玉掛けの年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

玉掛けの年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ
  • 玉掛け作業員の年収ってどのぐらい?

  • このまま玉掛け作業員を続けて年収やキャリアのアップはできるの?

こういった疑問を解消できるよう、玉掛け作業員の年収について詳しく解説をしていきます。

玉掛け作業員とは、建設現場や工場・倉庫などでクレーンのフックに吊り荷を掛けたり、外したりといった作業をする人のことで、なるためには基本的に国家資格の取得が必要です。

本記事では玉掛け作業員の平均年収をはじめ、年齢別・性別・地域別の収入についてご紹介。また、稼げる玉掛けと稼げない玉掛けの違いについても解説をします。

玉掛け作業員として給与アップをするためのコツや、より高収入を目指すためのおすすめの転職サイトについても触れていますので、玉掛け作業員としてキャリアアップ・年収アップを目指す方はぜひご覧ください。

玉掛け作業員の平均年収は442万円

玉掛け作業員の全国平均年収は約442万円です。この金額は、月給31万円、年間賞与69.6万円という数字をもとに計算されています。

上記の平均年収を踏まえると、大学卒業後の22歳から定年の60歳までの38年間を同一企業で働き続けた場合、生涯年収は約1億6798万円となります。

なお、玉掛け作業員の年収は45歳から49歳でピークを迎え、この時期の年収は485.9万円です。

日本人の平均年収は約458万円であることから、玉掛け作業員の年収はおおむね平均的な年収だといえるでしょう。

ただし、上記の各数値は「その他の定置・建設機械運転従事者」の職種の総額であるため、資格の有無や対応できる作業範囲などで年収は大きく変わる点はご留意ください。

参考:
e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-6-19)

玉掛け作業員の収入内訳

玉掛け作業員の収入内訳は主に「基本給+賞与+各種手当」です。
まず、基本給が収入の大部分を占めており、これは個人の経験やスキル、勤務年数によって異なります。

賞与は支給されるかどうかを含めて企業・個人の業績によって大きく変動します。
ちなみに、建築業界の職種の中では玉掛け作業員は賞与の支給額が高い部類です。これは有資格者でないと従事できない玉掛けという作業が評価されているのが主な理由です。

また、手当に関しても企業によって異なるものの、通勤手当、家族手当、住宅手当、時間外手当、資格手当といったものが主流です。
玉掛けに関する資格はもちろんのこと、現場で役に立つ資格やスキルを習得していけば資格手当だけでなく、基本給の昇給にもつながりやすくなります。

さらに、管理職に昇進すれば役職手当が支給されるため、大幅な収入アップが期待できます。

【年齢別】玉掛け作業員の平均年収

玉掛け作業員の平均年収を年齢別で見てみると、20代から30代にかけて年収がじわじわと上がり、45~49歳でピークに達することがわかります。

以下では「令和5年賃金構造基本統計調査」に掲載されたデータをもとに「(きまって支給する現金給与額×12カ月)+年間賞与その他特別給与額」で、男女ごとの平均年収を算出しています。

年齢

平均年収

20~24歳

372.32万円

25~29歳

398.0万円

30~34歳

430.93万円

35~39歳

480.32万円

40~44歳

468.4万円

45~49歳

496.24万円

50~54歳

472.48万円

55~59歳

473.46万円

参照元:e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-6-19)

玉掛け作業員は体力を使う仕事であるため、体力が衰えてくる50代以上になると年収がやや下がる傾向にあります。

しかしながら、50代以上でも日本全体の平均年収よりも高収入であるため、玉掛けの仕事は収入が安定しているといえるでしょう。
体力のある20代から30代のうちにスキルを磨き、資格取得などにも励めば、玉掛け作業員として高収入を期待できます。

また、50代以降の年収ダウンに備えてマネジメントスキルを磨き、管理職に昇格しておけば、高収入を維持することも可能です。

【性別】玉掛け作業員の平均年収

玉掛け作業員の平均年収を性別で比較すると、下記の通りです。
なお、以下の平均年収は「きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。

