事を辞めざるを得なくなってしまうのです。
人付き合いが苦手な人がすぐ仕事を辞めるきっかけになりやすいトラブル例は、以下の通りです。
- 特定の人と上手くコミュニケーションが取れなかった時
- 自分の意見を突き通したせいで、手助けしてくれる人がいなくなった時
- 理不尽な対応をされて、つい反抗してしまった時
- 無意識に人を見下す発言をして、相手を怒らせてしまった時
上記のようなトラブルの積み重ねが職場で浮く原因となり、すぐ仕事を辞めてしまうきっかけにつながるのです。
また、人付き合いが苦手な人は、自分が周囲からどう思われているのか気にしすぎてしまう傾向にあります。「今の発言で相手を不快な気持ちにさせていないかな」「自分の発言で場の空気が悪くなった気がする」など、常に不安が付きまとっているので、人と会話すること自体がストレスになってしまいます。
仕事の人付き合いが上手くいかないと、周囲と円滑にコミュニケーションが取れなくなり、仕事に支障をきたす可能性が高いです。仕事が上手くいかなければ、どんどんストレスが溜まっていき、そのストレスから逃れるために早期離職を選択してしまうでしょう。
仕事をすぐ辞める人の退職理由5選

仕事をすぐ辞める人の退職理由はさまざまですが、よくある退職理由として以下の5つが挙げられます。
- 自分が思っていたよりも給料が低かった
- 労働条件が悪かった
- 入社前と入社後のギャップが大きかった
- 人間関係が悪く、職場の雰囲気も良くなかった
- 新しい夢や違う業種にチャレンジしたい
たとえ転職回数が多くなったとしても、結果的に転職する決断が最適解だったパターンも珍しくありません。ここでは、5つの退職理由について詳しく解説するので、勤続年数を問わず今の会社を辞める・辞めないの判断材料としてお役立てください。
自分が思っていたよりも給料が低かった
仕事をすぐ辞める人の退職理由として、給料の低さが挙げられます。
ハタラクティブの「若者しごと白書2024」によれば、仕事に満足していない理由として「給与」と回答した正社員の割合は、全体の34.6%と最も高い結果が出ています。
給与が原因で仕事に満足していない主な理由は、以下の通りです。
- 仕事内容に対して給与が見合っていないから
- 昇給額が上がらないから
- ボーナスがなくなったから
- 同業他社のほうが給与が高いから
仕事内容に対して支払われる給与が少なく感じた場合、働くモチベーションが下がってしまいます。また、仕事で成果を出しているのにも関わらず、想定より昇給額が少なかったり、ボーナスがカットされたりすれば、会社を辞めたくなるのも無理はないでしょう。
さらには、自分が勤めている会社より同業他社のほうが給与水準が高い場合、「同じ業務内容なら早く転職したほうがいいのでは?」と考えます。
こうした給与への不満から、今より給与が高い会社への転職を検討する人が多いのです。
参考:
ハタラクティブ「若者しごと白書2024|2-4. 仕事に満足していない理由」(参照 2025-01-20)
労働条件が悪かった
仕事をすぐ辞める人の退職理由として、労働条件の悪さを挙げるケースも少なくありません。
厚生労働省の調査によれば、転職入職者が前職を辞めた理由として「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」と回答した人の割合は、男性が8.1%、女性が11.1%という結果が出ています。この数値は、「職場の人間関係が好ましくなかった」「給料等収入が少なかった」に次いで高い割合となっています。
労働条件が原因ですぐ仕事を辞めてしまう主な理由は以下の通りです。
- 労働時間が長く、体力的にも精神的にもつらいから
- 残業が多く、十分な睡眠時間が取れないから
- 休日が少なく、ワークライフバランスが保てないから
「長時間労働」「過度な残業」「少なすぎる休日」の労働条件がそろった会社は、俗にいう「ブラック企業」です。ブラック企業は人手不足に陥っている傾向にあるため、無理して働き続けてしまうと、心身ともに体調を崩してしまい、休職をせざるを得なくなる可能性があります。
