生産管理は、主に工場の製造工程において、生産計画の作成、資材調達、納期や品質といった生産業務全般の管理を行います。
ものづくりを支える司令塔的存在とも言える職業ですが、果たして年収はどれくらいなのでしょうか。
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生産管理の仕事は稼げるの?
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生産管理職で働いているけど、今の収入に満足していない
このような方に向けて、本記事では生産管理職の年収や稼げる人と稼げない人の違い、給与アップの方法について詳しく解説します。
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生産管理の仕事に興味がある方や、今より収入を増やしたい現役の生産管理職の方は、ぜひ参考にしてください!
生産管理職の平均年収は497万円
生産管理職の平均年収は約497万円です。
この数字は「令和5年賃金構造基本統計調査」の「生産関連事務従事者」に掲載された、月給32.6万円、年間賞与106万円のデータをもとに算出しました。
大学卒業後に生産管理職に就き、22歳から定年の60歳までの38年間同一企業に勤めた場合、単純計算で生涯年収は約1億8,886万円になります。
なお、生産管理職の年収がピークに達するのは55~59歳で、年収は600.71万円です。
ただし、生産管理職の年収は、勤め先の企業規模によって大きく異なるため、上記の数値はあくまで目安としてご覧ください。
e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-06-10)
職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「生産・工程管理事務」(参照 2024-06-10)
生産管理職の収入内訳
生産管理職の収入は、「基本給+諸手当+賞与」で構成されることが多いです。
手当の内容は企業によって異なるものの、主に残業手当、通勤手当、家族手当、住宅手当などが支給されます。
また、キャリアを積んで管理職に昇進すると、役職手当も付きます。
さらに、日本国内または海外に多数の工場を持つ大手企業の場合、生産管理の担当者が現地まで足を運ぶケースもあるため、「出張手当」がもらえる可能性があるのも特徴です。
そして、後ほど説明しますが、生産管理職のキャリアパスとして、海外の支社工場で生産管理業務を行う海外駐在員になる方法が挙げられます。
そのような働き方ができる企業は、日本とは生活環境が異なる外国へ赴任する海外駐在員に対して、海外赴任手当をはじめたとした複数の手当を支給する傾向にあります。
生産管理職は、企業によって手当の種類が大きく異なる職種なので、就職・転職を検討している方は、求人情報や面接などで事前に確認しておくのがおすすめです。
【年齢別】生産管理職の平均年収
生産管理の平均年収は、年齢が上がるにつれて高くなり、55~59歳でピークを迎えます。
年齢 |
平均年収 |
20~24歳 | 334.14万円 |
25~29歳 | 394.99万円 |
30~34歳 | 446.55万円 |
35~39歳 | 497.31万円 |
40~44歳 | 543.22万円 |
45~49歳 | 553.92万円 |
50~54歳 | 577.92万円 |
55~59歳 | 600.71万円 |
参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「生産・工程管理事務」(参照 2024-06-10)
生産管理として働く人の平均年収は、20~24歳が334.14万円、30~34歳は446.55万円で、10年ほどで100万円以上も年収がアップしています。
また、55~59歳まで一貫して平均年収が上がり続けているので、勤続年数やスキルを積んでいけば安定して稼げる職業だと考えられます。生産管理の年収の推移が右肩上がりなのは、勤続年数が長く、豊富な知識を持つ年齢層が役職に就いているのが理由です。
生産管理の仕事は、期限内に資材の調達・製造・納品ができるように、取引先や各部署と連携を取りながらスケジュールを管理しなければいけません。
これらの業務はすぐにできるものではなく、経験を積み重ねて迅速に業務をこなすコツをつかんだり、時間をかけて取引先や従業員との信頼関係を築いたりして、努力し続ける必要があります。
