消防設備士は、建物に設置されている消防設備の点検・整備・工事などを行います。
仕事に就くには国家資格が必要で、社会の安全を支える専門性の高い職業ですが、果たして年収はどれくらいなのでしょうか。
本記事では、消防設備士の平均年収や年齢・性別・地域・会社規模別の収入データ、給与アップのコツなどを詳しく解説します。
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年収の高い企業ランキングもご紹介するので、消防設備士として収入・キャリアを伸ばしたい方はぜひご覧ください。
消防設備士の平均年収は約329万円

消防設備士の平均年収は、約329万円です。
この金額は「令和6年賃金構造基本統計調査」の「その他の保安職業従事者」に記載されている、月給25.1万円、年間賞与27.6万円をもとに算出しています。
上記を踏まえて、大学卒業後の22歳から定年の60歳までの38年間を同一企業で勤務し続けると仮定すると、消防設備士の生涯年収は約1億2,500万円です。
ただし、年収算出に用いた統計データ「その他の保安職業従事者」には、消防設備士以外の保安職も含まれています。ご紹介した金額は、消防設備士のみの年収ではない点にご留意ください。
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2025-07-14)
消防設備士の収入内訳
消防設備士の収入は、基本的に「基本給+賞与+諸手当」で構成されています。
諸手当の内容は、以下のような手当が代表的です。
- 通勤手当
- 時間外手当
- 家族手当
- 資格手当
- 運転手当
- 役職手当
消防設備士の給与は経験やスキルに応じて変動しますが、さらに給与額に幅が出やすいのが資格手当です。
資格手当の相場は3,000円~5,000円程度でそこまで高額ではありませんが、資格を複数取得すると、金額を上乗せしていくことができます。
消防設備士の資格を全て取得すると、会社によっては資格手当のみで毎月3万円以上、年間にすると30万円を超える場合もあります。
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消防設備士は資格の取得状況で収入内訳がかなり変わると言っても過言ではありません。
【年齢別】消防設備士の平均年収
消防設備士の平均年収を年齢別でまとめると、以下のとおりです。
年齢 | 平均年収 |
---|---|
20~24歳 | 316.5万円 |
25~29歳 | 363.4万円 |
30~34歳 | 366.1万円 |
35~39歳 | 403.9万円 |
40~44歳 | 397.0万円 |
45~49歳 | 396.7万円 |
50~54歳 | 348.1万円 |
55~59歳 | 309.7万円 |
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2025-07-14)
20~24歳の平均年収が316.5万円と低めですが、見習いや実務経験の浅い若手が多いためと考えられます。
年収は年齢とともに徐々に上昇し、35〜39歳で約404万円とピークを迎えます。その後、40代では大きな変動はなく横ばいが続きますが、50代に入るとやや下がり始め、55〜59歳では最も低い309.7万円となっています。
このように、消防設備士の収入は一定の年齢で頭打ちになる傾向があるため、若いうちから資格取得や実務経験を重ね、スキルアップ・役職昇進を目指すことが重要です。
【性別】消防設備士の平均年収
消防設備士の平均年収は、男性よりも女性のほうが高い傾向にあります。
以下の表では「(きまって支給する現金給与額×12カ月)+年間賞与その他特別給与額」で男女別の平均年収を算出しました。
性別 | 平均年収(千円) | きまって支給する現金給与額(千円) | 年間賞与その他特別給与額(千円) |
---|---|---|---|
男女計 | 3,292.1 | 251.3 | 276.5 |
男 | 3,131.0 | 243.3 | 211.4 |
女 | 4,242.4 | 298.5 | 660.4 |
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2025-07-14)
