警察官の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

警察官の年収まとめ!稼げる人と稼げない人の特徴と年収アップのコツ

人々や社会の安全を守るために犯罪捜査や地域の巡回パトロール、防犯指導などを行う警察官は、公務員のなかでも人気の高い職業の一つです。

しかし、警察官といっても職種や階級などによって年収は大きく変わるため、「警察官を目指したいけど目標の年収を稼げるか不安」「警察官になったものの思うように稼げない」とお悩みの方も少なくないでしょう。

本記事では、警察官の年収を経験年数や学歴、地域別に解説しているほか、年収アップを目指したい方に向けて、年収を上げるためのコツもご紹介しています。

  • 警察官で稼げる人と稼げない人の特徴も取り上げているので、警察官として日々仕事に取り組んでいる方もこれから警察官を目指そうと思っている方もぜひ参考にしてみてください!

警察官の平均年収は721万円

警察官の平均年収は約721万円と言われています。
(※警察官の年収は「令和4年地方公務員給与実態調査」をもとに、「(給与月額46.5万円+諸手当13.9万円)×12カ月+年間賞与163.8万円」で算出)

これをもとに生涯年収を計算すると、約2億7,398万円です。
(※大学卒業後、22歳から定年の60歳までの38年間を警察官として勤務し続けた場合)

また、警察官の年収のピークは勤続年数30年以上35年未満の時期となり、月の基本給は41万円を超えます。ただし、警察官は階級によっても収入が大きく変わるため、これらの数値は一つの目安として参考程度でご覧ください。

参考:
総務省「令和4年地方公務員給与実態調査|第5表 職種別職員の平均給与額」(参照 2024-01-03)
総務省「令和4年地方公務員給与実態調査|第6表 職種別,経験年数別,学歴別職員数及び平均給料月額」(参照 2024-01-03)

警察官の収入内訳

警察官の収入内訳は、「基本給+諸手当+賞与」が基本です。

警察官の収入内訳の特徴として、諸手当が豊富な点が挙げられます。諸手当の種類は、民間企業でもよくあるものから警察官ならではのものまであります。

【警察官の主な諸手当一覧】

  • 扶養手当
  • 地域手当
  • 住居手当
  • 通勤手当
  • 単身赴任手当
  • 特殊勤務手当
  • 管理職手当
  • 特地勤務手当
  • 時間外勤務手当
  • 宿日直手当
  • 管理職員特別勤務手当
  • 夜間勤務手当
  • 休日勤務手当

「令和4年地方公務員実態調査」によると、警察官の場合、すべての手当を含めた年額平均は約13.9万円です。

さらに、一般的な賞与(ボーナス)に該当する「期末手当」や「勤勉手当」の年額平均は約163.8万円となっており、全職種の平均年間賞与である約88万円と比較してもかなり高い金額が支払われていることが分かります。

参考:
総務省「令和4年地方公務員給与実態調査|第5表 職種別職員の平均給与額」(参照 2024-01-03)
e-State政府統計の総合窓口「厚生労働省|賃金構造基本統計調査|年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」(参照 2024-1-29)

【経験年数別】警察官の平均年収

警察官の平均年収は経験年数に応じて大きく変わります。

経験年数が上がるにつれて平均年収も上がっていくことから、実務経験の積み重ねや階級の昇進による昇給、諸手当による年収アップなどが影響していると考えられます。

警察官の平均年収を経験年数別でまとめた表が以下の通りです。

なお、年収の算出方法は「令和4年地方公務員給与実態調査」をもとに、「(平均給料月額+諸手当13.9万円)×12カ月+年間賞与163.8万円」で算出しています。

経験年数 平均年収
1年未満 約573万円
2年以上3年未満 約588万円
3年以上5年未満 約604万円
5年以上7年未満 約622万円
7年以上10年未満 約643万円
10年以上15年未満 約682万円
15年以上20年未満 約739万円
20年以上25年未満 約786万円
25年以上30年未満 約815万円
30年以上35年未満 約826万円
35年以上 約820万円
参照元:総務省「令和4年地方公務員給与実態調査|第6表 職種別,経験年数別,学歴別職員数及び平均給料月額」(参照 2024-01-03)

