残業が前提はおかしい!違法?残業ありきの会社の特徴と原因&抜け出し方

残業が前提はおかしい!違法?残業ありきの会社の特徴と原因&抜け出し方

近年、働き方改革により残業の見直しが行われつつあるものの、それでもまだ残業が前提の風潮が根強く残る企業は少なくありません。

なかには残業申請をさせず残業を強いるだけではなく、残業代を支払わないブラック企業もまだまだ後を絶たないのが実情です。

残業前提のおかしい状況を脱却するためにできる個人的な方法と、それでもダメな場合に転職で失敗しないための探し方を解説するとともに、その参照として残業ありきと残業状況を改善した企業のエピソードや、残業のないホワイト企業についてご紹介していきます。

目次 open

残業前提は違法にあたらないのか?

まず大前提として、残業ありきの会社はおかしいと断言できます。

ただし違法かどうかはまた別になります。
残業前提の職場はおかしいとはいえ、法律上の必要条件をクリアしている場合は違法にあたらず、一定の範囲は残業を強制することができるためです。

以上を踏まえ違法にあたる例は以下のようになります。

違法な残業例

  • 36協定の締結をはじめとした残業の要件を満たしていない場合
  • 病気や怪我などにより体調不良の場合
  • 介護・育児が必要な家庭事情を持つ場合
  • 妊娠中や出産から1年未満の場合
  • みなし残業に関する詳細は下記記事で解説しているので、あわせてご参照ください。

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みなし残業がおかしいと感じるあなたへ問題点と解決策を解説

 

残業前提はおかしい!残業ありきの会社の特徴

残業前提の会社が持つ特徴は大きく分けて以下のようになります。

  • 離職率が高く人手不足が定常化している
  • 業務効率や改善の意識が低くデジタル化が遅れている
  • 残業=努力ととらえ評価する文化がある

もし勤め先に疑問を覚えているという方で、上記が当てはまる場合は要注意です。
以降でその理由を詳しく解説していきます。
 

1.離職率が高く人手不足が定常化している

残業が前提のおかしい会社は、離職率が高く人手不足が定常化しているケースが多いです。

離職率の高いということは、その会社で長く働き続けることが困難と考え、退職に至っている人の割合が高いことを示します。
くわえて人手不足が定常化しているので、人が定着せず離職者が後を絶たない状況であるとともに、人が辞めていく原因が改善されていない可能性が高いです。

人手不足が定常化している場合に起こりえることとして、一人当たりの業務量が多くなること、それにより残業しないと回せない状態となってしまうことです。
また、そういった企業は、残業前提であったりそれ以外にも職場環境に大きな問題を抱えているいわくつきである場合が多いため、注意が必要です。
 

2.残業=努力ととらえ評価する文化がある

残業が前提のおかしい会社は、残業=努力ととらえ評価する独特の文化が根付いている可能性があります。
そのため定時で帰りにくい空気や同調圧力があったり、残業前提の業務量を任されて、残業前提が定常化していきます。

こういった会社での評価基準は残業になり、残業によって上り詰めた社員が上位層を占めている場合が多いです。
残業前提の会社はマネジメントがうまくいっていない証拠ですが、残業によって昇格という成功体験をした人が上位層を占めるため、マネジメント意識が乏しく、同じように残業を強いる悪循環が発生してしまっています。

そのため残業前提のおかしい状態を打破しようにも、上位層の意識の改善からとなってしまい、個人単位の工夫ではどうにかならず、退職者が後を絶たないケースも多いです。
 

3.業務効率や改善の意識が低くデジタル化が遅れている

残業ありきの会社は業務効率や改善の意識が低く、デジタル化が遅れているケースが多いです。

デジタル化が遅れてしまっている要因として考えられるのは、「資金不足」「IT人材不足」「リテラシー不足」になり、特にネックなのは費用面です。

残業前提が常態化している会社の場合、離職率が高くIT人材が不足していたり、上層部のマネジメント意識やリテラシー不足の可能性が高く、導入しようにも決済を取ることが難しくなります

デジタル化することで業務効率化され生産性が上がり、ひいては長期的に見た時に利益にも繋がるものの、デジタル化のイメージがつきづらく、費用がネックで決済が取れなかったり、優先度がどうしても低くなってしまいがちです。

  • 残業以外にも日本のおかしい仕事観については、以下記事で解説しているのであわせてご参照ください。

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日本人の仕事観はおかしい説!労働時間や環境、働き方を徹底分析

 

残業ありきで働き続けたらどうなる?

