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上司に詰められるといつも思考停止してしまう。どうすればいいかわからない
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仕事でみんなの前で詰められるとつらい。これってハラスメント?
仕事で上司から詰められて思考停止に陥ってしまう経験は、多くのビジネスパーソンが直面したことがあるでしょう。
なぜ上司はそんな態度を取るのか、どう対処すれば良いのかと迷っていませんか。
本記事では、上司から詰められてしまう原因を解説し、対処法や相談先について詳しくご紹介します。
最後までお読みいただき、職場でのストレスを軽減して少しでも快適に働ける環境を手に入れましょう。
指導とハラスメントで態度や言葉遣いが変わる
本記事で取り上げる、ビジネスシーンにおける「詰める」とは、相手のミスを問い詰めて責めることを指します。「詰問」や「詰責」といった言葉が類義語です。
主に上司が仕事をミスしたり期待された成果を出せなかったりする部下に対して行う行為ですが、職場でのいきすぎた「詰め」は、指導ではなくパワーハラスメント(パワハラ)として判断されることがあります。
- 【パワーハラスメント(パワハラ)とは】
- 職場での優位性や立場を利用して、業務の適正範囲を超えた叱責や嫌がらせをする行為。
部下への適切な指導は具体的な改善点を明示しながら、相手を尊重して建設的なサポートをする姿勢が特徴なのに対し、ハラスメントは相手を精神的に追い詰める結果しかもたらしません。
指導とハラスメントの違いは、言葉遣いや態度に現れます。
適切な指導では「この部分を改善するとさらに良くなります」と冷静な態度でアドバイスを行いますが、ハラスメント的な詰めは「お前は全く役に立たない」「だからダメなんだ」といった乱暴な言葉を使って人格攻撃をしたり、大声で怒鳴ったりといった威圧的な言動がよく見られます。
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つまり、上司からの詰めが精神的な攻撃と捉えられる場合はハラスメントに該当するのです。
上司が「指導」として部下を詰める理由
上司が悪気なく「適切な指導」として部下を詰める理由は主に二つあります。
- 上司の期待と現実のギャップがあるため
- コミュニケーション不足による誤解があるため
- 厳しさが指導だと思っているため
部下を詰めてしまう上司は、部下の仕事に対して成果や迅速な対応を求める一方で、部下の実際の能力や状況を十分に理解していない場合も少なくありません。
指導をするつもりが、厳しい詰めになってしまうということもあるのです。
その要因について、一つずつ詳しく見ていきましょう。
上司の期待と現実のギャップがあるため
上司が部下を詰める理由の一つに、上司が部下に抱く期待と部下のパフォーマンスとの間にギャップが存在することが挙げられます。
上司が部下に成果やスピーディーな対応を求めすぎるあまりに現実と差が生じると、「厳しく指導して軌道修正をしなくては」と声を荒げてしまったり、厳しく詰問してしまったりするのです。
たとえば、プロジェクトの進行が予定より遅れている際に、上司が部下に対して「このままだと君の評価が下がる」「取引先から責められる」など、過度なプレッシャーをかけてしまい、部下が思考停止に陥るケースがあります。
これは上司の理想が高すぎたり、上司自身が適切な指導方法がわからずつい強い言葉で部下を問い詰めてしまったりすることが原因の場合が多いです。
本来であれば、上司自身が部下にあらかじめ現実的な目標を共有しながら仕事を管理し、本人のスキルや状況に合う指導を行う必要があります。
コミュニケーション不足による誤解があるため
上司と部下の間で十分なコミュニケーションが取れていないと、お互いの認識に誤解が生じやすくなり、上司が詰めてしまうという行為につながることがあります。
特に近年はリモートワークの普及により対面でのコミュニケーションが減少し、意思疎通を図る機会が不足している傾向にあるため、誤解が生じやすくなっています。