男性の平均年収が313.1万円なのに対し、女性の平均年収は424.2万円となっており、その収入差は約111万円です。
一般的に、男女で年収差がある職種は多く見られますが、女性のほうが高収入というケースは非常に珍しいと言えるでしょう。消防設備士は、女性も活躍できる職業であることがデータからもわかります。
一方、男性消防設備士の平均年収は、日本人男性の平均年収よりも低いので、平均以上の収入を目指す場合はキャリアアップや、より稼げる職場への転職も検討しましょう。
【地域別】消防設備士の平均年収
消防設備士の平均年収を地域別で比較すると、以下のとおりです。
都道府県 | 平均年収 |
---|---|
北海道 | 388.2万円 |
宮城県 | 272.3万円 |
東京都 | 273.1万円 |
埼玉県 | 294.6万円 |
千葉県 | 375.3万円 |
神奈川県 | 342.1万円 |
新潟県 | 356.8万円 |
静岡県 | 315.4万円 |
愛知県 | 361.8万円 |
京都府 | 349.5万円 |
大阪府 | 446.3万円 |
兵庫県 | 295.6万円 |
岡山県 | 353.1万円 |
広島県 | 343.5万円 |
福岡県 | 400.4万円 |
熊本県 | 314.4万円 |
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「都道府県、職種(特掲)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2025-07-14)
消防設備士の平均年収が最も高い地域は大阪府で446.3万円、最も低い地域は宮城県で272.3万円でした。
消防設備士は全国的に需要がある仕事ですが、地域によって大きなばらつきがあります。
就業地域によって稼ぎやすさが異なるため、消防設備士を目指す際は勤務地もよく考慮しましょう。
【会社規模別】消防設備士の平均年収
消防設備士は同じような業務内容でも、会社の規模が違えば平均年収も変わります。
消防設備士の会社規模別の平均年収は以下のとおりです。
事業所の規模 | 平均年収(千円) | きまって支給する現金給与額(千円) | 年間賞与その他特別給与額(千円) |
---|---|---|---|
10人~99人 | 3032.0 | 242.5 | 122.0 |
100人~999人 | 3084.0 | 239.9 | 205.2 |
1,000人以上 | 4230.4 | 294.4 | 697.6 |
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2025-07-14)
最も年収が高いのは従業員1,000人以上の大企業で、平均年収は423.0万円です。
一方、10~99人規模の中小企業では303.2万円となっており、その差は約120万円にのぼります。
大企業は高単価の案件を受注しやすく、事業の多角化により収益も安定しています。こうした背景から、賞与も手厚く、年収が高くなる傾向があります。
消防設備士としてより高い収入を目指す場合は、企業規模も就職・転職時の重要な判断基準となるでしょう。
消防設備士の平均年収が低いと言われる理由

「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、日本全体の平均年収は約460万円です。
それに対して、消防設備士の年収はこの水準を下回るケースが多いため、「年収が低め」と言われることがあります。
消防設備士の平均年収が低い理由には、以下のようなポイントがあります。
- 資格の取得難易度がそこまで高くない
- 資格手当が大きな収入につながりにくい
- 見習い期間中の給与が低めに設定されている
①資格の取得難易度がそこまで高くない
消防設備士は国家資格であるものの、他の国家資格に比べると受験資格の制限が緩く、資格取得の難易度が低めです。そのため、取得者が多くなりやすく、人材の供給が増えることで、企業側が人件費を抑えやすい環境になる傾向があります。
たとえば、令和6年の試験合格率は乙種で33.8%、甲種で30.1%と高めです。
