ハイヤーとは「完全予約制の運転手付きの貸し切り乗用車」を指します。
タクシーのように街中で乗客を乗せるのではなく、企業の役員や政治家といったVIPを送迎したり、パーティーや冠婚葬祭の際の移動手段として使われたりするのが主です。
この記事では、そんなハイヤーの運転手の平均年収をはじめとして、年齢・性別・地域別の平均収入についても詳しく解説します。
さらに、年収を上げるための具体的なポイントや、稼げる人と稼げない人の特徴も紹介。
ハイヤー運転手としてより稼ぐための方法や、高収入が見込める求人情報についても掘り下げていきます。
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ハイヤー運転手は、どれくらいの年収を見込めるの?
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ハイヤー運転手として年収を上げるにはどうしたらいい?
という方に向けて詳しくまとめているのでぜひご参照ください。
ハイヤー運転手の平均年収は361万円
ハイヤー運転手の全国平均年収は約361.2万円です。
この数値は月給29.4万円、年間賞与8.4万円とした場合の計算によるものです。
また、平均年収から生涯年収を計算すると、約1億3718万円に達します。これは大学卒業後の22歳から定年の60歳までの38年間を同一企業で勤めた場合の単純計算で出しています。
ハイヤー運転手の平均年収は年齢によっても変動します。35~39歳で年収のピークを迎え、この年齢層の平均年収は445.86万円です。
ただし、これらのデータにはタクシー運転手の年収も含まれている点には留意が必要です。
ちなみに、「Indeed」ではハイヤー運転手の平均年収は647万円という数値が出ています。このデータから、一般的にハイヤー運転手はタクシー運転手より高収入を得やすい職業であると言えます。
職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「タクシー運転手」(参照 2024-5-5)
Indeed「日本でのハイヤードライバーの平均給与」(参照 2024-5-5)
ハイヤー運転手の収入内訳
ハイヤー会社に所属しているハイヤー運転手の収入内訳は、基本的に「固定給+賞与+諸手当」です。
手当は「家族手当」「通勤手当」「時間外手当」といったどの職業にも用意されている一般的なものから、「英会話手当」「前泊手当(長距離業務前の宿泊に対する支給)」「乗務手当(長時間勤務や夜間勤務に対する手当)」などが支給される場合もあります。
また、ハイヤー運転手はタクシー運転手と比べると、収入内訳の中で残業代(時間外手当)の割合が高めです。これは、ハイヤー運転手は歩合比率が低めに設定されているため、時間外勤務を多く行うことで収入を伸ばしやすい傾向にあるためです。
さらに、一部の会社では基本給とは別に歩合給が支給されており、乗務時間や顧客の満足度などに応じての収入増も見込めます。
ハイヤー運転手は個人の努力次第で収入を増やせる職種なので、働く企業の給与形態や個人の業績などによって収入内訳の割合はかなり変わります。
【年齢別】ハイヤー運転手の年収目安
ハイヤー運転手の年収は、年齢による影響をあまり受けない傾向にあります。
年齢 |
平均年収 |
20~24歳 |
389.17万円 |
25~29歳 |
409.65万円 |
30~34歳 |
396.18万円 |
35~39歳 |
445.86万円 |
40~44歳 |
405.12万円 |
45~49歳 |
422.67万円 |
50~54歳 |
401.77万円 |
55~59歳 |
384.78万円 |
※上記の年収データはタクシー運転手の年収も含まれている点にご留意ください。
労働時間の大半が車の運転なので集中力は求められますが、座り仕事である分、年齢を重ねて体力が落ちてもそこまで仕事に支障が出にくく、大きく年収が落ちることはないようです。
また、ハイヤー運転手はビジネスマナー、顧客に合わせたきめ細やかな対応といった、これまでの経験で培ったスキルを活かせる仕事で、年齢に関係なく活躍しやすい仕事でもあります。
【性別】ハイヤー運転手の平均年収
ハイヤー運転手の平均年収を見てみると、男女差はほとんどありません。
なお、平均年収は「きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。
性別 |
平均年収(千円) |
きまって支給する現金給与額(千円) |