コミュニケーションが不足すると上司の指示の意図や期待が正確に伝わらず、部下は何を求められているのかを理解できないまま仕事を進めてしまいがちです。その結果、上司の期待に応えられないというケースが発生してしまうのです。
上司の指示が曖昧だったり、フィードバックが不十分だったりすると、部下は業務に対する不安やストレスを感じながらもなんとか仕事を進めようとします。さらに、注意や叱責をオンライン上で行ってしまうと、対面時のようなニュアンスが伝わりづらく、部下は「一方的に詰められた」と感じやすくなります。
したがって、定期的にしっかりコミュニケーションをする場を設け、「双方が何を考えているのか」「共通の目的やゴールは何か」といった認識を深め合うことが重要です。
厳しさが指導だと思っているから
昔自分が指導された際のいわゆる「スパルタな指導」が普通と思い込んでいる上司もいます。
このような上司にとっては「厳しい指導こそ優しさ」で、部下は怒鳴られて育つものだと考えていることから、あえて厳しい言葉を使って指導してしまうのです。
また、仕事は上司が直接アドバイスや指示を出すのではなく、先輩の背中を見て部下がやり方を「盗む」べきだと思っており、適切な指導を行わない場合も多いです。
確かにかつてはこのような指導スタイルが珍しくなかったものの、令和の時代にはそぐわなくなっています。
結果として、上司は自分が受けた指導を真似ているだけと思っていても、部下から見ればハラスメントに近い間違った指導と感じてしまうのです。
時代が変われば適格とされる指導の仕方も変わるので、上司は現代のコンプライアンスに沿った指導方法に改める必要があります。
上司が「ハラスメント」で部下を詰める理由
ハラスメントは許されないことですが、現実問題として部下にハラスメントを行ってしまう上司も存在します。
上司が部下をハラスメント的な方法で詰めてしまう理由は、主に以下の4つが挙げられます。
- 部下を人として見ていないから
- 自分が絶対だと思っているから
- 年功序列の古い体質に染まっているから
- 「叱る」と「怒る」の区別がついてないから
これらは上司の考え方や職場環境に深く根ざしている場合が大半です。
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
部下を人として見ていないから
上司がハラスメントで部下を詰める理由の一つは、上司が部下を人として見ていないからです。
このタイプの上司は、部下をまるで「コマ」「道具」として扱い、自分の思い通りに動かそうとします。これは部下を自分の業務遂行の手段としてしか認識していないという、かなり偏った考えが原因です。
部下を感情のある人間として扱っていないので、「使えないやつ」「無能」など相手の人格自体を否定するような暴言を吐くケースが多いのも、この考えを持っている上司の特徴です。
この特徴を持つ上司は、部下を単なる自分のストレスのはけ口にしていると言っても過言ではないでしょう。
また、上司である自分が組織の中心だと勘違いしている場合も多く、部下が上司に対して意見を述べることすら許さないというケースも少なくありません。
自分が絶対だと思っているから
部下を何の疑問もなく詰める上司は、自分を「絶対的な存在」だと思いこんでいる傾向が強いです。
このような上司は、部下は上司である自分に従うことが役割だと考えており、部下の意見や感情を尊重しません。特に会社全体で年功序列の風潮や制度が根強く残っている企業では、この傾向が一層強まります。
自分が絶対的な存在だと考えている上司は、部下が意見を出したりアイデアを提案しても、内容すら吟味せずに一方的に否定したり、反対意見を出したりするのも許さない人が多いです。
上司に何度も威圧的な態度をとられたり、自分の意見を無視されたりすれば、部下は次第に自分の意見を表明しなくなり、やがて自分で考えることを止めて思考停止に陥ります。
上司が部下の自主性を奪うと、職場内での健全なコミュニケーションが阻害され、ハラスメントがさらにエスカレートしてしまう可能性が高まります。
年功序列の古い体質に染まっているから