生産管理職は、経験がものを言う仕事だからこそ、長く活躍すればするほど高収入が期待できる職業と言えます。
【性別】生産管理職の平均年収
生産管理の平均年収は、性別によっても異なります。
平均年収は「令和5年賃金構造基本統計調査」に掲載されたデータをもとに「(きまって支給する現金給与額×12カ月)+年間賞与その他特別給与額」の式で算出しています。
性別 |
平均年収(千円) | きまって支給する現金給与額(千円) | 年間賞与その他特別給与額(千円) |
男女計 | 4,802.5 | 325.9 | 1062.3 |
男 | 5,679.1 | 366.9 | 1276.3 |
女 | 3,970.1 | 267.7 | 757.7 |
参考:e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-06-10)
男性の平均年収が567.9万円なのに対し、女性の平均年収は397万円で、170.9万円の年収差が生まれています。
この年収差の背景には、家庭や育児の都合で時短勤務・非正規雇用を選択する女性が多く、仕事に費やす時間が男性より少ないのが要因の一つです。
また、男性は体力的な面から現場に出て手伝うことができたり、男性が多い製造現場では密なコミュニケーションが取りやすかったりするため、会社から評価されて出世コースに乗りやすい点も関係しています。
しかし、生産管理の仕事は、製品の生産から出荷にいたるまでの進捗管理を行うことが最大のミッションです。常に変化する現場や進捗状況などに対して柔軟に対応できるようになれば、女性も十分活躍できる職業です。
実際に、女性の生産管理職は年々増加傾向にあるとも言われているので、頑張り次第で男性の平均年収以上の収入を得られる可能性があります。
【地域別】生産管理職の平均年収
生産管理の年収は、各地域の経済状況やニーズの高さによっても変わります。
東京都と政令指定都市のある道府県の平均年収を比べてみると、以下の通りです。
都道府県 |
平均年収 |
北海道 | 487.7万円 |
宮城県 | 473.3万円 |
東京都 | 456.1万円 |
埼玉県 | 552.7万円 |
千葉県 | 517.9万円 |
神奈川県 | 611.7万円 |
新潟県 | 455.1万円 |
静岡県 | 526.1万円 |
愛知県 | 465万円 |
京都府 | 497.7万円 |
大阪府 | 508.7万円 |
兵庫県 | 532.7万円 |
岡山県 | 483.3万円 |
広島県 | 507.3万円 |
福岡県 | 469.9万円 |
熊本県 | 430.5万円 |
参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「生産・工程管理事務」(参照 2024-06-10)
生産管理の年収が最も高い地域は神奈川県の611.7万円で、最も低い地域は熊本県の430.5万円です。
2つの地域の年収差は181.2万円で、働く地域によって年収に大きな影響を与えることがわかります。
居住地にあまりこだわりがない方は、年収アップのために一度働く地域を見直してみるのも一つの手です。
生産管理職の平均年収が低いと言われる理由
生産管理の平均年収は約497万円で、国税庁が調査した給与所得者の平均年収458万円より上回っています。
しかし、世間からは「生産管理の仕事は給与が低い」という印象を持たれがちです。
生産管理の平均年収が低いと言われているのは、以下の理由が考えられます。
- 製造業の年収が低い印象を持たれているため
- 業務内容に対する給料が見合ってないと感じる人が多いため
まず、生産管理は、主に製造業で活躍する仕事です。
製造業は、年収が低いというイメージを持つ人が多いことから、「生産管理の仕事も稼げないのでは?」と思われやすい点が要因と言えます。
また、生産管理で働く際は、マルチタスクをこなす能力が求められるうえ、納期に間に合わせなければいけないプレッシャーを抱えながら業務を行わなければいけません。
製品に不良品があれば品質管理を行っている生産管理の責任になることもあるため、非常に責任が重い仕事です。
業務の大変さと給与が見合っていないと感じる人もいるため、生産管理の年収が低いという見方もあります。
参考:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」(参照 2024-06-10)
生産管理職で稼げる人・稼げない人