残業が前提の会社の特徴を見ていきました。

このような職場で働き続けた場合、いったいどうなってしまうのでしょうか?
ここからは残業ありきの職場で働き続けた場合の影響や起こりうることを紹介していきたいと思います。
 

仕事へのモチベーションや効率が下がる

通常1日のスケジュールを立てて計画的に取り組むものですが、残業ありきの職場では意味を成しません。

毎日いつ帰れるのかわからない状態で働くのはゴールの見えない状態でマラソンをし続けているようなもので、身も心も追いつかなくなっていき疲れてしまいます。

疲労が蓄積されていくと仕事のパフォーマンスも下がっていくこととなります。
パフォーマンスが下がるとケアレスミスが増えたり作業の品質が下がり仕事がうまく進まなくなっていき、結果的にモチベーションの低下にもつながります。
 

プライベートを楽しむ時間と気力が下がる

残業すると必然として自分の時間が減っていきます。
人にとって時間は重要な幸福指標になり、残業時間の増加に応じて幸福度は徐々に低下するという調査結果があります。

残業ありきの状態が続くと幸福度が低下するとともに疲労が蓄積され、友人と会ったり、趣味や娯楽を楽しんだり、食事や睡眠などの生きるうえで最低限の気力が下がっていってしまいます。

気づいた時には休日は疲労により寝て終わり、平日は会社を行き来するだけの日々の連続となってしまう人も少なくありません。
 

心身が疲れ体調不良に陥る

残業ありきの日々が続くと心身に疲労が蓄積されていき、最終的に体調不良に陥る恐れがあります。

先述の通り残業続きになると自分にかけられる時間や気力が減っていき、食事を抜いてしまったり、息抜きができなくなってしまったり、徐々に生活がままならなくなっていきます。

すると残業による疲労と生活習慣の崩れにより体調を崩したり、睡眠障害や鬱に悩まされたり、最悪の場合、過労死してしまう場合もあります。
 

残業前提のおかしい状態から抜け出す方法

残業ありきで働き続けた場合の影響が分かったところで、そうならないために、残業前提のおかしい状況から抜け出すための手段をいくつか紹介したいと思います。

大きく分けて3つになります。
いずれも個人で行える方法になり、上から順に実践してみることをおすすめします。

  • 作業方法を見直す
  • 上司への進捗報告を細かく行う
  • 無理に仕事を引き受けない

また、それでも改善しない場合の最終手段や、番外編として然るべき機関に頼る方法も解説していくので、残業ありきの状況から脱却したい人はご参照ください。
 

1.優先順位や作業方法を見直す

まずは作業の優先順位や方法を見直すことです。
適切に優先順位をつけて進められているか、作業方法に改善の余地がないか見直してみましょう。

残業ありきになってしまう原因として、目標やタスクの期日があいまいな場合があります。
今、山積みとなっている作業の重要度や記事を見直し、優先順位を見直してみましょう。
重要度が低くて時間がかかりすぎている作業があれば、それも見直しの対象です。

また、残業前提の会社は作業効率や改善意識が低いため、非効率な状態で作業方法を引き継いでいることも少なくありません。たとえば関数やマクロによって自動化することで、時間短縮だけでなく手動によるミスを減らし作業自体の質を上げることもできます。

本当に今のやり方が最善なのか見直してみましょう。
 

2.上司への進捗報告を細かく行う

もし抱えている業務が重かったり業務量が多くて残業ありきになってしまっている場合、こまめに上司へ進捗報告を行うのも手です。

上司のマネジメント不足により、残業ありきの状態に陥っている可能性があるからです。
本来、マネジメント側が業務量をコントロールする状態があるべき姿ですが、残業ありきの会社では機能していないことが多いです。