性別

平均年収(千円) きまって支給する現金給与額(千円) 年間賞与その他特別給与額(千円)
男女計 4420.5 310.4 695.7
4455.8 312.9 701
3685.4 258.4 584.6
参照元:e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-6-19)

男性の方が77万円ほど平均年収が高いという結果が出ました。
玉掛けの仕事は体力や筋力を使うため、男性が有利になりやすいのが理由として挙げられます。

また、男性の平均年収と男女計の平均年収の数字が近く、玉掛けの職に就いている女性がそもそも少ないということも推測されます。

とはいえ、多職種の場合は男女の年収差が100万円以上となる場合もあるので、全職種で見ると玉掛け作業員の男女の年収の差はそこまであるわけではありません。

【地域別】玉掛け作業員の平均年収

各企業の給与は、その地域の経済状況や物価、利用者からのニーズ、同業他社の給与状況なども絡むため、同じ業務内容でも地域によって収入に差が出ます。

東京都と政令指定都市のある道府県での玉掛けの平均年収を地域別で比較してみると、以下の通りです。

都道府県

平均年収

北海道

416.48万円

宮城県

428.83万円

東京都

503.23万円

埼玉県

472.85万円

千葉県

487.75万円

神奈川県

497.77万円

新潟県

398.06万円

静岡県

439.69万円

愛知県

492.83万円

京都府

437.97万円

大阪府

514.69万円

兵庫県

487.95万円

岡山県

453.4万円

広島県

453.48万円

福岡県

413.7万円

熊本県

429.31万円

参照元:e-State政府統計の総合窓口「都道府県、職種(大分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-6-19)

もっとも平均年収が高い大阪府が514.69万円であるのに対し、もっとも平均年収が低い新潟県では398.06万円と、100万円以上もの大きな開きがあります。

都市部は建築工事などが盛んに行われるので玉掛け作業の需要が高く、給与水準が高い大企業が集まっているため、高収入になりやすいようです。
年収アップを狙うのであれば、その地域での給与水準もチェックすることをおすすめします。

玉掛け作業員の平均年収が低いと言われる理由

玉掛け作業員の平均年収は日本の全職種の平均年収よりも高いです。
しかし、それでも玉掛け作業員の平均年収が低いとされる理由には、いくつかの要因が考えられます。

  • 資格があっても実務経験やスキルがないと評価されにくいから
  • 日給制の場合、天候や景気によって収入が不安定になりやすいから
  • 危険性の高い作業のため収入の割りに合わないと感じやすいから

玉掛け作業は専門的な知識が必要な国家資格が必要ですが、取得は比較的容易であり、かなり短期間で参入できる職種です。
「玉掛け特別教育」もしくは「玉掛け技能教習」の資格は、玉掛け特別教育の場合だと修了試験もなく、2日間の講習を受けるだけで取得可能です。

そのため、ただ資格を持っているだけでは即戦力とは言えず、現場で評価されるためには実際にスムーズに作業ができる実務経験やスキルが必要です。
資格の取得だけでは年収が上がりにくいので、他の国家資格と比較して「国家資格が必要な割には収入が低い」と思ってしまうかもしれません。

また、玉掛け作業は建設現場もしくは工場内で行われますが、屋外出の作業の場合は、天候に大きく影響される職種です。強風や大雨などの悪天候時には、安全確保のために作業が中止されるケースが多く、その際には日当が支給されないことが一般的です。
これにより、日給制の場合は天候不良が続くと収入が不安定になり、年間を通じての収入が低くなってしまう傾向があります。

玉掛け作業は建設現場や製造業などの特定の業界に依存しているため、これらの業界の景気動向にも影響を受けやすいです。景気が悪化すると作業が減少し、玉掛け作業員の仕事も少なくなるため、収入が低くなってしまいます。

