児童指導員の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

児童指導員の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

児童指導員は、子どもの日常生活の支援・指導を行う重要な役割を担っています。

就職先の施設によっては、発達障がいの子どもと接する機会も珍しくなく、高い専門知識やスキルの習得も求められる職業ですが、年収はどれくらいなのか気になる人もいるのではないでしょうか。

本記事では、児童指導員の平均年収や年齢・性別・地域別の収入データを詳しく解説します。さらに、児童指導員として収入を増やすコツや稼げる人の特徴も紹介します。

  • 児童指導員として安定した収入とキャリアアップを目指しましょう。

児童指導員の平均年収は約426万円

児童指導員の全国平均年収は約426万円です。

平均年収は、「令和5年賃金構造基本統計調査」の「その他の社会福祉専門職業従事者」に記載されている月給28.9万円、年間賞与79万円をもとに算出しています。

この平均年収を踏まえて、大学卒業後の22歳から定年の60歳までの38年間を同じ企業に勤め続けた場合、児童指導員の生涯年収は約1億6,188万円となります。

また、児童指導員は45~49歳で年収のピークを迎え、金額は480.35万円です。

一般的に、経験年数やスキルに応じて収入が変動する児童指導員は、安定して収入を上げ続けるためには業務に関する資格取得や転職などを経てキャリアアップを図ることが求められます。

まずは、長く働き続けて実務経験を積むように意識しましょう。

参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「児童指導員」(参照 2024-09-06)

児童指導員の収入内訳

児童指導員の収入は、基本的に「基本給+諸手当+賞与」で構成されています。

手当は、通勤手当や住宅手当、時間外手当、役職手当など一般的に支給されるものとほぼ一緒です。また、夜勤のある入所型施設であれば「夜勤手当」もつきます

さらに、子どもの送迎業務を行った場合に支給される「運転手当」や、介護業務の従事者を対象に支給される「処遇改善手当」を設ける施設も存在します。

ちなみに、公営施設で働く児童指導員は地方公務員としての扱いになるので、賞与に該当する「期末手当」「勤勉手当」が支給されるのも特徴です。

いかに多くの手当をもらえるかどうかは、児童指導員の収入を増やすうえで重要なポイントです。児童指導員を募集する求人を探す際は、給与内訳や手当の種類を必ず確認しましょう。

【年齢別】児童指導員の平均年収

児童指導員の平均年収を年齢別で比較すると、以下の通りです。

年齢平均年収
20~24歳317.75万円
25~29歳345.52万円
30~34歳384.61万円
35~39歳424.04万円
40~44歳453.88万円
45~49歳480.35万円
50~54歳450.75万円
55~59歳454.21万円

参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「児童指導員」(参照 2024-09-06)

平均年収は入社したての20~24歳からおよそ30〜40万ずつ上がっていき、45~49歳でピークを迎えます。50代以降はやや年収が下がるものの、ピーク時とほぼ横ばいです。

児童指導員は、営業職のように勤続年数を問わず自分の成果次第で収入アップが目指せる職種ではありません。そのため、勤続年数を増やして経験を積んでいくことで、徐々に給与が高くなっていく傾向にあります。

しかし、昇給の仕組みは、施設によって大きく異なります。経営状況が悪い民営施設であれば、何年経っても給与が上がらなかったり、そもそも昇給制度自体がなかったりする可能性もありうるのです。

児童指導員として確実に年収を上げたい場合、資格取得によるスキルアップはもちろん、待遇の良い施設への転職も検討する必要があります。

【性別】児童指導員の平均年収

児童指導員の平均年収を性別で比較すると、女性より男性のほうがやや平均年収が高いことがわかります。

なお、平均年収は「(きまって支給する現金給与額×12カ月)+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

性別平均年収(千円)きまって支給する現金給与額
(千円)
年間賞与その他特別給与額
(千円)
男女計4,257.6289.3786.0
4,614.1312.0870.1
3,978.1271.5720.1

参考:e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-09-06)

国税庁の調査によると、日本人全体の男女別の平均年収は、男性が563万円、女性が314万円です。それを踏まえると、児童指導員の平均年収は他の職種よりも男女の賃金差が少ないことがわかります。

女性の場合、結婚や出産といった私生活の変化によって時短勤務を希望するケースもあるものの、常勤勤務であれば男女間の賃金格差はそれほど気にせず働きやすいと言えます。

一方で男性の場合、児童指導員の平均年収は日本人全体の男性の平均年収よりも低いです。そのため、今の収入のままでは長く働くのが難しいと感じる人もいます。

参考:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」(参照 2024-09-18)

【地域別】児童指導員の平均年収

児童指導員の平均年収を地域別で比較すると、以下の通りです。

都道府県平均年収
北海道405万円
宮城県359.6万円
東京都486.5万円
埼玉県464.3万円
千葉県461.9万円
神奈川県459.3万円
新潟県417.7万円
静岡県417.9万円
愛知県476.2万円
京都府445.3万円
大阪府395.2万円
兵庫県472.3万円
岡山県382.1万円
広島県430.8万円
福岡県433.2万円
熊本県341.7万円

