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30代がいない会社って何か理由があるの?
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中間層が不在の会社って大丈夫なのかな?
求人探しの際、こういった疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか?
結論から言うと30代が少ない会社はおすすめできません。
30代は新人や後輩を育て、上司を動かす企業の中堅を担う存在です。
ではその30代がいない会社はどういった特徴を持つのでしょうか?
30代がいない理由と絡めて詳しく解説していきます。
会社の年齢構成は大きく4種類! 自分の会社はどのタイプ?
会社の年齢構成は入社から退職までの新陳代謝の度合いを確認する一つの指標になり、大きく分けて下記の4パターンあります。
- ひょうたん型
- ピラミッド型
- 逆ピラミッド型
- ちょうちん型
どのパターンもそれぞれ一長一短です。
①ブラック企業に多い「ひょうたん型」

本記事のテーマでもある30~40代の中間層が少なく、ベテランと若手が多い構成比です。
社歴がそこそこある中小企業や、いわゆるブラック企業はこういった形が多い傾向にあります。
30代をはじめとした中間層の割合が少ないため若手の意見が届きにくく、若手へのフォローが十分に行えていない状態にあります。
こういった会社ではベテラン層に権限が集中しすぎる傾向にあり、若手の離職率が高いため中間層が育たず、悪循環に陥っている可能性が高いです。
なお、会社の経営的に一時的に採用をストップしていたといったことも考えられます。
②ベンチャー企業に多い「ピラミッド型」

若手が多くベテランが少ない会社です。
若い層が多く年齢が上がるにつれて割合が減っていく構成のため、比較的社歴が浅かったり、少数精鋭の経営傾向にあったり、採用規模を拡大している勢いのあるベンチャー企業に多いパターンです。
若いうちから幅が広い業務を任されやすいことから成長スピードが速く、社員と企業の成長が直結しやすい傾向にあります。
一方で、30代をはじめとした中間層の育成やマネジメントスキルが特に求められるため、負担が大きい傾向にあります。
③ベテラン中心の企業に多い「逆ピラミッド型」

ピラミッド型の逆で若手が少なくベテランが占める割合が多い会社です。
古くから会社自体はあるものの、若手の人材不足に陥っている可能性が高いです。新人の採用から育成までコストがかかるため、会社によっては採用や人材育成のコストカットのため意図的にこういった構成になっているパターンもあります。
経験数の多いベテラン層が厚い構成されているため安定性はあるものの、一方でベテランが抜けた際の穴が多く将来性では不安定な傾向にあります。
④定着率の良い優良企業に多い「ちょうちん型」

各年代の割合が比較的均等な理想的な構成です。
他の構成と比較しても比較的バランスの取れており、比較的30~40代の層が厚めな傾向にあります。
このパターンは、安定的に新卒採用を行っていて、かつ定着率も良く、社員の勤続年数が比較的長い会社になり、その背景にルールや制度がある程度整っていて利益も安定していて社歴が長いことが伺えます。
ただし中間層が多くトップに行くにつれて絞られてくるため、昇進・昇格のポスト獲得競争が激化する傾向にもあります。
なぜ「30代がいない会社」が生まれるのか?背景を客観的に解説

