建築士の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

建築士の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

建築士の年収は、個人のスキルや経験、働く場所によって大きな差があります。
多くの建築士が年収アップを目指す中で、稼げる人と稼げない人の違いは一体何なのでしょうか。
この記事では、建築士の平均年収や収入内訳、さらに年齢や性別、地域別の年収差について詳しく解説します。

また、年収を上げるための具体的なポイントとして、大手ゼネコンへの転職、一級建築士の資格取得、独立開業のメリットなど、建築士として稼ぐための具体的な方法もご紹介します。

  • すぐに年収をアップさせたい方、建築士としてのキャリアを見直したい方にとって役立つ情報が詰まっていますので、ぜひご一読ください。

建築士の平均年収は620万円

建築士の平均年収は620万円です。
これは建築士の平均月給が41.0万円、平均年間賞与が128.2万円という数値を元に計算される数値です。

また、この平均年収をもとに、大学卒業後22歳で建築士として働き始め、同一の企業で定年の60歳まで38年間働き続けると仮定すると、生涯年収は約2億3,560万円にも上ります。

そして、上記は建築士の全年齢の平均値で、最も年収が高い年代である55~59歳の場合は平均年収が777.5万円です。
上記の数値は一級建築士・二級建築士の平均収入を合算したものではありますが、建築士という職業の平均年収は、日本人全体の平均年収458万円と比較すると、かなり高い水準といえます。

建築士は、建築物の設計・監督をするやりがいのある業務内容だけでなく、それに見合った高い報酬を得ることができるという点も魅力的といえるのではないでしょうか。

建築士の収入内訳

建築士の収入は、主に基本給、賞与、そして各種諸手当によって構成されています。
基本給は安定した月額収入の核となっており、そこに年に数回の賞与が加わり、年収が大きく変動します。

さらに、通勤手当、時間外手当、引越し手当、家族手当など、さまざまな諸手当が収入にプラスされることが一般的です。
これらの手当は、働く環境や個人のライフステージに応じても変わります。
建築業界は納期が明確に設定されているため、企業や案件にもよりますが比較的残業が多く、給与の中で時間外手当を占める割合が大きい傾向にあるようです。

また、キャリアを積んで管理職に昇進すると、裁量労働制になる一方で役職手当が新たに付与されることもあります。この役職手当は、責任の大きさや職務の難易度に応じた手当です。
建築士は専門性の高い技術職なので、資格取得や携わる案件によって大きく年収が変わりますが、収入内訳は基本的に上記の要素で構成されています。

【年齢別】建築士の平均年収

年齢別で建築士の平均年収を見ていくと、年齢に応じて右肩上がりで年収アップとなっています。

年齢

平均年収

20~24歳

360.96万円

25~29歳

479.47万円

30~34歳

599.99万円

35~39歳

676.1万円

40~44歳

710.98万円

45~49歳

726.97万円

50~54歳

774.84万円

55~59歳

777.48万円

参照元:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「建築設計技術者」(参照 2024-3-23)

参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「建築設計技術者」(参照 2024-3-23)

建築士は資格やスキルがものをいう職業なので、基本的に経験を積んで高単価な案件に携われるようになるにつれて年収が上がります。そのため、自然と年齢層が上がるにつれて平均年収も上がっていく傾向にある職業です。
ちなみに、定年を迎えると短時間労働となる割合も増えるためか、平均年収は下がりますが、設計や管理といった仕事は体力さえあれば長く続けられる仕事です。
 

【性別】建築士の平均年収

建築士の平均年収を性別で比較すると、男女による収入差が目立ちます。
平均年収は「きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

性別

平均年収

(千円)

きまって支給する現金給与額

(千円)

年間賞与その他特別給与額

(千円)

男女計

6203.6

410.2

1281.2

6415.2

422.3

1347.6

4795.2

329.7

838.8

参照元:e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-3-23)