前項で挙げたように、優先順位や作業方法の見直しを行ったうえで、上司にかかえている業務の進捗をこまめに共有するようにしましょう。

上司とコミュニケーションが取れると、あなたが抱えている業務量や速度感、状況が見えてくるので、作業を分配する際におさえてくれたり、カバーしてくれる場合もあります。
 

3.無理に仕事を引き受けない

残業ありきになってしまう原因として、無理に仕事を引き受けていませんか?
断ることで心証を損ねてしまったり、評価がマイナスになってしまうのではないかという不安はあるかもしれません。
しかし無理に引き受け続けてしまうとキャパオーバーしてしまいます。

前述した「上司へ進捗報告を細かく行う」を実践したうえで、上司から無理な依頼が続く場合、あなたの仕事量を調整したりサポートする気がないということになり、断る勇気を持たないと残業ありきの状態が続く可能性が高いです。

今の業務状況を理由に「申し訳ありません」と断りを入れたり、もし抱えている業務が落ち着く目途がある場合は、「~~以降であれば取り掛かれますがいかがでしょうか。」と代替案を提案してみるのも手です。

【それでも改善しない場合は…】転職を行う

ここまで紹介した方法を実践しても改善しない場合、もしくは実践したことで会社内の評価が下がった・居心地が悪くなった、なんて場合は転職を検討しましょう。

そういった会社はいわゆるブラック企業になり、会社や組織規模の問題が根強く、個人の努力ではどうにもならない可能性が高いです。

頑張り続けても、心身の負担は勿論、正当な評価と報酬を得られない、感覚がマヒしてしまう、働くうえで重要なナレッジや能力を身に着ける機会がないまま年齢を重ねていってしまう弊害もあるため、転職に踏み切ることをおすすめします。

【番外編1】労働組合に相談する

労働組合に加入し、相談することで組合を通して解決を図る手もあります。
労働組合は賃金や解雇、ハラスメントといった労働条件や職場環境について相談でき、「団体交渉」「争議行為」といった方法で解決を図ってくれます。

iconメモ

団体交渉とは?
組合員の労働条件や職場環境について、労働組合が団体として企業と交渉する解決方法です。
法律で定められた権利となり、企業は正当な理由なく拒否することはできません。

争議行為とは?
労働組合が企業との団体交渉の過程で「主張の貫徹」や「抗議」の意味合いで行われる、ストライキをはじめとする行為です。

ただし労働組合は入るにも相談・解決してもらうにも費用が掛かるうえ、解決後、会社に居づらくなるといったデメリットもあるので、注意が必要です。
 

【番外編2】労働基準監督署に報告する

もしも違法な残業を強いられている場合、労働基準監督署に報告し解決を図る手もあります。

労働基準監督署は、労働基準法違反になる事案の調査や指導をする権限があります。

会社の違法行為の証拠を集め相談を入れることで、会社にまず調査が入り、その後違法が認められたら指導が入ります。また、従わない場合には経営者は逮捕されるケースもあり、本気で職場環境を改善したい場合、効力がある方法です。

ただし日本の労働基準監督署は人員不足のため、必ずしも動いてもらえるとは限りません。
くわえて労働組合と同様に、解決したとしても会社に居づらくなるデメリットがあるので慎重に検討しましょう。

 

残業の少ないホワイト企業の特徴

前項で残業ありきの状況から脱却する方法の一つとして転職をご紹介しました。
転職は環境を変えるという意味では確実かつ手っ取り早い方法ではありますが、転職先を見極める目が必要です。

またしても同じような会社に転職してしまった…なんて悲劇が生まれないよう、残業ありきが定常化していないホワイト企業の特徴を解説していきたいと思います。

  • 離職率が低い
  • 残業時間が月平均20時間以内である
  • 基本給が高く賞与もある
  • 研修制度が充実している
  • 福利厚生が充実している
  • 有給休暇や育児休暇の取得率が高い
  • コンプライアンス意識が高い

離職率が低い

離職率の低さはその企業の健全性を図る一番の指標と言っても過言ではありません。

離職率の低い会社は、長く働き続けている社員割合が高いということになり、働きやすい企業であるといえます。
一方、離職率が高い会社は、何かしら辞めざるを得ない原因があり辞めていく社員が多いということを示します。

就職四季報では、3年間に入社した社員数と離職した社員数をもとに離職率をまとめたデータがあり、これによると離職率が低い上位8社は0%という結果に。さらに50位以内で5%未満、100位内で6%以下の結果となっています。
また、2022年の厚労省の調査によれば、離職率の平均は15%となります。

