医療事務の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

医療事務の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ
  • 医療事務の仕事に興味があるけど、どれくらい稼げるものなの?

  • 医療事務で年収アップするには、具体的に何をするべき?

このような疑問を抱えている方に向けて、本記事では医療事務の年収事情や給与を上げるポイントについて徹底解説します。

収入の内訳や年齢・地域別の平均年収も紹介するので、この記事を読めば、医療事務の年収に関する疑問を解消できます。

これから医療事務の仕事に就こうと考えている方や、医療事務員として現在活躍されている方にとって有益な情報が得られる内容ばかりです。ぜひ最後までご覧ください。

医療事務の平均年収は約478万円

医療事務の平均年収は約478万円です。

この平均年収は厚生労働省が公表している統計を参考に、月給32.3万円、年間賞与91万円から算出しています。

4年制大学を卒業後、22歳で医療事務に就いたと仮定して60歳まで働いた場合の生涯年収は、約1億8,164万円です。

また、医療事務は55~59歳で収入額のピークを迎える傾向にあり、その平均年収は約556.32万円になります。

国税庁が公開しているデータによると、日本の全給与所得者の平均年収は460万円です。この年収額を踏まえると、医療事務の年収は平均的な水準であると言えます。

なお、今回紹介した平均年収は「その他の一般事務従事者」から算出しており、医療系以外の事務職のデータも含まれています。

  • 年収額は、資格の取得状況や勤務先によっても大きく異なるため、あくまで参考値である点にご注意ください。

参考:
職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「医療事務」(参照 2024-09-23)
e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-09-23)
国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」(参照 2024-10-04)

医療事務の収入内訳

医療事務の収入は、基本給や賞与にくわえ、通勤手当や住宅手当といった諸手当などで構成されているのが一般的です。

手当は、管理職への昇進によってもらえる「役職手当」以外にも、夜勤がある病院で働く医療事務員には「夜勤手当」「当直手当」も支給されるケースもあります。

また、医療事務の場合、繁忙期は残業することも珍しくない職業です。その際は、残業代もしくは時間外手当も含まれます。

そして、医療事務に関する資格保有者に対して、別途手当を支給する医療施設も少なくありません。資格手当がもらえる可能性が高い資格は「医療事務検定試験」「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)」などいくつかあります。

中でも「診療報酬請求事務能力認定試験」は、取得するのがかなり難しいこともあり、資格手当を10,000円程度と高額に設定する医療施設も存在します。

医療事務として高収入を目指すためには、支給される手当の内容を重点的に確認して、自分が有利に働く収入内訳の医療施設で働けるかどうかがポイントです。

【年齢別】医療事務の平均年収

医療事務の平均年収は年齢を重ねるごとに増加し、35歳~49歳あたりで一旦緩やかに減少する傾向があります。

年齢平均年収
20~24歳303.53万円
25~29歳381.94万円
30~34歳445.51万円
35~39歳519.16万円
40~44歳508.92万円
45~49歳502.72万円
50~54歳530.19万円
55~59歳566.32万円

参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「医療事務」(参照 2024-09-23)

医療事務の場合、20歳~39歳頃までは年収の増加幅が大きく、約20年で200万円近く増えています。中でも「30~34歳」と「35~39歳」の期間では、年収が70万円以上も上がっているのが特徴です。

医療事務として働く30代の平均年収が大幅に上がっている理由として、このタイミングで中間管理職に就く人が多く、役職手当の支給や昇給額の増加などが発生している点が考えられます。

その後、50代前半あたりまで年収の推移はやや右肩下がりになるものの、55歳~59歳頃になると再び収入が増えていき、平均年収は566.32万円とピークに達します

【性別】医療事務の平均年収

医療事務の平均年収は、性別によって大きな開きがあります。

以下は、「令和5年賃金構造基本統計調査」のデータを参考に、医療事務の平均年収を男女別で比較した表です。

性別平均年収(千円)きまって支給する現金給与額(千円)年間賞与その他特別給与額(千円)
男女計4,782.9322.7910.5
6,309.6411.31,374.0
3,990.5276.7670.1

