重機オペレーターは、主に建設業界、運送業、製造業でフォークリフトやクレーン車、ブルドーザーといった重機を操り、資材の搬入や搬出、建物の解体などを行います。
この記事では、重機オペレーターの平均年収や収入内訳、年齢・性別・地域ごとの年収について、「令和4年賃金構造基本統計調査」をはじめさまざまなデータをもとに詳しく解説します。
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稼げる人と稼げない人の違い、収入をアップさせるための具体的な方法についてもお伝えするので、重機オペレーターとして稼いでいきたい方は必見です!
重機オペレーターの平均年収は453万円
重機オペレーターの平均年収は約453万円です。
この平均年収額は「令和4年賃金構造基本統計調査」に掲載された「他に分類されない輸送従事者」のデータをもとに、月給32.0万円、年間賞与69.1万円で計算しています。
大学卒業後に重機オペレーターになり、22歳から定年の60歳までの38年間同一企業に勤め続けると仮定すると、生涯年収は約1億7,214万円です。なお、重機オペレーターの平均年収が最も高くなるのは35〜39歳で、この年齢の平均年収は527.08万円です。
ただし、重機オペレーターは、保有する資格・免許の種類や数によって、年収が変わりやすい職業と言われています。そのため、自分の力量次第で平均以上もしくは平均以下の収入になる可能性があります。
e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-04-30)
職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「建設機械オペレーター」(参照 2024-04-30)
重機オペレーターの収入内訳
重機オペレーターの収入は「基本給+賞与+諸手当」という内訳で構成されるケースがほとんどです。
諸手当の内容は企業によって異なりますが、家族手当、資格手当、通勤手当、住宅手当など、他の業界の企業とほとんど変わりません。
ただし、重機オペレーターは資格必須の仕事なので、「基本的な資格は持っていて当然」と見なされ、資格手当を支給しない企業も存在します。在職中、新しく重機に関する資格を取得できれば昇給できる場合もあるものの、重機オペレーターとして就職する際は、手当の内容を事前によく確認しておきましょう。
また、企業によっては、建設現場や工場といった作業場所で働く人に対して現場手当を支給するケースもあります。
さらに、キャリアを積んで管理職に昇進すれば、プラスで役職手当が支給されます。役職手当は大幅な収入アップが期待できるため、年収を上げたい方はスキルを磨いて管理職を目指すのも一つの手です。
【年齢別】重機オペレーターの平均年収
重機オペレーターの平均年収は、35~39歳頃にピークに達した後、徐々に右肩下がりになります。
年齢 |
平均年収 |
20~24歳 | 356.55万円 |
25~29歳 | 440.06万円 |
30~34歳 | 451.3万円 |
35~39歳 | 527.08万円 |
40~44歳 | 497.27万円 |
45~49歳 | 493.48万円 |
50~54歳 | 459.26万円 |
55~59歳 | 481.63万円 |
20〜24歳頃の平均年収は356.55万円ですが、30〜34歳頃の平均年収は451.3万円と10年ほどで収入が100万円近く上がっています。
実務経験の積み重ねや資格取得によって会社から評価され、昇給額が増えていくのが主な理由です。
なお、30代で年収のピークを迎える理由は、年齢を重ねるにつれて肩や腰を痛めてしまい、仕事をセーブせざるを得ない人が多いからだと言われています。
重機オペレーターは、操縦席で同じ姿勢のまま長時間作業を続けなければならず、体調を崩す人も珍しくありません。
そのため、管理職に就いたタイミングで現場から離れてデスクワーク中心になったり、ハイヤー運転手や大型ドライバーといった車の運転業務がメインの業界に転職したりする場合もあります。
【性別】重機オペレーターの平均年収
重機オペレーターの平均年収は、女性よりも男性のほうが高くなる傾向にあります。
以下の表は「(きまって支給する現金給与額×12カ月)+年間賞与その他特別給与」で男女別の平均年収を算出しました。
性別 |
平均年収 (千円) |
きまって支給する現金給与額 (千円) |
年間賞与その他特別給与額 (千円) |
男女計 | 4,537.50 | 320.5 | 691.5 |
男 | 4,581.30 | 323.5 | 699.3 |
女 | 3,706.20 | 263.6 | 543 |
男性の平均年収が458.1万円なのに対し、女性の平均年収は370万円で、年収差は80万円以上あります。
女性は、子育てや家庭の事情で時短勤務・非正規雇用で働くケースが多いため、男性に比べると平均年収が低くなりやすいことが理由として考えられます。
【地域別】重機オペレーターの平均年収
重機オペレーターだけに限ったことではありませんが、収入水準は地域の経済状況やニーズの高さに応じて変動します。
東京都と政令指定都市のある道府県の重機オペレーターの平均年収は、以下の通りです。
都道府県 |
平均年収 |
北海道 | 387.3万円 |
宮城県 | 419.2万円 |
