理学療法士の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

理学療法士の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ
  • 資格をとって理学療法士になりたいけど、年収はどのぐらいになるんだろう

  • 現役の理学療法士だけど年収が上がらない。どうすれば給料が上がるのか悩んでいる

本記事では、このような理学療法士(PT)の年収に関する疑問や悩みを解消するために、理学療法士の平均年収、性別や地域差による収入差の背景、そして実際に収入を増やす方法などを網羅的に掘り下げています。

どのような理学療法士が高収入になりやすく、どのようなキャリアを積んでいけば年収アップが見込めるのか、具体的なポイントを一つ一つ説明していくので、年収アップを目指す理学療法士の方にとって、具体的な行動計画を立てることにも役立つ内容です。

キャリアアップを図りたい理学療法士の方はもちろん、理学療法士を目指そうと考えている方もぜひ参考にしてください。

理学療法士の平均年収は430万円

理学療法士の平均年収は約430万円です。これは厚労省の統計により、理学療法士の平均月給が約30万円、年間の平均賞与が約69.8万円という数字をもとに計算しています。

また、このデータをもとに、4年制の大学卒業後に22歳から定年の60歳まで38年間勤務したと仮定した場合の生涯年収は約1億6,640万円です。

国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、全給与所得者の平均年収が458万円(男性563万円、女性314万円)であるのに対し、理学療法士の平均年収は若干低い水準にあると言えます。

ちなみに年齢別で見ると、55~59歳で年収のピークを迎え、その金額は約570万円です。

参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「理学療法士(PT)」(参照 2024-1-31)

理学療法士の収入内訳

理学療法士の基本的な収入の内訳としては、基本給に加えて賞与があるほか、様々な手当も無視できません。手当は主に、通勤手当、時間外手当、家族手当、住宅手当などが挙げられ、これらの諸手当の有無も給与の総額に大きく影響します。

また、職場での役職が上がるにつれて、役職手当が加算されることも多いです。これは、責任の大きさや業務の範囲に応じて支給されるもので、キャリアアップに伴う収入増加の一因となり得ます。

さらに、理学療法士は業務に直結する専門的な資格が豊富なことが特徴で、スキルを高めるための努力も収入に反映されます。たとえば、認定理学療法士、専門理学療法士、心臓リハビリテーション指導士などの資格を取得すると資格手当が支給される場合があるので、積極的な資格の取得も年収を上げる手段の一つです。

【年齢別】理学療法士の平均年収

理学療法士の平均年収は年齢を重ねるにつれて上がる傾向にあります。

年齢

平均年収

20~24歳

335.78万円

25~29歳

392.04万円

30~34歳

421.41万円

35~39歳

455.59万円

40~44歳

497.58万円

45~49歳

517.99万円

50~54歳

515.04万円

55~59歳

570.18万円

参照元:参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「理学療法士(PT)」(参照 2024-1-31)

とは言え、20~24歳の平均年収が335.78万円なのに対し、ピークとなる55~59歳では570.18万円です。勤続年数に応じた給与アップがあると推察できるものの、年収が1千万円に届くほど大幅に収入を上げるのはなかなか難しいと推測できます。

平均年収よりも稼ぎたい方は、コツコツと地道に目の前の仕事に取り組むだけでなく、専門的な資格を取得したり、後述するような年収を上げるポイントを実践したりすることが大切です。

【性別】理学療法士の平均年収

理学療法士の平均年収は男女でそこまで大きな違いがない点が特徴です。

平均年収は「きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

性別

平均年収

(千円)

きまって支給する現金給与額

(千円)

年間賞与その他特別給与額

(千円)

男女計

4167.6

289.1

698.4

4332.8

301.6

713.6

3988.0

275.5

682.0

参照元:参考:e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2021-1-31)

男性の方がやや平均年収が高いものの、女性は産休や育休を取り収入が下がる人がいるという点を考慮に入れると、そこまで大きな差ではないと考えることもできます。

言い換えれば、理学療法士は性別に関係なく活躍しやすい職種であると言って良いでしょう。

【地域別】理学療法士の平均年収

理学療法士の収入水準は、各地域の物価や市場の需要などに応じて異なります。

東京都と政令指定都市のある道府県の平均年収を比べてみると、以下のとおりです。

都道府県

平均年収

北海道

424.1万円

宮城県

421.4万円

東京都

475.8万円

埼玉県

422.7万円

千葉県

421.9万円

神奈川県

425.4万円

新潟県

451.2万円

静岡県

461.7万円

愛知県

431.4万円

京都府

413.7万円

大阪府

474.8万円

兵庫県

475.1万円

岡山県

410.2万円

広島県

419.3万円

福岡県

410.3万円

熊本県

441.9万円

参照元:参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「理学療法士(PT)」(参照 2024-1-31)

東京都や大阪府、兵庫県などの平均年収が470万円以上なのに対し、岡山県や福岡県は410万円台というデータが出ています。

大都市圏なら平均年収が高いと一概には言えないものの、地域ごとに理学療法士の需要は異なるため、収入アップを目指すのであれば平均年収が高い地域での就職を視野に入れることも重要です。

