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タクシー運転手へ転職したいけど年収はどのくらい?
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現役のタクシー運転手だけど年収が上がらず悩んでいる……
この記事では、このような疑問を解決できるよう、タクシー運転手の年収を年齢別・性別・地域別にご紹介しています。
さらに「タクシー運転手で稼げる人・稼げない人」「タクシー運転手で年収を上げる3つのコツ」「稼げるタクシー運転手の求人を探す方法」も分かりやすく解説していきます。
現在タクシー運転手として働いている方にも、これからタクシー運転手を目指したい方にも、双方に有益な情報となっているのでぜひご参考ください。
タクシー運転手の平均年収は361万円
タクシー運転手の平均年収は361万円です。
この金額は平均月給29.4万円、平均年間賞与8.4万円のデータをもとに算出しています。
生涯年収を計算すると、約1億3718万円です。
(※大学卒業後、22歳から定年の60歳まで同一企業に38年間勤務したと仮定した場合)
ちなみにタクシー運転手の年収は35〜39歳でピークを迎え、ピーク時の平均年収は445.86万円ほどとなっています。
とはいえ、タクシー会社の給与体系は歩合制を取り入れている企業が多く、年収は個人によって大きく異なるため一概には言えません。
また、ここ数年のタクシー運転手の平均年収を見てみると、2021年より80万円以上アップしていることが分かります。考えられる要因は、アフターコロナの時期に入り、行動規制の緩和による「タクシー需要の増加」です。
近年はタクシー配車アプリの普及や外国人観光客の増加により、タクシー需要がますます急増しており、今後の働き方次第ではさらに高い報酬が期待できます。
参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「タクシー運転手」(参照 2024-03-21)
タクシー運転手の収入内訳
タクシー運転手の給与体系は「基本給+歩合給+諸手当」もしくは「完全歩合制」の2種類が一般的です。
基本給がある場合、毎月安定した収入を得られるというメリットがあります。入社直後の仕事に慣れていない期間でも、ある程度の給与が確保されているのは安心ポイントです。諸手当は、精勤手当・無事故手当・日祝手当などが挙げられます。
また、会社によっては、勤続年数や個人の成績によって昇給制度を設けています。ただし、基本給がある給与形態は歩合率が低い傾向にあり、成果を出したとしても給与が大幅に跳ね上がる可能性は低いです。
一方で完全歩合制の場合は、毎月の個人売上から諸経費を差し引いて歩合率をかけた金額がそのまま収入になります。
乗客数や走行距離が収入に直結するため、需要の高いエリアや時間帯を狙って効率よく乗客を獲得することで高収入を狙いやすいです。
ただし、交通状況や天候によって収入が大きく変動するので給与は安定しません。万が一タクシーの需要が減った時は、ほとんど稼げなくなる可能性があるリスクも忘れてはいけません。
【年齢別】タクシー運転手の平均年収
一般的な会社は年齢を重ねるにつれて年収が上がっていく傾向がありますが、タクシー運転手は歩合制を取り入れている会社が多く、必ずしも年齢・勤続年数と収入が比例するわけではありません。
年齢 |
平均年収 |
20~24歳 |
389.17万円 |
25~29歳 |
409.65万円 |
30~34歳 |
396.18万円 |
35~39歳 |
445.86万円 |
40~44歳 |
405.12万円 |
45~49歳 |
422.67万円 |
50~54歳 |
401.77万円 |
55~59歳 |
384.78万円 |
タクシー運転手の年収は35〜39歳でピークを迎えています。社会人になってから10年近く蓄積した知識・経験を活かせる30代後半は、まさに働き盛り世代。長時間労働や深夜業務にも問題なく対応できる体力がある人も多く、年収が高くなりやすいです。
とはいえ、タクシー運転手は「年齢に関係なく稼げる職業」で、30代を過ぎても大きく年収が下がるというわけでもありません。
道を熟知して効率的なルートを選択したり、常連客を獲得したりと、年齢を重ねても知識と経験を武器に収入を伸ばしていくことが可能です。
【性別】タクシー運転手の平均年収
タクシー運転手の平均年収は男性が約376万円、女性が約317万円と、男女でおよそ60万円の差があります。
なお、平均年収は「きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額」で算出しています。
性別 |
平均年収 (千円) |
きまって支給する現金給与額 (千円) |
年間賞与その他特別給与額 (千円) |
男女計 |
3,716.7 |
302.6 |
85.5 |
男 |
3,768.7 |
306.6 |
89.5 |
女 |
3,170.7 |
260.7 |
42.3 |
参考: e-State政府統計の総合窓口「職種(小分類)性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」(参照 2024-03-21) 国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」(参照 2024-03-21) |