男性は約640万円なのに対し、女性は約480万円と、その差は100万円以上です。
建築業界は経験とスキル、プロジェクトによっては長時間労働もあるので、女性の場合は妊娠・出産・育児の時期にキャリアにブランクができてしまうケースが珍しくないことが、収入差の原因として考えられます。
 

【地域別】建築士の平均年収

建築士の年収は地域によっても大きな差があります。
東京都と政令指定都市のある道府県の平均年収を比べてみると、以下のとおりです。

都道府県

平均年収

北海道

523.8万円

宮城県

594万円

東京都

704.3万円

埼玉県

587.8万円

千葉県

671.4万円

神奈川県

659.7万円

新潟県

431.9万円

静岡県

592.5万円

愛知県

658万円

京都府

506.4万円

大阪府

618.4万円

兵庫県

633.1万円

岡山県

606.4万円

広島県

551万円

福岡県

634.1万円

熊本県

560.4万円

参照元:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「建築設計技術者」(参照 2024-3-23)

最も平均年収が高い東京都が約704万円に対し、最も平均年収が低い新潟県では約432万円になり、最も高い地域と低い地域で272万円もの差が出ています。
経済活動が活発な都市部では建築の需要が高く、それに伴い建築士の平均年収も高めに設定されています。

一方、地方では、建築物の新設や大規模なリノベーションの機会が比較的少なく、市場の需要に限りがあるため、平均年収が都市部に比べて低くなる傾向があるようです。

 

建築士の平均年収が高いと言われる理由

建築士の平均年収が高いとされる理由は、大きく分けて下記の2つがあります。

  • 資格やスキルが重要視される職業で手当が手厚いから
  • 大手ゼネコンに勤めている建築士が平均を上げているから

まず、建築士という職業は高度な専門知識と技術を要するため、資格手当が手厚く設定されている点が挙げられます。
特に上位資格である一級建築士の資格を持つ建築士は、二級建築士や木材建築士などが設計できない建物の設計を手がけることが可能です。一級建築士はその稀少性と専門性が高く評価され、収入が高い人が多いのです。

さらに、大手ゼネコンや有名な建築設計事務所に勤めている建築士は、平均年収が高くなる傾向にあります。大手ゼネコンは規模が大きく、大型プロジェクトを多く手がけるため、それに見合った報酬体系が整っています。

このような企業では、建築士に対する給与水準も全体的に高く設定されており、賞与や各種手当も充実しているケースが多いです。
上記2つの要素を持つ建築士が平均年収を押し上げているため、建築士全体で見ても平均年収が高い水準となっています。

 

建築士で稼げる人・稼げない人

稼げる建築士は、高い設計技術があることは前提で、さらにプロジェクトを成功に導くための幅広いスキルも持っています。
たとえば以下のようなスキルが必要です。

  • コミュニケーション能力
  • 案件のマネジメント能力
  • 課題解決能力
  • 提案力

一級建築士であっても設計や監理、積算・見積もり、構造設計・監理、インテリアデザインなど、現場で手を動かす作業だけ行っている場合には年収が頭打ちになってしまいがちです。

建築士として高収入を得るためには、プロジェクト全体を見渡して指揮をし、顧客や設計者、監督者、営業担当者とのコミュニケーションを円滑に行うなど、より広い視野と高いスキルが求められます。
具体的に、稼げる人と稼げない人の特徴をそれぞれ定義してみました。

建築士で稼げる人

建築士で稼げない人

勉強熱心な人

自己主張が激しい人

プロジェクト全体を俯瞰して見られる人

チームワークが苦手な人

相手目線で考えられる人

分析やプレゼンが苦手な人

ものづくりに情熱をそそげる人

他人の管理をする仕事に抵抗がある人

稼げる建築士は自分の作業を黙々と行うだけでなく、コンサルティングやマネジメントなど、プロジェクトの成功を目指して他人を引っ張っていける役割も担える人物です。
自分のこだわりが強すぎて意見を譲れない人や、人の管理業務が苦手な人は、チームでプロジェクトを動かす仕事にはあまり向いていません。