前述のとおり、30代の社員がいない年齢構成比はブラック企業に見られる傾向で、企業内部に問題を抱えている場合がほとんどです。
ただし例外もあり、企業内部の問題以外にも、経営判断による場合や外的な要因も考えられます。
特に近年は、人口構造の変化や採用市場の競争激化により、企業が人材を確保すること自体が難しくなっています。
ここでは、30代がいない理由を「外部要因」「内部要因」「経営判断」の3つに分けて解説します。
- 外部要因:少子化・人手不足により採用市場が変化
- 内部要因:職場環境の問題により若手が定着しない
- 経営判断:過去の採用凍結により世代に偏りがある
外部要因:少子化・人手不足により採用市場が変化
まず知っておきたいのは、現在の30代は人口が少ない世代だという点です。
現在の30代は、1980年代後半〜1990年代後半に生まれにあたり、すでに少子化の影響を受けており、企業が採用したくても「そもそもの母数」が減少しています。
さらに、現在の30代市場は経験者としての価値が高く、企業間での争奪戦が激しい年代でもあります。
そのため、以下のような構造が生まれています。
- 30代は経験者枠として人気が高く、採用競争が激しい
- 求人数に対して人材が不足しており、企業が確保しにくい
- 転職活動が活発で「30代=すでに複数社を経験し市場価値が高い」
つまり「30代がいない=企業に問題がある」とは一概に言えず、中堅層を確保しにくい背景が今の労働市場にはある、という点を知っておくと状況を理解しやすくなります。
内部要因:職場環境の問題により若手が定着しない
若手が定着しない企業では以下のような内部的な要因が挙げられます。
- 給与や評価制度の不透明さ
- 労働環境・人間関係の悪化
- 会社の将来性への不安
担う責任に対して昇給が見合わなかったり、成果が正当に評価されない職場では、中堅層が離れやすくなります。特に30代は結婚や出産、引っ越しといったイベントも多く、支出が増える時期でもあるため、給与や評価制度への不満は離職の大きな要因になります。
また、30代になると会社の内部事情が見えてきやすくなり、将来性に疑問を抱いて退職を選ぶケースも少なくありません。転職が徐々に難しくなる年齢に差し掛かることもあり、早めに環境を変えようと判断する人が増えます。
さらに、ベテラン層と若手の価値観のズレや負担の偏りなど、労働環境や人間関係の問題が続く職場では、若手が働きづらさを感じて定着しにくくなります。その結果、中間層の負担が増え、若手フォローが不足する悪循環が生まれやすくなります。
経営判断:過去の採用凍結により世代に偏りがある
企業によっては、30代が少ない理由が「過去の経営判断」によるものの場合もあります。
景気の後退や業績悪化、事業縮小などにより採用を一時的に止めた期間があると、その年代に該当する層がほとんど在籍しない状態になります。
例えば以下のようなケースが挙げられます。
- リーマンショックで採用縮小
- 震災後の不安定期
- 業績悪化での人件費削減
採用を抑えた時期が数年続くと、のちに「30代不在」という形で表面化します。
このように、過去の採用判断の影響は長期間にわたり残るため、「30代だけがいない」「30代が極端に少ない」という状態は、必ずしも現在の労働環境や待遇といった問題だけが原因とは限りません。
30代がいない会社の特徴と実態

30代がいない会社は、組織運営の中核を担う層が抜けている状態です。20代の若手と40代以上のベテランだけで構成されているため、業務や人材育成、意思決定の面でさまざまな歪みが生じやすくなります。
ここでは30代がいない会社の特徴や実態を詳しく見ていきます。
新人教育がほぼ機能していない
30代がいない会社では「教育を担うべき中堅層」が不在になりやすいため、新人教育が体系化されにくい特徴があります。
20代の若手だけでは経験に限界があり、ベテラン層は現場の実務で手一杯になりがちです。そのため、教える時間やノウハウが十分に確保できず、業務の引き継ぎが場当たり的になるケースが多く見られます。
結果として、新人が成長する前に離職してしまったり、社員によって仕事の覚え方や基準がバラバラになるなど、教育面での不安定さが目立ちます。
若手かベテランの二極化で業務が属人化
30代がいない会社では、組織が「若手」か「ベテラン」に極端に偏るため、業務の属人化が起こりやすくなります。
若手は経験不足で担当できる業務に限界があり、ベテランは長年の勘や暗黙知で仕事を進めているケースが多いため、作業が個人に依存しやすくなります。
マニュアル化や仕組み化が進みにくく、誰かが休むと仕事が回らない、業務がブラックボックス化する、といったリスクも発生します。
中堅層がいないことで、業務全体を俯瞰し整理できる “中継役” がいないことも、属人化をさらに加速させる要因です。
会社の意思決定を担う「中堅層」が不在で組織が不安定
30代は現場の理解と経営の意図をつなぐ「ミドル層」として最も重要な年齢帯です。
しかし、この層がいない会社では、意思決定がいびつになりやすく、次のような不安定さが生じます。
- 若手の意見が反映されず現場に負担が集中する
- ベテラン層の価値観だけで意思決定が行われ、新しい施策が進まない
- 昇進候補がいないため管理職が高齢化し、組織の新陳代謝が停滞する
結果として、企業としての方向性が定まりにくく、中長期的な戦略も立てづらい状態になります。
30代が不在であることは、単に「人がいない」だけでなく、組織のバランスが大きく崩れているサインと捉える必要があります。
30代がいない職場で働き続けるメリット・デメリット

