ライターは、書籍や雑誌、Webサイトといったあらゆる媒体で掲載される文章を作成するのが主な仕事です。
特別な資格がなくても始められ、副業としても人気のライターですが、どのくらい稼げるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ライターの平均年収や、雇用形態・地域ごとの詳細な年収について解説します。
ライターで稼げる人と稼げない人の特徴、収入アップのポイントも紹介するので、ライターの仕事に興味がある方はもちろん、ライターとして思うように稼げていないとお悩みの方もぜひ参考にしてください。
ライターの平均年収は301万円
ライターの平均年収は、約301万円です。この数値は、「求人ボックス給料ナビ」を参考に、正社員・派遣社員・アルバイト・パートの収入データをもとに算出しました。
上記の平均年収額を踏まえてライターの生涯年収を計算すると、約1億1,438万円になります。
(※大学を卒業する22歳から定年退職の平均年齢にあたる60歳まで、同一企業に38年間勤務すると仮定して単純計算をした場合)
なお、雇用形態別の給与相場は、正社員の初任給は23万円程度、派遣社員は平均時給1,697円、アルバイト・パートは平均時給1,199円となっています。
ただしライターは、上記の雇用形態以外にも企業と業務委託契約を結びフリーランスとして活動している人も珍しくなく、さまざまな働き方ができる職業です。
働き方が違えば当然年収も異なるため、紹介した数値はあくまで参考程度に留めてください。
求人ボックス給料ナビ「ライターの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」(参照 2024-4-22)
ライターの収入内訳
ライターの収入は、正社員の場合「基本給+賞与+諸手当」という内訳で構成されているのが一般的です。手当の種類は企業によって異なりますが、通勤手当や時間外手当、家族手当など、他の職種とほとんど変わりません。
その他の手当として、昇進して管理職になると役職手当がつく企業もあります。
社内の業務進捗の確認や外部ライターとのやりとりなど、テキスト作成以外にも任されることが増えます。役職者としての責任は重いものの、役職手当の支給によって給与アップにつながるので、年収を上げたいなら管理職への昇進を目指すのも一つの手です。
しかし前述した通り、ライターはフリーランスや非正規で働く人の割合が大きく、働き方によって収入内訳が変わります。
特にフリーランスのライターは、賞与や手当が支給されないのはもちろん、明確な役職が与えられるわけではないので、収入内訳は基本的にクライアントから支払われた報酬のみになります。
【雇用形態別】ライターの平均年収
ライターの平均年収は、雇用形態によって大きく変わります。
下記の表では、「正社員」「派遣社員」「アルバイト・パート」の平均年収をまとめてみました。
なお、非正規雇用の平均年収は、「求人ボックス給料ナビ」に記載されている派遣社員の平均時給1,743円、アルバイト・パートの平均時給1,199円を参考に、「(時給×1日の労働時間8時間)×1年間の勤務日数240日」として算出しています。
雇用形態 |
平均年収 |
正社員 |
341万円 |
派遣社員 |
334.6万円 |
アルバイト・パート |
230.2万円 |
正社員と派遣社員の年収差は約6.3万円と大して変わりませんが、正社員とアルバイトでは100万円以上もの年収差があります。
また、この表はあくまで「(時給×1日の労働時間8時間)×1年間の勤務日数240日」というフルタイムを前提として算出しています。短時間勤務も珍しくないアルバイト・パートのライターの場合、実際の平均年収はさらに低い可能性が高いです。
【地域別】ライターの平均年収
東京都と政令指定都市のある道府県の平均年収を比べると、以下の通りです。
都道府県 |
平均年収 |
北海道 |
342万円 |
宮城県 |
254万円 |
東京都 |
327.3万円 |
埼玉県 |
277.6万円 |
千葉県 |
272.3万円 |
神奈川県 |
302.9万円 |
新潟県 |
267.5万円 |
静岡県 |
264.5万円 |
愛知県 |
305万円 |
京都府 |
277.3万円 |
大阪府 |
298.5万円 |
兵庫県 |
273.7万円 |
岡山県 |
343万円 |
広島県 |
266.3万円 |
福岡県 |
258.3万円 |
熊本県 |
258.5万円 |
各地域の平均年収は、「派遣社員」「アルバイト・パート」の年収も含めて算出しています。
ライターの平均年収が最も高い地域は343万円の岡山県、最も低い地域は254万円の宮城県で、89万円の収入差があります。地域によって収入差はあるものの、だからといって収入アップのためにわざわざ年収の高い地域に引っ越さなくても大丈夫です。