求人探しの際はブラックかホワイトか見極める指標の一つとして、確認しておくようにしましょう。


参照
東洋経済オンライン「新卒3年後の離職率」が低い100社ランキング(参照 2024-08-28)
厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」(参照 2024-08-28)

 

残業時間が月平均20時間以内である

残業ありきではない健全な会社は、月の平均残業時間も20時間以内と少なめです。

ホワイト企業の場合、社員の休職や退職、繁忙期も加味して管理されている場合が多いため、業務量が安定していたり余裕をもって取り組める環境づくりが行われています。

具体的には勤怠システムを取り入れオンラインで勤務状況が可視化できるようにしていたり、残業時は申請を行うシステムになっていたり、残業が常態化しないよう対策しています。

また、企業によっては定時になると呼びかけを行ったり、特定の時間以降は残業が行えないシステムになっていたり、ノー残業デーを設けるといった取り組みも行っていたりします。
 

基本給が高く賞与もある

ホワイト企業は安定した業績を上げていて基本給も高く設定されています。

基本給は手当を除いた給与を示し、基本給が低い会社では各種手当や賞与、残業代依存になりがちです。業績が悪化すると、賞与を皮切りに各種手当てはカットされることから安定しません。
手っ取り早く収入アップするため、なかにはあえて時間外労働を行い、残業代で稼ぐ人もいるほどです。

こういった理由から、基本給の高さは業績が良く倒産・リストラのリスクが低いという証明になるとともに、社員の生産性にも関わる重要な指標です。
 

研修制度が充実している

ホワイト企業は社員育成のノウハウや研修制度が充実しています。

ホワイト企業の場合、業績が安定傾向にあるとともに社員の離職率が低いため、その分、長期的に見た人員の育成計画を立てていて、研修制度も充実しています。

一方、ブラック企業の場合、その場しのぎで回っていて社員を使い捨てのように酷使する傾向にあるため、そもそも研修や長期的に人を育てる発想がないことも。

くわえて現場に人を育てる余裕はなかったり、育成しようにも離職率が高く長期的な育成実績がないということもざらにあります。
 

福利厚生が充実している

福利厚生は導入必須の社会保険(「年金保険」「医療保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」)と、それ以外に企業が任意で提供しているものとあります。

社員一人ひとりの働きやすい環境づくりを意識した経営を行うホワイト企業は、福利厚生が充実している傾向にあります。
「住宅手当」や「退職金制度」「社員食堂」など種類はさまざまです。

なかには長期休暇制度や誕生日や結婚記念日などのアニバーサリー休暇を取り入れていたり、社員のワークライフバランスの安定と充実を図る福利厚生を取り入れていたりします。
 

有給休暇や育児休暇の取得率が高い

ホワイト企業では、女性も出産に関係なく活躍しやすい環境や、社員一人ひとりの健康やライフバランスにも考慮した環境が整っています。

また人手不足が慢性化しているブラック企業では、社員一人ひとりの余裕がないため一人が休むとチーム全体に打撃があります。

一方でホワイト企業では、人員や教育体制が安定していて、一人当たりのタスク量も無理がないようコントロールされているため、誰かが休んでもフォローできる体制が整っています。

そのため有給休暇の取得率が高く、性別に関係なく産休や育児休暇も取得できる傾向にあります。
 

コンプライアンス意識が高い

コンプライアンスとは法令遵守を示し、企業や個人が法令ならびに倫理観や公序良俗といった社会的ルールを守ることを意味します。

ホワイト企業は、労働基準法や個人情報保護法をはじめとした法令順守は勿論のこと、社員一人ひとりが安心して働けるようハラスメントの対策もしっかり行われています。

また、企業や社員一人ひとりが高いコンプライアンス意識が持てるよう、社員向けに研修が行われたり、相談窓口が設けられていたりします。
当然、違法や不当な残業が発生しないよう徹底されています。
 

