介護事務の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

介護事務の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

介護事務は、主に介護施設の事務業務を担っており、介護施設の受付業務や総務業務、ケアマネージャーのサポート業務も行います。

このように、介護施設を運営するうえで欠かせない存在であるにもかかわらず「介護事務は稼げない」という声も少なくありません。

  • 介護事務の詳しい年収が知りたい

  • 介護事務は年収が低いイメージがあるけど実際はどうなの?

  • 介護事務員として今よりもっと稼げるようになりたい!

このように、介護事務の給与事情が気になっている方が多いのではないでしょうか。

本記事では、介護事務の平均年収はもちろん、年齢・性別・地域ごとの年収、介護事務で稼げる人の特徴や給与アップのポイントもご紹介します。

  • 介護事務員を目指している方はもちろん、年収を上げたい現役介護事務員の方もぜひ参考にしてください!

介護事務の平均年収は437万円

介護事務の平均年収は約437万円です。
この平均年収額は厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータを参考に「(月給29.9万円×12カ月)+年間賞与77.7万円」で算出しています。

大学卒業後に介護事務員になり、22歳から定年の60歳までの38年間同一の介護施設で働き続けた場合、単純計算で生涯年収は約1億6,568万円です。

また、介護事務員が年収のピークを迎えるのは55歳から59歳頃で、この年代の年収は521万円という結果も出ています。

ただし、平均年収額は「その他の一般事務従事者」から算出しており、他の業種の事務も含まれている数字である点にご留意ください。

参考:
職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「介護事務」(参照 2024-02-12)
e-State政府統計の総合窓口「賃金構造基本統計調査 14 職種(小分類)、性、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-02-12)

介護事務の収入内訳

介護事務の収入内訳は、「基本給」にくわえ、業績に応じて支給額が決まる「賞与」、通勤手当・時間外手当・家族手当などの「諸手当」で構成されています。

諸手当は、リーダーや事務長といった管理職に昇進すると、役職手当も付くことが一般的です。また、介護事務で活かせる資格取得者に対しては、資格手当を支給する施設も多いです。

そして、介護施設によっては、年末年始手当や休日勤務手当といった勤続年数やスキルに関係なく支給される手当もあります。

このように、介護事務の職場は、自分の頑張り次第で収入アップが狙えるような仕組みが整っている傾向にあるのが特徴です。

【年齢別】介護事務の平均年収

介護事務の平均年収は年齢によって変わり、年齢が上がるにつれて年収も高くなっていきます。

年齢 平均年収
25~29歳 約361.32万円
30~34歳 約399.97万円
35~39歳 約445.51万円
40~44歳 約449.8万円
45~49歳 約479.76万円
50~54歳 約514.76万円
55~59歳 約521.08万円
20~24歳 約293.34万円
参照元:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「介護事務」(参照 2024-02-12)

介護事務で最も年収が低い年代は、20歳~24歳で約293.34万円です。30歳~34歳の平均年収は約399.97万円となり、10年ほどで約46万円上がっています。

これは、実務経験の積み重ねや資格取得によって昇給した背景があると考えられます。

また、ゆるやかながらも55歳から59歳まで平均年収が上がり続けていることから、勤続年数が長ければ長いほど収入アップが期待できる可能性が高いです。

【性別】介護事務の平均年収

介護事務員の平均年収は、性別によって異なります。

下記の表では、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータより、「(きまって支給する現金給与額×12カ月)+年間賞与その他特別給与額」の算出方法で、男女ごとの平均年収をまとめました。

※「その他の一般事務従事者」をもとに算出

性別

平均年収

(千円)

きまって支給する現金給与額(千円)

年間賞与その他特別給与額(千円)

男女計

4,374.3

299.7

777.9

5,807.2

383.1

1210.0

3,724.9

261.9

582.1

参照元:e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-02-12)

男性介護事務員の平均年収は約580.7万円、女性介護事務員の平均年収は約372.4万円となっており、男女間で約200万円以上の収入差が出ています。

介護事務を目指す場合、このような男女間の賃金格差を理解したうえで、慎重にライフプランを立てましょう。

【地域別】介護事務の平均年収

介護事務の平均年収は、地域によっても変動します。

給与は、地域の物価や利用者からのニーズ、同業他社の給与状況などを加味して決定するため、同じ業務内容でも地域によって収入に差が出る場合が多いです。

以下の表では、東京都と政令指定都市のある道府県でどれくらい平均年収に差があるのか比較しました。

都道府県

平均年収

北海道

402.2万円

宮城県

465.3万円

東京都

513.9万円

埼玉県

443万円

千葉県

418.5万円

神奈川県

438.7万円

新潟県

367.2万円

静岡県

443.5万円

愛知県

408.7万円

京都府

463.4万円

大阪府

446.9万円

兵庫県

390.9万円

岡山県

436.2万円

広島県

403万円

福岡県

378.7万円

熊本県

353.8万円

参照元:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「介護事務」(参照 2024-02-12)

最も平均年収が高い地域は、513.9万円の東京都でした。一方で、最も平均年収が低い地域は熊本県の353.8万円で、比較すると約160万円もの賃金格差が生じていることが分かります。