一方で、類似する国家資格においては、マンション管理士は12.7%、第三種電気主任技術者は16.3%と、消防設備士よりも難易度が高いことが分かります。
とはいえ、甲種の資格を取得すれば、より専門的な業務に携われるため、年収アップが期待できます。
②資格手当が大きな収入につながりにくい
消防設備士の資格を取得すると資格手当が支給されるケースが多いですが、一つの資格につき3,000円〜5,000円が相場なので、取得数が少ないと大きな収入アップにつながりません。
甲種やその他の業務に関連する資格を取得すれば、資格手当の収入が増えますが、資格取得には勉強や講習などが必要なため、収入を上げるまでにどうしても時間がかかってしまう傾向があります。
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消防設備士は資格によってできる仕事の幅が広がるので、資格が少ないとどうしても稼ぎづらい職業と言えます。
③見習い期間中の給与が低めに設定されている
消防設備士の見習い期間中は、基本給が低くなる傾向にあります。
消防設備士は現場での経験やスキルが求められるため、一人前として認められるまでに数年単位での期間が必要になり、収入を上げるまでに時間がかかる職業です。
見習い期間中が長いと、基本給が低い期間も比例して長くなるため、消防設備士全体の平均年収を下げている要因として考えられます。
消防設備士で年収の高い会社別ランキング

ここでは、各企業の有価証券報告書や会社口コミプラットフォーム「エンゲージ」のデータをもとに、消防設備士の年収が高い企業ランキングをご紹介します。
順位 | 企業名 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | ホーチキ株式会社 | 700.1万円 |
2位 | 能美防災株式会社 | 611.0万円 |
3位 | ニッタン株式会社 | 506.0万円 |
参考:ホーチキ株式会社「有価証券報告書」(参照 2025-07-14)
能美防災株式会社「有価証券報告書」(参照 2025-07-14)
エンゲージ会社の評判「ニッタンの年収・給与」(参照 2025-07-14)
ランキング上位の3社は、いずれも防災設備メーカーです。
消防設備士の資格を活かせる主な就労先は、防災関係会社や消防設備会社、ビルメンテナンス会社など多岐に渡りますが、年収を大幅に上げたいなら消防設備の開発・販売・設置など幅広く事業展開している大手企業に就職したほうが良いでしょう。
事業展開が豊富だと企業の売上高が大きくなりやすく、従業員に還元される報酬も多くなる傾向です。
消防設備士で稼げる人の特徴

消防設備士の平均年収は日本全体の平均年収より低めですが、平均を大幅に超えて稼いでいる人もいます。
消防設備士として稼げる人は、以下のような特徴を持っている場合が多いです。
- 消防設備士甲種1類または甲種4類を取得している人
- 他の仕事と掛け合わせて仕事の幅を広げられる人
- 消防設備士として独立している人
ぜひ、これらの稼げる人の特徴を参考にして自分にあてはまるかチェックしてください。
①消防設備士甲種1類または甲種4類を取得している人
消防設備士の資格は、甲種と乙種に分かれた上で8類に区分されますが、最も稼ぎやすい消防設備士は「甲種1類」と「甲種4類」と言われています。
甲種1類を取得すれば、消火栓やスプリンクラーといった建物内の水系消火設備を点検・整備・工事ができるようになるため、さまざまな現場で求められる人材になれるでしょう。
また、甲種4種の資格保有者は、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、火災通報装置など、主に電気関係の消防設備の点検・整備・工事業務を行えるので、こちらも高いニーズがあります。
水系消火設備や火災通報装置などは、建物全体に工事が発生しやすく、設置義務が生じる建物も多いです。
そのため、甲種1類や甲種4類の資格を持つ消防設備士は需要が高く、年収1,000万円以上稼ぐことも不可能ではありません。
②他の仕事と掛け合わせて仕事の幅を広げられる人
消防設備士と相性の良い仕事を掛け合わせることで、仕事の幅が広がり収入アップが見込めます。