前項では、30代がいない会社に共通する 「組織の実態」 を解説しました。
新人教育が機能しにくいこと、業務が属人化しやすいこと、意思決定が偏ることなど、組織としての安定性に課題があるというのが実情です。
では、そのような環境で働きづつけた場合、どういったメリットやデメリットがあるのでしょうか。
【メリット1】個人の裁量が広い
30代がいない会社では、同年代の競争相手がほとんどいないため、若いうちから役割やポジションを確立しやすいメリットがあります。
たとえば、通常であれば中堅社員が担当するようなプロジェクト、顧客対応、後輩指導、業務改善などを20代のうちから経験できるケースが増えます。
さらに、ベテラン層から直接ノウハウや顧客情報を受け継げるため、専門性の高いスキルを短期間で身につけられる点も大きなメリットです。
中堅層がいない分、新しい施策や改善提案がスムーズに通りやすく、キャリアの成長スピードが周囲より速くなる傾向があります。
【メリット2】ライバルが少なく、ポジションを確立しやすい
30代がいない会社では、同年代の競争相手がほとんどいません。
そのため、20代からの相談役になったり、ベテランから直接ノウハウを引き継いだりと、早いうちから存在感を発揮できます。
また、中間層がいないことで組織の変化が進みやすく、新しい提案や改善案が通りやすいのも特徴です。
経験値を積むスピードが他の会社より速く、キャリアの早期確立につながります。
【メリット3】世代間の人間関係の軋轢(あつれき)が少ない
30代という板挟みになりやすい層がいないため、組織の人間関係が複雑になりにくく、余計なストレスを感じにくい職場になりやすい特徴があります。
派閥争いや同期同士の昇進競争が起こりにくく、純粋に仕事へ集中できる環境が整いやすい点も魅力です。
また、若手とベテラン双方の意見を理解できる立場になりやすく、調整役として社内の信頼が高まるケースもあります。
関係性のトラブルに巻き込まれにくい分、働きやすさや心理的な安定感を得やすいことがメリットと言えるでしょう。
【デメリット1】十分な新人教育を受けないまま中間層になる
30代をはじめとした中間層は、中間管理職のポジションを担うのが一般的ですが、不在会社では、ベテラン層が中心に動いている場合が多いです。
そのため新人へのフォローや教育体制が整っていなかったり、十分な教育や経験を得られないまま中間層になってしまう可能性が高いです。具体的には、30代で身につけるべき標準的なマネジメントスキルや部署間の調整力が欠如した状態で、いきなり重い役割を任されるリスクがあります。
また、知識のギャップがあまりにあって、ベテラン層の退職時には重要な知識やスキルを十分に引き継げないリスクもあります。
【デメリット2】社員のモチベーション低下による人手不足
30代をはじめとした中間層がいない会社では、ベテラン層が中心に構成されています。
良く捉えれば、会社のことを熟知した社員が多く占めるため安定感がありますが、一方でベテラン層の影響が強く、新人の意見が通りにくかったり古い価値観のままという側面もあります。
くわえて、人件費の多くが上位層にかけられ新人層に反映されないといったこともざらにあります。
そのためモチベーション低下により中間層へと育つ前に辞めてしまうなど、新人が定着しない状態が定常化してしまったり、会社自体も新人を使い捨ての感覚の場合もあります。
【デメリット3】リーダーシップを取れる人が不足する
30代をはじめとした中間層がいない会社は、ベテラン層と新人を繋ぐ存在がいないため、意見が通りにくい問題点もあります。
また、本来中間層の姿を見てステップアップしていくもののローモデルがいないなか、十分な成功体験や教育や知識の共有を受けられないまま中間層のポジションへと昇格していくこととなります。
またベテランが多く占める会社のため、リーダーシップが取れる人材が育っていない状態で、代替わりとなる恐れもあります。
30代がいない会社は危険?見抜くポイント