介護事務で給与が高い施設の求人を探す時は、平均年収が高い地域に絞ってみると見つけやすくなるかもしれません。

介護事務の平均年収が低いと言われる理由

約437万円という介護事務の平均年収は、全職種の平均年収と比べて低いと言えます。

介護事務の平均年収が低いと言われる理由は、主に以下3つです。

  • 国から支給される介護報酬から給料が支払われている
  • 介護施設の内部留保額が高い
  • 専門職として認知されにくい

介護施設は、毎月国から支給される介護報酬から、賃料や水道光熱費といった必要経費を捻出しています。

介護報酬とは
介護施設が要介護認定を受けた人や支援が必要な人に対して介護サービスを提供した場合に国から支払われる報酬を指す。

介護報酬額は、介護保険法をもとにあらかじめ上限額が設定されており、施設側が勝手に報酬額を上げられない決まりになっています。国から支払われる報酬で施設を運営しなくてはならないので、大幅な給料アップは難しいのが現状です。

また、介護施設によっては安定した運営を行うために、純利益を人件費に回さない内部留保額の割合を大きくする動きもあります。施設を長く運営するうえで仕方がないこととは言え、内部留保額が高くなればなるほど介護事務員やその他介護スタッフの給料に反映されにくくなってしまいます。

そして、介護事務はレセプトと呼ばれる介護サービス提供費用の請求書の作成をはじめ、介護医療におけるさまざまな専門知識が必要な業務が多いです。しかし、資格なしで働けるがゆえに、国家資格の取得が必須の介護福祉士やケアマネージャーと比べて専門職として認知されにくく、給料も低くなる傾向があります。

このように、介護事務は事務職の中でも専門性が高い部類に入るにもかかわらず、年収が上がりにくい背景があることから、「稼げない」「年収が低い」と言われているのです。

介護事務で稼げる人・稼げない人

介護事務で稼ぎたいのであれば、自分に適性があるかどうかを見極めて、能力を磨く必要があります。

重宝される介護事務員に求められる能力は、以下の通りです。

  • 受付業務で親切丁寧に応対するための「コミュニケーション力」
  • 正確に業務に取り組むための「集中力」
  • 介護請求額を不備なく算出するための「計算力」
  • 期限内に業務を完了させるための「スケジュール管理能力」

これらの能力を参考に、介護事務になって稼げる人・稼げない人の特徴をまとめました。

介護事務で稼げる人

介護事務で稼げない人

介護や福祉業界に興味がある人

介護や福祉業界に興味がない人

人と話すことが好きな人

一人で黙々と仕事をしたい人

正確性を追求できる人

仕事に対する集中力が続かない人

経理の知識がある人

数字や計算に対して苦手意識がある人

計画性を持って仕事を進められる人

時間にルーズな人

 

介護事務員は、利用者やその家族など訪問者の窓口対応を行うため、人と話すことが好きな人に向いています。

また、介護事務のメイン業務であるレセプト作成は、期限内にさまざまな請求書や明細書の金額を算出する力も必要です。万が一レセプトに不備があったり期限内に完了できなかったりした場合、施設の財源である介護報酬の受け取りが遅れる原因につながります。

そのため、経理の知識を持っているのはもちろん、計画性や正確性を兼ね備えた人も活躍できる仕事と言えます。

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介護事務で年収・給与を上げるポイント

ここからは、介護事務員が年収を上げるために押さえたいポイントを3つ紹介します。

介護事務は他の職種と比べると年収が低い傾向にありますが、管理職・資格取得を目指したり、職場を見直したりすることで給与アップができる可能性があります。

下記のポイントを詳しく解説するので、「介護事務の年収に不安や不満がある」「今以上に稼ぎたい」と考えている方はぜひ実践してみてください。

  • 管理職に昇進する
  • 資格を取得する
  • 給料の高い施設などに転職する

ポイント1:管理職に昇進する

在職中の施設で収入を上げたい場合は、管理職への昇進を目指しましょう。多くの施設では、管理職に対して役職手当を支給しているので、収入アップを望めます。

管理職へのキャリアアップを目指すなら、求められる以下3つの点を意識してみましょう。

  • マネジメントスキルを磨く
  • 事務以外の介護に関する業務をできるようにする
  • 同じ施設で長期間勤務する

管理職に就くと、既存の業務にくわえて、施設の事務業務全体の進捗管理や部下の育成といったマネジメント業務も発生します。

キャリアアップを狙うのであれば、業務全体を俯瞰(ふかん)的に見たりスタッフ全員と積極的にコミュニケーションを取ったりして、マネジメントスキルを高められるように意識することが大切です。

また、介護福祉士やケアマネージャーの業務内容といった事務以外の介護業務ができるようになれば、任される業務が増える分昇給や昇格が狙えます。特に規模が小さい介護施設は、複数の業務を兼任できる人材を重宝する傾向があります。

介護職は、資格取得が必須の職業が多いものの、収入アップやキャリアアップのチャンスも多くなるメリットもあるので、介護業界で長く活躍したい方はぜひ検討してみてください。