年間賞与その他特別給与額(千円) |
男女計 |
3613.3 |
294.1 |
84.1 |
男 |
3636.1 |
295.8 |
86.5 |
女 |
3202.1 |
263.4 |
41.3 |
※上記の年収データはタクシー運転手の年収も含まれている点にご留意ください。
男女差が少ないこのデータから、ハイヤー運転手は女性でも働きやすい環境であることが推測できます。
実際、近年では女性ドライバーも増えており、自身の体力や生活リズムに合わせた働き方の選択も容易になりつつあります。
また、ハイヤー運転手は勤続年数を重ねて昇格することで稼ぐというよりも、「実務の質を上げていかに顧客に指名されるか」が稼ぐカギとなる仕事です。
そのため、出産や子育てでキャリアが途絶えやすい女性も、比較的復帰しやすい職種とも言えます。
【地域別】ハイヤー運転手の平均年収
地域別でハイヤー運転手の平均年収を見てみると、都市部の方が年収が高く、地方は低めという傾向にあるようです。
東京都と政令指定都市のある道府県の平均年収を比べてみると、以下の通りです。
都道府県 |
平均年収 |
北海道 |
271.6万円 |
宮城県 |
297.7万円 |
東京都 |
426万円 |
埼玉県 |
315.7万円 |
千葉県 |
365.1万円 |
神奈川県 |
386.1万円 |
新潟県 |
253万円 |
静岡県 |
332.1万円 |
愛知県 |
385.4万円 |
京都府 |
342.8万円 |
大阪府 |
437.2万円 |
兵庫県 |
399.1万円 |
岡山県 |
354.9万円 |
広島県 |
303.2万円 |
福岡県 |
349.8万円 |
熊本県 |
272.6万円 |
※上記の年収データはタクシー運転手の年収も含まれている点にご留意ください。
もっとも年収が高いのは大阪府の437万円、もっとも低いのは新潟県の253万円で、約184万円もの差が出ています。これは、都市部は大企業や官公庁が多くVIP層が集まりやすいため、ハイヤーの需要がそもそも高い傾向にあることが主な理由です。
また、ハイヤーの乗車料金も都市部は高く設定されていることから、都市部の方が稼ぎやすいという構造ができています。
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ハイヤー運転手として年収を上げる場合は、就職する地域にも注目する必要があるでしょう。
ハイヤー運転手の平均年収が高いと言われる理由
ハイヤー運転手の平均年収が高いとされる主な理由は以下です。
- VIPや会社の役員の送迎を行う業務は給与水準が高いため
- 歩合給やチップで収入を伸ばしやすいため
- VIPの専属運転手として働いている人が平均年収を押し上げているため
主な理由は顧客層と報酬体系です。
ハイヤー運転手は、企業の役員や政治家、芸能人といった高収入層(いわゆるVIP)を主な顧客としています。
これらの顧客を相手にするサービスは、通常のタクシーサービスよりも高額なサービス料金となるため、必然的に運転手の収入も上がりやすいです。
また、ハイヤー運転手の報酬体系は、歩合給や乗客からのチップが上乗せされる場合も珍しくありません。歩合給やチップの金額は、サービスの質や顧客からの評価、乗務回数に応じて変動し、優れたサービスを提供することで収入を増やせます。
さらに、ハイヤー運転手はVIPの専属運転手として直接契約するという働き方もあります。
この場合、企業に所属して決められた給与水準のもとで働くより、大幅に収入が上がる可能性が高いです。
ハイヤー運転手は、「高額なサービス料金設定」「個人の努力次第で年収を上げられる報酬体系」「高収入の顧客層との専属契約」といった要素が相まって、他の運輸関連の職種に比べて平均年収が高くなる傾向にあるのです。
ハイヤー運転手で年収の高い企業ランキング
「Indeed」が出している、ハイヤー運転手で年収の高い企業ランキングTOP10は下記です。
順位 |
会社名 |
平均年収 |
1位 |
株式会社コスモ |
922万円 |
2位 |
株式会社エリッツホールディングス |
717万円 |
3位 |
日本交通株式会社 |
563万円 |
4位 |
帝都自動車交通株式会社 |
506万円 |
5位 |
株式会社あんしんネット21 |
486万円 |
6位 |
エムケイ株式会社 |
471万円 |
7位 |
MKグループ |
469万円 |
8位 |
タクシー支援サービス株式会社 |
454万円 |
9位 |
つばめタクシーグループ |