ご覧の通り、キャリア初期段階の経験年数1年未満の平均年収は約573万円です。経験年数が15年以上になると平均年収は700万円を超えるようになり、キャリアアップしたことによる昇給が見てとれます。

警察官は年齢よりも経験年数を重視する傾向があり、経験年数を重ねるほど年収がアップしやすいのがポイントです。

【学歴別】警察官の平均年収

警察官の平均年収は学歴によっても異なります。

学歴による賃金格差は警察官に限らず多くの職種で存在しますが、警察官でも下記の表のように平均年収に差が生まれます。

年収の算出方法は、先ほどと同様に「令和4年地方公務員給与実態調査」を参考にして、「(平均給料月額+諸手当13.9万円)×12カ月+年間賞与163.8万円」で算出しています。

学歴 経験年数1年未満の平均月給 初年度の平均年収
高卒 18.2万円 約549万円
短大卒 19.7万円 約565万円
大卒 21.4万円 約587万円
参照元:総務省「令和4年地方公務員給与実態調査|第6表 職種別,経験年数別,学歴別職員数及び平均給料月額」(参照 2024-01-03)

高卒と大卒では、初年度の平均年収に40万円程度の差があることが分かります。

ただし、その後の年収は経験年数や階級が大きく影響するので、年収アップを目指すのであれば学歴よりも長く働いて階級を上げることが重要です。

初年度の平均年収は若干差があるものの、長い目で見れば学歴による賃金格差はそこまで生まれないのが警察官の特徴と言えます。

【地域別】警察官の平均年収

警察官の平均年収は、地域によっても多少異なります。

東京都と政令指定都市のある道府県の平均年収を比較した表が以下の通りです。

年収の算出方法は、「令和4年地方公務員給与実態調査」を参考にして、「(平均給料月額+諸手当13.9万円)×12カ月+年間賞与163.8万円」で算出しています。

都道府県

平均年収

北海道

約713万円

宮城県

約720万円

東京都

約718万円

埼玉県

約731万円

千葉県

約720万円

神奈川県

約720万円

新潟県

約718万円

静岡県

約730万円

愛知県

約736万円

京都府

約725万円

大阪府

約727万円

兵庫県

約725万円

岡山県

約726万円

広島県

約729万円

福岡県

約720万円

熊本県

約711万円

参照元:参考:総務省「令和4年地方公務員給与実態調査|第6表 職種別,経験年数別,学歴別職員数及び平均給料月額」(参照 2024-01-03)

最も平均年収が高い傾向にあるのは愛知県で約736万円、最も平均年収が低いと言われている熊本県は約711万円です。20万円程度の年収差があるものの、警察官は他の職業と比べても地域によって年収格差が出てくるような事例は起こりにくい職業なのが分かります。

警察官の平均年収が高いと言われる理由

ここまで見てきた通り、警察官は経験年数や学歴、地域によって違いはあるものの平均年収は全職種の平均に比べて高い傾向にあります。

警察官の平均年収が高いと言われる主な理由は、以下の4つです。

  • 長く働いて昇任試験に合格すれば年収をアップさせることができる
  • 基本給以外にも各種手当が充実している
  • 警察官は公務員なので収入が安定している
  • 危険な業務が多い

警察官は経験年数や階級が給料に影響するため、長く働いて階級を上げることができれば年収アップが可能です。

また、警察官は地域手当や住宅手当などのほか、警察官ならではの特殊勤務手当といった手当が充実しているのも特徴です。さらに、業績によって給与額や賞与額が変動する可能性がある民間企業とは異なり、公務員として安定した収入が得られる点も平均年収が高い理由の一つと言えます。

そして、警察官は市民の安全を守るために、時には危険な任務にあたることがある職種です。災害救助、犯人の逮捕時などは命の危険が伴う場合もありますし、精神的にショッキングな現場に向かう必要がある可能性も出てきます。その分、年収が高いものの、業務がかなりハードなため、仕事内容に対して給与が見合っていないと感じる人もいます。

