年間休日60日は違法?働き方や休日のペースを含めて解説

年間休日60日は違法?働き方や休日のペースを含めて解説

人生100年時代になり、定年も後ろ倒しになる動きがあります。

そんな長い職業人生を健康に、生き生きと過ごすためには休日も重要です。

  • 転職を考えているけど年間休日が60日の会社はやばい?

  • 週に一回しか休みがない自分はおかしいのかな…

  • もっと休みが多い企業に転職したいけど、どうすればいいのかわからない

本記事ではこういった悩みを持つ人に向けて、年間休日60日の場合の働き方や弊害、年間休日が多い企業への転職方法などをご紹介します。

 年間休日60日は違法である場合がある

年間休日が60日の場合は、1日の労働時間によって違法か、合法かが変わってきます。

法定休日は、労働基準法で以下のように決まっています。

使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

出典: 厚生労働省 「労働時間・休日」

年間休日が60日の場合は、単純計算で言えば1週間に1回以上の休みが取れている計算になるため、一見すると違法ではないようにみえます。

しかし、上記に加えて労働時間の制約があります。

労働時間の上限を1日8時間、週40時間までと定めています。

多くの企業で導入されている1日8時間労働の場合だと、年間に働ける日数の上限は260日ほどとなり、年間休日は105日必要になります。

  • 週40時間を超えて労働が発生する場合は、企業と労働者間で36協定の締結が必要です。

 

 年間休日60日は週休1日の生活

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年間休日60日の場合、普段の生活でどれくらいの休日がもらえるのでしょうか。

年間休日60日は1か月で考えると5日間が休日になるため、最低限の週休2日制をしている場合と同じになります。

週休2日制とは
1カ月のうちに最低限1回は、2日間の休日を設ける週がある勤務形態

年間休日数ごとの休日例をまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

年間休日数休日例
125土日祝・盆・正月・特別休暇
120土日祝・盆・正月
110土日・盆・正月
100日・隔週の土曜・祝日・盆・正月
90日・隔週で土曜・盆・正月
80日・隔週で土曜
70週休2日制・盆・正月
60週休2日制
50週1日
  • 年間休日が120日以上でないと土日祝とお盆、正月休みまで休みにならないのですね。

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 年間休日60日は平均よりかなり少ない

厚生労働省の平成30年就労条件総合調査の概況によると、労働者一人当たりの平均年間休日総数は113.7日とされているため、年間休日が60日の場合は平均よりも53.7日も少ないことになります。

また、厚生労働省の令和5年就労条件総合調査概況によると年間休日が69日以下の企業は1.9%しかなく、企業全体でもごく少数だということがわかります。

  • 平均より2か月分も休みが少ないと考えるとかなり少ないですね。

 

年間休日60日の仕事を選ぶメリット

考え方やライフスタイルによっては年間休日60日の場合が合う人もいるかもしれません。

そこで年間休日60日で考えられるメリットをご紹介します。

1日6.3時間勤務で1日の自由時間が多い

法定範囲内で年間休日が60日となると、自然に1日の勤務時間は短くなります。

1週間に1日の休暇、6日間の就業と考えると1日の労働時間は6.7時間となります。多くの企業がフルタイム勤務を8時間とおいていることを考えると、1日当たり1.3時間も自由な時間が増える計算となります。