自身のスキルを高める熱意と、プロジェクト全体を見ながら動けるスキルを同時に高めていくことが大切です。

 

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建築士で年収・給与を上げるポイント

建築士の平均年収は日本全体の平均年収よりも高いですが、さらに高収入を狙っていくためにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。

ここからは建築士として年収・給与を上げるためのポイントとして、下記の内容について詳しく解説をしていきます。

  • 大手ゼネコン会社に転職する
  • 一級建築士の資格を取る
  • 独立して個人の建築事務所を開業する

より高収入を目指すためのこれらのポイントを、理由を交えながら具体的に見ていきましょう。

 

大手ゼネコン会社に転職する

建築士の主な就職先としては、設計事務所や工務店、ハウスメーカー、ゼネコン、政府機関などが挙げられますが、建築士の年収は、勤務する企業の種類や規模によって大きく変わる傾向にあります。

小規模な企業では、どうしてもプロジェクトの規模が限られているため、必然的に建築士に支払われる給与も抑えられがちです。

対照的に、大手ゼネコン会社などの大規模企業では、多数の大型プロジェクトを手がけることができ、その結果として建築士の給与も高く設定されています。
また、大規模なプロジェクトに携われる企業であれば、自身のスキルアップやキャリア形成にも有利な影響を与える可能性があります。

このような傾向を踏まえると、会社員として建築士としての年収を上げたい場合、大手ゼネコン会社への転職を目指すことが一つの有効な戦略といえるのです。

とはいえ、大手ゼネコンに転職するためには高い専門性や技術力が必要不可欠です。
まずはできるだけ多くの案件に関わって実務経験を積みながら、後述する一級建築士の資格取得を目指すといったスキルアップをはかってから転職活動をすると、希望の企業に転職できる可能性が高まります。

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一級建築士の資格を取る

一級建築士の資格は、建築士として年収を上げる際に必ず視野に入れたい選択肢です。
建築士の資格は一級建築士、二級建築士、木造建築士があり、それぞれ設計・監理を担当できる建築物の種類や規模が異なります。

一級建築士

設計・工事監理できる建物に制限なし
二級建築士 小規模な一般住宅や公共建築物の設計・工事監理
(鉄筋コンクリート造・鉄骨造・石造・無筋コンクリート造・コンクリートブロック造・レン瓦造など)
木造建築士 小規模な木造の建築物の設計・工事監理

一級建築士の資格は、建築設計や監理業務を行う上で必要とされる高度な専門知識と技術を有していることを証明するものであり、あらゆる建築物の設計と監理を行えるようになります。
大規模なプロジェクトに関われるようになる国家資格なので、有資格者の平均年収も高いです。

実際に、令和元年の賃金構造基本統計調査によれば、男性の一級建築士の平均年収は718万円で、建築士全体の平均年収620万円を大きく上回っています。このデータからも、一級建築士が高い収入を得られるポジションにある点が伺えます。

しかし、一級建築士として認定されるためには、最低でも2年間の実務経験を積んで一級建築士試験に合格することが条件です。

とはいえ、この実務経験は、建築設計や工事の監理など幅広い知識と技術を身につける貴重な機会です。
実務経験を通じて一級建築士として必要な能力を磨き上げることができるため、前向きに捉えて自身のスキルアップに活かしましょう。

独立して個人の建築事務所を開業する

独立開業も、建築士として収入を上げるための選択肢のひとつです。

ゼネコン会社や建築設計事務所で実力をつけ、豊富な経験を積んだ後に、個人の建築事務所を開業して、より高収入を得られる可能性があります。
直接クライアントと交渉ができるので、より大きな利益を得ることが可能です。また、独立すれば自身のビジョンに基づいたプロジェクトだけを手がけられる点もメリットです。