警察官で稼げる人・稼げない人

年収をアップさせるためには、警察官に求められる能力を身につけながら実務経験を積み重ねることが大切です。

警察官に求められる能力は、以下の通りです。

  • 当事者や目撃者から状況を聞くための「傾聴力」
  • 仲間の警察官と情報を共有して連携するための「コミュニケーション能力」
  • 外国人に対応するための「語学力」
  • 事務処理を行うための「パソコンスキル」
  • 相手を取り押さえるための「体力や基礎的な運動能力」「武道のスキル」

これらの警察官として必要不可欠の能力をもとに、警察官で稼げる人・稼げない人の特徴をまとめてみました。

警察官で稼げる人 警察官で稼げない人
・正義感や責任感がある人 ・プライベートを重視したい人
・冷静な判断力を持ち合わせている人 ・メンタルが弱い人
・体力がある人 ・厳しい上下関係が苦手な人
・チームワークを大切にできる人 ・体育会系が苦手な人

警察官は人々や地域の安全を守る仕事ですので、時には危険を伴う場面に遭遇する可能性があります。そんな時でも、「人の役に立ちたい」という正義感や「絶対に市民やこの街を守る」という責任感が求められる仕事です。

そうした思いを持ってひたむきに業務にあたり、成果を出して評価されれば、稼げる警察官になれる可能性が上がります。

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警察官で年収・給与を上げるポイント

ここからは、警察官で年収・給与を上げるポイントを具体的に3つご紹介します。

警察官の平均年収は全職種の平均年収よりも高い傾向にありますが、思うように年収が上がらなくて悩んでいる方も少なくありません。

「現在の年収・給与に不安がある」「もっと年収を上げたい」という方は、以下の3点を意識して行動してみてください。

  • 長く働いて号給をアップさせる
  • 昇任試験をクリアして階級をアップさせる
  • 警察庁でキャリア警察官になる

ポイント1:長く働いて号給をアップさせる

警察官で年収・給与を上げる方法の1つ目は、長く働いて号給をアップさせることです。

「号給」とは階級をさらに細かく分けたもので、職務経験年数による職務の習熟度を給与に反映させるために設定されています。1年間の勤務ごとに号給が4つ上がる仕組みです。

警察官の基本給は各階級の号給ごとに決まっており、経験年数が長ければ長いほど号給が上がっていき、比例して給与もアップします。

ただし、各階級の号給には上限が定められているので、さらに昇給を目指すのであれば階級を上げなければなりません。

ポイント2:昇任試験をクリアして階級をアップさせる

警察官で年収・給与を上げる方法の2つ目は、昇任試験をクリアして階級をアップさせることです。

警察官には以下のような「階級」が設けられています。

【警察官の階級】

  • 巡査
  • 巡査部長
  • 警部補
  • 警部
  • 警視
  • 警視正
  • 警視長
  • 警視監
  • 警視総監

※上から順に階級が上がっていきます。

階級をアップさせるためには、昇任試験に合格することが必要です。警察学校を卒業して採用された後、大卒者は約2年、大卒以外の者は約4年で昇任試験が受けられると言われています。

階級が上がることによって給与もアップするため、実力次第で年収アップが見込めるでしょう。

ただし、昇任試験は難易度が高いので十分な勉強時間が必要です。合格するのは決して簡単なものではありませんが、学歴を問わず平等にチャンスが与えられるので、自分の実力次第でキャリアアップが目指せます。

とは言え、一定以上の階級は誰でも昇任試験に合格してなれるわけではありません。警察官は国家公務員総合職試験を受けて合格したいわゆるキャリアと、それ以外の準キャリア、ノンキャリアに分かれます。通常では準キャリアで警視長、ノンキャリアは警視正が昇格できる限界の階級と言われているものの、実際はノンキャリアは警部補までが一般的なようです。

警察庁でキャリア警察官になる

警察官で年収・給与を上げる方法の3つ目は、キャリア警察官として警視庁で働くことです。

キャリア警察官とは、警察庁に勤務する警察官を指します。繰り返しますが、警察官には国家公務員総合職にあたるキャリアと国家公務員一般職の準キャリア、地方公務員にあたるノンキャリアの3種類があります。

キャリア警察官として警察庁に採用されると「警部補」の階級からスタートできるため、出世するスピードが早く、収入アップが期待できるのが特徴です。ちなみに、準キャリアとして警察庁に採用された場合は「巡査部長」からのスタートとなります。

ただし、警察庁に採用されるのは決して簡単なことではありません。試験の難易度が高く、毎年応募者が多く殺到するため、合格するうえで相当の勉強時間が必要です。また、国家公務員の総合職・一般職の試験を受けられるのは、試験実施年度の4月2日時点で21~30歳の人までと年齢制限があります。

年収の高い警察官を目指すなら?