【番外編】ホワイト企業を認定する国の制度にも注目

ホワイト企業かどうか見極める簡単な方法として、ホワイト企業マークの有無に注目するのも手です。

ホワイト企業マークは、一定の基準をクリアした企業を厚生労働省や経済産業省が認定する制度となり、ホワイト企業かどうかを見極めやすくなります。
認定のマークはいくつかあります。

icon参考

安全衛生優良企業公表制度 ホワイトマーク
労働安全衛生法に則り高い安全衛生水準を維持している企業への認定

健康経営優良法人大規模認定ホワイト500
優良な健康経営を実践している企業に対する認定

ユースエール認定
若者の雇用管理の状況が優良な中小企業への認定

くるみん認定・プラチナくるみん認定
次世代育成支援対策推進法に基づき、一定基準を満たした企業への子育てサポート企業認定

えるぼし認定・プラチナえるぼし認定
女性活躍推進法に基づき、一定基準を満した企業への認定

  • 各認定やホワイト企業の見分け方については下記記事で詳しく解説しているのでご参照ください。

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ホワイト企業の見分け方!求人票の特徴・注目ポイント・要注意ワード

 

残業の少ないホワイト企業をご紹介

ここからは残業の少ないホワイト企業を具体的に紹介していきたいと思います。
各企業の特徴や、不要な残業が発生しないよう行っている取り組みもまとめているので、ご参照ください。
 

味の素株式会社

同社では人事の理念の一つとして、“従業員が健康でいきいきと働ける職場づくりに取り組むことで、その人の持つ能力を十分に発揮し、お客様の『ココロ』と『カラダ』の健康、そして明日のよりよい生活に貢献”という健康経営を掲げています。

その理念を裏付けるように、同社では働き方改革が行われる以前の2008年より先行して、ワークライフバランス向上のためのプロジェクトとして様々な取り組みを行っており、なんと労働時間1か月分の削減に成功しています。

味の素の取り組み

  • 1日の所定労働時間を7時間15分に短縮
  • 消灯時間を設定
  • 毎週水曜日のノー残業デーを実施
  • フレックスタイム制度の導入
  • 短時間勤務
  • ペーパーレス化
  • 会議の標準時間帯を9~16時に設定
  • 在宅勤務制度の導入
  • WLB(ワークライフバランス)休暇

カルビー株式会社

同社は「従業員一人ひとりが、自ら選択し、そして効率的に生産性高く働くこと」を目指し、さまざまな取り組みを行っています。

30年以上にわたり、働き方改革のはるか前の1991年にフレックスタイムの導入、2001年にはペーパーレス化の導入、2005年以降ノートパソコンやフリーアドレス導入など、先行して実施してきた実績があります。

また、新型コロナウイルスの影響を受けて新しい働き方「Calbee New Workstyle」をスタート。社員の多様な生活スタイルを尊重し、「モバイルワークの標準化」や「フルフレックスタイム制の導入」などより柔軟に働ける環境を構築しました。

カルビーの取り組み

  • ノー残業デーの設定
  • モバイルワーク制度の導入
  • フルフレックス勤務の導入
  • ハイブリットワークの導入
  • ペーパーレス化
  • ITツールの導入と業務プロセスの改善
  • 在宅勤務制度の導入
  • 子育て応援休暇

伊藤忠商事株式会社

2020年~2025年卒の調査で6年連続首位の人気を誇る同社では、残業ありきの働き方から効率的な働き方へと変えるため、夜型の残業体質から朝型の勤務へと改める働き方改革を行っています。

その取り組みの主軸として所定勤務時間帯9~17時とした朝方勤務制度を導入しました。くわえて朝5~8時の早朝勤務を推奨し、出勤した社員には深夜残業と同じ5割増賃金を支払い、さらに軽食を無料配布する取り組みも行いました。

またそのほか、無駄な会議や資料の削減、夜20時以降の残業は事前申請制とし原則禁止、22時以降を禁止する取り組みも行い、年間の時間外労働時間を約3,350時間も削減するとともに、労働生産性を5.2倍に大幅にアップすることに成功しています。

伊藤忠商事の取り組み

  • 朝方勤務制度の導入
  • 早朝勤務者の賃金5割増の導入
  • 早朝勤務者への軽食無料配布の実施
  • 20時以降の残業の事前申請制の導入
  • 22時以降の残業禁止
  • 不要な会議や資料の削減

コクヨ株式会社

同社は「従業員の健康とワークエンゲージメントの向上」をWell-beingの基盤に掲げ健康経営を推進しており、「健康経営優良法人2024(ホワイト500)」、「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の認定も受けています。

