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この会社、ハローワークに求人出してないけど大丈夫かな?
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やっぱりブラック企業だから出せないの?
そんな不安や疑問を感じている方も多いでしょう。確かにハローワークに求人を出せない会社のなかには、法令違反や労務環境に問題を抱えている企業も一定数存在します。
しかし、戦略的にハローワークを使わない企業もあり、一概にすべてがブラック企業とは限りません。
この記事では、ハローワークに求人を出せない理由や問題のある会社の見分け方に加えて、ハローワークに出ている求人の落とし穴、ホワイト企業を見つけるポイントまで詳しく解説します。
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転職で失敗したくない方は必見です。
ハローワークに求人を出せない企業がある理由

ハローワークに求人を出せない企業は、労働条件に関する法令違反をしている可能性があります。
- 【法令違反の例】
- 社会保険の未加入、法定を超過する長時間労働の強要、有給休暇を与えないなど
総じていわゆる「ブラック企業」と呼ばれる企業はハローワークへの求人掲載ができません。
ブラック企業が社会問題化して以降、ハローワークでも法令違反がある求人者の申し込みを受理しないなどの対策が講じられるようになりました。
また、ブラック企業側にも掲載しない理由があり、実態を明かすと労働基準監督署の調査対象になるので求人の掲載ができないのです。企業は労働基準法や最低賃金法などに違反すると、労働基準監督署から是正勧告や送検を受けます。
ただし、こうした対策はまだ十分とは言えず、違反を巧妙に隠して求人を出している企業も一定数存在しているのが現状です。
よって求職者は、求人情報を鵜呑みにせず、労働条件や企業の実態を慎重に見極める必要があります。
あえてハローワークに求人を出さない会社もある

ハローワークに求人を出していないからといってすべての会社が問題を抱えているとは限りません。なかには、独自の採用戦略によって、あえてハローワークを利用していない企業も存在します。
ここでは、会社があえてハローワークに求人を出さない理由を解説します。
- ハローワークで募集する必要がないから
- 非公開求人を好むから
- ハローワークにデメリットを感じているから
ハローワークを利用しない理由は企業によってさまざまです。なぜハローワークに求人を出していないのか、それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
ハローワークで募集する必要がないから
ハローワークで募集をする必要のない企業では、以下のような独自の人材確保ルートを持っています。
- 【予算をかけて人材紹介会社を活用している】
- 紹介手数料がかかるものの、要件にマッチした人材が集まりやすいという利点から、大手企業は人材紹介会社を頼る傾向があります。
- 【専門学校や大学と連携している】
- インターンシップ制度の活用や大学キャリアセンターへの求人掲載などで学生から人材を確保しているパターンです。
- 【社員や取引先などからの縁故採用】
- 人や企業の間で信頼できる関係性を築き、つながりを活用した縁故採用をしている企業もあります。コストと手間を抑えられるところが利点です。
以上を踏まえると「ハローワークに出ていない=企業側に問題がある」とは限らないといえるでしょう。
戦略的な選択をした結果、ハローワークで募集をしていない企業も多くあるのです。
非公開求人を好むから
競合他社に採用情報を知られたくないという理由から、あえて非公開求人で募集する企業があります。
特に以下のような募集は非公開求人が好まれます。
- 社外秘にしたい経営戦略に関わる重要なポジションの募集
- 転職エージェントを通して絞り込みをかけたい緊急の募集
- 人員整理後の欠員補充をはじめとした外部からの印象に関わる募集
- 特定のスキルや経験を持つ人材にだけアプローチしたい募集
- 条件を柔軟に変更する必要のある募集
これらの水面下で進めたい募集に関しては、ハローワークではなく非公開求人が用いられます。
また、非公開求人は企業が採用のタイミングや対象者をコントロールしやすく、よりマッチ度の高い人材を確保しやすくなるのです。
なお、こうした求人は人材紹介会社や自社の社員からの紹介など、信頼できるルートを通じて応募者を厳選する場合が多いです。
ハローワークにデメリットを感じているから
一部の企業は、ハローワークの利用に手間や非効率さを感じており、あえて利用していません。具体的な理由は以下の3つです。
- 求人情報を書く上で手間がかかる
- 希望する人材層が少なく応募者の質が合わない
- 窓口の対応も機械的で、応募者とのミスマッチが起きやすい
以下で詳しく解説します。
求人情報を書く上で手間がかかる
ハローワークに限りませんが、求人を出す際は職業安定法に則り以下のような明示義務のある労働条件を網羅しなければいけません。
- 業務内容(雇用直後の業務、今後変更の可能性がある業務範囲)
- 契約期間
- 試用期間
- 就業場所(雇用直後の勤務地、今後変更の可能性がある勤務地の範囲)
- 終業時間、休憩時間
- 休日
- 時間外労働の有無
- 賃金
- 加入保険
明示義務のある条件でこれだけあり、加えて選考方法をはじめ多くの項目を細かく記載する必要があります。
業種によっては勤務条件に合わせて複数のパターンを作成しなければならず、特に人事に十分な人員と時間を割けない中小企業では負担が大きいです。
そういったデメリットを回避するために、コミュニティのつながりを使った縁故雇用で人員を確保している企業もあります。
希望する人材層が少なく応募者の質が合わない
ハローワークの求人は中小企業が中心なので、キャリアアップ転職を目指している人材は掲載求人をほとんど確認しません。
特に専門性の高いスキルや資格を持つ方は転職市場での価値が高く、好条件を求めて転職サイトや人材紹介サービスへと流れがちです。
結果、ハローワークから中小企業へ紹介できる人材層が薄くなってしまい、優秀な人材を求めれば求めるほどミスマッチの発生しやすい環境が作られています。
企業からすれば、「ミスマッチのデメリットがあるなら最初から人材紹介会社を使う」となるのは自然な選択でしょう。
窓口の対応も機械的で、応募者とのミスマッチが起きやすい
ハローワークでは採用窓口を担当する職員の対応にばらつきがあり、ミスマッチが起きやすいと感じる企業もあります。
ハローワークで働く人のなかには、国家公務員試験を経て配属された正職員もいますが、必ずしも現場の採用事情に詳しいとは限りません。
さらに、非正規職員による求職者対応も多く、就職支援のスキルや業界知識に差があるのが実情です。結果、企業が希望する人材像を十分に理解されず、ミスマッチな人材が紹介されてしまうケースもあります。
こうした点から、ハローワークを避ける企業も一定数存在します。
ハローワークの求人に潜む落とし穴とは?