441万円 |
10位 |
京成グループ |
393万円 |
※ただし、こちらの平均年収はハイヤー運転手以外の職種の給与も反映されているため、これらの企業に入社したとしても記載通りの年収にならない場合がある点にはご留意ください。
ハイヤー運転手の年収は、基本的にその企業のサービスを利用する顧客層次第で、大きく変動します。
VIPを多く送迎するサービスを展開している企業は年収が上がりやすいため、大幅な年収アップを狙う際はその企業がどういった客層をメインとしているかもチェックしてみましょう。
ハイヤー運転手で稼げる人・稼げない人
ハイヤー運転手はVIP層の対応をすることが多く、一般的なタクシー運転手よりも求められるスキルが非常に高い傾向にあります。
稼げるハイヤー運転主として主に求められるスキルは以下です。
- 安全運転ができる「運転スキル」
- きちんとした身だしなみや礼儀作法や言葉遣いといった「ビジネスマナー」
- 海外からの顧客の接客ができる「語学力」
- 居心地の良い空間を提供するための「コミュニケーションスキル」
ハイヤー運転手はただ運転をするだけが仕事ではなく、VIPをはじめとした顧客が車内で快適に過ごせるようにおもてなしをすることが求められます。
ハイヤー運転手で稼げる人 |
ハイヤー運転手で稼げない人 |
気配り上手な人 |
時間にルーズな人 |
向上心がある人 |
接客が苦手な人 |
責任感が強い人 |
守秘義務を守れない人 |
礼儀正しい人 |
細かいことが気にならない人 |
ハイヤー運転手として稼ぐためには、安心して車に乗ってもらえるように顧客と信頼関係を築きながら、スムーズに業務を遂行することが求められます。
丁寧な運転スキルで安全かつ迅速に目的地まで送迎するのはもちろんのこと、重要な人物を送迎することが多いのでハイレベルなビジネスマナーや語学力なども求められます。
心地よいサービスを提供できるように、礼儀作法や身だしなみ、言葉使いといったマナーやエチケット、社内清掃の徹底も重要で、気配り力やスキル習得に向けての向上心は必須です。そして、何よりも責任感が強い人が成功しやすいです。
一方、ハイヤー運転手として稼げない人は、顧客からの信頼を損ないかねない人です。
具体的には、「時間にルーズな人」や、「接客対応が苦手な人」、車内で知った重要事項やプライベート事項を口外してしまうような「守秘義務を守れない人」などです。
また、細かい変化に気づけない人は目の前の顧客に寄り添ったサービスができず、顧客満足度が低くなってしまうので、結果として収入に悪影響を与えます。
ハイヤー運転手として高収入を得るためには、プロフェッショナルとしての資質と顧客からの信頼が不可欠であり、それらを支えるスキルや意識が重要なカギを握っています。
ハイヤー運転手で年収・給与を上げるポイント
ここからは、ハイヤー運転手で年収・給与を上げるためのポイントを詳しく解説していきます。
ハイヤー運転手として年収・給与を上げるためには、下記のポイントを押さえることが大切です。
- 経験を積んで給与水準が高い企業に転職する
- 語学力を身につけて海外の顧客を担当する
- スキルを高めてVIPの専属ドライバーになる
共通する点は、とにかく重要な顧客を担当できるスキルの習得です。
それぞれのポイントを詳しく解説していきますので、ぜひ参考にご覧ください。
ポイント1:経験を積んで給与水準が高い企業に転職する
まず考えられるハイヤー運転手としての収入を大幅に増やす効果的な方法は、経験を積んで給与水準が高い企業へ転職することです。
特に「大日本帝国」と略される大手4社のような大手企業クラスになると、年2回の賞与も入り、年収800万円以上を目指すことも可能です。
ハイヤー運転手が転職する場合、給与形態についてしっかり確認しておきましょう。
基本的には、企業に所属している運転手の場合は「固定給+賞与+諸手当」が基本となるため、安定して高収入を稼いでいくのであれば固定給が高い大手企業への転職がおすすめです。
もちろん、給与水準の高い企業に転職するためには、高いスキルやある程度の実務経験が求められます。転職を考える際には、自身の経験やスキルを活かせる環境かどうか、また自分の実力が企業に求められる水準に達しているかどうかを見極める必要があります。
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また給与額だけでなく、その他の福利厚生を含む総合的な待遇も確認し、自分が長期的にキャリアを築いていけそうな職場を選ぶようにしましょう!