ブラック企業で働いているのであれば、体を壊してしまう前に仕事を辞めるのが得策といえます。
参考:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」(参照 2025-01-20)
入社前と入社後のギャップが大きかった
入社前に思い描いていた仕事内容と実際の仕事内容が異なっていたことも、早期離職する理由の一つです。
入社前と入社後のギャップによる主な退職原因は以下の通りです。
- 最初に聞かされた業務内容と違うことをやらされた
- 希望した部署に配属されなかった
- 研修制度が整っているとアピールしている会社なのに、仕事を教えてもらえない
- ほぼ残業なしで聞いていたのに、長時間労働や休日出勤が当たり前の労働環境だった
入社前と入社後のギャップがあった原因として、転職活動中の自己分析や企業研究が不十分だった点が考えられます。自己分析や企業研究をおろそかにしたまま入社してしまうと、自分が理想とする働き方をさせてもらえず、早期離職を決断してしまう可能性が高いです。
また、自分の想定と異なる業務内容だった場合、やりがいや達成感を見出す前に見切りをつけてしまう傾向にあります。まったくの未経験者が、いきなりすべての業務を完璧にマスターするのはレアケースです。ほとんどの人は、段階的に仕事を覚えながら、知識やスキルを習得していきます。
すぐ仕事を辞めてしまう人は、業務を覚える前に「自分にはこの仕事に向いていない」と判断しがちです。
人間関係が悪く、職場の雰囲気も良くなかった
すぐ仕事を辞める人は、職場の人間関係が悪く、職場の雰囲気が良くない点を退職理由に挙げるパターンもあります。
厚生労働省の調査によれば、転職入職者が前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」と回答した人の割合は、男性が9.1%、女性が13.0%です。この理由は、男女ともに最も高い割合を占めています。
職場の人間関係が悪いと、以下のようなデメリットがあります。
- 職場の人と円滑なコミュニケーションが取れなくなる
- 仕事の効率や品質が低下する
- パワハラやセクハラ、いじめに遭うリスクがある
- 心身の健康に悪影響を及ぼす
職場の人と上手く連携が取れないと、仕事で重大なミスを引き起こし、会社にとって大きな損失につながりかねません。また、上司から理不尽に怒られたり、周囲から自分の悪口が聞こえたりするような環境で過ごしていると、肉体的にも精神的にも限界を迎える可能性があります。
人間関係が悪い職場は、働くうえでさまざまなデメリットが起こりやすいことから、いち早く辞めようと決意するのです。
さらに、社員同士の人間関係が悪い会社は、社内の雰囲気も悪いケースがほとんどです。居心地の悪い職場で働き続けると、会社への不満が溜まっていき、仕事のモチベーションも下がってしまいます。
今より快適な職場環境を求めて、早めに転職を検討する人も少なくありません。
参考:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」(参照 2025-01-20)
新しい夢や違う業種にチャレンジしたい
「新しい夢ができた」「違う分野にチャレンジしたい」という前向きな理由から早期離職を決意する人も多いです。
特に20代のうちは、応募可能な企業の選択肢が広く、転職先が見つかりやすいため、異業種へのチャレンジにも積極的な傾向にあります。さまざまな業界に足を踏み入れて経験することは、自己投資しやすく行動範囲も広い若いうちにしかできないでしょう。
ただし、「とりあえず仕事を辞めてから次にやりたいことを決めればいいか」という理由で、今後の予定を何も決めないまま退職してしまうと、辞め癖が付く原因になります。別ジャンルの仕事に挑戦したい場合、どんな仕事に就きたいのか具体的に決めておくのが大切です。
仕事の辞め癖が付くことで起こるリスク

今の会社から転職することで、給与面や待遇面が良くなり、理想のキャリアが築ける可能性があります。しかし、仕事の辞め癖が付いて何度も転職を繰り返すと、その後のキャリアに支障をきたすリスクもあるので注意が必要です。