社員一人ひとりが、自ら業務生産性を高めるために自分にあった働き方を選べる環境づくりを行っていて、フレックスタイム他、ハイブリットワークや出勤形態を選択できるワークプレイスポートフォリオ制度を導入しています。

また、時間外労働時間の削減と生産性向上のため、19時の一斉消灯ルールを設けたり、会議の最大2時間に制限をかけるなどタイムマネジメントを徹底し、残業削減に成功しています。

コクヨの取り組み

  • フレックスタイム制の導入
  • ハイブリッドワークの導入
  • ワークプレイスポートフォリオの導入
  • 短日短時間勤務の導入
  • 子の看護休暇の導入
  • 配偶者出産休暇の導入
  • 産後パパ育休(出生時育児休業)の導入
  • 介護休業の導入

株式会社良品計画

同社では、全ての社員が健康かつ安全に活躍できる職場環境を提供することを目指し、「労働安全衛生」「長時間労働」「ワークライフバランス」などさまざまな観点から取り組みを行っています。

長時間労働の撲滅を掲げ、残業時は前もって上司に承認を得る事前申請制と部署ごとに残業者を10%以内に収める10%ルールを導入しています。
総務の見回りで申請者以外の残業者がいた場合には所属長に報告、残業の減らせていない部署の部門長にヒアリングを行う徹底ぶりです。

これにより2013年以降は目標を10%から7%とし残留数を5~6%におさえることに成功しています。

良品計画の取り組み

  • ノー残業デーの導入
  • 10%ルールの導入
  • フレックスタイム制度の導入
  • 時短勤務制度の導入
  • ファミリーケア制度の導入
  • チャイルドケア制度の導入
  • 短時間勤務制度の導入

住友生命保険相互会社

すべての社員が尊重し合い協力して働く「いきいきと働ける」会社を目指す同社では、トップダウンによる業務の削減や効率化を主軸とした取り組みを行っています。

20時に必ず強制ログアウトするシステムの導入や、月1回19時退勤、毎週水曜日には17時50分の退勤を実施し残業時間の削減を図っています。

また、休暇日の希望や取得できていない場合のヒアリングを行ったり電子管理の導入、さらに休日出勤をした場合、振替休日の取得を推進し休暇取得率の向上にも努めています。

その他、ライフサイクルにあわせた働き方支援も行っており、育児や介護が必要な社員も無理なく継続的に働ける福利厚生が充実しています。

  • 20時最終退館の実施
  • アクティブ19デーの導入
  • スーパーウェンズデーの導入
  • フレッシュアップ休暇の導入
  • 年1回の5日連続休暇の導入
  • 連続5日の研究休暇の導入
  • 永年勤続休暇の導入
  • 育児時間の導入
  • 看護休暇
  • 介護休業
  • 育児や介護による時間短縮措置または早退・遅参免除の導入
  • 育児や介護の両立支援休暇の導入

 

残業前提からワークライフバランスの取れた働き方へ脱却しよう

近年働き方改革や、コロナウイルスの影響により働き方が変貌を遂げ、働き方の見直しやDX化が加速していっている一方、長い時間働くことや我慢することを美徳ととらえる文化もまだまだ根強く残っています。

残業を前提とする企業は離職率が高く人手不足が常態化しているうえ、業務効率・改善の意識が低くデジタル化が遅れているなど様々な問題を抱えているケースがほとんどです。
こういった環境下で働き続けると、最悪の場合、心身の健康を損ねるリスクがあります。

残業前提のおかしい環境下に置かれている人が一人でも多く脱却し、ワークライフバランスの取れた生活を育めるようになることを願い、違法性、会社の特徴や、改善方法、健全な企業の特徴などさまざまな観点から解説しました。
少しでも参照となれば幸いです。

著者情報

シュウジ
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兵庫県生まれ。都内の私立大学卒業後、パチンコにハマって単位を落とすも、一浪して大学を卒業。派遣社員として工場で働きながら、副業としてナイト系ドライバーやせどりを始める。
本業に嫌気がさし、転職を決意し資格取得に励む。奇跡的に大手人材会社に入社し、給料が倍になり人生が変わる。人材業界でさまざまな職業や経歴を持つ人々との交流を通じて知識を蓄え、2023年にブログ「仕事図鑑」を開設。