夜や朝に自由な時間がほしい人は年間休日60日で1日の労働時間が少ない方が良い場合があるかもしれません。

スキルがつきやすい

休日が少ないと労働日と労働日の間が空いていないため、教えてもらったことを忘れずに仕事に臨むことができます。

そのため、仕事をすぐに覚えることができ、短期間でスキルをつけることも可能になります。

スキルが身に付ければ任される仕事も増え、給料アップにもつながります。

年間休日60日の仕事を選ぶデメリット

ご紹介したメリットの半面、年間休日60日にはデメリットが多くあります。

将来性がない

転職を考えている人は、年間休日が多い仕事を選ぶ人がほとんどです。

そのため、求人票に年間休日数を60日と記載している企業には応募が少なく、人手が不足することが考えられます。

人手不足になると現場の一人あたりの仕事も増加し、退職者が増えるといった悪循環にも陥りやすく、ビジネスが破綻する可能性もあります。

年間休日60日の企業は他の企業と比べて、将来性が危ぶまれます。

遠方への移動が難しい

年間休日が60日の場合、1日のうちの自由時間は増える可能性がありますが、丸一日休みの日は少なくなります。

休日が少ないため連休も取りづらく、帰省や旅行など数日にまたがった予定を立てることが難しいです。

このことから友人や家族と過ごす時間も少なくなってしまうことも考えられます。

休む暇がないため疲れやすくなる

休日が少ないことで、仕事の疲労を癒す時間が十分に取れず、疲れやすくなることも考えられます。

仕事ばかりの日々になることで、休みの日でもイライラしてしまったり、思うような休みを実現できないこともあります。

また、仕事のストレスが溜まっていくと、以下のような症状が出て生活にも支障が出る可能性もあります。

ストレスの現れ
精神的な症状
・無気力になる
・感情が不安定になる

身体的な症状
・胃痛がする
・頭痛がする
・めまいがする

生活習慣
・食欲が湧かなくなる、暴食になる
・不眠や眠りが浅くなる、過眠になる

 年間休日が少ない業界

先ほどご紹介した、労働者一人当たりの平均年間休日総数が113.7日よりも少ない業界をご紹介します。

労働者一人当たりの平均年間休日総数が一番少ない業界は「宿泊業、飲食サービス業」でした。

また、他にも110日にも満たない業界として「生活関連サービス業、娯楽業」「運輸業、郵便業」「鉱業、採石業、砂利採取業」が挙げられます。

年間休日が少ない業界を見てみると、個人向けのサービスに該当する業界が多いことがわかります。

業界労働者1人平均年間休日総数
宿泊業、飲食サービス業102.9日
生活関連サービス業、娯楽業105.6日
運輸業、郵便業106.6日
鉱業、採石業、砂利採取業109.9日
卸売業、小売業111.0日
医療、福祉111.5日
建設業112.2日
サービス業(他に分類されないもの)112.5日
教育、学習支援業113.3日

 (参照元:厚生労働省の平成30年就労条件総合調査の概況

 年間休日が多い業界

反対に年間休日が平均よりも多い業界をご紹介します。

年間休日が一番多い業界の「電気・ガス・熱供給・水道業」では、120日以上とかなり多くなっていることがわかります。

年間休日が多い業界を見てみると、インフラ系のサービスに該当する業界が多いことがわかります。

業界労働者1人平均年間休日総数
電気・ガス・熱供給・水道業120.9日
情報通信業119.8日
複合サービス事業119.7日
学術研究、専門・技術サービス業119.6日
金融業、保険業119.1日
製造業117.6日
不動産業、物品賃貸業115.9日

  (参照元:厚生労働省の平成30年就労条件総合調査の概況

有給休暇が少ない業界

年間休日の他にも、仕事を休む方法として有給休暇の取得があります。

こちらでは労働者一人当たりの取得数や付与日数、取得率を業界ごとにご紹介します。

有給休暇の平均取得数である9.3日よりも少ない業界は以下の7業界です。

特に「宿泊業,飲食サービス業」では、有給休暇の付与数と取得率がどちらも少なくなっています。

業界労働者1人平均付与日数労働者1人平均取得日数労働者1人平均取得率(%)
宿泊業,飲食サービス業16.15.232.5
卸売業,小売業18.26.535.8
生活関連サービス業,娯楽業18.36.736.5
建設業18.2738.5
教育,学習支援業18.6843.3
不動産業,物品賃貸業17.28.649.9
医療,福祉178.952.2

  (参照元:厚生労働省の平成30年就労条件総合調査の概況

有給休暇が多い業界

有給休暇が多い・取りやすい業界を見ると、総じて年間休日が多い業界が該当していることがわかります。

一方で「鉱業,採石業,砂利採取業」では年間休日は平均よりも少なかったものの、有給休暇は取りやすい環境にあることがわかります。

業界労働者1人平均付与日数労働者1人平均取得日数労働者1人平均取得率(%)
複合サービス事業20.11364.7
電気・ガス・熱供給・水道業19.514.272.9
金融業,保険業19.311.258.3
情報通信業19.211.559.8
製造業18.81158.4
鉱業,採石業,砂利採取業18.411.662.9
学術研究,専門・技術サービス業18.410.154.7
サービス業(他に分類されないもの)17.39.554.8

  (参照元:厚生労働省の平成30年就労条件総合調査の概況

年間休日が多い仕事の探し方

所属している企業の年間休日が60日の場合は、今後のことも考えて転職するのも一つの手です。

ここからは年間休日が多い仕事への探し方をご紹介します。

転職サイト・エージェントを活用する

転職サイトでは年間休日で条件を絞り込むことができるところが多く、効率的に求人を探すことができます。

また、サイト内に記載されている求人票には、年間休日の日数に加えてお盆休み・年始年末休みなどの配分についても記載されていることが多いため、転職先を探す際は必ず確認が必要です。