東京都 | 570.7万円 |
埼玉県 | 388.3万円 |
千葉県 | 366.5万円 |
神奈川県 | 460.6万円 |
新潟県 | 408.4万円 |
静岡県 | 389.4万円 |
愛知県 | 559.7万円 |
京都府 | 400.3万円 |
大阪府 | 469.3万円 |
兵庫県 | 657.1万円 |
岡山県 | 437.2万円 |
広島県 | 401.4万円 |
福岡県 | 412.1万円 |
熊本県 | 389.8万円 |
重機オペレーターの年収が最も高い地域は兵庫県で657.1万円、最も低い地域は千葉県で366.5万円です。
2つの県の年収差は290.6万円とかなり開きがあり、重機オペレーターは地域による収入格差が大きい職種であることがわかります。
地域によって年収差が大きく異なる理由として、地域による給与水準の違いの他に、仕事量も挙げられます。郊外より都市部のほうが現場数が豊富な傾向にあり、現場数が多ければ多いほど仕事量が増えるため、給与も高くなります。
重機オペレーターとして年収アップを目指すなら、勤務エリアも慎重に検討しましょう。
重機オペレーターの平均年収が低いと言われる理由
重機オペレーターの平均年収は約453万円で、国税庁が調査した給与所得者の平均年収の458万円と比較しても、そこまで稼げない職業ではありません。
しかし、世間では「重機オペレーターの給料は低い」というイメージを持つ人が多いです。
重機オペレーターの平均年収が低いと言われる理由は、以下の通りです。
- 日給制の場合は天候によって給与が不安定になるから
- 資格や免許を取得して扱える重機を増やさないと収入が上がりづらいから
重機オペレーターは、雇用形態を問わず、月給制の会社もあれば日給制の会社もあります。
屋外での作業がほとんどの建設現場では、悪天候によって急遽作業が中止になる場合も珍しくなく、日給制で働く人は稼ぎたくても稼げない状況になります。
また、重機オペレーターは、フォークリフトやクレーン車など、取り扱う重機に応じて必要な資格・免許を取得する職種です。
会社は、扱える重機が多い重機オペレーターに対して貴重な戦力として重宝して、給与を高くする傾向があります。扱える重機を増やしてスキルを高めていかないと、会社から良い評価がもらえず、なかなか昇給できないパターンも少なくありません。
資格や免許を取得してより多くの重機を操縦できるようにならないと収入が上がりにくい点も、重機オペレーターの平均年収が低い理由と言えます。
国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」(参照 2024-4-30)
重機オペレーターで稼げる人・稼げない人
年収アップを目指すなら、重機オペレーターに求められる以下のスキルを磨く必要があります。
- 重機の操作スキル
- コミュニケーション能力
- 忍耐力
上記の能力を踏まえて、重機オペレーターで稼げる人・稼げない人の特徴をまとめました。
重機オペレーターで稼げる人 | 重機オペレーターで稼げない人 |
向上心がある人 | 協調性がない人 |
体力がある人 | 暑さや寒さに弱い人 |
注意深く作業が出来る人 | 我慢強くない人 |
コミュニケーションスキルは、他の作業員と連携を取りながら重機を動かさなければならない重機オペレーターにとって必要不可欠な要素です。
そのため、協調性がなく自分勝手な行動を取ってしまう人には難しい仕事と言えます。
また、重機の操縦は少しの確認漏れや一瞬の気の緩みが、大きな事故を招く可能性もあるので、日々注意深く作業できるかどうかも年収アップするうえで重要なポイントです。
そのうえ、重機オペレーターは炎天下や冬の寒い状況下でも屋外で作業をするので、暑さや寒さに強く体力に自信がある人も稼ぎやすいでしょう。
さらに、先述した通り、資格や免許を取得して扱える重機を増やせば、仕事の幅が広がり高収入が期待できるのも重機オペレーターの特徴です。現状の業務内容に満足せず、資格・免許を取得して仕事の幅を広げたいと考える向上心のある人は、おのずと収入も上がっていきます。
逆に、仕事と試験勉強の両立するための忍耐力がない人は、なかなかスキルを上げられず稼げない可能性があります。
重機オペレーターで年収・給与を上げるポイント
重機オペレーターとして年収・給与を上げる方法はいくつかあります。
- 重機の資格や免許を多く取得する
- 経験を積んでスキルを向上させる
- 一人親方として独立する
なぜ収入アップにつながるのか理由もそれぞれ解説するので、重機オペレーターに興味がある方はもちろんのこと、「重機オペレーターとして今以上に稼ぎたい」と考えている方もぜひ検討してみてください。
ポイント1:重機の資格や免許を多く取得する
重機オペレーターになった後、年収アップに向けてまず取り組むべきことは、「重機の資格や免許を多く取得する」です。
先述した通り、重機オペレーターは重機を操縦するための資格や免許の取得が必要で、扱える重機が多ければ多いほど仕事の幅が広がります。対応可能な業務が広がれば、スキルの高い人材として昇給はもちろん、管理職への昇進や好待遇が受けられる可能性があります。
また、さまざまな重機を操れるオペレーターは希少価値が高く、転職活動で有利に働きやすいのも魅力です。「資格取得支援制度」を設けている会社も多いので、働きながら新たな資格や免許を積極的に取得しましょう。