理学療法士の平均年収が低いと言われる理由

理学療法士は国家試験に合格する必要があり、なおかつ医療現場で欠かせない存在であるにもかかわらず、年収は日本の平均水準と比較してやや低めです。

この背景には、いくつかの要因が挙げられます。

  • 理学療法士が供給過多な傾向にある
  • 収入が診療報酬制度に左右されてしまう
  • 開業権がないので独立開業ができない
  • 長時間労働に対して収入が割に合わない場合がある

まず、理学療法士の数が年々増加しており、供給過多の状態にあるのが理由の一つです。日本理学療法士協会の統計によると、2011年の理学療法士有資格者の累計は約9万人なのに対し、10年後の2021年には約19万人となっています。

日本では高齢化が進んでいるので理学療法士の需要自体も上がってはいますが、10年の間に2倍以上も理学療法士の人数が増えているため、多くの理学療法士が職場を求める中で競争が激化しています。結果としてその地域で理学療法士が飽和状態になれば、給与水準が抑えられてしまう傾向があるのです。

次に、理学療法士の収入は診療報酬制度に大きく左右されます。この制度では治療内容や時間に応じた報酬が定められており、1日に稼げる金額には自然と上限が設けられてしまいます。

独立して自分で報酬を決めようという手段もあるかと思いきや、法律によって医師がいない現場での理学療法は認められていないため、理学療法士として独立することはできません。

また、医療分野全体が長時間労働にもかかわらず、業界全体でその対価としての十分な報酬を反映していない傾向にあるという点も、理学療法士の給与が低めに設定される一因となっています。

これらの要因が複合的に作用し、理学療法士の平均年収が他の職種に比べて低い状況にあると言われているのです。

参考:日本理学療法士協会「統計情報」(参照 2024-1-31)

理学療法士で稼げる人・稼げない人

専門的な知識・スキルを駆使しながら患者さんと直接接する理学療法士の仕事では、求められる主な能力は以下です。

  • コミュニケーション能力
  • 体力
  • 忍耐力
  • 洞察力

これらの能力を兼ね備えている人が必然的に稼げる理学療法士になれる人と言えますが、もう少し詳細に稼げる人・稼げない人の特徴を分類してみました。

理学療法士で稼げる人

理学療法士で稼げない人

・前向きに患者さんと向き合える人

・感受性が強すぎる人

・体力があり我慢強い人

・体力がない人

・コミュニケーション力が高い人

・コミュニケーションが苦手な人

・日々勉強ができる人

・学ぶことが苦手な人

・洞察力・観察力を持っている人

・細かい変化に気づくのが苦手な人

理学療法士で稼げる人は、患者さんとの関わりを大切にし、体力があり、根気強いことが特徴です。新しい知識を学ぶ意欲や、患者さんの状態を敏感に察知する観察力や洞察力も、かなり重要な要素になります。

とは言え、患者さんの気持ちや体調の変化に同調しすぎて自分の気持ちも落ち込んでしまうと仕事が進まなくなるので、ある程度前向きに割り切る強さも重要です。

理学療法士で年収・給与を上げるポイント

ここからは理学療法士として年収・給与を上げるためのポイントを解説していきます。理学療法士で給与を上げるには、下記のようなポイントがあります。

  • 海外で理学療法士として働く
  • 休日に訪問リハビリの副業をする
  • スキルを高めて関連分野で独立開業する

資格を取って資格手当の支給を狙う、管理職に昇格する、別の勤務先に転職するといった他の職業にも共通する方法ももちろんありますが、大幅な年収アップを狙うのであれば、これらの方法が有効です。

それぞれ詳しく解説していきますので、大きく年収を上げたい方はぜひ参考にご覧ください。

海外で理学療法士として働く

まず理学療法士で年収を上げる方法として挙げられるのが、海外で働くことです。

特にアメリカでは理学療法士が高い年収を得られるチャンスがあり、日本人の理学療法士が英語を学んで渡米しているケースも少なくはありません。

ただし、海外で理学療法士として働くには、その国で定められた条件を満たす必要があります。たとえばアメリカで理学療法士として働くためには、大学卒業に加え大学院に3年通い、さらにNPTE(National Physical Therapy Exam)という試験の合格が必須です。

容易ではありませんが、アメリカやイギリスでは理学療法士が開業権を得ることも可能なので、現地で資格を取得して独立する道も開けます。

ちなみに日本で理学療法士を取得している場合、現地の養成校に通学して資格を取得するか、「国際免許書き換え試験」に合格すれば、免許の互換ができる国で理学療法士として働けるようになります。

このように、海外で理学療法士として働けば、大幅な年収アップにつながるチャンスにつながりますが、かなりの努力が求められる点は注意が必要です。

  • 海外で働くことに抵抗がなく、現地に渡って新たに勉強する覚悟と余裕がある方は、選択肢の一つです。

休日に訪問リハビリの副業をする

今の職場を変えずに年収を上げるのであれば、理学療法士の経験を活かしながら副業として訪問リハビリを行うという手もあります。

理学療法士の知識やスキルを活かせる副業は他にもスポーツトレーナーやセミナー講師、週末整体院などがありますが、訪問リハビリは需要が高い仕事で時給が高く、さらに自分のライフスタイルに合わせたスケジューリングが可能です。