30代がいない会社でも、必ずしも「危険」とは限りません。
経営判断や外的な要因により、理由で年齢バランスが偏ることはあります。
とはいえ、社員の年齢構成には、組織の健全性がある程度反映されます。
今いる会社やこれから転職しようと考えている会社がどんな状態か見極めるためにも、ポイントをおさえておくことは大事です。
ここでは、特にチェックしておきたいポイントを4つに分けて解説します。
1. 20代の定着率:入社3〜5年でごっそり辞めていないか
一般的に、新卒入社から3〜5年は将来のキャリアを考える時期です。
業務を一通り経験し仕事にも慣れてきて、「このままここで働き続けるか」「別の会社を探すか」考え始めるため、会社に対して不満が高まると転職に踏み切りやすく、30代の社員が育たないまま抜けていくケースが多くなります。
チェックするべきポイントは、入社3年後・5年後の離職率です。20代が次々に辞めている会社は、長く働ける環境が整っていない可能性が高いです。
2. 30代の給与水準:年収が頭打ちになっていないか
30代は生活が一気に忙しくなる時期で、結婚、家を借りる・買う、車の維持など、支出も増えていきます。
だからこそ、30代社員がしっかり定着するには、「責任に見合った給料」や「会社の将来性」が重要になってきます。
もし、30代の給与水準が20代後半とほとんど変わらない、あるいは、昇進しても昇給額が少ない場合、優秀な社員ほどより待遇の良い会社へと転職します。
企業の給与テーブルは通常公開されていませんが、口コミサイトや転職エージェントを使えば、30代前半・後半の平均年収や、年代ごとの伸び率はチェックできます。
3. 中間管理職の有無:20代と50代だけになっていないか
会社の中で、現場と経営の間をつなぐ役割を担うのが30代〜40代の中間管理職です。
この層がいないと、いろいろな歪みが出てきます。
例えば、20代が管理職を任されている場合、経験が足りないまま責任だけ重くなり、精神的な負担が大きくなりやすく、50代以上がほとんどの場合は、若手の意見や新しいやり方が通りにくく、意思決定が昔のやり方に偏りがちです。
30代がいない会社は、「人を育てる環境が整っていない」という表れでもあります。こうなると、若手も育たず、結果的にますます人が定着しない悪循環になりがちです。
4. 離職の理由:「構造的な空洞化」が起きてないか見極める
過去に辞めていった30代前後の人たちが、どんな理由で退職したのかを知ると、その会社の本当の問題が見えてきます。
もし退職理由が個人的な事情だけでなく、次のような声が多い場合は要注意です。
| 離職理由の例 | 企業が抱える潜在的な問題 |
|---|---|
| 給与・評価制度が不透明 | 頑張っても報われない仕組みになっている |
| 業務が属人化して休みが取れない | 人手や管理不足により「ひょうたん型」の組織になっている |
| ベテラン層との価値観のズレ | 新しい考えが通らない、古い体制のまま |
口コミサイトや元社員のレビューなど、複数の情報源で同じ指摘が続く場合、それは「一時的な問題」ではなく、会社の体質そのものに問題がある可能性が高いです。
30代がいない会社で今やるべきことと選択肢