年収の高い警察官を目指すためには、いち早く高収入が見込める職場で働くことがおすすめです。

警察官は「警察庁」「都道府県警察」「皇宮(こうぐう)警察」の3つがあります。

【皇宮(こうぐう)警察とは】
天皇皇后両陛下をはじめとした皇族の護衛、皇居周辺の警備などを行う護衛官を指す。東京と京都の2箇所にある。

早期から高い年収を狙うなら、国家公務員である警察庁や皇宮警察への就職が基本です。とは言え、都道府県警察で地道にキャリアアップをしていくルートでも高い年収を目指すことが可能です。

希望の職場で働くためには、採用試験に合格しなければいけません。採用までの流れや採用試験の特徴を警察官別でまとめた表は以下の通りです。

  警視庁 都道府県警察 皇宮警察
採用までの流れ

国家公務員採用試験に合格後、

警視庁の採用試験を受ける必要がある。

地方公務員試験に合格後、各自治体が

行っている都道府県警察官採用試験を

受ける必要がある。

皇宮護衛官採用試験に合格する。
採用試験の特徴

Ⅰ類(大学卒業程度)もしくは

Ⅲ類(高校卒業程度)に分かれている。

Ⅰ類(大卒程度)Ⅱ類(短大卒程度)

Ⅲ類(高卒程度)の3つに分かれており、受験条件は各自治体によって異なる。

「大卒程度試験」と「高卒程度試験」の2つに分かれている。

採用試験に合格後、警察学校にそれぞれ入校して、最大10か月の訓練を経て警察官として配属されることになります。

警察官以外だと未経験でも年収1000万円を目指せるナイト系もおすすめ!

警察官で年収を上げるためには、難関の試験に合格したり実務の経験年数を重ねたりしなければならず、いち早く稼ぎたい方には難しい職業と言えます。

また、危険を伴う仕事も多く給料が割に合わないと感じる人もいるので、稼ぐことを第一目的にして選ぶ職業としては不向きです。

学力や実務経験がなくてもスピーディーに年収アップを目指せる仕事を探しているのであれば、ナイト系の仕事もおすすめです。

ナイト系の仕事は、未経験からでも実力次第で年収1,000万円を実現することが可能な職種です。また、スピード昇給・昇格のチャンスを掴みやすいため、早期から管理職・経営者も狙えます。

18歳以上(高校生不可)であれば経験・学歴不問で応募できる求人も多数出ていますから、今すぐ収入アップを目指したいという方は、ナイト系への転職も視野に入れてみてください。

警察官で稼ぐには経験年数と階級が重要!

平均年収721万円の警察官は、全職種の平均年収に比べて高い傾向にある仕事です。

また、警察官は学歴や年齢よりも経験年数や階級が給料に影響するため、長く働いたり昇任試験を受けて階級を上げたりすることで、さらなる年収アップが目指せます。

警察官として稼ぎたい方は、本記事でご紹介した下記のポイントを参考にして、ぜひご自身の今後のキャリアアップに役立ててください。

iconポイント

【警察官として稼ぐポイントのおさらい】
・警察官としての経験年数を積んで号給を上げる
・昇任試験に合格して階級を上げる
・警察庁のキャリア採用を目指す

著者情報

シュウジ
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兵庫県生まれ。都内の私立大学卒業後、パチンコにハマって単位を落とすも、一浪して大学を卒業。派遣社員として工場で働きながら、副業としてナイト系ドライバーやせどりを始める。
本業に嫌気がさし、転職を決意し資格取得に励む。奇跡的に大手人材会社に入社し、給料が倍になり人生が変わる。人材業界でさまざまな職業や経歴を持つ人々との交流を通じて知識を蓄え、2023年にブログ「仕事図鑑」を開設。