参考:e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-09-23)

男性は約630万円、女性は約400万円と約200万円以上もの収入差があります。医療事務として働く人の男女比は、1:9と言われているほど女性中心の業界でありながら、ここまで収入差が開いている理由として、男性と女性で働き方が大きく異なる点が挙げられます。

女性の場合、結婚や子育てなどで生活スタイルが大きく変わることがきっかけで、時短勤務に切り替えるパターンも珍しくありません。医療事務の場合、非正規雇用の求人が豊富で、家庭と仕事との両立を目指す女性にとって働きやすい環境が整っています。

男性より女性の方が非正規で働く人の割合が大きいことから、おのずと男女間で年収差が出ていると言えます。

【地域別】医療事務の平均年収

医療事務の平均年収は、地域によっても違いがあります。

参考として、東京都と政令指定都市がある道府県での医療事務の平均年収を紹介します。

都道府県平均年収
北海道437.3万円
宮城県373.7万円
東京都585.2万円
埼玉県386.9万円
千葉県443.7万円
神奈川県499.7万円
新潟県329.3万円
静岡県454.6万円
愛知県456.8万円
京都府475.3万円
大阪府481.7万円
兵庫県411.2万円
岡山県435.7万円
広島県421.8万円
福岡県441.8万円
熊本県416.2万円

参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「医療事務」(参照 2024-09-23)

医療事務の平均年収が最も高い地域は東京都で585.2万円、最も低い地域は新潟県で329.3万円です。2つの地域の収入差は255.9万円となっており、地域によって年収に大きな開きがあることが分かります。

地域の生活水準によって平均給与が異なるのは仕方がない部分もあるものの、250万以上の収入差はそう簡単に埋められるものではありません。

医療事務で高収入を得たいと考えているのであれば、平均年収が高い地域への移住も視野に入れましょう。

医療事務の平均年収が低いと言われる理由

先述した通り、医療事務の平均年収は478万円で、日本の全給与所得者の平均年収460万円より高いです。

一方で、「医療事務の収入は低い」という声も上がっています。

医療事務の平均年収が低いとされている主な理由は、以下の通りです。

  • 専門性が低く資格を取らなくても働ける職種だから
  • 非正規雇用で働く人も多い職種だから
  • 利益を生み出さない業務が多いから
  • 病院を経営するコストが高く、給料面で事務員の還元率が低くなりやすいから

医療事務は、医療施設で働く職種でありながら、医療に関する特別な資格がなくても始められるのが特徴です。

基本的なPCスキルさえあれば応募OKとする求人も珍しくなく、高い専門性を求められないため、給与が低い傾向にあります。

また、医療事務は専門的なスキルが必要ない分、非正規雇用の求人も多い職種です。非正規雇用者の収入は一般的に正社員より低い場合がほとんどなので、この層の年収が統計上の平均年収を押し下げる一因となっています。

くわえて、医療事務は、診療行為といった病院に直接利益をもたらす業務を担当しない点も平均年収が低くなっている要因のひとつです。

病院を経営するうえでは多大なコストがかかります。とある調査データによると、すべての病院の6割以上が赤字と言われるほど、ほとんどの医療施設は経営が苦しいのが実情です。

人件費においては、医療従事者である医師や看護師を優先して多く割り当てられるため、直接利益を生み出すことが少ない事務員に対してそこまで還元されないのです。

  • これらの複数の理由が重なってしまうがゆえに、医療事務の平均年収は低いとされています。

 

医療事務で年収の高い勤務先ランキング

医療事務の平均年収は、勤務先の規模や施設の種類によっても大きな違いがあります。

厚生労働省が公開しているデータをもとに、平均年収が高い勤務先をランキングにしました。

順位企業名平均年収
1位国立病院606,3万円
2位公立病院504万円
3位医療法人の病院369,8万円
4位医療法人の診療所324,7万円
5位個人の診療所288,3万円

参考:厚生労働省 第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告(参照 2024-10-07)