年功序列の体質が根強い企業では、「どんなに理不尽であっても、部下は上司の指示には絶対に従わなければならない」という風潮が色濃く残っており、これがパワーハラスメントにつながることがあります。
そのような会社で長年働いている上司は、自分が若手のときに上司や先輩から詰められてきたため、自分も同じように部下に接するようになります。
会社内で部下に対する理不尽な対応が当たり前とされていると、何の疑問を持つことなく部下に対して理不尽な要求をしたり、暴言を吐いたりしてしまうのです。
この場合、上司自身がさらに上の上司から「厳しく指導しておくように」「このままだとダメだから詰めておくように」と指示されているケースも珍しくなく、組織ぐるみで部下への圧力を強めている可能性もあります。
会社自体の風土がハラスメント的な詰め方を助長しているケースは、たとえ上司一人の考えが変わったとしても、職場の環境を変えるのは難しいかもしれません。
「叱る」と「怒る」の区別がついていないから
上司がハラスメントで部下を詰める場合、「叱る」と「怒る」の区別がついていないこともあります。
「叱る」は相手に対して建設的な助言やアドバイスをしながら注意をする行為を指しますが、「怒る」はただ自分のイライラとした感情を相手にぶつけるだけの行為です。
つまり「叱る」は相手や組織の利益になる指摘をするといった目的がありますが、「怒る」はただ感情的に自分の怒りをぶつけるだけの自分本位な行為で、指導の本来の目的を果たせていません。
さらに、ただの「いじめ」を「指導」と誤解し、言葉による「怒る」だけでなく、周りの物にあたったり体罰をしたりといった手段で部下を威圧する行為が見られることもあります。
このように、「叱る」と「怒る」の区別がついていない上司は、部下に対してハラスメントとしか言えないような詰め方をしてしまうのです。
ハラスメント的に詰める上司の特徴
ハラスメント的に部下を詰める上司には、いくつか共通する特徴があります。
主な特徴は下記の3つが挙げられます。
- マネジメント能力が低い
- ストレスとプレッシャーを感じている
- コンプライアンス意識が低い
これらの特徴を理解すると、職場での対処法を見つけやすくなります。
ハラスメント的に詰める行為は上司側が原因で、詰められる社員が悪いわけではありません。しかし、上司側は自分がハラスメント的に部下を詰めていることにすら気づいていないケースが多くあります。
このような上司の背景について、一つずつ詳しく見ていきましょう。
マネジメント能力が低い
上司のマネジメント能力が低い点も、ハラスメント的に部下を詰めてしまう一因となります。
結果として、プロジェクトの進行状況を適切に把握できず、部下に一方的に責任を押し付けてしまい、ハラスメント的な詰め方をするといった負のスパイラルが生まれます。
また、チームメンバーをコントロールできず、メンバーのモチベーション管理も不十分になりやすいです。
このような上司のもとでは、適切なフィードバックやサポートを受けられず、部下が育ちません。部下が自分の成長を感じたり改善点を把握できたりする機会がないので、業務に対する意欲を失ってしまいやすいという悪循環になるのです。
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マネジメント能力が低い上司のもとだと、詰められる以外の理由でも思考停止に陥る部下が生まれやすいです。
ストレスやプレッシャーを感じている
上司自身が過度なストレスやプレッシャーを感じていると、部下に対してハラスメント的な詰め方をしてしまう原因につながります。
上司の仕事が自分のキャパシティを超えている場合や、ミスが一切許されない状況に置かれている場合だと、上司は自分のストレスを発散する手段として、部下に厳しくあたるようになってしまいます。
特に、上司自身がその上の上司に同じように詰められていると、自分が受けた仕打ちをそのまま部下に対して行ってしまうようになりがちです。
自身も余裕がない上に感情をコントロールするスキルが低い上司だと、部下の些細なミスや意見の違いに過剰に反応してすぐに感情が爆発してしまいます。
