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退職時の挨拶回り、正直気が重い…
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挨拶せずに退職するのは失礼にあたるの?
一般的に退職時の挨拶回りはマナーとされていますが、職場の人間関係や自身の体調などやむを得ない事情から挨拶したくないと考える人もいるでしょう。
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実は、退職時の挨拶回りは必ずしもやらなければいけないわけではありません!
この記事では、退職時に挨拶回りをしない理由やメリット・デメリット、代替手段、挨拶回りをしたほうがよいケースなど詳しく解説します。
退職時に「挨拶回りをしない」のはあり?

「退職時に挨拶回りをしないのは非常識なの?」と不安に感じる人もいるでしょう。
法的に義務付けられているわけではないので、近年は挨拶回りをしない人も増えています。
ここでは、退職時に挨拶回りをしないのはありかなしかについて解説しつつ、挨拶回りを控える人が増えている背景も詳しく紹介します。
挨拶回りはマナー、でも義務ではない
退職時の挨拶回りは、円満に退職するためのマナーとして推奨されてきました。退職前に上司や同僚、取引先の人に挨拶すれば、これまでお世話になったことへの感謝の気持ちを伝えられます。
とはいえ、退職時の挨拶回りは法的に義務付けられておらず、あくまで慣習的な行為です。
よって、退職理由や退職する経緯によっては、無理に挨拶回りをする必要はありません。たとえ退職の挨拶をしなかったからといって法的に罰せられることもないので、挨拶回りをするかしないかは自分自身で決めましょう。
挨拶回りをしない選択をする人が増えている
近年、退職時に挨拶回りをしない人が増えています。主な理由は以下の通りです。
- 人間関係が希薄化しているから
- 物理的に難しいから
- 心理的負担を避けたいから
コロナ禍をきっかけにテレワークを導入する企業が増え、職場の人間関係が以前よりドライになったと感じる人も多いです。
また、テレワークの導入により最終出勤日に出社しないパターンも増えたことで、挨拶回り自体ができない状況も出てきました。
さらに、職場環境や人間関係が悪い会社を退職する場合、「これ以上職場にいたくない」「苦手な人と顔を合わせたくない」など心理的負担を軽くしたいと考える人も少なくありません。
こうした背景から、退職時に挨拶回りをしない選択を取るケースも増えているのです。
退職時に挨拶回りをしない具体的な理由と事情

退職時に挨拶回りをしない人のなかには、「しない」のではなく「できない」事情を抱えているケースもあります。
- 人間関係のトラブルによって気まずさがある
- 精神的・体力的な負担が大きい
- 退職理由を詮索されたくない
状況によっては、無理して日本のビジネスの慣習を守るより、自分の気持ちを優先したほうがいい場合も少なくありません。
ここでは退職時に挨拶回りを控える理由について具体的にご紹介します。
人間関係のトラブルによって気まずさがある
退職時に挨拶回りをしない理由として、職場の人とのトラブルによって気まずい状況が続いている点が挙げられます。
職場の人と気まずくなるのは、「過去に上司や同僚と対立した・トラブルになったせいで一緒に働きにくくなった」「上司から受けたハラスメントやパワハラがトラウマになっている」といった理由があります。
このような事情を抱える人は、職場の人と話すこと自体を苦痛に感じるため、退職時に無理して挨拶回りをしたくないと思うのは自然なことです。
また、職場内に自分が退職するのに対して快く思っていない人がいた場合、逆に挨拶をすることで大きなトラブルに発展する可能性があります。
職場の人間関係や職場内での自分の立場によっては、「挨拶しない」という選択肢も十分ありえるのです。
精神的・体力的な負担が大きい
退職時の挨拶回りは、心身ともに健康でないと難しいと感じる人が多いです。
職場環境や人間関係が悪い会社で働いている場合、心身ともに限界を迎えている状態で退職する人も少なくありません。うつ症状が出ていたり強い不安を抱えていたりすると、人前に出ること自体がつらくなるため、挨拶もままならないでしょう。
このような心理状態で無理して挨拶回りをしてしまうと、仕事で大変だったときの記憶がよみがえってしまい、適切な対応ができなくなる可能性があります。今まで職場のつらい状況になんとか耐えてきたとしても、最後の最後で対応を誤ってしまえば、マイナスなイメージの退職となってしまうかもしれません。
そのため、自分の負の感情を爆発させないように、極力人と関わらずに退職したいと考えるのも何ら不思議ではありません。
退職理由を詮索されたくない
退職時の挨拶では、「なぜ辞めるの?」「どこに転職するの?」など質問される可能性があります。そのため、退職理由や転職先を詮索されたくない人にとって、精神的に大きな負担になるでしょう。
会社を退職する理由として、家族の介護や持病など、家庭の事情による場合もあります。。「自分のプライベートを他人に話したくない」という考えから、詮索されるのを避けたいと感じるのも当然と言えます。
また、競合他社へ転職する場合、下手に転職先を伝えてしまうと「会社の機密情報を流されてしまうんじゃないか」と警戒され、後々大きなトラブルに発展するリスクも考えられます。
このように、さまざまな事情で退職理由を知られたくない人は、あえて退職時の挨拶をしない選択肢を取ることもあるのです。
退職時に挨拶回りをしないメリットとは?