そして、玉掛けの作業は重い荷物をクレーンで吊り上げる現場で行われるため、事故が起きる可能性がある点も無視できません。作業の仕方が間違っていたり、器材に不備があったりすると、重傷を負ったり命を落としたりといった事故が発生する可能性があるため、細心の注意を払って作業をする必要があります。
命にかかわるリスクがある作業を行うにもかかわらず、給与が少なく割りに合わないと思ってしまう人がいるのも事実です。

 

玉掛けで稼げる人・稼げない人

玉掛け作業員として稼げる人と稼げない人の特徴について見ていきましょう。
まず玉掛け作業員として必要な資質や特徴は以下の通りです。

  • コミュニケーション能力
  • 慎重さ
  • 危険察知力
  • 体力
  • 集中力

玉掛け作業は専門知識やスキルが必要な専門職ですが、専門性さえあれば稼げるわけではありません。
稼げる人・稼げない人の特徴を挙げると以下のようになります。

玉掛けで稼げる人

玉掛けで稼げない人

安全意識が高い人

集中力がない人

連携力がある人

大雑把な人

体力がある人

責任感が希薄な人

まず、玉掛け作業に必要な資質の特徴としては、安全意識が高く責任感がある人が挙げられます。

玉掛け作業は重機を使用し、重量のあるものを高所に吊り上げるという危険を伴うものなので、ミスは許されず、「安全第一」が求められます。現場では予期せぬ事態が発生することがあるため、瞬時に危険を察知し、適切に対応するための意識も重要です。
決められたルール通りに作業をしていなかったり、安全確認や用具の点検を怠っていたりすると、自分だけでなく他の現場作業員の命を奪ってしまう可能性もあり、実際に死亡事故も起きています。

作業中は常に集中力を維持し、こまやかに作業をする必要があります。仕事が雑だとすぐに信用を失ってしまい仕事を振られなくなってしまう可能性が高いです。

さらに、体力がある人にも適しています。玉掛け作業は体力を要するため、健康な体を維持し、長時間の作業にも耐えられる人でないと活躍は難しいでしょう。

また、連携力も稼げる玉掛け作業員として重要な特徴です。
玉掛け作業は一人で行うものではなく、現場のチームメンバーと連携しながら行います。特に作業監督者やクレーン運転士との連携は必須となります。

玉掛け作業員の責任者(主任者)を目指すなら、現場の状況を把握して的確に指示出しや指導をしたりすることになるので、コミュニケーションスキルだけでなくリーダーシップやマネジメント能力なども必要です。

一方、玉掛け作業員として稼げない人は、集中力がない人、大雑把な人でついつい妥協をしてしまう人、責任感がない人、協調性がない人などです。

  • 玉掛けは危険な作業であるという点を常に意識し、チームメンバーと一緒に作業を乗り切ろうという気持ちが薄い人は、玉掛け作業員で活躍するのは難しいといえます!

 

玉掛け作業員で年収・給与を上げるポイント

ここからは、玉掛け作業員として年収・給与を上げるポイントについて解説をしていきます。
玉掛け作業でより高収入を目指すためには、下記のポイントを押さえると良いでしょう。

  • 長く同じ会社に勤務する
  • クレーンを運転できる資格を取得する

玉掛け作業員ならではのポイントも含まれています。
「年収が上がらないからすぐに転職」と考えるのは早計の場合もあります。
上記のポイントの中身を詳しく見ていきましょう。
 

長く同じ会社に勤務する

玉掛けの仕事は、長く続ければ続けるほど収入が上がりやすいという特徴があります。特に同一の会社に長く勤務することが、収入アップの大きな要因となります。

危険な作業が伴う現場で築かれる人間関係はかなり重要です。
経験を積んでスキルが向上し、仕事に対する姿勢や人となりを評価されれば、現場での信頼性が次第に高まります。