参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「児童指導員」(参照 20240-9-06)

日本人全体の平均年収である458万円より平均年収が高い地域は、東京都、愛知県、兵庫県、埼玉県、千葉県、神奈川県です。

総務省によると、上記の東京以外のエリアでは、子どもの人数が全国平均以上になっています。子どもの数が多い地域は、児童指導員の需要が高く、給料も高めに設定されている点が考えられます。

東京都の場合、子どもの割合自体は低いものの、全都道府県の中で唯一前年度より子どもの数が増加したというデータもあることから、他の地域と同じく児童指導員のニーズがある地域でしょう。

他にも、大都市は生活するうえで必要な費用が高く、その分給与水準も高めに設定されているのも児童指導員の平均年収が高い理由の一つと言えます。

参考:
国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」(参照 2024-09-18)
総務省統計局「都道府県」(20240-9-06)

児童指導員の平均年収が低いと言われる理由

児童指導員の平均年収が低いと言われる理由はいくつかあります。

  • 専門的な知識が求められる割には給料が見合っていないと感じる人が多いから
  • 民営施設の場合、収益を伸ばすのに限界があるから

子どもをサポートする児童指導員は、専門的な知識やスキルの習得が求められる職業です。複雑な家庭事情を抱える子どもの支援や指導を行う責任重大な業務であるのにも関わらず、それに見合った給料が受け取れていないと感じる人が多いです。

また、児童指導員の経験を積んでスキルが向上したとしても、昇給のルールを明確にしていない施設も珍しくなく、結果として収入が伸び悩んでしまう実情もあります。

さらに、民営施設の場合、収益を伸ばすのに限界がある点も挙げられます。

たとえば、児童指導員の主な就職先の一つである「放課後等デイサービス」の場合、施設の一日の利用定員が法令で厳格に決められており、利用者を増やして売上を上げるのが難しいです。そのうえ、学校が終わった放課後の時間帯から営業が始まるため、限られた営業時間の中で売上を伸ばしにくい点もあります。

児童養護施設や児童発達支援施設など、就職先によって運営状況や勤務体制は異なるものの、どの施設も受け入れ可能な子どもの数に限度があるので、それ以上の収益を得るのは厳しいです。

こうした現状を受けて、近年では児童指導員の給料を見直す動きが進んでおり、政府の支援も相まって半数以上の施設で給与の引き上げが行われていると言われています。

 

児童指導員で稼げる人・稼げない人

児童指導員に求められるスキルは以下の通りです。

  • コミュニケーション能力
  • リスク管理能力
  • 共感力
  • 忍耐力

これらのスキルを参考に、児童指導員で稼げる人と稼げない人の特徴をそれぞれご紹介します。

児童指導員で稼げる人児童指導員で稼げない人
コミュニケーション能力のある人子どもの気持ちに寄り添えない人
知識や技術を習得する向上心がある人リスク管理能力が低い人
体力がある人忍耐力がない人

児童指導員で稼げる人は、コミュニケーション能力が高く、子どもの感情に寄り添える人です。子どもの感情に寄り添いつつ支援・指導を的確に行うためには、常に知識や技術を習得し続ける向上心を持つことも欠かせません。

また、動き回ったり抱きついたりするわんぱくな子どもに対応できる体力を持つ人も、児童指導員として長く活躍できます。

逆に、子どもの気持ちに寄り添えず、忍耐力に欠けている人は児童指導員で稼ぎにくいです。

子どもの成長をサポートする役割を担う児童指導員は、いかに子どもと信頼を築けるかどうかが重要です。たとえば、子どもの対応に追われてやりたい作業がなかなか進まなかった時、思わずイライラした態度を出してしまうと、子どもとの距離がなかなか縮まりません。

さらに、子どもは予想外の行動をする場合も珍しくなく、少し目を離した隙に思わぬ事故を起こす可能性もあります。リスク管理能力が低い人は、適切に子どもを見守ることが難しいので、職場内で良い評価を得られず、昇給が厳しいと言えます。

児童指導員で年収・給与を上げるポイント

児童指導員で年収・給与を上げるためには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

  • 業務に役立つ資格を取得する
  • 公務員になって公営施設に勤務する
  • 入所型施設へ転職する

児童指導員の場合、主に「スキルアップを証明できる資格の取得を行う」「給料が高めに設定されている施設で働く」の2つの方法があります。

それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。

業務に役立つ資格を取得する

児童指導員として年収を上げる方法の一つは、「業務に役立つ資格を取得する」です。

資格を取得することで、基本給が上がったり資格手当をもらえたりする可能性があり、年収アップが期待できます。また、資格の取得は高いスキルを習得する証明にもなるので、管理職に昇進できるチャンスが生まれるメリットもあります。