ライターは、パソコン一つで仕事ができる職業で、インターネット環境が整った場所であれば、どこでも働けるのが特徴です。実際に在宅ワークOKの企業も多く、特に「派遣社員」「アルバイト・パート」として採用されているライターのほとんどは在宅勤務と言われています。
たとえば、岡山県在住の人が東京の企業の派遣社員としてライター業を行う働き方も可能です。そのため、地域による年収格差はそこまで気にする必要はないでしょう。
ちなみに、正社員のライターの平均年収を地域別で比較すると、関東地方が354万円、他の地域は342~343万円という結果が出ており、地域によって年収に大きな差はありません。
ライターの平均年収が低いと言われる理由
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は458万円です。ライターの平均年収は約301万円である点を踏まえると、他職種と比べて大きく稼げない職業です。
ライターの平均年収が低いと言われる理由は、主に以下の4つが考えられます。
- 参入障壁が低く競合ライターが多いから
- クラウドソーシングの台頭で案件の文字単価が下がっているから
- スキルが収入に直結する業界だから
- 業務委託契約を結んで働いている人が多く収入が不安定だから
ライターは参入障壁が低く、パソコンさえあれば誰でも気軽に始められる職業です。高い専門性を求められず副業としても人気の仕事なので、競合ライターがたくさんいます。今のライター業界は、いわば案件の取り合い合戦状態です。
案件の取り合いが起きている理由として、クラウドソーシングサイトが普及した点も考えられます。
- クラウドソーシングとは
- 企業や個人がインターネットを通じて不特定多数に仕事を発注・受注できるプラットフォームのこと。
クラウドソーシングサイトには、1文字1円未満の低単価案件も掲載されていますが、それでも仕事を求めて応募するライターが多いです。多少文字単価を低くしてもライターが確保できる状況が続いていることから、年々ライティング案件の文字単価の相場は下がってきています。
さらに、ライターはスキルが収入に直結する仕事である点も、平均年収を吊り下げている原因と言えます。
ライバルが多く文字単価も低下傾向にあるライター業界で収入を上げるためには、特定のジャンルの知識やスキルを習得することが重要です。逆に言えば、競合ライターに打ち勝つスキルを持っていないと、いつまでたっても収入が上がりにくいです。
また、ライターの中には企業と業務委託契約を結んで働くケースも多く、収入面の不安定さもライター全体の平均年収を下げている理由の一つとして考えられます。
業務委託のライターは、「納品物が企業が求めるクオリティに達していない」「外注予算が出せなくなった」といった理由で、企業から契約を打ち切られてしまうパターンが珍しくありません。契約自体は続いても、なかなか依頼が来ない場合もあります。
そのため、収入を途絶えさせないように、案件獲得に向けた営業活動を行ったり高クオリティの納品物が出せるようにスキルを磨いたりする必要があるのです。
国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」(参照 2024-4-22)
ライターで稼げる人・稼げない人
ライターとして稼ぐには、以下のスキルが必要です。
- 文章力
- コミュニケーション能力
- 自己管理力
ライターで稼げる人・稼げない人の特徴をまとめました。
ライターで稼げる人 |
ライターで稼げない人 |
行動力がある人 |
大雑把な人 |
好奇心旺盛な人 |
こまめにコミュニケーションができない人 |
地道に作業ができる人 |
セルフチェックができない人 |
スケジュール管理ができる人 |
自己主張が強い人 |
向上心がある人 |
納期を守れない人 |
フリーランスのライターの場合、募集案件に積極的に応募したり、自己PRの一環としてブログ運営したり、案件獲得に向けて積極的にアピールする必要があります。そのため、行動力がある人はライター向きです。
幅広いジャンルの案件に挑戦したり、ネタを集めるための調査やインタビューをしたり、構成作成や企画提案といった分野にも積極的にトライできたりする好奇心旺盛さも、ライターとして稼ぐためには必須です。
また、案件を受注できれば、クライアントから提示された執筆ルールが提示され、ルールに沿って文章作成を行います。細かい執筆ルールを読めない大雑把な人、納品前のセルフチェックができない人、地道にコツコツと執筆できない人はライターとして稼げない可能性が高いです。