仕事の辞め癖が付くことで、以下のようなリスクが起こりやすくなります。
- 市場価値が上がらず生涯年収も下がってしまう
- 転職回数が多いと選考が通りにくい
- 仕事への意欲や忍耐力が低くなる
- 在籍期間が短いと失業保険が受け取れない可能性がある
上記4つのリスクについて、それぞれ詳しく解説します。
市場価値が上がらず生涯年収も下がってしまう
短期離職を繰り返していると、十分なスキルや経験が得られず、転職での自分の市場価値を高められないリスクがあります。
今より給与面や待遇面が良い会社へ転職するためには、自分の市場価値を上げることは必要不可欠です。市場価値が高い人材は、その業界の高い知識やスキルを習得し、豊富な実績を積んでいる人を指します。
仕事の辞め癖が付いている人は、市場価値を高めるうえで欠かせない知識やスキル、実績を得る前に退職してしまいます。そのため、転職回数が増えれば増えるほど、キャリアアップを目指しにくくなります。
また、転職を繰り返している人は1社あたりの勤続年数が短く、勤続年数が長い人に比べて大幅な収入アップが見込めません。そのため、同世代と比べて生涯年収が低くなる傾向にあります。
転職回数が多いと選考が通りにくい
転職回数が多くなればなるほど採用されにくくなる点も、仕事の辞め癖が付くことで起こりうるデメリットの一つです。
先述したように、転職回数は年齢によって許容範囲の目安が異なります。
許容される転職回数より多かった場合、採用担当者にマイナスイメージを与えてしまう可能性が高いです。
採用担当者は、転職回数が多い人に対して以下のような不安を抱きます。
- 採用してもすぐ辞めてしまうのではないか
- この人の勤務態度や人格に大きな問題があるのではないか
- こちらが求める知識やスキルが身についていないのではないか
中途採用を行う会社のほとんどは、「戦力として長く働いてくれる人材」を求めています。そのため、転職回数が多い人は、選考を突破するうえで不利になりやすいです。
仕事への意欲や忍耐力が低くなる
辞め癖が付いている人は、仕事への意欲や忍耐力が低くなる傾向にあります。
仕事への意欲や忍耐力が低くなる原因は以下の通りです。
- 仕事で嫌なことがあった時にすぐ逃げる癖がある
- 仕事に楽しさを感じないから
- 大きなストレスを乗り越えるスキルを身に付けていない
どの原因も、長く働き続けないと改善が難しい要素です。仕事を通じて、働くことへのやりがいや楽しさを見出したり、ストレスを発散させるコツを掴んだりします。
早期離職が多い人は、仕事への意欲や忍耐力の低下をどう改善すればいいのか分からないため、転職先の会社でも前職と同じようなトラブルを経験すると、また次の転職先を探し出すといった負のループに陥るリスクがあります。
在籍期間が短いと失業保険を受け取れない可能性がある
在籍期間が短い場合、失業保険が受け取れない可能性があるので注意が必要です。
失業給付を受ける条件は「直近2年以内に雇用保険に1年以上加入していること」です。直近の2年間で1年以上就労できていない人は、原則失業保険が受け取れません。
ただし、雇用保険に加入する空白期間が1年以内であれば通算できるという決まりがあります。以下のケースであれば、雇用保険の加入期間を通算できるため、失業保険を受け取れます。
- 2年勤務したA社を2024年2月15日付で退職
- 2024年3月15日付でB社に入社
- 2024年4月15日付でB社を退職
※A社からB社に入社するまでの無職期間は1カ月なので通算可能。「A社の加入期間2年+B社の加入期間1カ月=雇用保険の加入期間は2年1カ月」となり、失業給付の対象です。
また、会社都合による退職またはやむを得ない自己都合退職の場合、6カ月以上の在籍期間で失業給付を受け取ることが可能です。
以下の6つの条件のいずれかに該当すれば、やむを得ない自己都合退職として認められます。
- 心身の不調や疾病・負傷などで就業が困難になる
- 妊娠・出産・育児等により離職かつ受給期間延長措置を受けている
- 父または母の死亡・疾病・負傷に伴う親の介護や扶養など、家庭の事情が急変している
- 配偶者または扶養家族との別居生活の継続が困難になる