たとえば、建物には消防設備以外にも、空調設備や照明設備などの電気設備がたくさんあり、それぞれ管理や点検が必要になります。これらの業務を同時に実施できるスキルを身につければ、高い専門性から人材としての価値が上がり、年収アップが狙えるでしょう。
消防設備士が業務の幅を広げるために特におすすめの資格が「第二種電気工事士」です。
第二種電気工事士の資格を取得すると、電気工事に関する基礎知識があるという証明になり、担当できる業務範囲が拡大します。また、第二種電気工事士の資格があれば、消防設備士甲種の受験資格も満たせます。
関連資格を取得してできる業務の幅を広げ、年収アップへとつなげていきましょう。
③消防設備士として独立している人
消防設備士には、独立するという働き方もあります。独立すると、仕事をした分だけ収入が増えるので、頑張り次第で大幅な年収アップが可能です。
事実、独立した消防設備士の中には月収50万円以上、年収にすると700万円以上を稼いでいる人もいます。
個人で事業を展開するには、消防設備士の知識以外にも経理や営業といったビジネススキルが求められますが、本気で稼ぎたいなら挑戦してみる価値はあるでしょう。
消防設備士で稼げない人の特徴

消防設備士としての知識やスキルがあったとしても、それを証明できなかったり経験が浅かったりすると稼げない場合があります。
ここでは、消防設備士で稼げない人に多い3つの特徴をご紹介します。
- 消防設備士甲種を取得していない人
- コミュニケーションが苦手な人
- 消防設備士として働き始めて間もない人
特徴を把握し、昇給・昇格のチャンスを逃さないようにしてください。
①消防設備士甲種を取得していない人
消防設備士の資格は乙種と甲種に分かれていますが、甲種を取得しないと消防設備の工事に携わることができません。
乙種の場合、消防設備の点検・設備のみしか作業ができず、業務の範囲が制限されます。企業は幅広い業務ができる人を必要としているため、甲種を取得していないと給料が上がらない原因となってしまいます。
前述したとおり、甲種のなかでも甲種1類や甲種4類の資格を取得すれば年収アップに期待できるため、資格取得で業務の幅を増やそうとする意欲が大切です。
②コミュニケーションが苦手な人
消防設備士の仕事は、顧客や施設管理者、消防当局など、さまざまな関係者とコミュニケーションを取りながら進めます。また、小さなミスや見落としが一大事につながる可能性があるので、職場内での報告・連絡・相談を行うことでリスク管理につながります。
そのため、他人とコミュニケーションを取るのが苦手な人は、昇給や昇格の対象になりにくく、大きくは稼げないでしょう。
③消防設備士として働き始めて間もない人
消防設備士は、働き始めてすぐに独り立ちできる仕事ではありません。独り立ちするには知識や経験、技術などを積み重ねる必要があり、多くの人が数年単位の期間を要します。
そして、一人前と認められるまでは見習い期間として扱われ、給与が低い傾向にあるため、働き始めてすぐに高収入を実現するのは難しいでしょう。
独り立ちしたときにより収入アップを実現するために、見習い期間中から資格取得に向けて勉強を進めていくことが大切です。
消防設備士で年収・給与を上げるポイント

消防設備士は平均年収が低い傾向にありますが、「稼げる行動」を続ければ年収アップが見込めます。
消防設備士が年収・給与を上げるために意識すべきポイントは、以下の3つです。
- 新しい資格を取り続ける
- 社内でキャリアアップを目指す
- 実務経験を積んで転職・独立する
これらを実践し、安定して稼げる消防設備士を目指しましょう。
①新しい資格を取り続ける
新しい資格を取得し続けることで、継続的に年収アップを狙えます。
消防設備士は専門知識やスキルが重要な仕事な上に、資格の種類が細かく分かれているので、年収を上げるには業務の幅を広げて複数の資格を取得するのが近道です。
特に、以下の資格は年収アップに直結しやすく、おすすめです。
- 甲種1類
- 甲種4類
- 乙種6類
- 第二種電気工事士
甲種1類は消火栓をはじめとした建物内の水系消火設備、甲種4類は火災報知設備などの電気に関係する消防設備の点検・整備・工事ができるようになります。
単体でも需要の高い資格ですが、そこに消火器の点検・整備を行える乙種6類も持っていると、より仕事の幅が広がり、任せられる業務が広がりやすいです。