国税庁が公表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」で、全給与所得者の平均年収が男性563万円、女性314万円というデータが出ており、それに比べるとタクシー運転手は男女の賃金格差が小さいといえるでしょう。
運転手と乗客が狭い密室で一緒になる環境なので、女性客から女性ドライバーの需要が高い点も、男女の年収差があまりないひとつの要因でもあります。
【地域別】タクシー運転手の平均年収
タクシー運転手の収入水準は、地域それぞれの人口密度や市場の需要などに応じて異なります。
東京都と政令指定都市のある道府県の平均年収を比べてみると、以下のとおりです。
都道府県 |
平均年収 |
北海道 |
271.6万円 |
宮城県 |
297.7万円 |
東京都 |
426万円 |
埼玉県 |
315.7万円 |
千葉県 |
365.1万円 |
神奈川県 |
386.1万円 |
新潟県 |
253万円 |
静岡県 |
332.1万円 |
愛知県 |
385.4万円 |
京都府 |
342.8万円 |
大阪府 |
437.2万円 |
兵庫県 |
399.1万円 |
岡山県 |
354.9万円 |
広島県 |
303.2万円 |
福岡県 |
349.8万円 |
熊本県 |
272.6万円 |
東京都をはじめに神奈川県・千葉県といった首都圏や、大阪府・愛知県など人口が多い地域はタクシーの利用者が多く稼ぎやすい傾向があります。
なかでも、ターミナル駅や観光地の周辺は特にタクシーの需要が高いです。
このようにタクシー運転手の収入はエリアによって大きく左右されるため、年収アップを目指すのであれば平均年収の高い都道府県で就職するのもひとつの手です。
タクシー運転手の平均年収が低いと言われる理由
タクシー運転手の平均年収が低い理由としては、以下が考えられます。
- 働く地域によって収入に差が出るから
- 歩合制の職場が多く、個人の実力差がはっきりと出るから
- 高齢者が年金生活の副業として働いているケースも多いから
タクシー業界は基本的に実力主義の世界です。先述のとおり給与形態は歩合制であることが多いため、稼げる人と稼げない人の給料の差が大きくなってしまうのが特徴です。
また、タクシー運転手は年齢に関係なく始めやすい仕事なので、定年退職した高齢者が副業で働くケースも増えています。
その場合フルタイムで働かない人が多く、おのずと平均年収が低くなっていると推測されます。
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実際の年収額でみても、日本人の平均年収が458万円に対し、タクシー運転手の平均年収は361万円と、100万円近く下回っているのが実情です。
参考:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」(参照 2024-03-19)
タクシー運転手で稼げる人・稼げない人
タクシー運転手の年収は日本の平均年収より低い実情がある一方で、平均以上の高収入を得るタクシー運転手がいるのも事実です。
とは言え、ただ運転ができれば務まる仕事ではありません。タクシー運転手として成功するためには以下のようなスキルが必要になります。
- 安全かつ迅速に送迎できる「運転技術」
- 乗客とスムーズに意思疎通をはかれる「コミュニケーション能力」
- 勤務時間が不規則かつ座りっぱなしの職場環境に対応できる「自己管理能力」
- 状況に合わせてスムーズにルート選びができる「情報分析力」
タクシー運転手として稼げる人・稼げない人の具体的な特徴を以下にまとめました。
タクシー運転手で稼げる人 |
タクシー運転手で稼げない人 |
安全かつスムーズな運転ができる人 |
運転に苦手意識がある人 |
自ら情報収集や分析を行える人 |
向上心が低い人 |
PDCAを回せる人 |
感情的になりやすい人 |
乗客と円滑なコミュニケーションをとれる人 |
イレギュラーな事態に弱い人 |
不規則な勤務時間に対応できる体力がある人 |
体調や勤務時間などの自己管理ができない人 |
タクシー運転手は、乗客を安全かつ迅速に目的地へお連れするのが任務です。交通ルールを守るのはもちろん、スムーズな運転を心がける必要があります。
運転をするうえで必要なエリアの最新の交通状況などを積極的に収集して運転に活かすことができる人は、さらに効率的に業務を進められるので、おのずと収入が増えます。
予測不能な渋滞やイレギュラーな乗客対応なども発生することがあるので、突然の事態にも冷静に判断できる人である点も重要です。
また、タクシー運転手は夜間勤務があったり、長時間労働になったりと勤務時間が不規則です。健康管理や時間管理といった自己管理ができる人は、タクシー運転手の環境になじみやすいです。
そして、タクシーを利用する乗客は、観光客・ビジネスマン・高齢者などさまざまです。車内で静かに過ごしたい方もいればコミュニケーションをとりたい方もいます。ただ目的地を聞いて運転して終わりではなく、相手に合わせて接客できる人はタクシー運転手としての適性が高いといえます。
たとえタクシー運転手の仕事内容や働き方に興味があったとしても、これらの適性がなければ稼ぐことは難しいです。
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自分にタクシー運転手の適性があるかどうかしっかりと見極めてから就職・転職をしましょう!