そして、上司が忙しさのあまり部下の状況を把握しようとしていないと、部下とのコミュニケーションが行われず、メンバー間での誤解や摩擦が起こり仕事のミスが生じやすくなるのです。
その結果、ますます上司も部下も詰められるという状況に陥りやすいのです。
コンプライアンス意識が低い
上司のコンプライアンス意識が低い場合も、ハラスメント的な詰め方につながる可能性が高いです。
- 【コンプライアンスとは】
- 企業や個人が、法令や倫理観、公序良俗などの規範に従って、公正・公平に業務を行うことを指します。
コンプライアンス意識が低い上司は、法令や倫理観を無視して、下記のような不適切な行為に及ぶ可能性があります。
- 長時間労働の強制:法定労働時間を超える業務を強制し、休息を取らせない
- セクシャルハラスメント:性的な言動や行動で部下を不快にさせる
- パワーハラスメント:権力を利用して部下を威圧したり、業務を過度に押し付けたりする
- いじめを指導と誤認:いじめ行為を部下への指導と勘違いし、容認する
また、「叱る」と「怒る」の根本的な違いが理解できていない上司もコンプライアンス意識が低いケースが多いです。
コンプライアンス意識は、上司個人がこれまで育ってきた環境や企業の社風などに影響します。
近年は世間的にコンプライアンス遵守が厳しく見られているので、コンプライアンス意識が低い上司や会社は改善を促される存在です。
上司から詰められると思考停止になる原因
上司に詰められるとなぜ思考停止に陥ってしまうのでしょうか。
ここでは上司に詰められて思考停止してしまう主な原因を挙げていきます。
- 心理的ショックで思考停止になるから
- 恐怖心で思考停止になるから
- 返す言葉がなく思考停止になるから
- 反論する気持ちを抑えているから
原因がわかれば精神的に安心できたり、改善に向けて対策をとったりしやすくなる可能性もあります。
原因となる内容をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
心理的ショックで思考停止になるから
上司から詰められると、強い心理的ショックを引き起こすことから、思考停止につながるケースがあります。
突然厳しい叱責を受けると、大きな声やイレギュラーな出来事に驚いてしまい、「ひどいことを言われた」「傷ついた」というショックが先行して、内容が頭に入ってこなくなります。
その結果、一時的に頭が真っ白になり、適切な対応ができなくなるケースがあるのです。
心理的ショックは感情のバランスを崩し、業務に集中できなくなる原因ともなり得るため、注意が必要です。
また、強い心理的な負荷は、長期間続くとトラウマやPTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こす可能性もあり、職場でのパフォーマンス低下だけでなく、私生活にも影響を及ぼす恐れがあります。
特にアスペルガー症候群などの特徴を持つ人は、怒鳴り声や大きな声に対して敏感である傾向が強く、詰められることでフリーズやパニックを起こしてしまうなど、ストレスを感じやすいようです。
参考:
厚生労働省「発達障害のある方と共に働く上でのポイントと障害特性」(参照 2024-11-18)
サスケ・アカデミー「アスペルガー症候群によるパニックの特徴5つ│特性との関連を解説」(参照 2024-11-18)
恐怖心で思考停止になるから
上司から詰められると恐怖心が生まれ、思考が停止することがあります。
冷静に受け止めるのが難しいほど強い口調や言葉で詰め寄られると、脳が「攻撃されている」と感じて身を守ろうとします。
「自分を否定されてしまうかもしれない」「自分が壊れてしまうかもしれない」といった恐怖心から、心を閉ざして防御しようとするのです。
この防御反応が働くと、適切な反応ができなくなり、思考が停止してしまいます。
また、過去に恐怖心を抱くほどに怒られてトラウマやPTSD(心的外傷後ストレス障害)となってしまっている場合、現在の出来事から過去に抱いた恐怖心がよみがえり、脳内でフラッシュバックしてしまうこともあります。
たとえ現在の職場で詰められたのが初めてであっても、過去に経験した「対人関係での傷つき」が原因で恐怖心が湧いてしまうケースもあるのです。