ここまで触れてきた通り、30代がいない会社には何らかの「構造的なゆがみ」がある可能性があります。ただし、その環境が必ずしも悪いとは限りません。
大事なのは、その職場が自分のキャリアにプラスかマイナスかを判断し、取捨選択していくことです。
ここでは、今すぐ取り入れられる対処法と選択肢をまとめました。
まずは会社の現状を正しく把握する
行動を起こす前に、まず「なぜ30代がいないのか」を客観的に整理しましょう。下のチェックリストを使うと、会社の状態を落ち着いて把握できます。
原因は過去にあるのか、今まさに起きているのか
過去の採用ストップが原因なら、今の環境そのものは悪くない場合もあります。
一方、入社してもすぐ辞めてしまう流れが続いているなら、会社に慢性的な問題がある可能性が高いです。
ポイント
ロールモデルとなる人がいるか
「この人みたいになりたい」と思える先輩や上司がいますか?
もし、疲れ切った管理職や、現状維持だけのベテランばかりなら、あなたの未来も同じようになってしまうリスクがあります。
業務量は適正か
30代がいないことで、若手にしわ寄せが来ていませんか?
裁量があることと、人手不足で押し付けられていることはまったく別物です。
改善可能な場合の働き方
前項でのチェックの結果、「この会社はまだ伸びる」「若手への期待が大きい」と感じるなら、むしろチャンスになることもあります。
なぜなら、30代がいない=競争相手が少ないということだからです。
ポイント
空いたポストを狙う
中間層がいない分、実績を出せば早い段階で昇進・昇格を狙えます。
リーダーシップを発揮し、組織の穴を埋める存在になることで、同年代よりも早くマネジメント経験を積めます。
上の層から学ぶ
30代の先輩がいない場合、部長クラスや経営層(40〜50代)から直接フィードバックをもらえる機会が増えます。
視野が広がるので、成長スピードもその分、期待できます。
仕組み化を提案する
業務が属人化しているなら、ITツールの導入やマニュアル作成を提案してみましょう。
中間層が少ない分、若手の合理的な意見が経営層に届きやすく、採用されるケースも十分あります。
「会社自体に将来性はある」「若手への期待値が高い」と感じる場合、その環境を逆手に取ってチャンスに変える働き方があります。
改善しない場合は転職も視野に入れる
逆にこのまま働いても「激務で消耗するだけ」「将来のビジョンが描けない」と感じるなら、無理に留まる必要はありません。
特に次のような状態が続いているなら、自分の市場価値が下がる前に、転職準備を始めることをおすすめします。
ポイント
評価や給与が上がらない
責任だけは重くなるのに、給与が新人とほぼ変わらない場合、会社から“安く使える人”として扱われている可能性があります。
教育体制がなく、成長が止まった実感がある
「見て覚えろ」だけで体系的なスキルが身につかない環境は、将来の市場価値を下げてしまう危険があります。
心身の健康に負荷がかかっている
中間層がいないせいで仕事が偏り、残業が当たり前になっているなら要注意です。
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会社が変わることを期待して待ち続けるよりも、環境を変える方が、キャリアのリスクヘッジとしては賢明な判断と言えるでしょう。
転職を検討するなら確認すべき5つのポイント
転職を検討する際は、次の職場で同じ失敗を繰り返さないことが何より重要です。
求人票や面接の段階で、「30代がちゃんと活躍している健全な会社なのか」「自分のペースで働ける環境なのか」を見抜くために、チェックしておきたい5つのポイントをまとめました。
1.年齢構成と定着率
離職率は、「その会社で長く働けるか」を判断するうえでかなり重要な目安になります。
厚労省によれば、2022年の全労働者の離職率は8.7%です。もちろん業界や規模によって差はありますが、この数値を大きく上回る企業や、離職率を非公開にしている企業には注意が必要です。
一方で、離職率を「非公開」にしている企業も要注意です。公開できない理由がある可能性が高いです。
参考
【確認方法】
就職四季報を確認する
上場企業や有力な非上場企業であれば、「3年後離職率」「平均勤続年数」「平均年齢」が掲載されており、書店や図書館で確認できます。
就職サイトのデータ欄を確認する
マイナビやリクナビなどの「会社データ」タブを確認しましょう。ただし、企業が任意で入力する項目のため、空欄が多い企業は情報開示に消極的な可能性があります。
厚生労働省「令和5年上半期雇用動向調査結果の概況」(参照 2024-09-17)
2.中間管理職(マネジメント層)の存在
前述の通り、中間層が不在の会社は組織構造がいびつになっている可能性が高いです。自分が望むキャリアパスが描けるか、面接等の場で確認するのが最も確実です。
面接で確認する際は、「30代はいますか?」と聞くとネガティブな印象を与えかねないため、ストレートな尋ね方は避けたほうが無難です。
例えば、配属予定のチーム構成について質問する流れで確認すると、面接官も答えやすいでしょう。
「入社後に配属となるチームの構成を教えていただけますか?」 などワンクッションを入れ、「ありがとうございます。ちなみに、そのチームの年齢層や社歴の傾向もお伺いできますか?」このように聞くことで、自然に年齢構成を確認できます。
返ってきた答えが「若手ばかり」「ベテランばかり」のどちらかに偏っている場合は、中間層不在の可能性があります。
3.評価制度と給与の伸びしろ
求人票にある「年収例」は、最も成績が良い人のモデルケースであることが多く、必ずしも一般的な水準ではありません。
30代以降の給与が頭打ちにならないかを事前に確認しておくことが重要です。
例えば、OpenWorkや転職会議などの口コミサイトでは、実際に働いた人の声が確認できます。「30代の給与が伸びない」「若手と給与が大差ない」といった投稿が多い企業は注意が必要です。また、回答者の年齢層が偏っている(30代の投稿が極端に少ない)場合は、会社の年齢構成比も偏っている可能性があります。
また、転職エージェントを利用する場合、求人票の数字だけでなく「過去の実績」を聞いてみましょう。エージェントは「過去に転職した人の入社後の年収推移」を知っています。
「御社経由でこの会社に入社した方で、順調に昇給している事例はありますか?」と具体的に質問することで、リアルな実情が見えてきます。
4.採用の背景
「事業拡大のため」「急募」といった言葉の裏には、ネガティブな退職理由が隠れていることがあります。なぜ今このポジションを募集しているのかは、必ず確認しましょう。
例えば転職エージェントを利用することで確認できます。
欠員補充の場合、次のように質問するとより正確な事情がわかります。
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前任の方は何年くらい勤務して、どういった理由で退職されたのですか?
曖昧な回答や「個人的な事情です」だけで片付けられる場合は注意が必要です。
また、専門職なのに「未経験大量募集」「フルリモートOK」などの表記がある時は、育成環境が整っていない可能性もあります。
さらに求人に「研修制度」「教育体制」などの説明が薄い場合は、人が長く続かない環境の可能性もあるので注意が必要です。
5.ライフワークバランスへの理解
「アットホーム」「風通しが良い」などのふわっとした言葉ではなく、「数字」や「認定マーク」といった客観的な指標で判断するのがおすすめです。
例えば、公的認定マークの有無もひとつの指標になります。
「安全衛生優良企業公表制度 ホワイトマーク()」 「くるみん(子育てサポート)」「えるぼし(女性活躍推進)」といった認定マークは、基準をクリアした企業だけが取得できます。
企業のホームページや求人票の下部に載っていることが多く、「働きやすさ」を判断する上で信頼できる判断材料になります。
退職したほうが良いと思ったら早期がおすすめな理由