ここでは、退職時にあえて挨拶回りをしないことで得られるメリットをご紹介します。
- 精神的なストレスを回避できる
- 体力面の負担を減らせる
- 形式的なやりとりや退職理由の詮索を避けられる
上記のメリットを理解して、退職時の挨拶回りをするかしないかの参考にして、自分に合った方法を考えるヒントにしてください。
精神的なストレスを回避できる
退職時の挨拶回りは、精神的に負担がかかる行為です。特に、関わりたくない相手と会うときの緊張感や形式的な会話をしなければいけないストレスを考えると、「できれば挨拶せずに退職したい」と考えるのは自然なことと言えます。
実際、退職時にお世話になった人以外との挨拶を極力避けるという選択は、自分を守るための前向きな判断でもあります。「苦手な人ともう顔を合わせなくていい」と思えるだけで、気持ちが楽になる人もいるのではないでしょうか。
退職時の挨拶回りをしないことで、ストレスを軽減できる可能性が高いです。
体力面の負担を減らせる
退職時の挨拶回りは、想像以上に体力を消耗します。目上の人から順番に挨拶しに行き、多少なりとも会話をしなければいけません。職場の規模が大きくなればなるほど、挨拶しに行く人も増えていくので、挨拶回りだけでかなりの時間の労力を費やします。
また、うつ症状や過労、慢性的な体調不良を起こしている場合、出勤することすら大きな負担に感じてしまうことがあります。実際に、同じような状況で悩んでいる方は多くいます。
このような状態にまで達しているのであれば、体力面の負担を減らすために退職時の挨拶回りを控えるのが得策と言えます。
日本のビジネスの慣習に必要以上にとらわれすぎず、心身の健康を守ることを優先しましょう。
形式的なやりとりや退職理由の詮索を避けられる
挨拶する際、「本日が最終出社日となりました」「今までお世話になりました」といった形式的なやりとりが発生します。
挨拶にかかる時間の目安は、1人につき長くても3分程度と言われているものの、社交辞令も交えながらやりとりする時間が苦痛に感じる人もいるでしょう。
また先述した通り、さまざまな事情で退職理由を知られたくない人も存在します。挨拶回りをすると、退職理由を詮索される可能性が高いです。
挨拶回りならではの形式的なやりとりが億劫に感じる人や、他人に退職理由を聞かれたくない人にとって、退職時に挨拶回りをしないほうがメリットを感じられると言えます。
退職時に挨拶回りをしないことのデメリットや注意点