重機オペレーターで主に取り扱う重機の種類と資格・免許は以下の通りです。
重機の種類 |
資格・免許 |
クレーン |
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フォークリフト |
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不整地運搬車 |
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車両系建設機械 ※整地・運搬・積み込み用及び掘削用 |
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ショベルローダー | ショベルローダー等運転技能講習 |
ロードローラー | ローラー(締固め用)特別教育 |
会社が取り扱う重機によって取得が求められる資格・免許は異なるので、自分の仕事に必要な資格だけでなく、取得すれば社内で業務を広げられる資格をチェックしておくことが重要です。
ポイント2:経験を積んでスキルを向上させる
資格・免許を取得して操縦できる重機を増やした後は、経験を積んでスキル向上に励みましょう。
重機オペレーターは、重機の運転スキルはもちろん、注意力や判断能力、コミュニケーション能力などが求められます。どのスキルも資格を取っただけで身につくものではなく、実務経験を通して徐々に身についていくものです。
簡単に身につくものではないからこそ、経験豊富かつ高いスキルを持つ人材は会社から重宝されます。
重宝される人材になれれば、幅広い現場の案件に関われたり部下を指導できる立場になれたりして、業務量や責任に伴う昇給・昇格も期待できます。
さらに、重機オペレーターで培った経験を活かして、施工管理や現場監督といった建設現場のリーダー役を担うケースも少なくありません。
重機オペレーターの仕事に留まらず、業務の範囲を広げていければ、大幅な年収アップが狙えます。
ポイント3:一人親方として独立する
重機オペレーターは、企業に雇われる働き方だけでなく、独立して一人親方になる働き方もあります。
年収アップを目指すなら、資格・免許を取得して企業で経験を積んだ後、一人親方になるのも一つの手です。
一人親方になると、建設業者に営業活動を行い、自力で仕事を探さなければいけません。さらには、事務作業や経理業務といった現場仕事以外の作業も発生します。
会社に属していた時よりもやるべき作業が増えて忙しくなりますが、その分大きなやりがいが得られるのは一人親方ならではの魅力です。
また、一人親方は自分で仕事のスケジュールを組めるので、裁量次第で会社に属していた時以上の高収入を得られるのも特徴です。
一人親方の収入相場は扱える重機によって異なるものの、クレーンの場合は日当3万円程度が相場だと言われています。
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そのため、複数の転職サイトに登録して自分に合った仕事に巡り合えるチャンスを増やしましょう。
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重機オペレーターの平均年収は453万円で、日本の平均年収である458万円とほぼ同等です。
キャリアアップをすれば年収を上げられますが、そのためには重機の資格・免許の取得やスキルの積み重ねなどやるべきことが多く、稼げるようになるまでにはたくさんの努力と時間が必要です。
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ナイト系は、特別な資格・免許の取得やスキルがなくても始められる仕事ばかりです。
学歴や職歴を問わず成果を重視する業界なので、頑張り次第で早期の昇給・昇進が可能で、未経験からでも年収1,000万円を目指せます。
また、ナイト系の職種は、店舗スタッフ、送迎ドライバー、Web運営スタッフなどいろいろあるので、自分に合った仕事が見つかりやすいのも特徴です。
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重機オペレーターで稼ぐには資格・免許の取得と実務経験が重要!
重機オペレーターとして稼げるようになるためには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 重機の資格や免許を多く取得する
- 経験を積んでスキルを向上させる
- 一人親方として独立する
重機オペレーターが年収アップを目指す場合、まずは重機の資格・免許の取得して扱える重機を増やしましょう。その後、重機の運転スキルをはじめ、重機オペレーターとして活躍するうえで必要なスキルを磨いていきます。
保有してる資格やスキルが多いほど昇給・昇進しやすくなるのはもちろん、一人親方として独立しても成功しやすくなります。
重機オペレーターは建設業界を中心に、運送業や製造業などでも活躍できる職業です。段階を踏んで適切にキャリアアップができれば、働き口はたくさんあると言えます。
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高年収の重機オペレーターを目指して、スキルを磨きキャリアを築いていきましょう!