そして、同じ施設で長く働くことも年収アップのポイントです。介護業界では、勤続年数が長ければ長いほど収入が上がりやすい特徴があります。自分が今の職場に合っていると感じている場合は、日頃からきちんと業務に取り組んで、勤続年数を伸ばしていきましょう。

ポイント2:資格を取得する

介護事務は、資格がなくても働ける仕事ですが、多数の民間資格が存在します。資格を取得すれば資格手当が支給されて年収が上がるのはもちろん、介護事務に関する知識取得の証明になるので、好待遇の施設へ就職したい時に有利です。

ここでは、「介護事務管理士®」「ケアクラーク技能認定試験(ケアクラーク®)」の2つの資格をご紹介します。

 

介護事務管理士®

ケアクラーク技能認定試験
(ケアクラーク®)

主催

JSMA技能認定振興協会

日本医療教育財団

特徴

・介護保険制度やレセプト作成のスキルが証明できる。

・介護保険制度や介護事務業務のスキルが証明できる。

・ケアマネジャーのサポート業務に必要な知識も身に付く

受験方法

在宅受験

在宅受験

どちらの資格も受験資格が設けられておらず、自宅で試験を受けられる手軽さが魅力です。資格取得の難易度もそこまで高くないので、介護事務に興味がある方はぜひ挑戦してみてください。

ポイント3:給料の高い介護施設に転職する

介護事務の給与は、介護施設の規模や福利厚生の数などによっても左右されます。

「介護事務として同じ施設に数年以上働いているけど、なかなか年収が上がらない」という方は、給料面の条件が良い介護施設に転職することも検討しましょう。

介護施設は、特別養護老人ホームやケアハウス、シニア向け分譲マンションなど種類が豊富で、転職先の選択肢が多いです。

介護施設の種類によっては、任される業務内容や求められる能力が異なり、それに応じて年収も変わるため、年収を上げるうえで職場選びは重要です。

また、介護事務の年収は地域によっても変動するので、住む場所にこだわりがない方は年収の高い地域の介護施設に転職するのもおすすめです。

参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(参照 2024-02-22)

年収の高い介護事務の求人を探すなら?

介護事務員が年収アップを目指して転職をするなら、以下のエージェントサービスから求人を探してみるのがおすすめです。

ウィルオブ介護

全国各地の介護求人を取り扱っている、厚生労働大臣から認可を受けた介護職専門の転職サービスです。

介護ジョブ

こだわり条件と勤務地を組み合わせて自分にぴったりの求人を探せる、介護・福祉に特化した転職エージェントです。

せんとなび介護

福祉の現場で実務経験を積んだコンサルタントがサポートしてくれる、介護・保育・看護の総合求人サイトです。

転職活動には不安や悩み、疑問がつきものですが、エージェントサービスを利用すれば介護業界に精通した専門スタッフに相談できます。

エージェントサービスからのサポートを受けて、待遇面も収入面も自分の理想通りの求人を見つけてみてください。

介護事務以外だと、未経験でも年収1000万円を目指せるナイト系もおすすめ!

介護事務は、自分の努力次第で収入を上げることも可能ですが、他の職種と比較しても平均年収は高くありません。介護施設の財源にあたる介護報酬は、国によって基準額が決められており、年収1,000万円以上の高収入を稼ぎ出すのは現実的に難しいです。

「実力次第で高収入を狙える仕事に就きたい」という方は、ナイト系の仕事がおすすめです。

ナイト系は、結果さえ残せばスピード昇給・昇格につながる仕事が多く、年収1,000万円を得ることも珍しくありません。18歳以上(高校生不可)の条件をクリアできれば、学歴や経験、資格を問わず応募できる求人ばかりなので、どなたでも転職できるチャンスがあります。

未経験からでも高収入・ハイキャリアを狙えるナイト系の仕事をぜひチェックしてみてください。

介護事務で稼ぐには資格取得や転職が重要!

先述した通り、介護事務の平均年収は約437万円です。

国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」に記載されている給与所得者の平均年収が458万円である点を踏まえると、介護事務の年収は低めと言えます。

※参考:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」(参照 2024-02-12)

しかし、介護事務員として年収を上げる方法がないわけではありません。介護事務員が年収を上げる方法をあらためてご紹介します。

  • 管理職に昇進する
  • 資格を取得する
  • 給与の高い施設に転職する

上記のポイントを押さえながら実務経験を積み、スキルとキャリアを地道に高めていけば、介護事務員として年収アップできる可能性があります。
稼げる介護事務を目指すなら、転職や資格取得など積極的にチャレンジしていきましょう。

著者情報

シュウジ
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兵庫県生まれ。都内の私立大学卒業後、パチンコにハマって単位を落とすも、一浪して大学を卒業。派遣社員として工場で働きながら、副業としてナイト系ドライバーやせどりを始める。
本業に嫌気がさし、転職を決意し資格取得に励む。奇跡的に大手人材会社に入社し、給料が倍になり人生が変わる。人材業界でさまざまな職業や経歴を持つ人々との交流を通じて知識を蓄え、2023年にブログ「仕事図鑑」を開設。