- 通勤が不可能または困難になる
- 希望退職者の募集などその他特別な理由がある
上記に該当しないケースは、自己都合の退職とみなされます。失業保険がもらえないと、次の転職先が決まって初給料を受け取るまでは無収入です。短期的に転職を繰り返すと、経済的安定が難しくなる点に注意しましょう。
仕事をすぐ辞める人の末路を年代別に解説

仕事をすぐに辞める人が抱えるリスクや末路は、年代によって異なります。年代別の末路は、以下の通りです。
- 20代は仕事を見つけやすいものの、辞め癖が付くとキャリアアップしにくくなる
- 30代は一定のスキルや実績を持っていないと採用されにくくなる
- 40代は未経験の業界への転職が難しく、再就職のハードルが高くなる
ここでは、年代別に仕事をすぐ辞める人の末路について解説します。
【20代】仕事は見つけやすいが辞め癖が付くとキャリアアップしにくくなる
社会人経験が浅い20代は、応募できる企業の選択肢が広いため、仕事が見つかりやすい傾向にあります。
特に未経験OKの企業やポテンシャルを重視した採用基準を設けている企業は、今後育成次第で大きな戦略になりえる20代を積極的に採用するケースが多いです。
厚生労働省が公開した令和3年の20代男性の入職率と離職率は、以下の通りです。
年齢 | 入職率 | 離職率 |
---|---|---|
20~24歳 | 38.0% | 24.2% |
25~29歳 | 15.9% | 19.6% |
引用:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」(参照 2025-01-20)
20代は、全年代の中で最も離職率が高いです。前年代の中で最も離職率が高い理由として、「新しい夢への挑戦」「キャリアアップ」などが挙げられます。
20代は、さまざまな知識やスキルを習得するチャンスが多い年代でもあり、自分の適職を探しやすい期間でもあります。そのため、今の職場環境や仕事内容に適していないと感じた場合、早めに別業種にチャレンジしたり、キャリアアップを目指して転職したりしようとするのです。
とはいえ、20代のうちから短期間に転職を繰り返していると、些細なトラブルがきっかけですぐ仕事を辞める癖がついてしまい、理想のキャリアを築けなくなるリスクがあります。
業界や職歴にもよるものの、20代が許容される転職回数の目安は2回までといわれています。安易に退職を選択しないように気を付けておけば、早期離職をしたところで自分の人生に悪影響を及ぼさないでしょう。
【30代】一定のスキルや実績を持っていないと採用されにくくなる
すぐ仕事を辞めてしまう30代は、明確なキャリアビジョンを持っていないと、採用されにくくなります。
厚生労働省の調査によれば、令和3年の30代男性の入職率と離職率は以下の通りです。
年齢 | 入職率 | 離職率 |
---|---|---|
30~34歳 | 11.0% | 12.8% |
35~39歳 | 8.8% | 9.0% |
引用:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」(参照 2025-01-20)
20代に比べると離職率は低めですが、30代は入職率よりも離職率のほうが高いです。これは、ライフステージの変化や自己成長などがきっかけで、自分に合った職場環境を求めて会社を辞める人が多い点が考えられます。
30代は、結婚や子育てなどによりライフステージが変わりやすい年代です。20代の頃より将来について真剣に向き合う機会が増えるため、30代のほとんどはキャリアビジョンを明確にしたうえで、必要であれば転職活動も行います。
とはいえ、30代で転職を繰り返す人は、20代に比べて転職成功率が低くなるのもまた事実です。
ほとんどの企業は、30代を採用する時に「会社の即戦力になるほどの知識やスキルを持っている」ことを条件にしている場合が多いです。20代から早期離職を繰り返している人は、市場価値を高める際に必要な知識やスキルを十分に習得できていない可能性が高いため、採用されにくくなります。
また、転職回数が多すぎると、企業から「この人は辞め癖がある」と判断されてしまい、書類選考で落とされやすくなります。