アルバイトとして週に一度のみの勤務や、昼休み・仕事終わり・休日のみの勤務などもできるので、本業とのバランスを保ちながら無理なく副収入を得られます。

また、訪問リハビリは、個々の患者さんとじっくりと向き合って質の高いリハビリテーションを提供することが求められます。そのため、スキマ時間を使って訪問リハビリの業務に従事すれば、収入アップだけでなく、実務経験を深めることにもつながるチャンスです。

  • ただし、本業の勤務先によっては副業が不可の場合もあるので、そもそも副業ができるかどうかは必ず事前に確認してください。

スキルを高めて関連分野で独立開業する

独立開業も年収を大幅に上げるチャンスになります。

独立すれば自身の努力や事業の成功次第で高い収入を得られます。しかし、日本では医師がいない現場での理学療法は法的に禁止されているため、理学療法士を提供する形での独立開業は認められていません。

そのため、以下のように理学療法士としての知識や技術を活かしながら、フリーランスになったり、理学療法を提供しない事業で開業したりすることが前提となります。

icon参考

【理学療法士に近い分野で開業権のある国家資格の例】
柔道整復師
あん摩マッサージ指圧師
鍼灸師

【理学療法士としての知見を活かして独立開業する例】
フリーランスの理学療法士として医療機関や介護事務所で働く
整体院やリラクゼーションサロン、エステサロンなどを開業する
介護予防事業で開業する

特に高齢化社会における介護予防事業の需要は高いので、理学療法士の専門性を生かしたサービスなどは大きな強みです。理学療法士は介護予防などの分野においても適性があり信頼性が高い資格でもあるため、「理学療法士の有資格者」の肩書は大きな訴求力となります。

独立開業は、ビジネスをゼロから築き上げるため、成功するためには専門性を深めるだけでなく事業計画、マーケティング、経営管理など、多岐にわたるスキル・知識・センスが求められます。

  • 困難な道のりではありますが、成功すれば収入を大幅にアップさせることができますし、自分のライフスタイルに合った働き方も可能です!

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理学療法士以外だと、未経験でも年収1000万円を目指せるナイト系もおすすめ!

理学療法士は、国家資格の取得が必要でさらに専門性がある職にもかかわらず、意外にも平均年収はそれほど高くはありません。必要な勉強時間やスキル・労力に見合った給料を得にくいのが現実と言えます。

一方、ナイト系の仕事は特別な学歴や職歴、スキルは一切不要で、短期間で高収入を目指せます。ナイト系がおすすめの具体的な理由は以下です。

  • 採用・入社後ともに学歴や職歴、特別な資格は不問
  • 業界未経験でも初任給が高い傾向にある
  • やる気や結果に応じてすぐに昇給・昇格できる傾向にある
  • 幹部や店長、独立開業といった道も選びやすい

ナイト系の仕事は、結果さえ出せれば収入が上がりやすく、比較的短期間での高収入達成が可能です。試験勉強や専門的な学校に入るといった条件もなくすぐに始められるので、今すぐ収入を上げていきたい方にとっても向いています。

また、管理職になりたい方や独立したい方を応援してくれる職場が多いというのも、ナイト系の業界の一つの特徴です。

もちろん、ナイト系の仕事にもそれなりのリスクやデメリットも存在しますが、理学療法士にこだわりがないのであれば別の分野でのキャリア構築を考えるのも一つの選択肢になります。

  • キャリアチェンジして異なる分野で高収入を目指すのも、経済的な自由を実現するための有効な手段ですよ!

理学療法士で稼ぐにはスキルとキャリアアップが重要!

理学療法士の平均年収は日本全体の平均年収と比べると若干低い傾向にあります。そのため、理学療法士で収入をアップさせるためには、キャリアアップが不可欠です。

理学療法士として稼ぐための重要ポイントを改めて下記にまとめます。

  • 理学療法士として稼げる人の特徴は「前向きに患者さんと向き合える人」「体力があり我慢強い人」「コミュニケーション力が高い人」「日々勉強ができる人」「洞察力・観察力を持っている人」
  • 理学療法士として大幅に年収を上げるなら「海外で理学療法士として働く」「休日に訪問リハビリの副業をする」「スキルを高めて関連分野で独立開業する」という選択肢がある

これらのポイントを押さえ、理学療法士での収入を増やすための戦略を立てることが大切です。スキルアップやキャリアアップの取り組みを通じて、より高い年収を目指していきましょう。

著者情報

シュウジ
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兵庫県生まれ。都内の私立大学卒業後、パチンコにハマって単位を落とすも、一浪して大学を卒業。派遣社員として工場で働きながら、副業としてナイト系ドライバーやせどりを始める。
本業に嫌気がさし、転職を決意し資格取得に励む。奇跡的に大手人材会社に入社し、給料が倍になり人生が変わる。人材業界でさまざまな職業や経歴を持つ人々との交流を通じて知識を蓄え、2023年にブログ「仕事図鑑」を開設。