また、第二種電気工事士の資格は、600V以下で受電する設備の電気工事が行えるだけでなく、消防設備士甲種の受験資格を満たすのに必要となります。
新しい資格を取得すれば、資格手当の増額が期待できるだけでなく、昇格や転職などでも有利に働きやすく、年収アップにつながるでしょう。
②社内でキャリアアップを目指す
消防設備士は経験を積んで社内でキャリアアップすれば、年収アップにつながります。
日々真面目に仕事をこなしてスキルアップし、資格を取得してできる業務の幅を広げることで、社内評価が高まり昇進スピードも早くなるかもしれません。
法律によって、建築物には消防設備の設置が義務化されているので、消防設備士は今後も安定したニーズが見込まれる職種です。そのため、長期的な視点でプランを立てて、キャリアアップを目指しやすいでしょう。
③実務経験を積んで転職・独立する
現在の職場ではこれ以上の年収アップに限界があるという場合は、より給与水準の高い企業に転職するのも手です。
転職を成功させるには、新規資格の取得や経験の積み重ねにより、自身の価値を高めるのが重要です。
ただし、転職して引き続き会社員の道を選ぶと、安定性は高いものの給与の伸びしろに物足りなさを感じる可能性もあります。
大幅な年収アップを狙う場合は、独立する道を選ぶのも選択肢でしょう。
独立すれば、消防設備の点検・整備・工事の収入が全て自分に入ってくるので、一気に収入を増やしやすいです。一方で、独立には消防設備士としてのスキルに加えて、経営スキルや人脈、コミュニケーションスキル、営業スキルなども問われます。
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転職や独立する際は、まずは準備が必要なので、経験を積みつつ資格取得や情報収集から始めてみましょう。
消防設備士で年収アップを目指す際の注意点

消防設備士で年収アップを目指すなら、あらかじめ以下の注意点を理解しておきましょう。
- 甲種資格を取得しなければ年収アップは見込めない
- コミュニケーションスキルが乏しいと年収アップは厳しい
- 実務経験が重視されるので年収アップに時間がかかる
これらの注意点を知らずに消防設備士になってしまうと、理想と現実のギャップが生じやすく、後悔する可能性が高いです。それぞれの注意点を詳しく解説します。
①甲種資格を取得しなければ年収アップは見込めない
消防設備士の資格には甲種と乙種があり、年収が高くなりやすいのは甲種です。
乙種が消防用設備の点検・整備のみ行えるのに対し、甲種は工事・点検・整備の全ての業務に携われます。
甲種のほうが高度な専門知識が必要で、資格取得の難易度は高いですが、その分資格手当の増額やキャリアアップにつながりやすく、収入アップにも直結します。
また、会社によっては乙種には資格手当がつかないケースもあり、乙種資格のみでは大幅な年収アップは難しいです。
ただし、甲種の資格試験には実務経験や関連資格の取得といった受験条件があります。そのため、未経験から消防設備士になる場合は、受験条件が定められていない乙種を取得後、実務経験を積みながら甲種の取得を目指すのが一般的です。
②コミュニケーションスキルが乏しいと年収アップは厳しい
消防設備士にはコミュニケーションスキルが必須で、他人と接するのが苦手だと年収アップは難しいです。
消防設備の点検・整備は一人で行うことも多いため「コミュニケーションスキルが乏しくてもできそう」と思われがちですが、同僚や関係者との連携が求められる場面が多いです。社内の人だけでなく、社外の人とも関わる機会が多い仕事なので、協調性も欠かせません。
また、転職・独立をする場合でも、自己アピールや営業活動などが必要になり、やはりコミュニケーションスキルが重要になります。
実務経験を重ねつつ並行してコミュニケーションスキルの向上を意識すれば、周囲から信頼されて社内評価が上がり、間接的な年収アップにつながるはずです。
③実務経験が重視されるので年収アップに時間がかかる
消防設備士の年収アップには年単位の時間がかかる点も、前もって把握しておきましょう。
消防設備士は専門的な知識やスキルが必要なので、一人前と認められるのに数年かかり、一人前になってからも仕事で評価されるためには現場経験が重要になります。