参考:元住吉こころみクリニック「トラウマによる自分の中のパーツとの関係療法」(参照 2024-11-18)
返す言葉がなく思考停止になるから
上司から詰められた際、返す言葉が見つからないために思考が停止してしまうこともあります。
上司からの指摘があまりに的確で反論の余地がないと感じる場合や、上司が求める完璧な返答をしようとして、考えがまとまらず思考停止となってしまうケースです。
人によっては、自分の返答がどう評価されるかを気にしすぎてプレッシャーを感じてしまい、冷静な思考を保てなくなってフリーズしてしまうこともあるでしょう。
上司の言葉の意図を理解しようと頭が過剰に反応して思考が固まってしまうと、自分の意見や考えを表現できなくなります。
その結果、上司の指摘にただ黙って従うしかなくなったり、反省していないと思われてまた叱責されたりといった悪循環に陥ってしまう状況もありえます。
反論する気持ちを抑えているから
上司に詰められた際に反論したい気持ちがあっても、あえてその気持ちを抑えて諦めるという選択をとることで思考が停止してしまうケースもあります。
上司に対して感情的になっている一方で、反論が「言い訳」と捉えられてしまったり、より厳しく詰められる原因を作りたくないという心理から起こります。
過去の経験から、たとえ上司からの指摘や叱責を理不尽に感じても、反論すると関係が悪化したり、上司による詰めがさらにエスカレートしたりする可能性があるため、意識的に黙ってしまうのです。
こうした自分の意見を言えない状況が続くと無力感が増していき、次第に「何を言っても無駄だ」「余計なことをしないようにしよう」と受け身でしか行動できない人になってしまいかねません。
詰められても黙ったままではマイナスになる可能性がある
上司に詰められた際に、ショックを受けて黙ってしまったり、下手に反論するのは止めようと何も反応を示さなかったりする人もいますが、これはマイナスに働く可能性があります。
黙っていると、上司から「指摘内容を理解していない」と思われたり、意思表示がないため「反省や改善の意図がない」と誤解される恐れがあるからです。
上司が威圧するために部下を詰めているわけではない場合、業務の問題点を指摘している際に部下が無言でいると、信頼を損なう原因にもなりかねません。
また、自分の状況や気持ちを説明する機会を逃してしまうことで、本当の原因や自分の意図が上司に伝わらず、誤解がそのまま残ってしまう恐れもあります。
このような状況が続くと、解決策が見つからず上司との関係に亀裂が生じやすくなり、結果的に業務効率や職場の雰囲気に悪影響を及ぼす可能性を否定できません。
それだけではなく、自分の気持ちを抑え込んで黙り続けるとストレスが蓄積し、精神的な負担も増してしまいます。
詰められてもストレスに耐え続けることのリスク
上司から詰められる状況が続くと、ストレスが蓄積し、やがて深刻なリスクを伴うことがあります。
強いストレスを我慢し続けると、じわじわと心身に悪影響が現れ、うつ病や不安障害、適応障害などの精神疾患を引き起こすリスクが高まるのです。
夜眠れなくなったり、日常生活で楽しさを感じられなくなったりすると、かなり深刻な状況に差し掛かっていると言えます。
また、慢性的なストレスは集中力や判断力の低下を招くため、仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼします。
我慢を続けると自分の限界を見失いやすく、悪化するまで気づけなくなってしまう恐れがあるので、心の健康状態をセルフチェックし、無理をしていないか定期的に確認することが重要です。
厚生労働省が5分でできる職場のストレスセルフチェックを公開しています。ぜひ簡単にできるセルフチェックとしてこちらを活用してみてください。
参考:
品川メンタルクリニック「ストレスが限界に達した時に出る症状とは?」(参照 2024-11-18)
MSDマニュアル家庭版「不安症の概要」(参照 2024-11-18)
新橋スリープ・メンタルクリニック「ストレス性障害(適応障害)」(参照 2024-11-18)
指導で詰められた時の5つの心構え