業務に関する疑問点や気になった点などがあれば、すぐにクライアントに連絡する必要もあります。これは、高クオリティの納品物にするうえで重要なポイントであり、継続案件を獲得するきっかけにつながります。
そして、作成したテキストを納品後、クライアントからのFB(フィードバック)を受けて加筆修正を行う場合が多いです。
- FB(フィードバック)とは
- 行われた仕事に対する評価ポイントや改善ポイントを伝えること。
そのため、FBされた内容を素直に受け入れられる向上心のある人が稼ぎやすい傾向にあります。修正指示の内容に納得がいかずクライアントに意見を言ってしまう自己主張の強い人は、ライターで活躍するのは難しいです。
くわえて、締め切りを破る行為は、クライアントから最も悪い印象を持たれます。納期までに完成できるようにスケジュール管理を行うことも、稼げるライターになる重要なポイントと言えます。
ライターで年収・給与を上げるポイント
ここからは、ライターとして年収・給与を上げるポイントを5つ紹介していきます。
- SEOライティングに関するスキルを磨く
- 実績を積み上げる
- 専門分野の知識を習得する
- 自分の影響力・拡散力を高める
- 待遇の良い会社に転職する
高年収ライターを目指すなら、文章能力以外のスキルも磨き、キャリアアップしていく必要があります。各ポイントを詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
ポイント1:SEOライティングに関するスキルを磨く
SEOライティングとは、Googleをはじめとする検索エンジンで記事を上位表示させるためのライティング技法です。
クライアントは、記事を多くの人に見てもらうために、できるだけ検索上位に表示させたいと考えており、文章スキルはもちろん、SEOライティングのスキルを持つライターを求めています。そのため、Webライターとして年収を上げたいなら、SEOライティングのスキルを磨くことが重要です。
SEOライティングは、「検索されそうなキーワードを文章内にうまく盛り込む」「文章の長さに注意する」など、さまざまなテクニックがあります。
また、SEOライティングに限らず文章スキルを磨くことも、ライターには不可欠です。
文章スキルを磨くコツとして、「記事をたくさん読んで文章表現を学ぶ」「文章作成に関する書籍や動画で細かいテクニックを学ぶ」などが挙げられます。
あらゆる学習方法を駆使して、稼げるライターになるために必要なスキルを伸ばしていきましょう。
ポイント2:実績を積み上げる
ライターは、過去の実績によって収入が左右される傾向があります。
実績があれば、既存のクライアントと単価アップの交渉ができるうえ、高単価の新規案件も受注しやすくなるため、年収アップが狙えます。
未来に向けたスキル・キャリアアップを大切にしつつ、今目の前にある案件を丁寧にこなして実績を積み上げることが重要です。
ライターの仕事を始めたばかりのうちは、多少報酬が低くても「初心者OK」「1記事1000文字」といった執筆するハードルが低めな案件に応募するのがおすすめです。
1件でも多く案件を受注することで、実績を上げられるだけではなく、より高単価の案件を習得するためのライタースキルも習得できるメリットもあります。
ポイント3:専門分野の知識を習得する
特定の分野の知識を習得して専門性の高い記事を書けるようになることも、ライターが年収を上げる方法の一つです。専門性の高い記事を書けるようになれば、競合ライターとの差別化が図れ、高単価案件を受注しやすくなります。
専門分野の知識を身につけるためには、「その分野に関連する職場で実際に働いてみる」「勉強して資格を取得する」などの方法があります。
年収アップを重視して専門分野を選ぶとすれば、金融系がおすすめです。金融系のジャンルは一案件の単価が高い傾向にあるうえ、お金の悩みを抱える読者は性別・年代問わず多いので、今後も需要があるジャンルです。
とは言え、自分が苦手な分野にチャレンジしても収入アップにつながりにくいため、自分の強みを活かせるジャンルを見つけ、知識を増やしていくことが大切です。
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自分の得意なジャンル、勉強しても苦にならないジャンルを選んで、特定分野の専門ライターを目指してみてください。
ポイント4:自分の影響力・拡散力を高める
ライターの年収は、知名度や影響力の高さに左右されることも多いです。SNSやブログなどを有効活用し、影響力・拡散力を高めるためにこまめに情報発信を行いましょう。
影響力・拡散力を高めるためには、「柔軟なアイデアを持つ」「読み手に寄り添う発信をする」「発信を継続する」などが大切です。