そして、長期的に特定の業務に精通すれば、さらに高度な仕事を任されるようになるチャンスも多く、その結果、昇給・昇格につながりやすくなるのです。
したがって、玉掛け作業員として収入を上げるためには、ひんぱんに職場を変えるよりもできるだけ同一の会社に長く勤務することが非常に重要です。

もちろん、同じ会社で長期的に仕事をするには、職場自体が安定していて案件を常に受注できており、周りの人間関係も問題なく業務に集中できるという環境が必須です。
無理をしながら同じ職場に固執してしまうと、スキルや収入のアップどころか、心身に支障をきたしてしまい仕事を続けられなくなってしまう場合もあります。

まずは安心して仕事を続けられる職場を探すことが鉄則です。
 

クレーンを運転できる資格を取得する

玉掛け作業はクレーン作業者と連携して行う場面が多いので、クレーンを運転できる資格を取得しておくと非常に有益です。
資格を持っていると、クレーン運転士との連携がスムーズになり、仕事の幅も広がりやすくなります。

また、特に重量のある荷物の持ち上げに特化した装置「デリック」の運転ができる資格もあると重宝されます。
クレーンやデリックの資格は主に以下の5つです。

クレーン・デリック運転士免許
※限定なし

  • 吊り上げ荷重が5トン以上の天井クレーン、橋形クレーン、ジブクレーン、ガイデリック、スチフレッグデリック、ジンポールといったクレーン、デリックを運転できる資格

クレーン・デリック運転士免許
※クレーン限定

  • 吊り上げ荷重5トン以上の天井クレーン、橋形クレーンなどのクレーンを運転できる資格

クレーン・デリック運転士免許
※床上運転式限定

  • 5トン以上の荷物を床上から操作するクレーンを操作できる資格
  • 5トン未満の場合は「クレーン運転の特別教育」を修了すれば操作可能になる

移動式クレーン運転士免許

  • 吊り上げ荷重が5トン以上の移動式クレーンを運転できる資格
  • 一般道の通行をする場合には、別途運転免許証が必要

玉掛け作業

  • 制限荷重が5トン以上の揚貨装置を操作できる資格
    ※揚貨装置とは船舶に取り付けられたデリックやクレーン設備を指す

これらの資格を取得すると、クレーン作業と玉掛け作業を兼任することもでき、職場での需要が高まります。玉掛け作業員としてのキャリアで有利な立場を築きやすくなり、より高い収入を目指しやすくなります。

ちなみに、クレーンの資格を持っていると、重機オペレーターをはじめとした職業に転職するという選択肢も生まれるので、キャリアの選択肢も広がりやすいです。

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年収の高い玉掛けの求人を探すなら?

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玉掛けで稼ぐには勤続年数と資格取得が重要!

玉掛け作業は国家資格が必要な職業で、高収入を狙うには戦略的にキャリアアップをしていく必要があります。

  • 長く同じ会社に勤務する
  • クレーンを運転できる資格を取得する

この2点を押さえると、平均年収以上の収入を期待できます。
長期にわたり同じ企業で働くことで、スキルや経験が蓄積され、昇進や昇給の機会が増えます。また、会社内での信頼が高まり、より重要な役割を任されるチャンスも出てくるでしょう。

さらに、クレーンの資格を取得できれば作業の幅が広がり、クレーン作業と玉掛け作業を兼任できる強みも持てるので、高収入につながりやすくなります。
これらを意識してキャリアを積み、収入を上げていってください。

著者情報

シュウジ
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兵庫県生まれ。都内の私立大学卒業後、パチンコにハマって単位を落とすも、一浪して大学を卒業。派遣社員として工場で働きながら、副業としてナイト系ドライバーやせどりを始める。
本業に嫌気がさし、転職を決意し資格取得に励む。奇跡的に大手人材会社に入社し、給料が倍になり人生が変わる。人材業界でさまざまな職業や経歴を持つ人々との交流を通じて知識を蓄え、2023年にブログ「仕事図鑑」を開設。