上司から「指導」の範囲で詰められた際に思考停止してしまうなら、あらかじめ「もし詰められたらこうしよう」と心構えを持っておくことが大切です。
もしものときを想定して心の準備をしておけば、意外と上司を前にしても冷静でいられる可能性が高まります。
以下の5つのポイントを心に留めておきましょう。
- 受け止めていることをリアクションする
- 詰められた原因を冷静に考える
- 詰める=否定と思いこまない
- 程よく聞き流す
- 上司の立場を理解する
受け止めていることをリアクションする
上司から詰められて思考が停止してしまった場合にも、無反応だと「話を聞いていない」「不満を抱いている」といったようにマイナスに捉えられてしまいかねません。
指導を受けた場合は、上司に受けて止めていることが伝わるようリアクションしましょう。
以下のような言葉が返せると、上司にも伝わります。
- ご指摘ありがとうございます
- 大変申し訳ございません
- おっしゃる通りです、失礼いたしました
思考が停止してしまって言葉が出づらい場合に限らず、いずれもビジネス上よく用いる表現なので、覚えておくと良いでしょう。
詰められた原因を冷静に考える
上司から詰められても受け身な気持ちのままでいると、思考が停止してしまいがちです。
まずは「詰められてしまった」という事実は置いておいて気持ちを落ち着けましょう。
そして、気持ちが落ち着いてから「詰められた原因は何か」と能動的に考えてみることをおすすめします。
言い方の良し悪しは置いておき、上司の指摘には部下の成長や改善を期待する意図が含まれていることが一般的には多いです。
ミスを責めたいのではなく、「学んでほしい」「成長してほしい」という意図が込められていると考えると、自分の業務で改善できる点があったのではという観点で自己分析ができます。
改善点がないかどうか第三者として客観的な目線で分析すると、詰められたというショックをやわらげることにもつながります。
詰める=否定と思いこまない
指導として詰められる場面での思考停止を防ぐには、否定されたと思いこまないことが重要です。
前述の通り、上司が指導で詰める場合、一般的には部下の成長や改善を目的としているため、指摘をポジティブに捉えられるようになると、自分の気持ちが楽になるだけでなく、スムーズに指摘内容を受け入れて仕事の質が向上しやすいというメリットも生まれます。
ポジティブに受け入れるには、下記のように考えるのがおすすめです。
- 上司は自分のために指摘してくれている
- 人格を否定されたわけではないと認識する
- 新人や若手のうちはよくあることだと割り切る
- 前向きな言葉を相手に伝える
そもそも指導の範囲内で業務に関する指摘をしてくる上司は、部下の批判がしたいわけではありません。
部下の人格を否定したいのではなく、業務の進め方の段取りやクオリティ、仕事に対する考え方などの改善を促すことを目的としているので、あなた自身がダメだと言われたわけではないのです。
それに、新人や若手のうちは誰でも上司に仕事の進め方の指摘を受けます。「仕事の質がもっとよくなるように指摘されただけ」と、ポジティブに考えるようにしましょう。
また、上司からの指摘をポジティブに受け入れるために、相手に感謝の言葉や改善の意思を添えることも有効です。
謝罪の言葉を重ねてしまうと自分がどんどんみじめに思えてしまう場合もあるので、暗い気持ちを引きずらないように「ご指摘ありがとうございます。」「今のうちに指摘していただいて良かったです」「改善していけるように頑張ります」などと前向きな言葉を伝えるのがおすすめです。
また、指摘を受けて自信を失ってしまったときは、自分の強みや成功経験を思い出したり、自分が楽しめる趣味などの活動を積極的に行ったりして、メンタルを安定させておくことも前向きな姿勢を保つ助けになります。
程よく聞き流す
上司に詰められると、どうしても「真剣に受け止めなくては」と悩んでしまいがちですが、思考停止にならないためには程よく聞き流すことも重要です。
特に、感情的になっている上司の指摘や業務上重要ではない指摘の場合は、深く受け止めずに受け流し、自分にとって本当に必要な指摘だけに集中するようにしましょう。