挨拶回りをしない選択には気持ちが楽になる反面、注意しておきたい点もあります。
- 無礼な印象を与える可能性がある
- 感謝の気持ちが伝わらないこともある
- 退職後に人間関係が途切れやすくなる
なぜ上記のようなデメリットが起きてしまうのか理由や対策をご紹介するので、ぜひご覧ください。
無礼な印象を与える可能性がある
退職時に挨拶をしないと、本人に悪気がなくても、非常識な人と受け取られてしまうリスクがあります。
特に昔ながらの社風が根強い職場では、「退職時の挨拶は当たり前」という考えを持つ人が多く在籍している傾向です。
そのような職場で何も言わずに退職してしまうと、たとえ今まで良好な関係を築けていたとしても、「挨拶もせず勝手に辞める無礼な人」という印象を与えてしまうかもしれません。
退職後もその職場と関わる可能性が残されている場合、挨拶回りをしない選択肢を取ることで多少のリスクを伴う点を理解しておきましょう。
感謝の気持ちが伝わらないこともある
退職時に挨拶をしないと、お世話になった人に感謝の気持ちを直接伝える機会を失ってしまうことがあります。
退職時の挨拶は職場の人に「ありがとう」を伝える最後のタイミングであることも珍しくありません。万が一お世話になった人に挨拶しなかった場合、相手は「自分のことを良く思っていなかったのかな」と勘違いしてしまい、感謝の気持ちが伝わらないこともあるでしょう。
実際に、退職したあとになって「やっぱり一言挨拶しておけばよかった」と後悔する人もいます。
大前提として、退職時は自分に関わったすべての人に挨拶する必要はありません。しかし、最後にお礼を言いたい相手がいるなら、何かしらの形で感謝を伝える方法を考えてみるといいでしょう。
退職後に人間関係が途切れやすくなる
退職時に挨拶をしないと、職場の人との関係が自然と途切れてしまう可能性があります。
とはいえ、退職後まったく関わらない人であれば、関係が希薄になったとしてもそこまで心配する必要はないでしょう。
もし今後も同じ業界に携わる場合、取引先として再会して自分の仕事に関わってくるケースもあります。その人から「退職時に挨拶しに来なかった人」と思われていた場合、転職先での成果やキャリアに影響を及ぼすかもしれません。
ビジネス上のつながりを大切にしたい人は、無理のない範囲で一言挨拶しておくと、退職後も円満な関係が築ける可能性が高く、転職後も仕事が上手くいきやすくなります。
退職時に挨拶回りをしない場合の代替手段や対処法

退職時に挨拶回りをしたくない場合、以下の方法で挨拶する負担を減らすことができます。
- メールやチャットで挨拶を伝える
- 信頼できる人に伝言をお願いする
- 挨拶状や手紙を活用する
形式にとらわれず、無理のない範囲で丁寧かつ好印象を残せる方法を知りたい人はぜひご覧ください。
メールやチャットで挨拶を伝える
対面での挨拶が難しい場合、メールやチャットを活用すれば感謝の気持ちを伝えられます。
退職メールを送るときは、社内・社外を問わず、ビジネスメールの基本マナーを守りつつも、ネットで見かける退職メールの定型文を真似するのではなく、送信先の相手とのエピソードを一言添えてみるのがおすすめです。
なお、社内の人への退職メールは、最終出社日に送るのが一般的です。取引先などの社外の人への退職メールは、業務の引継ぎや相手に配慮することを踏まえて、基本的に退職日の2週間前に送ります。
対面より負担を減らしながら退職の挨拶を済ませたい人は、メールやチャットを検討してみてください。
挨拶状や手紙を活用する
自分で退職の挨拶を済ませる際、メール・チャット以外に挨拶状や手紙を活用するのも一つの手段です。
近年は、メールやチャットでのやりとりが主流になっているなか、手紙を送ることで丁寧かつ特別な印象を与えられます。そのため、「直接挨拶するのは難しいけど、なるべく相手に良いイメージを残したい」という人におすすめです。
退職を伝える際の手紙の内容には、「在職中のお礼」と「今後の発展を祈る言葉」を添えるのが基本です。また、「前文・主文・末文・後付」の構成を意識すれば、相手が読みやすい文章が作成できます。
なお、退職を伝える手紙を書くときは、なるべく直筆にしましょう。パソコンで作成した文章より手書きの文章のほうが気持ちがこもりやすいため、相手により誠意や丁寧さが伝わります。
信頼できる人に伝言をお願いする
やむを得ない事情でどうしても自分から挨拶ができない場合、信頼できる同僚や上司に伝言をお願いするという方法もあります。
職場に自分の代弁者として信頼できる人がいることが大前提ではあるものの、この方法なら自分で行動しなくても、職場の人に退職の意思を伝えられます。
相手に伝言をお願いする際は、「可能な範囲で」というスタンスを保ち、無理強いしないことが大切です。
人づてで退職の挨拶をするときは、「これまで本当にお世話になりました」といった感謝の気持ちを伝える程度に留めましょう。「本来は自分自身で言うべき内容を第三者に伝えてもらっている」ということを念頭に置いて、コンパクトにまとめるのがコツです。
退職時に挨拶回りをしたほうがよいケースとは?