ハローワークに出ている求人だからといって、必ずしも安心とは限りません。求人の掲載料が無料で助成金も給付されるため、仕組みを利用する企業もあり、なかにはブラック企業が紛れている可能性もあります。
- 掲載料が無料のため零細企業が集まりやすい
- 補助金目当てで人材を使い捨てる企業の求人も存在する
- 失業対策が目的のため個人のキャリア形成までは支援してくれない
以下でそれぞれのポイントを詳しく解説します。
掲載料が無料のため零細企業が集まりやすい
求人に十分な予算をかけられない零細企業でも、求人掲載が無料のハローワークなら気軽に募集をかけられます。実際、ハローワークに掲載されている求人のうち、6割以上が従業員数100人未満の企業というデータもあります。
もちろん、すべての零細企業が悪いわけではありませんが、規模が小さいぶん労働環境や待遇の不整備が目立つ企業も多く、応募者にとっては注意が必要です。
【ハローワークには大手企業の求人はない?】
大手企業や人気企業では十分な手数料を払って有料求人サイトを使う傾向があります。
そのため、「ハローワークでは希望する求人がない」という状況が発生します。
補助金目当てで人材を使い捨てる企業の求人も存在する
企業はハローワーク経由で採用を行うと、国から助成金を受け取れる制度があります。この仕組みを悪用し、繰り返し助成金を受け取ろうとする企業も一定数存在するようです。
たとえば、助成金の支給期間を過ぎたら追い出しをかけて新人を退職させ、新しい人材へと入れ替え続けて助成金を繰り返し受け取る手法が代表的です。
ハローワークの求人は、助成金ビジネスの対象になっている可能性があり、企業の情報は慎重に確認する必要があります。
失業対策が目的のため個人のキャリア形成までは支援してくれない
ハローワークはもともと、失業者の早期再就職支援で設立された公的機関です。
つまり、個人のキャリアアップや転職の戦略的な支援を行う機関ではないため、求職者に合った仕事を提案する体制やノウハウも十分とはいえません。
窓口職員の多くは非正規職員であり、求人内容の見極めや転職相談に関する専門的なスキルを持たない人もいるでしょう。
その結果、希望や適性と合わない求人を紹介されたり、ブラック企業かどうか不明なまま話が進んだりなどのトラブルもあります。
最近ではキャリアコンサルタント有資格者の配置も進んでいますが、まだ一部にとどまっています。キャリア形成を意識した転職を目指すなら、ハローワークだけに頼るのはリスクがあるかもしれません。
参考:厚生労働省「あなたのスキルアップやキャリア形成を支援します![令和4年4月1日版]」(参照2025_03_31)]
ハローワークの求人票からホワイト企業を見つける方法