生産管理職として稼ぎたいなら、業務経験を積みながら以下のスキルを身につける必要があります。
- コミュニケーション能力
- タイムマネジメント力
- 分析力
- 対応力
これらの能力をもとに、生産管理で稼げる人・稼げない人の特徴をまとめました。
生産管理で稼げる人 |
生産管理で稼げない人 |
マルチタスクがこなせる人 |
視野が狭い人 |
マネジメント力がある人 |
イレギュラー対応に弱い人 |
コミュニケーション能力がある人 |
時間にルーズな人 |
生産管理は、基本的に工程ごとのスケジュール調整や関係各所との交渉を同時進行で進めていきます。
そのため、複数の業務を同時に抱えてもストレスを感じにくいマルチタスクが得意な人は稼げる傾向にあります。
また、各工程に適切な人材を配置したり、各部署と調整しながらリソースを割り振りしたり、的確にマネジメントを行えたりするかどうかも、優秀な生産管理職になるうえで重要なポイントです。
的確にマネジメントを行うためには、製品の生産に関わるすべての工程を俯瞰して判断する能力が必要なので、視野が狭い人は生産管理職に向いていない可能性があります。
そして、生産管理職は、各部署と連携するのはもちろん、クライアントや仕入れ業者など、外部の関係者と密にやりとりをすることも求められます。
部署間もしくは製造現場と外部で食い違いや衝突があるケースも珍しくなく、板挟みになりながらもお互いの話を聞いて解決策を模索しなければいけません。
たくさんの人と関わるため、コミュニケーション能力は必要不可欠です。
なお、製造工程に関する突発的なトラブルが起きた際の対応も、生産管理の担当者が行います。
予定通りに作業が進まない場合も珍しくないので、イレギュラー対応に苦手意識がある人は難しいです。
また、生産管理職のタブーは「納期に遅れること」です。
納期厳守を徹底するのはもちろん、作業者に負担をかけすぎないように計画を立てる必要があり、時間の逆算が苦手な人や時間にルーズな人は評価されず、うまく稼げない可能性があります。
生産管理職で年収・給与を上げるポイント
実際に生産管理の仕事をしている方は、「収入が増えない」「もっと年収を上げたい」と考えることも少なくありません。
生産管理職として年収・給与を上げたいなら、以下の方法が有効です。
- 【中小企業に勤めている場合】大手企業に転職する
- 【大手企業に勤めている場合】一社で長く勤務する
- 海外駐在員になる
ここからは上記3つのポイントを「なぜ収入アップにつながるのか」という理由も踏まえて、それぞれ詳しく解説します。
【中小企業に勤めている場合】大手企業に転職する
中小企業に勤務して「なかなか収入が上がらない」と悩んでいる方は、大手企業に転職するのがおすすめです。
企業は、規模が大きくなればなるほど売上が高く従業員の収入も上がりやすいので、大手企業へ転職すれば年収を増やせる可能性があります。
「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模が10~99人の生産管理職の平均年収は414万円、1,000人以上の規模を誇る企業の平均年収は567.7万円です。
その収入差は153.7万円であることから、年収アップを目的とした転職活動において、いかに企業規模の大きさが重要であるのかがわかります。
ちなみに、生産管理職としてより高収入を狙うなら、自社で生産体制を持っている商社が狙い目です。
商社と言えば、貿易の仲介役を担っているイメージがありますが、メーカーと同様に生産体制を整えている総合商社や技術商社も存在します。
自分の実績とスキルが認められて商社の生産管理職に転職できれば、収入アップが期待できます。
なお、生産管理として大企業へ転職をする際は、転職エージェントを利用してみましょう。
大手企業や企業水準が高いハイクラス向けの求人は、有名転職エージェントのみに非公開の求人を出している場合もあります。
転職エージェントに頼れば効率的に大企業の求人を調べられるので、転職活動がスムーズに進みます。
参考:e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-06-10)
【大手企業に勤めている場合】一社で長く勤務する
すでに大手企業に勤務している場合、その企業で長く勤め続けてキャリアを積むのが効果的です。
本記事の「年齢別の平均年収」の項目でもお伝えした通り、実績を積み重ねれば昇給していくので、勤続年数が長ければ長いほど年収アップが期待できます。