すべてを真に受けると精神的に疲れてしまい、他の仕事や私生活に支障をきたすケースもあります。
指摘された内容の中で本当に自分に非がある部分のみを反省して改善する姿勢を心がけることが大切です。
理不尽な指摘や重要ではない問題の指摘をされたときは「あー、また何か言ってるな」といったように軽く流しておくのがおすすめです。
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もちろん、詰めてくる上司本人に「指摘を受け流している」とバレてしまうと火に油を注いでしまうので、表面上はしっかり指摘を受け止めているように振る舞うことも忘れないでください。
上司の立場を理解する
上司から詰められると気が滅入ることもありますが、上司は会社から部下を指導し成長を促す役割を求められているという点を理解すると、受け止め方が変わるかもしれません。
上司が指導を通じて叱るのは部下の成長のためであり、厳しい言葉もその一環というケースが大半です。
上司も自分に与えられている役割をまっとうしようとしていると思うと、気持ちが楽になります。
さらに、いずれ自分が上司の立場になれば、同じように部下を指導しなければならない場面が必ず出てきます。
そのため、今の経験を通じて「指導を受ける側」としての視点を学ぶことは、今後のキャリアにも大いに役立つでしょう。
このように、上司の立場や意図を理解できれば、思考停止せず冷静に指導を受け入れる心構えが持てるかもしれません。
ハラスメントで詰められて思考停止が続いた時の対処法5選
上司からのハラスメントのような詰め方が常態化していると、仕事への意欲も削がれてしまいます。
上司の詰め方が指導ではなくハラスメントであり、頻繁に思考停止してしまうのであれば、何かしらの対策を打っていきましょう。
ここでは、こうした状況に対処するための方法を5つ紹介します。
- 冷静になる時間を作る
- ストレスを発散する
- 信頼できる先輩や別の上司にアドバイスを求める
- 人事に相談する
- 転職を視野に入れる
これらの対処法を試し、自分に合った方法で心の負担を軽減していくことが大切です。
冷静になる時間を作る
詰められた直後は感情が高ぶりやすく、思考が混乱しがちです。そのため、すぐに反応するのが難しい際は、まず冷静になる時間を作りましょう。
感情的な反論や適当な返答はかえって事態を悪化させ、さらに詰められる原因になりかねません。冷静になれば、自分の考えや対応を慎重に整理し、より建設的な返答ができるようになります。
その場を切り抜ける手段として、上司に改善策を伝えたり、指摘された通りに急いで対応を進めたりするのは避け、「後ほど改めて回答させてください」「ご指摘いただいた点をしっかり理解してから対応します」と伝えてみるのも手です。
また、冷静になる時間を設けると、上司の言葉の中から重要な指摘と感情的な指摘を分けて捉えることができます。どの部分に対して改善が必要かを判断しやすいというメリットもあります。
ストレスを発散する
上司に詰められた際のストレスはため込まずに適度に発散するように心がけましょう。
ストレスを発散して気持ちをリセットし、気持ちを切り替えることができます。
思い詰めた状態が続くと心身の健康に悪影響を及ぼし、集中力の低下や自己肯定感の喪失など、日常生活にも支障をきたす可能性があります。
リラックス効果のある音楽を聴いたり、深呼吸や瞑想を行ったり、仕事後に軽い運動や趣味に没頭したりといった、その日のうちにすぐにできるストレス発散方法をいくつか持っておくのがおすすめです。
また、友人や家族に軽く愚痴を言って共感を得たり、アドバイスを受けたりするのも効果的です。
とは言え、いくら個人の努力でストレス発散をしても、根本的な問題は解決しません。
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ハラスメント的な詰め方が常態化しているのであれば、自分のメンタルを保ちながら、このあと紹介する根本的な問題が解決する対処法も試してみてください。
信頼できる先輩や別の上司にアドバイスを求める