しかし、独立開業で成功するのは決して容易ではありません。特に、実績やコネクションが不足していると、会社に属していた時に比べて、収入が下がってしまう場合もある点は注意が必要です。

また、建築事務所を開設するためには、法律で定められた要件を満たす必要があります。
その一つが、事務所に管理建築士を置くことです。管理建築士は、事務所の建築業務全般を管理監督する重要な役割を担い、事務所の信頼性や業務の質を保証するために不可欠な存在です。

  • 独立開業はハードルが高い分、大幅な年収アップにも繋がる可能性があるので、実力や条件が整ったのちに踏み切ってみてください。

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年収の高い建築士の求人を探すなら?

先述したように、建築士として年収アップを目指すなら、大規模なゼネコンなどより大きな企業に転職し、スキルとキャリアを重ねていくことが重要です。
ここでは年収の高い建築士の求人を探すために役立つ、建築業界に特化した転職サイトをご紹介します。

RSG建設転職

施工管理・発注者支援・設計・積算・購買の転職に特化した建設業界専門のエージェントです。業界を熟知したプロによる、オリジナルの面接対策があるのもポイントです。

建設・設備求人データベース

施工管理・設備管理・設計の正社員求人に特化した転職サイトです。建設業界に特化したハウツー記事もあるので目を通してみましょう。

建築転職

建築業界専門の転職エージェントです。中途採用に強く、非公開求人も豊富に見つけることができます。

建設業界に特化した転職サービスは、業界の事情を知り尽くしたプロからのアドバイスをもらえる場合もあります。

  • 自力での転職に不安がある方はエージェントサービスを使ってみるのも手です。

  

建築士以外だと、未経験でも年収1000万円を目指せるナイト系もおすすめ!

建築士として活躍するためには高度な専門知識が求められ、そのためには建築士試験の合格が必須となります。
特に一級建築士の資格を目指す場合には難易度の高い試験に合格するだけでなく、最低2年以上の実務経験が必要とされるなど、一定の努力と時間が必要です。

一方で、ナイト業界は業界未経験で転職する人が多く、特別なスキルや長期の経験を必要としません。実力や結果重視のため昇給・昇格の速度も早い傾向にあり、年収1000万を目指せる業界です。
高校生を除く18歳以上であれば基本的に応募可能なため、時間をかけず高収入を目指したい人はひとつの選択肢として考えるのもありです。

  • 業界を問わずに自らの能力を活かして高収入を目指したいという方は、ぜひ一度求人をチェックしてみてください。

 

建築士で稼ぐにはスキルアップや大手ゼネコンへの転職が重要!

建築士の平均年収は日本全体の平均年収を上回っていますが、さらに稼ぎたい場合は以下のようなポイントを押さえ、キャリアを形成していくことが重要です。
 

iconポイント

・大手ゼネコン会社に転職する
・一級建築士の資格を獲得する
・独立して個人の建築事務所を開業する

建築して年収を上げるためには、まずは高度な技術やスキルの習得が必須となります。
一級建築士の資格を身につけるなどの準備をしっかりしてから、関われる業務の幅を増やしたり、より給与水準が高い企業へと転職したりするのがおすすめです。

また、独立して個人の建築事務所を開業するという道を選んで、平均を大きく上回る年収を期待することもできます。
建築士として高収入を得るために、今から戦略的なキャリアアップを目指していきましょう。

著者情報

シュウジ
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兵庫県生まれ。都内の私立大学卒業後、パチンコにハマって単位を落とすも、一浪して大学を卒業。派遣社員として工場で働きながら、副業としてナイト系ドライバーやせどりを始める。
本業に嫌気がさし、転職を決意し資格取得に励む。奇跡的に大手人材会社に入社し、給料が倍になり人生が変わる。人材業界でさまざまな職業や経歴を持つ人々との交流を通じて知識を蓄え、2023年にブログ「仕事図鑑」を開設。