ここまでは、基本的に「退職時の挨拶回りはしなくてもOK」という前提でご紹介してきましたが、逆に挨拶回りをしたほうがいいケースもあります。
- 特にお世話になった人が多い場合
- 今後も関係を大切にしたい相手が多い場合
- 今後も仕事上でつながっておきたい場合
どの選択肢が自分にとってのベストなのか、状況に応じて判断していきましょう。
特にお世話になった人が多い場合
これまでに特にお世話になった上司や先輩がたくさんいる場合は、退職時に挨拶回りをしたほうがすっきりした気持ちで退職できる可能性が高いです。
「仕事で行き詰まったときにいつも助けてもらった」「一人前になるまでしっかり育ててもらった」など特にお世話になった人に対しては、感謝の気持ちを伝えたい人も多いでしょう。
退職時の挨拶回りは、これまで言えなかった感謝の気持ちを伝える絶好のチャンスです。今後会える機会がなくなるのであれば、挨拶をしたほうが相手も喜びます。
やむを得ない事情により対面で伝えるのが難しいときは、メールや手紙で伝えても問題ありません。形式にこだわらず、今までお世話になったことへのお礼を伝えるのが何よりも大切です。
今後も関係を大切にしたい相手が多い場合
退職後も関係を続けたいと思える相手が多い職場であれば、挨拶回りをしたほうが結果的に良いこともあります。
挨拶をせずに退職すると、退職のタイミングで人間関係が終わってしまったと思われやすく、その後にお互いが連絡を取りづらく感じてしまう原因になってしまうかもしれません。「節目」に挨拶をすることで、その後の関係を維持するきっかけにつながります。
相手との親密度によっては、LINEやメールで簡潔に済む場合もあるので、今後も関係を続けたい人が多い職場なら挨拶回りを検討してみてください。
今後も仕事上でつながっておきたい場合
退職後も仕事上で関わる可能性があるなら、最低限の挨拶をしておくことも視野に入れましょう。
たとえば同じ業界の関連会社に転職する場合、前職で働いていた会社の人と取引先として一緒に仕事をする可能性があります。そんなとき、退職時の挨拶をしないよりしたほうが、関係がギクシャクしにくくなります。
「転職後に少しでも不安要素を減らしておきたい」という人は、退職時に挨拶回りをしてもいいかもしれません。
退職時に「挨拶回りをしない」のは非常識じゃない。自分に合った選択を

退職時の挨拶回りは義務ではありません。職場環境や人間関係、心身の体調の悪化といったさまざまな事情により、近年はあえて挨拶を控える人が増えています。
退職時、職場の人と接する際に大切なのは、「挨拶回りをできるかどうか」ではなく、「感謝の気持ちを表したい相手に対して、自分に無理のない方法で伝えられるかどうか」です。
退職時に挨拶回りをしなくても、感謝の気持ちを伝える方法はあります。
- メールやチャットで伝える
- 信頼できる人に伝えてもらう
- 手紙を送る
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ビジネスの慣習にとらわれすぎず、自分にとって納得のいく形で退職の節目を迎えましょう!