基本的に、診療所よりも病院の方が平均年収は高い傾向にあります。

1位の「国立病院」と5位の「個人の診療所」とでは、平均年収が300万円以上の差があり、勤務先が違うだけでもらえる給与が大幅に異なることが分かります。

なお、入院患者用のベッドが20床以上ある施設を病院、それ以下の施設は診療所として分類されます。

診療所より病院の方が規模が大きい分、さまざまな分野の医療に対応できるため、来院者数が多く高い売り上げが見込まれるのが特徴です。

売上が高い病院は、事務員も含めてスタッフの給与が高い傾向にあります。医療事務として高収入を得たいなら、病院へ就職するのがおすすめです。

 

医療事務で稼げる人・稼げない人

医療事務員として稼げるようになるためには、自身にその適性があるか否かが重要となります。

適性があればやりがいをもって長く勤められ、必然的に給与も上がっていきます。

特に以下の能力を持っている人は、医療事務として活躍できる可能性が高いです。

  • コミュニケーション能力
  • 素早い計算力
  • 基本的なPCスキル
  • 忍耐力

以上を踏まえ、医療事務で稼げる人と稼げない人の特徴を以下にまとめました。

医療事務で稼げる人医療事務で稼げない人
コミュニケーション能力のある人協調性がない人
数字に強い人臨機応変な対応が苦手な人
正確な作業ができる人コツコツ勉強することが嫌いな人

医療事務は、年齢や性別を問わずさまざまな患者さんと接する機会のある仕事であり、一人ひとりの要望を親身に聞き取ったうえで、その情報を医師や看護師へスピーディーかつ正確に共有する必要があります。

そのため、協調性に優れたコミュニケーション能力の高い人に向いている仕事です。

また、医療施設では緊急の処置が必要な患者さんが突然来るケースもあり、優先順位を変更せざるを得ない場面も多く、事務職も予定通りに業務が進められないことも珍しくありません。

このような突発的な事態にも臨機応変に対応できる人は、周囲のスタッフから高い評価を得られ、「替えのきかない人材」としておのずと給与も上がりやすいです。

そして、医療事務の仕事は、保険証や診療申込書をもとにカルテを作成したり、患者さんから徴収するための医療費を算出したり、強い責任感と数字を扱う集中力が求められる業務ばかりです。

小さなミスひとつで重大な事故やクレームにつながったり、レセプト業務でミスがあると病院にお金が支払われなくなるので、り正確な作業を心がけられる人や数字の強い人は稼げる傾向にあります。

くわえて、医療事務として給料を上げるうえでスキルアップは必要不可欠です。日頃から知識を習得する努力を重ねれば、よりスムーズに業務が進められるのはもちろん、医療事務の仕事に役立つ高難易度の資格を取得できる可能性が高まります。

医療施設によっては、資格保有者に対して別途手当を支給するケースもあるので、勉強し続けることに対して苦痛を感じない人は医療事務として長く活躍できると言えます。

 

医療事務で年収・給与を上げるポイント

ここでは、医療事務員が年収・給与を効率よく上げるために知っておくべきポイントを3つ紹介します。

  • 業務に関連する民間資格を取得する
  • 実績を積んで役職持ちになる
  • 待遇の良い職場へと転職する

医療事務として収入アップのコツを知りたい方は、ぜひ目を通してみてください。

業務に関連する民間資格を取得する

医療事務は資格が必須の職種ではないものの、業務に関連する民間資格は多数存在します。

資格手当を支給する医療機関も多く、転職においても有利に働くケースも少なくないため、年収を上げたいのであれば、医療事務に関する資格を積極的に取得しておきましょう。

収入アップにつながる医療事務に関連する主な民間資格は、以下の通りです。

資格名特徴合格率
医療事務検定試験日本医療事務協会が主催する資格で、医療事務の基礎的な知識やスキルの習得を証明できます。90.6%(2023年度)
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)一般財団法人日本医療教育財団が主催する知名度の高い資格で、窓口対応やレセプト(診療報酬明細書)業務の能力があることを証明できます。70%程度
医科 医療事務管理士技能認定試験JSMA技能認定振興協会が主催する日本で最初に誕生した医療事務の資格です。レセプト作成・点検といった実技の出題数が多い傾向にあります。50%程度
診療報酬請求事務能力認定試験公益財団法人日本医療保険事務協会が主催する資格で、診療報酬請求を行ううえで正しい知識とスキルを習得していることを証明できます。平均30.8%(2024年時点)