30代になるとスムーズな転職活動が難しくなってしまうため、キャリアビジョンを実現させたいのであれば、この年代で仕事の辞め癖を直しておくのがおすすめです。
【40代】未経験の業界への転職が難しく、再就職のハードルが高くなる
40代は、20代や30代に比べて未経験の仕事へ転職できる可能性が低く、再就職のハードルも高くなります。
厚生労働省の調査によれば、令和3年の40代男性の入職率と離職率は以下の通りです。
年齢 | 入職率 | 離職率 |
---|---|---|
40~44歳 | 6.0% | 7.4% |
45~49歳 | 5.0% | 6.4% |
引用:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」(参照 2025-01-20)
40代の離職率は、全年代の中で最も低いという結果が出ています。40代は、すでに仕事に関する十分なスキルや経験を積んでいる傾向にあり、一つの会社で納得のいくキャリアを築けている人が多い点が、離職率の低さにつながっているといえます。
40代になってもすぐ仕事を辞める癖がある人は、よほどの事情がないかぎり、転職活動で不利になる可能性が高いです。
ほとんどの企業は、転職回数が多い40代に対して、「一つの会社で長く働けないほど大きな問題を抱えているのではないか」という不信感を抱きます。20代・30代であればポテンシャルを評価して採用するケースもあるものの、40代に対してポテンシャルを期待して採用する企業は少ないのが実情です。
そのため、40代で未経験の業界への転職は厳しく、たとえ就業経験のある業界だったとしても、高い知識やスキル、実績がない限り、採用される確率は低いでしょう。
仕事をすぐ辞める人にならないために意識すべきこと

仕事の辞め癖は、意識することで改善できる可能性があります。仕事をすぐ辞める人にならないように意識すべきポイントは、以下の4つです。
- 早期離職のデメリットを考える
- 仕事の問題に直面したら一人で思いつめない
- 企業選びの基準を見直す
- 仕事の目標を立てて行動する
ここでは、上記4つの改善方法について解説します。辞め癖に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
早期離職のデメリットを考える
辞め癖を改善するためには、早期離職のデメリットを考える方法が効果的です。
早期離職のデメリットとして、主に以下の4点が挙げられます。
- 収入源がなくなり、生活の質が下がる
- 社会的適応力が低下する
- 周囲から白い目で見られる可能性がある
- 社会的に信頼を失うリスクがある
すぐ仕事を辞めてしまうと収入が途絶えてしまうため、経済的安定が難しくなります。また、転職を繰り返すうちに、周囲から白い目で見られるようになったり、社会的信用の低下によりローンの審査に通りにくくなったりするデメリットもあります。
さらに、退職すると一時的に社会人としての生活から離れるので、長く働いている人より社会的適応力が下がってしまう場合も多いです。
これ以外にも、早期離職のデメリットは多数存在します。あらかじめ自分にとって何がデメリットに感じるのかを洗い出しておけば、すぐ仕事を辞めたくなる気持ちを抑えられる可能性があります。
仕事の問題に直面したら一人で思いつめない
仕事においてトラブルに直面した時は、一人で思いつめず、家族や友人など周囲の頼れる人に相談しましょう。
すぐ仕事を辞めたくなる理由の一つとして、仕事で問題が発生した際の大きなストレスに耐えられないことが挙げられます。もし、仕事上で自分だけではどうしようもできなくなった場合、職場の人に頼るのがおすすめです。
仕事の相談相手は、職場の同僚・上司といった自分のことをよく知る人を選ぶ傾向にあります。また、待遇や労働環境など職場の近しい人間に話しにくい悩みは、人事に相談するのも検討しましょう。
万が一職場で相談できる人がいない場合、家族や友人といった第三者に話を聞いてもらうだけでも、安定したメンタルの維持につながります。