ポイント2:語学力を身につけて海外の顧客を担当する
ハイヤー運転手としての収入を増やすための重要な要素に「語学力の向上」があります。
外国語を話せると、受けられる仕事の幅が大きく広がります。
ハイヤー運転手は、海外の企業役員や大使といったVIPや、海外からの観光客を送迎する機会があり、彼らとのコミュニケーションには語学力が不可欠です。
英語をはじめとする外国語が堪能であれば、国際的なビジネスシーンで求められる運転手としての資質があるとみなされ、重要な顧客を任せてもらえるようになるので、年収アップにつながる可能性が高いです。
外国語に堪能なドライバーは、国際会議や重要な商談の際の送迎で高額なチップやボーナスを得ることも珍しくありません。企業によっては英語などの語学スキルを磨くために英会話講習を設けていたり、「英会話手当」を支給していたりする場合もあり、ハイヤー運転手にとって語学力は大事という点がうかがえます。
タクシーやハイヤー運転手のための語学の資格などもあるので、取得すると転職の際のアピールにもつながります。語学の勉強はハイヤー運転手にとっては必要不可欠なため、まずは資格勉強から始めてみるのがおすすめです。
参考
【ハイヤー運転手におすすめの語学関連の資格】
・TOEIC
・TSTiE(Tokyo Sightseeing Taxi in English)
・ENGLISH CERTIFIED DRIVER
・外国人旅客接遇英語検定
ポイント3:スキルを高めてVIPの専属ドライバーになる
VIPの専属ドライバーとして、顧客と直接契約をするという働き方もあります。
VIPの専属ドライバーは、富裕層やその家族の日常的な移動をサポートする役割を担うため、通常のハイヤー運転手の収入と比較して、かなり高い給与を得ることが可能です。
専属ドライバーになるためには、まずハイヤー会社に勤めて、会社が定期的な専属契約を結んでいる顧客を多く担当します。このような顧客と信頼関係を築いて仕事ぶりを評価されれば、専属ドライバーとして指名してもらえるケースがあるのです。
また、引き抜きとして顧客から直接雇用のオファーをもらえる場合もあります。
顧客と直接契約を結ぶ場合は、契約時に給与形態の交渉をすることになりますが、交渉次第で年収1000万円以上を実現することが可能です。
ただし、専属ドライバーとしての職務では、運転技術だけでなく高いレベルの接客スキルを要求されます。専属運転手は、専属の顧客にとって「代わりの利かない人物」であり続けなければいけません。
そのため、VIPの専属ドライバーを目指す場合、常にクライアントが何を求めているかを考えてすぐに行動に移せる観察力や行動力を養う必要もあると言えます。
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並大抵のスキルでは直接契約に至ることは難しいという点は意識しておきましょう!
年収の高いハイヤー運転手の求人を探すなら?
年収の高いハイヤー運転手の求人を探すのに向いている転職サイト・求人サイトを紹介します。
自分に合ったサイトを使うことで、より高収入のハイヤー運転手としてキャリアアップを目指すことができます。
ハイヤー運転手の求人はタクシードライバー専門の求人サイトに多く掲載されているので、条件や働き方をしっかり見比べて自分にとって理想の職場を選んでください。
また、客層やサービス料金は運転手の年収に直結するため、気になる企業があれば個客向けのサイトなどもチェックしてみてください。
ハイヤー運転手以外だと未経験でも年収1000万円を目指せるナイト系もおすすめ!
ハイヤー運転手として高収入を得るために、まず一般的なタクシー運転手としての数年間の経験が必要です。また、ハイヤー運転手になった後に平均年収以上稼ぐには、かなり高いレベルの運転技術やビジネスマナー、接客スキルが要求されます。
そのため、今すぐに高収入を目指したい方にはあまり向かない仕事です。
できるだけ短期間で年収1000万円を目指したいという方は、ナイト系の求人をチェックしてみるのがおすすめです。ナイト系は高校生を除く18歳以上であれば学歴や職歴、資格は関係なく採用されるほか、実力次第では短期間で昇給・昇格が可能です。
また、ナイト系にも、お店で働くキャストを安全に送り届ける送迎ドライバーの仕事があります。
運転が好きな人は経験を活かせるので、即戦力として活躍可能です。
ナイト系は、未経験からでも年収1000万円を目指せるほどの高収入が期待できるため、速やかに高収入を得たいと考えている方には特に適しています。
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興味がある方は、積極的に求人を探してみてください!
ハイヤー運転手で稼ぐには業界選びが重要!
ハイヤー運転手として高収入を得るためには、以下の三つの要素がカギを握ります。
ポイント
・経験を積んで給与水準が高い企業に転職する
・語学力を身につけて海外の顧客を担当する
・スキルを高めてVIPの専属ドライバーになる
まず、前提条件として、顧客に安心して車に乗ってもらえる運転スキルや接客スキルを身につけ、運転手としての経験を積むことが基本です。経験が長ければ長いほど、さまざまな顧客のニーズに応えられる能力が高まり、より高収入を得やすくなります。
英語などの語学力を身につけることも重要です。特に国際的な大都市で働く場合、外国人顧客の対応が必要となることもあり、語学力は収入アップに直結します。
そして最後に、VIPから指名を受けて専属ドライバーになることが、最も収入を大きく左右します。専属ドライバーとして信頼を得られれば、安定した高収入が期待できるようになるのです。
これらのポイントを押さえて、ハイヤー運転手としてキャリアアップを目指してみてください。