また、転職エージェントに相談することで、年間休日が多い企業の求人を紹介してもらうことも可能です。エージェントを通じて、休日出勤や残業など実際の働き方についても企業に確認できます。

年間休日以外にも転職の際に気にするべき観点を下記にまとめますので、一つの参考にしてみてください。

見るべきポイント例

  • 就業形態(完全週休2日なのか週休2日なのか祝日まで休みか)
  • 盆/年始年末休暇の有無
  • 有給休暇の取得実績

 

認定企業かを確認する

年間休日が多い企業はホワイトや健全経営企業として、国や民間の認定がされていることもあります。

認定が受けられていれば、年間休日以外にもワークライフバランスや働きがい、法令順守についての判定も受けているため、継続性がある企業という一つの指標にもなります。

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知人や友人に仕事を紹介してもらう

年間休日が多い企業で働いている知人・友人などに紹介してもらうのも一つの手です。

紹介での採用はリファラル採用と呼ばれており、企業にも浸透しています。

リファラル採用の際は、普通の選考に比べて有利に働く可能性もありますし、実際の仕事内容や職場の雰囲気も知ることができるため、採用後のミスマッチを少なくすることができます。

また、紹介報酬を導入している企業も多く、知人・友人にもメリットがある場合があります。

年間休日60日で働いている人の声

これまで、年間休日60日が平均年間休日からどのくらい少ないのか、年間休日が少ないことでどのような弊害があるのかについてお話してきました。

最後に年間休日60日で働いている人の生活と転職事例について、実際の声をご紹介します。

年間休日60日のしんどさ

  • 接客業をしていますが、年始年末はずっと仕事で長期休暇はもちろん、2連休もとれなくてつらいです。今の会社に入ってから5年ほど経ちますが、人がどんどん減っていて仕事量も増えるばかりです。
    27歳 サービス業 正社員

  • 新卒で入社したのですが、入った会社が週休2日制でした。お盆に休みを取って実家に帰りたかったのですが、職場の同僚・先輩からの圧もあり、言い出せませんでした…
    23歳 サービス業 正社員 

  • 炎上しているプロジェクトに入ることになり、毎日仕事をしていたが、パフォーマンスも下がってとても非効率。休みの日だけでは疲れが取れなくなってしまったのも大きな代償。
    32歳 情報通信業 正社員

年間休日60日の会社から転職した成功事例

  • 店舗の販売スタッフをしていたのですが、土日に出勤もあって友人と遊びにくかったので、転職を決意しました。販売スタッフとして培ったコミュニケーション能力を買われて、建設業に転職しました。休みも増えて遊びにも行きやすくなり嬉しいです。
    27歳 サービス業 非正規社員 → 建設業 正社員

  • 休みが少ないことがきっかけで、転職を決意しました。ホテルのフロントをしていたので、夜勤があったのもつらかったです。今は医療関係の受付業務に携わっていますが、夜勤もないですし、生活が安定しました。覚えることは多いですが、転職してよかったと思います。
    24歳 サービス業 正社員 → 医療業界 正社員

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年間休日60日だと平均より休日がかなり少ない

  • 年間休日60日は1日の労働時間によっては違法である場合がある
  • 年間休日が特に少ない業界は「宿泊業、飲食サービス業」
  • 転職の際は「年間休日」に加え「勤務形態」「有給休暇の取得率」も見るべきポイント

年間休日60日は平均と比べても休みがかなり少ない部類に入ります。

年間休日数が働きやすさのすべてではありませんが、心の余裕につながることは間違いありません。

転職先として考えている企業が年間休日60日の場合は、今回お話したメリット・デメリットを踏まえて、慎重に判断してください。

また、年間休日が60日の企業に現在所属されている場合は、今後の健康や実現したい生活を考えて、転職をするのも一つの手です。

著者情報

シュウジ
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兵庫県生まれ。都内の私立大学卒業後、パチンコにハマって単位を落とすも、一浪して大学を卒業。派遣社員として工場で働きながら、副業としてナイト系ドライバーやせどりを始める。
本業に嫌気がさし、転職を決意し資格取得に励む。奇跡的に大手人材会社に入社し、給料が倍になり人生が変わる。人材業界でさまざまな職業や経歴を持つ人々との交流を通じて知識を蓄え、2023年にブログ「仕事図鑑」を開設。