児童指導員の仕事に役立つ主な資格は、以下の通りです。

  • 保育士
  • 発達障がい児支援士
  • 発達障がい支援アドバイザー
  • 子ども発達障がい支援アドバイザー
  • 児童発達支援管理責任者

保育のプロフェッショナルとも言える「保育士」の資格が役立つのはもちろん、発達障がいの子どもに関する資格を取っておくのもおすすめです。

特に、「児童発達支援管理責任者」は、児童福祉法に基づく児童発達支援の施設において必ず1名以上配置が義務付けられているため、非常に需要が高い資格です。

【児童発達支援管理責任者とは】
主に、障がいのある子どもの支援計画の作成、その保護者のサポートなどを行う専門職を指します。

児童発達支援管理責任者の資格を取るためには、年単位の実務経験と研修の受講が求められます。すぐに取得できる資格ではないものの、管理職やリーダー的なポジションに就けるチャンスが得られるので、児童指導員からステップアップしたい人はチャレンジしてほしい資格です。

公務員になって公営施設に勤務する

地方公務員として公営施設に勤務するのも、児童指導員として年収を上げるうえで有効な手段です。

民営施設よりも公営施設で働いた方が、給与条件が良く、充実した福利厚生が受けられる可能性が高いです。経営状況によってはボーナスを支給しない民営施設も存在する一方で、地方公務員として採用される公営施設は、ボーナスに値する「期末手当」「勤勉手当」を支給するメリットもあります。

何より地方公務員になることは、長期的なキャリアにおいても評価されやすく、安定性や社会的な信用を得られる点も大きな魅力です。

地方公務員の児童指導員になるためには、自治体ごとの採用試験を受けて合格しなければいけません。

児童指導員の採用試験は自治体によって受験要項が異なります。児童保育に関する資格の取得が採用条件に含まれている場合も少なくありません。

さらに、全ての自治体が児童指導員を毎年募集しているとは限らないので、受験したい自治体の募集要項は必ず確認しておくことが重要です。

多くの自治体では、面接試験の前に筆記試験や作文試験が実施されることが多いため、地方公務員の採用試験を突破できるように、事前に試験対策を行いましょう。

入所型施設へ転職する

児童指導員として年収を上げる方法として、入所型施設への転職があります。

【入所型施設とは】
さまざまな事情で家族との同居が難しい原則18歳未満の子どもを保護して、日常生活全般をサポートする施設を指します。身体や知的、発達を含む障がいがある18歳未満の子どもを受け入れる障がい児入所施設もあります。

入所型施設は、基本的にシフト制を採用しており、夜勤が発生するケースも多いです。夜勤手当や深夜手当などが加算されることで、結果的に収入が増えます。

夜勤が発生する可能性が高い入所型施設は以下の通りです。

  • 福祉型障がい児入所施設
  • 医療型障がい児入所施設

夜勤の頻度や手当の支給額、労働環境などは施設によって大きく異なるため、自分の希望する条件に合った職場を選ぶのがおすすめです。

転職を検討する際は、施設の規模や勤務条件をしっかり確認しましょう。

また、夜勤が多くなればなるほど体力面の負担も大きくなるので、自身が体力的に夜勤に耐えられるかどうかも転職前に判断する必要があります。

入所型施設は、職場の環境や条件に合った施設に転職できれば、大幅な収入アップも狙えます。児童指導員として今より年収を高くしたい人は、ぜひ入所型施設への転職も視野に入れましょう。

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児童指導員は、就職先の施設によって労働条件や給与条件が大きく異なります。

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児童指導員以外だと未経験でも年収1,000万円を目指せるナイト系もおすすめ!

児童指導員として収入を上げる方法として、業務に役立つ資格の取得、公営施設や入所型施設の勤務が挙げられます。

どの方法も、多くの時間と努力が必要であるのにも関わらず、即座に大幅な収入アップをするのは難しいのが現状です。

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児童指導員で稼ぐには資格の取得や公務員への転身、転職が重要!

先述した通り、児童指導員は他の職種と比べて平均年収が低いと言われる職業です。

とは言え、以下のポイントを押さえておけば、児童指導員として年収を上げることも可能です。

  • 業務に役立つ資格を取得する
  • 公務員になって公営施設に勤務する
  • 入所型施設へ転職する

働きながら資格取得の勉強をしたり、公務員になるためには試験対策を行ったりするのは、決して簡単なことではありません。

また、入所型に限らず、施設によって給与条件や労働環境が異なるので、転職する際は職場選びを慎重に行う必要があります。

しかし、何もしなければ大幅な収入アップが難しいのもまた事実です。

ぜひこの記事を参考に、児童指導員として年収を上げていきましょう。

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著者情報

シュウジ
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兵庫県生まれ。都内の私立大学卒業後、パチンコにハマって単位を落とすも、一浪して大学を卒業。派遣社員として工場で働きながら、副業としてナイト系ドライバーやせどりを始める。
本業に嫌気がさし、転職を決意し資格取得に励む。奇跡的に大手人材会社に入社し、給料が倍になり人生が変わる。人材業界でさまざまな職業や経歴を持つ人々との交流を通じて知識を蓄え、2023年にブログ「仕事図鑑」を開設。