単発の結果よりも継続して積み上げた経験値が重視される傾向にあるため、スピード出世・昇給はあまり期待できません。
しかし、消防設備士としての経験だけでなく、相性の良い業務の資格を取得すると、その後の消防設備士の仕事に活かして出世が早まるケースがあります。たとえば、電気設備工事や空調設備工事などができるようになれば、仕事の幅が広がり、年収アップにつながりやすいです。
消防設備士で求人を探すのにおすすめなエージェント

消防設備士の求人を探すなら、業界や職種に特化した転職サービスを使うのがおすすめです。
ここでは、高年収・好待遇の消防設備士求人が見つかりやすいサービスを3つご紹介します。
防災転職 | 消防設備士に特化した求人サイトです。エージェントは消防設備士の資格保有者であり、業界に精通した細やかなサポートが受けられます。 |
ビルメ | 消防設備点検業界専門の副業紹介サイトです。未経験からベテランワーカー向けまで豊富な求人を取り扱っており、本業にしたい場合の転職支援も展開しています。 |
ジョブリー建設 | 施工管理・建設業界の転職に特化した求人サイトです。消防設備士の求人も取り扱っており、建築業界専門のエージェントが全面サポートしてくれます。 |
消防設備士で年収を上げるには、自分に合った職場を見つけることも大切です。エージェントがいるサービスを選べば、転職活動もスムーズに進みやすいでしょう。
消防設備士として稼ぎたいと考えている方は、このような転職サイトをうまく活用してみてください。
消防設備士と似た稼げる仕事3選

消防設備士と似た稼げる仕事は、以下のとおりです。
- 電気工事士
- 電気工事施工管理技士
- 機械保全技能士
「消防設備士に向いているのか自信が持てない」「注意点を知って就職・転職を迷っている」という場合には、似た仕事を検討してみるのも手です。
各仕事について解説するので、ぜひ検討する際の材料にしてください。
①電気工事士
電気工事士は、電気設備の工事や設計、保守点検などを行います。電気という現代社会に欠かせないインフラを支えるため、社会貢献度の高い職業です。
また、電気工事士は消防設備士よりも稼げる傾向が強く、平均年収は500万円を超えています。
資格取得支援制度を設けている会社もあり、未経験者や無資格者でも就職・転職できるので、電気系の仕事に飛び込んでみたい方におすすめです。
②電気工事施工管理技士
電気工事施工管理技士は、電気工事の工程や予算、品質、安全などを管理します。電気工事そのものを自ら行うことはなく、施工現場を含む工事全体を管理するのが主な仕事です。
年収は700万円以上を目指すことも可能ですが、年収を上げるには「1級電気工事施工管理技士」などの資格を取得し、携われる工事現場の幅を広げる必要があります。
電気工事施工管理技士は多岐にわたる業務を統括する仕事なので、マネジメント側に回りたいと思っている方に特に向いているでしょう。
③機械保全技能士
機械保全技能士は、工場をはじめとする製造現場で機械が正常に稼働するよう、機械の設備診断や機械保全などを行います。
機械保全技能士を名乗るには国家資格を取得する必要があり、有資格者の平均年収は500万円以上です。
機械保全技能士は、自動車・化学・金属・食品など、幅広い分野の製造業で求められており、将来性のある仕事と言えます。日本の製造業を支えるというやりがいがある仕事でもあります。
消防設備士で稼ぐには資格取得・キャリアアップ・独立開業が重要!

消防設備士の平均年収は329万円であり、日本全体の平均年収である460万円に届いていないことから、低めの給与水準と言えるでしょう。
しかし、稼ぐためのポイントを押さえて努力した結果、平均年収以上に稼いでいる消防設備士もいます。
消防設備士で年収を上げるポイントは、以下の3つです。
- 新しい資格を取得する
- キャリアアップを目指す
- 実務経験を積んで転職・独立を目指す
「甲種1類」「甲種4類」「乙種6類」「第二種電気工事士」などの資格を取得すると、業務の幅が広がって年収も増えやすいです。
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長い視点で資格取得に取り組み、稼げる消防設備士を目指しましょう!