タクシー運転手で年収・給与を上げるポイント
タクシー運転手で年収・給与を上げるためには、どのような職場環境を選ぶかがカギとなってきます。
タクシー運転手として収入を上げるポイントは、以下の5つです。
- 乗客獲得のための研究をして「実車率」を上げる
- 「歩合制」のタクシー会社に入社する
- 配車アプリを導入しているタクシー会社に入社する
- 稼ぎやすいエリアの営業所をもつタクシー会社を選ぶ
- 個人タクシーやハイヤー乗務員を目指す
どの方法が自分に合っているのかチェックしていきましょう。
乗客獲得のための研究して「実車率」を上げる
タクシー運転手として年収をアップさせたいなら、乗客獲得のための研究を欠かさず行い、実車率を上げていくことが重要です。
- 実車率とは
- 営業中に乗客を乗せて走行している「実車」状態の割合を指す。「走行距離–空車率」で出すことができる指標。
タクシー運転手は乗客を獲得しない限り、収入を増やすことはできません。
道路を走りながらタクシーを探している乗客を見つける「流し営業」や、特定の場所でタクシーを停めて乗客が乗り込んでくるのを待つ「付け待ち営業」をする場合は、特に乗客獲得のための研究が必須です。
一口にオフィス街といってもどの交差点・どのビル付近で乗客が待っているのかなど、タクシー需要の高い場所や時間を具体的に分析することが大切です。
少しでも多くの乗客を乗せるために、「タクシー利用者が多い場所・時間帯」を調査し、効率よくお客さんを乗せて実車率を上げていきましょう。
また、タクシー運転手の仕事は道路状況・天候にも大きく左右されるため、その日の業務を始める前にまずはこれらの情報をチェックする必要があります。
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工事で高速道路の〇〇出口が塞がっているから1つ手前で降りよう
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今日はイベントで渋滞しやすいから走行ルートを変更しよう
というように、そのエリアのリアルタイムな情報を仕入れておけば、トラブルが起きても慌てずに別のルートに切り替えられます。
さらに、乗客獲得のための研究を続けることで、乗客を目的地まで送ってからそのエリア周辺で別の乗客を乗せて乗客の回転率を上げる「行った先営業」もしやすくなります。
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日々研究を続けて回転率を上げて確実に乗客を増やしていける人が、稼げるタクシー運転手です!
「歩合制」のタクシー会社を選ぶ
高収入を目指すなら、 給与形態が「完全歩合制」のタクシー会社に入社して成果を上げるという選択肢もあります。完全歩合制は毎月必ずもらえる基本給がなく収入に安定はありませんが、実力次第で大幅にアップします。
タクシー運転手の平均年収は361万円ですが、完全歩合制のタクシー運転手の中には年収800万円〜1,000万円を稼ぐ人も存在します。
乗客数を増やせば増やすほど給料がアップするので、平均年収以上を稼ぎたい人は完全歩合制を取り入れているタクシー会社を選びましょう。
配車アプリを導入しているタクシー会社を選ぶ
タクシー運転手で稼ぎたいのであれば、配車アプリを導入しているタクシー会社を狙うのもおすすめです。
タクシー運転手が配車アプリを活用するメリットは、以下のとおりです。
- 配車営業のチャンスが増える
- 慣れないエリアでも乗客を獲得しやすい
- 乗客がアプリ内で決済できるため支払いの時間を省ける
以前までは乗客からの配車依頼を受けて、指定の時間・場所に迎えに行く配車営業は電話のみでした。
ここ数年はタクシー配車アプリの利用者が急増しているため、「アプリを導入していない=乗客を取りこぼしてしまっている」といっても過言ではありません。
実際に帝都自動車交通株式会社では、配車アプリの導入により毎年の平均年収が上がったというデータが出ています。
配車営業は自分から積極的に乗客を探さなくても依頼が来るというメリットがあります。配車アプリ経由で少しでも多く乗客を乗せるチャンスを増やしていきましょう。
稼ぎやすいエリアの営業所をもつタクシー会社を選ぶ
タクシー会社は営業所の所在地にもとづいて「営業エリア」が決まっており、タクシー運転手は基本的にその営業エリア内で業務を行います。
エリア外で乗客を乗せることは原則として禁止されているため、稼ぎやすいエリアに営業所を構えているタクシー会社を選ぶのも手です。
以下のエリアはタクシー利用者が多く、稼げる可能性の高い場所です。
メモ