まずは一人で抱え込まずに、信頼できる先輩や当事者以外の別の上司にアドバイスを求めましょう。
第三者の意見を聞くと、自分一人では見つからなかった解決の糸口が見えてくることもあります。
自分はハラスメントをされたと思っていたケースでも、第三者から見ればきちんとした指導の範囲内という場合もあるので、他の解決策を実行する前に信頼できる人に相談するのが望ましいです。
また、別の上司への相談を通じて、当事者の上司がハラスメント的な詰め方を改善するように指導される可能性もあります。
ただし、相談相手の選択は慎重に行いましょう。
場合によっては相談内容が社内に広まり、新たな誤解やトラブルを生む可能性もあるため、相談する相手は口が堅く、親身になってくれる信頼できる人を選ぶことが重要です。
もし職場に信頼できる相談相手がいない場合や、心身ともに疲弊しきっている場合は、家族や心理カウンセラー、メンタルヘルスの専門家に話を聞いてもらうのも選択肢です。
人事に相談する
これまでご紹介した対策で改善されない時は、人事部に相談するのも手です。
社内の人事部は職場環境を改善して従業員の働きやすさを向上させる役割を担っています。
特に昨今はハラスメントに関する相談には慎重に対応する風潮が強まっているので、問題解決に向けた具体的な対応がとられる可能性が高いです。
たとえば、人事部から直接上司へ指導を行ったり、相談者に対して他部署への異動やリモートワークへの切り替えを提案してくれたりする場合もあります。
また、そもそも上司の指摘通りに業務を進められない環境であれば、業務量の調整や就業時間の短縮など、心身に負担がかからない働き方への変更を希望することも一つの方法です。
人事部へコンタクトをとる際は「具体的にどんな詰め方をされたか」「ハラスメントの影響でどのような支障が出ているか」といった事情を細かく聞かれます。相談内容をしっかりまとめ、改善案や希望条件をあらかじめ用意してから相談をもちかけましょう。
転職を視野に入れる
ここまでご紹介した対処法を試しても限界を感じる場合は、無理をせずに転職を視野に入れることも大切です。
過度に詰められる環境が続くと、精神的に追い詰められ、健康を害するリスクが高まります。
無理をして耐え続けることで自己肯定感が低下したり、思考停止や心身の不調が長期化したりすると、仕事だけではなく私生活にも影響が出る可能性があります。
今の職場に固執せずに、自分の能力をしっかりと発揮できる心身ともに安定する職場を探しましょう。
自力での転職に不安を感じる場合は、転職エージェントの活用もおすすめです。エージェントは、あなたのスキルや希望に合わせた職場を紹介してくれるだけでなく、その職場の雰囲気といった情報も提供してくれます。
さらに、業界や職種に特化した転職エージェントであれば、仕事内容は変えずに自分にとって働きやすい社風・制度が整った企業を探しやすいです。
今の職場の現状を伝えればキャリア相談にも乗ってくれるので、一人で悩まずに積極的にエージェントサービスを活用してみてください。
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なお、在職したまま転職活動を行うか、退職してから転職活動を行うか迷っている方には、こちらの記事もチェックしてみてください!
詰められて思考停止してしまう状態から脱却しよう
上司からの「詰め」は指導の範囲に分類されることもあれば、ハラスメントに分類されることもあります。
「指導」の場合は、なぜ詰められたかを考えて前向きにとらえる、程よく受け流すといった対処法が有効です。
一方、「ハラスメント」の場合は、信頼できる先輩や別の上司に相談したり、人事に働きかけて環境を調整してもらったりといった、外部からの協力が必要なケースが多いです。
しかし、いずれのケースであっても、何度も詰められて思考停止状態に陥ってしまうのであれば、無理してその職場に留まるのが最善とは限りません。状況が改善されないなら、転職を検討することも視野に入ります。
自分の努力が正当に評価されて安心して働ける環境でこそ、長期的なキャリアの成長が期待できます。
自分の心身の状態を第一に考えて決断するようにしてください。