また、実績が認められて昇進すれば、役職手当も支給されることから、生産管理職として出世コースを歩めるかどうかも高収入を得られる重要なポイントです。
生産管理職の代表的な出世コースは以下の通りです。
- グループリーダー
- 主任
- 管理職
グループリーダーは各部署を管理する役割、主任はグループリーダーを管理する役割、管理職は主に予算管理や人材育成の役割などを担います。
最初はグループリーダーとなり、その後主任、管理職とキャリアアップしていくのが一般的です。
また、管理職に就いた後は係長・課長・部長と昇進し、最終的には工場長を目指せます。
大手企業で年収アップを目指すなら、一つの会社でキャリアを積んで昇進を狙いましょう。
海外駐在員になる
大手企業によっては、コスト削減のために海外に自社工場を持っているケースも珍しくなく、現地の工場の近くに住んで生産管理を行う海外駐在員の需要が高まっています。
海外に工場を持つ企業に勤めているのであれば、海外駐在員のポストを狙うのも年収を上げる方法です。海外駐在員になれば海外赴任手当がつく場合がほとんどなので、年収が大幅に上がる可能性があります。
また、海外勤務ならではの好待遇を受けられる可能性がある点も魅力です。
たとえば、海外で生活する際に安全面を配慮する意味で、運転手付きの車を手配したり、オートロック完備のタワーマンションを用意したりする企業も存在します。
他にも、海外に家族も一緒に連れていく場合、子どもを現地のインターナショナルスクールに通わせるための費用を一部負担してもらえるケースもあります。
ただし、海外駐在員は、社内で実績を挙げている人から選定するのが基本です。
海外駐在員を目指すなら、まずは日本国内で生産管理の業務に従事し、仕事で結果を出し続けることが大切です。
くわえて、生産管理職の海外駐在員に通訳が付くケースはほとんどないので、ある程度の語学力を習得しておく必要があります。
求められる語学スキルは企業によって異なりますが、TOEICで635点以上が海外駐在員として安心して働けるレベルの目安と言われています。
しかし、外国語が話せないまま海外に赴任して、現地の語学スクールに通いながら工場の管理業務を行う海外駐在員も存在するので、まずは生産管理職としての実績づくりを優先して、スキマ時間に語学の勉強を行うのがおすすめです。
【番外編】生産管理の経験を活かして製造業コンサルタントに転職するキャリアパスもある
同職種の転職にこだわらない方であれば、生産管理職の経験を活かして、コンサル企業に転職して製造業向けコンサルタントを行うという選択肢もありです。
製造業向けコンサルタントは、製造業・メーカーにおける生産工程の改善を行います。
「現状より効率よく業務を進めるための施策」「コスト削減に向けた支援」など、現場の人間が作業に集中できる環境を整えるのが主な役割です。
また、クライアント企業の経営状況を踏まえて、市場・顧客のニーズを調査して、経営戦略の立案・見直しを行う場合もあります。
高度な専門知識と豊富な経験を求められる製造業コンサルタントは、市場価値が高いことから、高収入を得やすいのがメリットです。
生産・物流工程の仕組みを深く理解できている生産管理の経験者は、効果的かつ具体的な提案ができるため、製造業のコンサル業界で活躍できる可能性があります。
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また、生産管理職は経験がものを言う仕事であり、何年もかけてさまざまなスキルの精度を上げていかないと年収を上げにくいデメリットもあります。
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しかし、業務内容に対して給料が見合っていない印象を持たれることから、今よりもっとたくさん稼ぎたいと考えている方も少なくありません。
生産管理職で稼ぎたいなら、以下のポイントを押さえてキャリアを形成していくのが大切です。
ポイント
・【中小企業に勤めている場合】大手企業に転職する
・【大手企業に勤めている場合】一社に長く勤める
・海外駐在員になる
中小企業に勤めている方は、大手企業に転職し、キャリアアップを目指すのがおすすめです。
大手企業に勤めている方は、「今の会社でキャリアを積み上げる」もしくは「海外駐在員を希望する」という方法があります。
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在籍する企業の規模によって稼ぎやすさが変わってくるので、生産管理の仕事をする際は会社選びを慎重に行いましょう!