参考:
日本医療事務協会「医療事務検定試験」(参照 2024-10-07)
JSMA技能認定振興協会「医科 医療事務管理士技能認定試験」(参照 2024-10-07)
公益財団法人日本医療保険事務協会「試験実績」(参照 2024-10-07)

また、医療事務に特化した資格にかぎらず、「電卓技能検定試験」や「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」といった事務職に役立つ資格を取得するのも、事務スキルを上げるうえで有効です。

パソコンスキルや計算力など事務員として必要なスキルを上げて正確な業務を心がければ、施設内での評価が高まり昇給幅のアップも期待できます。

なお、優遇される資格は医療施設によって異なるため、転職する場合は応募前に求人の募集要項を確認しておきましょう。

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実績を積んで役職持ちになる

医療事務としての実績を着実に積み続けて役職者になれれば、給与に役職手当が加算されるため年収アップが可能です。

規模が大きい医療施設の場合、主任、マネージャー、事務長といった役職が存在します。役職手当の支給額は医療施設によって異なるものの、ひとつ上の役職に上がるだけで、数万円以上プラスされるケースも少なくありません。

役職者は実務業務にくわえてマネジメント業務も行います。そのため、部下に対して教育・評価を行ったり自分の判断で組織を動かしたりと、リーダーシップを発揮する場面が多いのも特徴です。

また、役職者は、医療施設内で実施される会議に事務員の代表として参加して、意見を述べたり決定事項を部下に共有したりする場合もあります。このように、経営陣と現場の橋渡し役を担うのも役職者の仕事のひとつです。

大きな責任が伴う業務が増えるものの、その分大幅な収入アップが期待できるため、「人を管理する業務もやってみたい」という人はぜひ役職者への昇進を目指してみてください。

なお、役職者になるための条件は職場によって異なりますが、一定以上の医療事務に関する幅広いスキルを問われるので、医療事務の資格をできるだけとっておくと昇格できる可能性が高まります。
 

待遇の良い職場へと転職する

待遇の良い職場へ転職することも、医療事務員として年収を上げる方法のひとつです。

医療事務の平均年収は働く地域や医療施設によって大きく異なり、個人で運営している診療所よりも、国立病院や公立病院の方が高めに設定されている傾向にあります。

また、自由診療を行うクリニックでは、保険適用外の施術の成約数や来院数などに応じて別途報酬が支給される「インセンティブ制度」を採用しているケースも多いです。

たとえば美容クリニックの場合、医療事務の業務を行いつつ、患者さんに対してヒアリングや治療に関する案内・説明などを行うこともあるため、売上に貢献できればインセンティブがもらえる可能性があります。

なお、医療事務として前職より収入アップを目的に転職する際は、「経験者歓迎(経験者優遇)」の求人から手当やその他給料面の詳細を確認してみるのがおすすめです。

医療事務の経験者を求めている医療施設は、基本給が高めに設定されていたり資格手当が多めに支給されていたりと、経験者に対して待遇を良くするケースも珍しくありません。

現在の職場の待遇に不満を感じているのであれば、転職も視野に入れましょう。

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  • 関連する民間資格を取得する
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シュウジ
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兵庫県生まれ。都内の私立大学卒業後、パチンコにハマって単位を落とすも、一浪して大学を卒業。派遣社員として工場で働きながら、副業としてナイト系ドライバーやせどりを始める。
本業に嫌気がさし、転職を決意し資格取得に励む。奇跡的に大手人材会社に入社し、給料が倍になり人生が変わる。人材業界でさまざまな職業や経歴を持つ人々との交流を通じて知識を蓄え、2023年にブログ「仕事図鑑」を開設。