発信力があり多くの人から支持されるライターになれば、企業から仕事のオファーを受ける場合があります。企業から直接依頼される案件は単価が高く、さらに単価交渉もライター側が有利になるため、年収の大幅アップにつながります。
企業と友好的な関係を築けていれば、自分で考えたユニークな企画をメディアや企業に持ち込むのもありです。企業から自分の企画を発信してもらうことで、自分の影響力や拡散力を高められるメリットがあります。
最近はAIが台頭してきたので、簡単な文章であればAIを使って誰でも作成できるようになってきました。この先稼げるライターを目指すなら、今以上に自分にしか書けないようなユニークな文章を書いて知名度を上げ、ライターとしての価値を高めることも必須になってくるでしょう。
ポイント5:待遇の良い会社に転職する
安定的に年収を上げたい方や、着実にキャリアアップしていきたい方は、待遇の良い会社に転職するのもおすすめです。
ライターは、確かにフリーランスの割合が多く占めている業界ですが、会社員のライターになると、基本給の他に賞与や手当が支給されやすいメリットがあります。
また、「在宅勤務OK」「フレックス制度あり」の会社であれば、フリーランスと変わらない働き方も可能です。ライターが転職活動をする際は、求人サイトでWebライターを募集する企業に応募するのがポイントです。
規模が大きい企業は、好待遇かつ年収も高い傾向にあるので、できるだけ大手企業のライター求人を積極的にチェックしていきましょう。
年収の高いライターの求人を探すなら?
ここからは、年収アップを目指すライターにおすすめの求人サイトを紹介します。
大手企業からリモートワークの求人まで、幅広く掲載している転職エージェントです。 |
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求人紹介はもちろん、書類添削や条件交渉までアドバイザーがサポートしてくれる転職エージェントです。 |
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「Webライター」「Webディレクター」など細かく職種を絞って求人検索できる、Web・ゲーム・IT業界に特化した転職エージェントです。 |
一人で転職活動を行うのは、モチベーションの維持が難しかったり、条件交渉がしづらかったりと、不安な要素が多いです。
Web業界やライター業界に精通している転職エージェントを利用すれば、転職に関する相談に乗ってもらえたり、自分の希望に合った求人を紹介してもらえたりします。
ライターとして年収アップを目指せる企業で働きたい方は、転職エージェントの利用も検討してみてください。
ライター以外だと、未経験でも年収1000万円を目指せるナイト系もおすすめ!
ライターで高収入を得るためには、常に知識やスキルをアップデートし続ける必要があります。
また、フリーランスのライターの場合、クライアントに自ら積極的に営業しなければ高単価の仕事を受注するのは難しく、実績を積み重ねていかないとライター1本で生活するのは厳しいです。
「特別な知識・スキルなしで稼ぎたい」「スピーディに年収を上げたい」と考える方には、ナイト系の仕事もおすすめです。
未経験でも頑張り次第でスピード出世できるナイト系の仕事は、特別なスキルがなくてもライター以上の年収を得られる可能性があります。実際に、未経験でナイト系の仕事に転職後、店長・幹部に昇進して年収1000万円になった人もいます。
ナイト系の仕事で昇給・昇進を狙うためには、ライターと同様に実績が求められますが、査定基準を明確にしている企業も存在するので、どう取り組めば会社から評価されやすいのか理解したうえで働けるのが魅力です。
18歳以上(高校生不可)であれば、学歴・職歴問わず応募できる求人が多いので、高年収を狙うならぜひナイト系の仕事も検討してみてください。
ライターで稼ぐにはスキルをつけて独立開業することが重要!
日本の平均年収と比較すると、ライターの平均年収は低めです。
しかし、本記事で紹介した以下のポイントを押さえれば、ライターとして年収を伸ばせる可能性があります。
- SEOライティングに関するスキルを磨く
- 実績を積み上げる
- 専門分野の知識を習得する
- 自分の影響力・拡散力を高める
- 待遇の良い会社に転職する
ライターとして稼いでいくためには、Web媒体でも通用するSEOライティングのスキルや、専門分野の知識を習得して他のライターと差をつけるのが大切です。
着実にスキルを積めれば、待遇のいい会社に転職したり、自分の影響力を活かして独立開業をしたりして、平均以上の年収アップも期待できます。
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ライターのスキル・キャリアを高めて、理想の年収を実現させましょう!