仕事で抱えるトラブルに関する悩みや葛藤を吐き出せないまま過ごしていると、私生活でも仕事のことばかり考えてしまい、早期離職を決断するリスクが高いです。
企業を選ぶ基準を見直す
企業選びのポイントを見直すことも、短期離職を防ぐ方法の一つです。
短期退職を繰り返してしまう原因として、自分に合った企業に転職できていない可能性が考えられます。そのため、自己分析や企業研究を入念に行ったうえで、今一度企業選びの基準を設定しましょう。
自己分析とは、自分の長所や短所といった特徴を分析し、「どんな強みや価値観を持っているのか」を明確にする作業を指します。自分の強みや価値観を理解しておけば、自分に適した企業を把握しやすくなります。
自己分析をする主な方法は以下の通りです。
- 自分の人生を振り返って、特に印象的な出来事を深堀りしていく
- 「自分」をテーマにマインドマップを作成して、頭の中の思考を洗い出す
- 第三者に自分がどのような人間に見えているのかを聞く「他己分析」を行う
マインドマップとは、脳内で考えていることを図式で表現する方法を指します。人生の振り返りやマインドマップの作成といった自力で分析する方法もあれば、第三者を介して自分を深堀りする方法もあります。
転職先を探す際に欠かせない企業研究のやり方は以下の通りです。
- 企業の公式ホームページで事業内容を調べる
- 業界内の企業の立ち位置を分析する
- 調査した情報を参考に、各企業の違いを分析する
- 企業口コミサイトで実際に働いている人の意見を調べる
さまざまな角度から企業を分析していくことで、入社後のギャップを防ぎ、長く続けやすい企業に出会える可能性があります。
仕事の目標を立てて行動する
仕事において明確な目標を立てておけば、すぐ仕事を辞めたくなる考えを変えられる可能性があります。
早期離職を防ぐコツとして、仕事へのモチベーションを高められる職場で働く点が挙げられます。とはいえ、すべての会社に熱心に働ける環境が整っているかといわれたらそうではありません。
職場環境を問わず仕事のモチベーションを高めていくためには、あらかじめ個人で設定した目標達成に向けて行動し、やりがいや達成感を見出すのが大切です。
仕事の目標例を職種別でいくつかご紹介します。
- 営業職:半年以内に新規顧客を3社獲得する
- 事務職:3カ月以内にワークフローを理解して、タスクの工数短縮を行う
- 販売職:3カ月以内に10人新規顧客を増やし、店舗の個人売上1位になる
- 介護職:1カ月以内に利用者の顔と名前を覚えて、信頼される介護士になる
このように、自分で目標を立てて行動することで、「今の会社でスキルや経験を身につけてから転職してからでも遅くない」という考えに変わり、すぐに仕事を辞めようと思わなくなるでしょう。
また、今の職場で知識やスキルを習得して、十分な実績を残せる人材になれば、今後転職活動をする時に有利になりやすいです。
仕事の目標を持って行動することは、早期離職を防ぐのはもちろん、キャリアアップを目指す大きな原動力となります。
仕事をすぐ辞める人の末路を理解して後悔しない選択をしよう!

仕事をすぐ辞める人の末路は、年代によって異なります。しかし、いずれの年代でも辞め癖が付いている人は転職活動が上手くいかず、経済面でもキャリア面でも不安定になりやすいのが特徴です。
転職するか悩んでいる方は、仕事をすぐ辞める人の末路を知ったうえで、現時点で転職するのが得策なのかを改めて考えてみましょう。
また、仕事をすぐ辞める人にならないためには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 早期離職のデメリットを考える
- 仕事の問題に直面したら一人で思いつめない
- 企業選びの基準を見直す
- 仕事の目標を立てて行動する
早期離職のリスクを理解しておくのは大前提として、仕事に関する問題や悩みを第三者に相談したり、目標を決めて行動したりできれば、すぐ仕事を辞めたくなる気持ちを抑えられます。さらに、転職先の企業選びのポイントを見直すことで、入社前後のギャップによる早期離職を防ぎやすいです。
-
今からでも辞め癖は改善できる可能性があるので、本記事でご紹介したポイントをぜひ実践しましょう!