ハローワークに掲載されている求人情報のなかにも、条件や環境が整ったホワイト企業はもちろん存在します。ただし、その見極めにはいくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
以下のような点を確認しながら、安心して働ける企業を見つけましょう。
- 求人情報が頻繁に掲載されていないか
- 採用条件が極端にゆるくないか
- 月の平均残業時間が長くないか
- 年間休日数と休日ルールが一定以上をクリアしているか
- 従業員の年齢層に偏りがないか
- 女性の活躍や管理職比率が明記されているか
求人票からホワイト企業を見分ける方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
ハローワークや求人に関するよくある質問

「求人に応募したのに連絡がこない」「ハローワークで仕事が見つからない」など、転職活動中にはさまざまな悩みが出てくるものです。ここでは、求職者がつまずきやすいポイントについて、よくある質問をもとに対処法を解説します。
- 応募後に連絡がないときの対処法
- ハローワーク以外で仕事を探す方法
- ブラック企業の求人広告の見分け方
- やばい求人かどうかを判断する方法
応募した企業から一向に連絡がありません。どうしたら良いですか?
応募後に1週間以上経っても企業から連絡がない場合は、電話やメールで問い合わせてみましょう。
感情的にならず、丁寧な言葉遣いで「選考状況を確認したい」というスタンスで連絡するのがポイントです。企業側の都合で選考が長引いているときもありますから、慌てず冷静に対応してください。
また、以下のような問題を抱える企業だから連絡がないパターンも考えられます。
- レスポンスが遅いか、どこかで滞る企業体質
- 採用意欲が低いのに求人掲載だけを続けている大雑把な経営
念のためその企業の評判や情報をよく確認して、問題がありそうなら他の求人での転職に切り替えましょう。
ハローワークで仕事を探しても見つからない場合はどうしたらいいですか?
ハローワークで希望する仕事が見つからない場合は、他の方法も積極的に活用しましょう。
たとえば、転職サイトや転職エージェント、スカウトサービスなど、多様な手段があります。
特に転職サイトは求人件数が多く、希望条件で効率的に検索ができます。情報収集の幅を広げると、視野も可能性も大きく広がるでしょう。1つの方法にこだわらず、複数の手段を並行して使うことが、理想の仕事に出会う近道です。
ブラック企業の求人広告によく見られる言葉はありますか?
ブラック企業の求人広告には、共通して使われがちな言葉があります。
- 【アットホームな職場です!】
- 人間関係をアピールする会社は、上下関係が曖昧だったり、公私混同しがちだったりと企業風土に問題がある場合も多いです。
- 【未経験者歓迎・やる気があればOK】
- 会社側に求める人材像がなく、誰でもいいから人を集めたいと考えているケースがあります。人にこだわっていないので、離職率が高い会社かもしれません。
- 【即面接・即採用!】
- すぐに働けるスピード感を強調する求人は、定着率は二の次という姿勢かもしれません。あるいは助成金ビジネスをしている会社の可能性もあります。
- 【創業〇〇年・地元に愛されている】
- 仮に「創業20年!地元に愛される職場です!」と書いてあったとしても、平成中期頃に立ち上げた程度の歴史なので、特筆するほどの内容ではありません。また、親族経営・ワンマン体質の可能性があります。
言葉のイメージに流されず、実態をよく調べましょう。
やばい求人かどうかはどのように判断したらいいですか?
やばい求人を見極めるには、「仕事内容や給与が曖昧」「長期間掲載されている」といった特徴に注目しましょう。
具体的な業務内容が書かれていない場合、実際の仕事内容が過酷だったり、応募者に不利な条件が隠されていたりする可能性があります。
また、求人情報が長期間出されている企業は、離職率の高さから人が定着していないおそれもあります。高すぎる給与や「未経験でもOK」「感動を与える仕事」など抽象的な表現にも要注意です。
ハローワークに求人を出せない会社には要注意!

ハローワークに求人を出していないすべての企業が問題を抱えているわけではありませんが、法令違反や社会保険未加入といった理由で「出したくても出せない」会社が一定数存在するのも事実です。
特に労働条件が基準を満たしていない企業や、過去に是正勧告を受けた企業の場合、掲載を拒否されます。また、補助金目当てで人材を使い捨てるような悪質な企業が紛れている可能性もゼロではありません。
ただ、採用方針やターゲット層の不一致が理由であえてハローワークを利用しない優良企業もあります。
転職活動をする際はハローワークへの求人掲載の有無だけで判断せず、企業の実態や求人内容の丁寧な見極めが大切です。