30代がほとんどいない会社に入ってしまった、もしくは今まさにそういった環境で働いていて「もう辞めたほうがいいかも」と感じているなら、無理に我慢し続けるより早めに動いたほうがプラスになるケースが多いです。
ここからは、なぜ早めの行動が大事なのか、解説していきます。
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「今のままで大丈夫かな…」と少しでも感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
将来性がなく働き続けるメリットが少ないから
30代不在の会社は「30代が定着しない」ためにそういった構成比になっている場合がほとんどです。30代は人生で最もお金を使う時期であると同時に、転職のリミットが来る時期でもあります。そういった30代が不在の会社は給与や評価制度に問題を抱えている可能性が高いといえます。
また、ベテラン層中心の構成のため新人の意見が通らなかったり教育が充実しておらず、 最悪の場合はやり方が古かったり、働き続けた場合に転職時に役立つスキルやノウハウが身に着けられない可能性も高いです。
かえって古い価値観を植え付けられてしまったり、年収を重ねることによる弊害の方が大きいと言えます。
20代は30代以降の年収にも影響する重要な時期だから
何度もお伝えしているように30代は転職のリミットが来ると同時に人生でお金を最も必要とします。
そのため重要なのは20代のうちに経験と実績を積むことです。
20代のうちに十分に経験や実績を積みスキルを身に着けられないまま、転職しようにも満足のいく待遇が得られなかったり、最悪の場合には就職できないということもあります。
少子高齢化により今は若い人材を中心に人手不足なので、若い人ほど重宝される傾向にあります。
くわえて20代のうちは未経験OKな求人も多くそろっているため、おかしいと思ったら転職することをおすすめします。
まとめ:30代がいない会社を判断するには背景を知ることが大事

「30代がいない会社」と聞くと不安に感じるかもしれません。しかし、その理由が必ずしも企業側の問題とは限りません。少子化や採用市場の変化、過去の採用停止など、外部要因によって年代構成が偏ることもあります。
とはいえ、組織の“中核層”である30代が不在という状況は、教育体制の不足、業務の属人化、意思決定の偏りなど、組織のゆがみが生まれやすいサインでもあります。
だからこそ、「なぜ30代がいないのか」を客観的に把握することが欠かせません。
背景を理解したうえで以下のような判断が行えると、自分が進むべき方向が見えてきます。
- 今の環境を成長のチャンスに変えられるのか
- 将来のキャリアにとってリスクが大きいのか
不安を抱えたまま働き続けるのではなく、早めに情報を集めることで、自身のキャリアをより良くしていくことができます。
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この記事を通して今後のキャリアを見極める手助けとなれば幸いです。