・ビジネス街や繁華街といった都心部
・観光地周辺
・空港や駅周辺
・宿泊施設が密集しているエリア
・イベント会場のその最寄り駅周辺
当然ですが、人が集まる場所にタクシーの需要が集まるので、「イベントの開催時期」「観光地がにぎわう時期」などの情報を事前に把握しておき、稼げるエリアや時間帯を確実に狙っていきましょう。
個人タクシーやハイヤー乗務員を目指す
タクシー運転手として実績を積んでノウハウを得たら、独立して個人タクシーをするという手もあります。
独立すれば諸経費を除いた売上がそのまま自分の収入になるので、効率よく稼げる人ならかなり収入が上がります。
とはいえ、個人タクシーは一度企業に所属して無事故・無違反で10年間タクシー運転手として経験を積まないといけません。条件を満たさないと営業許可を得られず、いわゆる違法の「白タク」になってしまうので、注意しましょう。
また、貸切サービスがメインのハイヤー乗務員に転職するのも、一般のタクシー運転手と比べて収入が上がる可能性が高いです。
ハイヤーはVIPが利用するケースも多くあり、客単価が高いことからドライバーの収入も良いケースが多いです。
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ただし、ハイヤー運転手は一般のタクシー運転手よりも、さらに洗練された運転スキルや接客スキル、礼儀作法などを求められる傾向にあります。
年収の高いタクシー運転手の求人を探すなら?
年収の高いタクシー運転手の求人を探すなら、「タクシー運転手やドライバーに特化した求人サイト」を利用しましょう。
以下に、タクシー運転手におすすめの求人サービスを3つ厳選してまとめました。
これらの運転手・ドライバーの専門求人サイトでは、エリアや年収だけでなく「寮・社宅完備」「配車アプリ導入あり」といった希望条件を細かく選択して求人検索することができます。
また、初めての転職で不安な方は、エージェントサービスを利用しましょう。自分の希望に合う求人をエージェントが無料で紹介してくれたり、履歴書や職務経歴書を添削してくれたりと、プロのサポートを受けながら転職活動を進められます。
タクシー運転手以外だと、未経験でも年収1000万円を目指せるナイト系もおすすめ!
タクシー運転手は乗客数や走行距離が収入に直結する歩合制の会社もあり、コツをつかめば大幅に年収をアップさせることが可能です。
ただし、そのためには運転技術だけでなく、コミュニケーション能力や情報収集・分析能力、自己管理能力などさまざまなスキルが求められます。
また、一時期と比べるとタクシー業界は稼ぎやすくなってきているものの、都市部や観光地周辺以外ではあまりその恩恵を受けられないのが現状です。
「特別なスキルがなくても今すぐ稼げる仕事をしたい」という場合は、ナイト系の仕事もおすすめです。
ナイト系の仕事をするメリットは以下です。
- 学歴・職歴・スキル不問で入社できる
- 未経験でもスタート時から高月収・高時給の企業が多い
- スピード昇給・昇格が主流で高収入を目指せる
店長や幹部といった役職に就けば年収1,000万円も夢ではない業界です。
そして、ナイト系ではタクシー運転手に似た仕事である「送迎ドライバー」も募集されています。
お店のキャストやスタッフ、店舗によっては利用客を送迎する仕事で、自分で乗客を獲得する必要はありません。月給制や時給制の企業が一般的なので、勤務時間中に実車率を気にして乗客探しをしなくてOKな点は、人によってはかなりのメリットでしょう。
ナイト系は18歳以上であれば応募可能(高校生不可)な企業がほとんどです。少しでも気になる方は求人をチェックしてみてください。
タクシー運転手で稼ぐには会社と稼ぐための研究が重要!
タクシー運転手の年収は個人の実力に大きく左右されるため、他の職種と比べて平均年収が低い傾向があります。
稼ぎたい方は本記事で解説した以下の方法を実践するのがおすすめです。
ポイント
・乗客獲得のための研究をして「実車率」を上げる
・「歩合制」のタクシー会社に入社する
・配車アプリを導入しているタクシー会社に入社する
・稼ぎやすいエリアの営業所をもつタクシー会社を選ぶ
・個人タクシーやハイヤー乗務員を目指す
タクシー運転手として稼ぐためには乗客獲得のための情報収集と分析を徹底することが必要不可欠です。エリアの道路事情や天候なども考慮してできるだけ効率よく乗客を乗せて実車率を上げていけば、自然と収入も上がっていきます。
また、歩合制のタクシー会社や独立しての個人タクシーなら、努力次第で日本の平均年収を大きく超える高収入を狙えます。
稼ぐための研究や情報収集を徹底して、稼げるタクシー運転手を目指していきましょう。